ノー・アザー・ランド 故郷は他にないのレビュー・感想・評価
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水1滴ではダメでもしずくが続けば変わる
報道など目にする「入植」というものがどんなことを意味するのか、この映画を観るまで知らなかった。
23年10月以降、本を読んだり自分なりに学んできたつもりだけど、何も分かっていなかった。
入植なんてきれいな言葉で表現できるものではなく、ただの破壊で、強奪で、暴力である。
それを、 イスラエル軍だけでなく入植者(ただの一般人)が彼らに守られながらやっている。昔からその場所に住んでいた、非暴力のごく普通の住民たちに対して…
この映画は、それにさらされている側の人達が撮影しているから見せられるものも容赦ない。だからこそ見て、沢山の人に知ってほしい。
そして、そうやって誰かの家を破壊し、故郷を奪ってできた場所に家を建てて住む人、利用する人は一体どんな人なのか、想像するだけで心底おぞましい。
バーセルとユヴァルは、同じ目的を持って活動する同士なんだと思う。
でも、それぞれの境遇が余りにも違いすぎて、観ながら何度も何度も頭を抱えるような思いだった。時間はかかるかもしれないが、バーセルがユヴァルの家を自由に訪ねられるようになったり、彼が自分の意志で就きたい仕事に就けるようになる日が来てほしいと心から思う。そのために、日本にいる自分に何か少しでもできることはあるのか…
最後に……
今もマサーフェル・ヤッタで暮らしているバーセルのTwitterのアカウントを紹介しておく。
@basel_adra
パレスチナで攻撃されているのは、ガザだけではない。
2023年10月以降、ガザのことはよくニュースになっているが、この映画はそれより前に、少し離れたヨルダン川西岸地区で撮られたもの。
イスラエル軍に占領され、抑圧され、攻撃され、困難な状況の中、撮影したことがまずすごい。
家を破壊しに来た、銃を持った兵士に向かって、カメラを向け続ける勇気に頭が下がる。
若きジャーナリストの監督が、自身が子どもの頃に父親が撮った映像も織り交ぜ編集した、長期間に渡る渾身のドキュメンタリー。
困難な状況の中でも、時折映るパレスチナ元来の景色の美しさに息を呑む。
こんな理不尽な占領(国による大規模な嫌がらせ、略奪、暴力)が、長きにわたり行われていたことを知らずに生きてきたことが恥ずかしい。
一方で、日本ではまともに報道されていなかったことなのだから、仕方ない。
今からでも、観て、知ることから始めてほしい。
知らない人にこそ観てほしい名作ドキュメンタリー。
とても良いドキュメンタリー作品です。
先週土曜日に浦和美園AEONシネマで『ノー・アザー・ランド』を見てきました。
とても良い出来のドキュメンタリー映画でした。
パレスチナ関係の映画『私は憎まない』と『子供たちはもう遊ばない』を見ましたが、私にはどちらも今ひとつ物足りませんでした。(『憎まない』は何かベクトル違いな感じ。『遊ばない』は現地のもっと多くの人の声を載せて欲しかった。)
しかし『ノー・アザー・ランド』には私は「最低限」満たされました。
パレスチナに対するイスラエル政府の理不尽で非道な攻撃、直接的にも間接的にも執拗な侵害がよく表されていたと思います。
ただ、これが「最低限」だと思います。
狂ったイスラエル政府や急進的シオニストを非難告発するにはもっともっと多くの映像と言葉が必要でしょう。
もちろんバゼル監督・ユーバール監督(他2人)らは、百も承知だったとは思います。
すべて語ろうとして煩瑣な作品になるよりは、先ずは最低限を伝えておこうとしたのでしょう。
それにイスラエル政府やシオニスト達の残虐な虐殺・略奪・破壊行為をありのままに映しては欧米での公開に支障が出ると懸念したのでしょう。
だからこの映画は、「最低限」に良く出来たドキュメンタリー映画だと思います。
ここから少しでもパレスチナ解放、イスラエル政府とアメリカとドイツへの非難、世界中の政府の無行動への民衆行動が進むことを望みます。
#nootherland
#ノー・アザー・ランド
#FreePalestine
全部が全部、難しい・・・
とりあえずある程度の知識がないと何がなんだか分からないこと必至。といっても、日々のニュースを知っていれば大丈夫だとは思うんですが、知っていればいるほどにハマるんじゃないかと思いました。
かく言う自分は、そんなに詳しく理解している方じゃないので、最初はただ混乱や横暴みたいなものを見せつけられているとしか思えなくて、正直眠かったのですが、頑張って身を入れているうちに徐々に核心部分が理解できてきて、この問題は上辺だけでしか理解できていなかったのだという、ある種の衝撃を受けました。
入植って・・・違法だっていうけど・・・問答無用の破壊、そして時に銃撃・・・それら出来事は別に隠されていることではなく、むしろ各方面で報道もされているのだと思うのですが、入植地・入植者というものを本当に理解できるような情報は、ほとんどないのだということがよくわかったような・・・気がするだけかもしれませんが、それでも、前よりは─。といっても、どんなによく知ってよく理解できたとしても、それをどうすべきなのか─今のところ全く分かりません。
国として、武力亡き者は、ただ失うしかない
ノーアザーランド 故郷は他にない(映画の記憶2025/2/24)
日本って平和だな。
若者の未来を奪うのはいつの時代もどこの場所でも老害利権者と略奪者なんだろう。
パレスチナ問題はさらに根深く、宗教や怨恨も絡んでるからややこしい。トランプは終わらせるとか言ってたがいつ終わらせられるだろうね?
イスラエル側の主張は第三者から見ると悪でしかないので、世界的にはパレスチナ側につくでしょう。
イスラエルの考えがパレスチナ人の土地を自分たちものにしたい。(この考えの根幹はイギリスが悪いんだが、わからない方は三枚舌外交とかで検索したらわかるだろう)パレスチナは祖先代々の土地を守りたい。
当然ぶつかるよね。イスラエルは過去老害的な利権的な考えを捨て、パレスチナはイスラエルの暴挙を許し、お互いが譲りたくないところを折り合いつけていくしかない。
バーゼルさんやユヴァルさんは小さい活動でも素晴らしいことをしている。こういう若者が利権にしがみついた政治家たちを倒し、民族の争いがない平和な未来を作ってほしい。
普通に武器をもってない相手に銃で撃つユダヤ人とかマジでホラー。これはもはやドキュメントホラーだな。
(個人的評価8点/10点中)
一人でも多くの方に観ていただきたい
この映画はヨルダン川西岸地区でイスラエルがパレスチナ人を追い出そうとする現実をパレスチナとイスラエルの青年が協力して撮影した貴重なドキュメンタリー映画です。
パレスチナ住民にとって大切な家を重機で壊し、学校を破壊し、井戸をセメントで埋めるシーンでは観ている私自身、意識がクラクラしました。そんなことをされたら、これからどのようにして生きていけばよいのかと思いました。
日本人の持つ感覚である「和を以て貴しとなす」という精神でイスラエル人とパレスチナ人が仲良く穏やかに暮らして欲しいと願わずにはいられませんでした。また、日本で平穏に生活できる環境に深く感謝しました。
一人でも多くの平和を愛する方に観ていただきたいと思います。
この映画を制作された監督及びスタッフのみなさまに深く感謝いたします。
拙いレヴューをお読みいただきありがとうございました。
パレスチナで起きているイスラエルの暴虐が明らかになっている映画
ジョン・レノン…?
パレスチナ ヨルダン川西岸地区のドキュメント。
95分ながらホントに徒労感を誘う… 何故ならイスラエル軍はただひたすらパレスチナ人たちの住宅を破壊する。彼らが再建しても、何度でも何度でも破壊する。ハマスがいないこの地では組織的な虐殺の正当性が主張できないから、ただただパレスチナ人が根負けして出て行くまで軍と入植者が結託してそれを繰り返す。
本作の救いは、ユダヤ人ジャーナリストのユヴァルの存在。ユダヤ人としての良心に基づき、パレスチナ人バーセルとともにイスラエルの蛮行を記録する。彼が、力まず和ませながらパレスチナ人たちに協力する様にどれほど救われるか…
それにしても本当に解せないのは、国家的な虐殺の対象となったユダヤ人たちが、彼等の国家が虐殺に手を染めることに何故こうも無自覚でいられるのか、ということ。
宗教や民族がこれほど無慈悲になれる原因ならば、そんなもの捨てろと言ったジョン・レノンは本当に正しかったと思うよ…
戦い続ける
ドキュメンタリー
全人類が観るべき、心震えるドキュメンタリー作品。青年たちは、この不条理な現実を変えることができるのか。
ひどい吐き氣に襲われるわ
胸はえぐられるわ
目眩がするわ
あまりの現実の惨さに
目を背けたくなる
現在進行形でくり広げられる不条理な現実に
なすすべもなく
ただただ涙をこぼすことしかできない
無力な己に絶望を味わう
この流した涙で、現実を変えることができるのならば、涙など枯れるほどくれてやる
77年という長い歳月からしたら、95分という、パレ スチナ人が味わってきた苦悩のたった一片でしかないが、その一片から見えてくる、私たちひとりひとりが、人間として直視しなくてはならない
ー世界のリアルー
を痛いほど突きつけられる、すばらしい映画だった。
ーそれでも僕たちは この現実を変えたいー
と語った青年たちの会話がこだましている。もう、ずっと。この先も、現実が変わるまで、ずっと、ずっと。
これは、映画の中のお話だけではなく、彼らだけの問題ではなく、私たちひとりひとりの問題であると問うてくる。
私には、なにができるだろうか・・・
まずは、この映画を多くの人に観てもらい、この不条理な世界の現実を「知る」ところから。そこから、今よりもほんの少しだけましな世界になってゆくのではないか。
世界は狂ってきている
感想が無限に湧いてくる。誰かと見に行ってたくさん話がしたくなる映画。
(3.25追記。4人の共同監督のうち2人が、イスラエル入植者に拉致され行方不明だそうです。そのうちの一人ハムダーンさんは、リンチされた後救急車から拉致されたと。日本からできることを。できることが詰まったサイト「オリーブジャーナル」みてください。この映画をもっともっと広げてください。)
先祖代々暮らしてきたパレスチナの村の、パレスチナ人の家。「この辺は軍の訓練場にするから」とイスラエルに勝手に決められてしまい、ブルドーザーがやってきます。「まだ娘が中にいるの!」と叫ぶお母さん。洗濯機とかマットレスとか家財道具を引っ張り出してきた住人たちが、自分たちの家がブルドーザーで壊されるのを涙を流しながら見ている。壊された家を建て直そうとすると、今度は大工道具や発電機を奪おうとする。パレスチナ人を追い出そうと、こんなことが何十年も続けられている。重装備のイスラエル軍に対して、この映画の監督の一人でもあり主人公でもあるバーセルの武器はカメラで、イスラエル軍が暴力的な行いに出るたびに「撮っているぞ」と叫びながら、「これが僕の村で今起こっていることです」と(観客である私たちに)語りかけながら、イスラエル軍に向かっていく。
2023年10月以前からこんな不条理なことがずっとずっと続いてきた。
これが普通の映画だったら、こんなふうに抑圧されている人たちは救われるし、こんな酷いことしてる側にはなんらかの罰があるだろうが、これはドキュメンタリーで、イスラエル軍が丸腰の市民を(自分たちの発電機を取り返そうとしていただけの男性)を撃っても、罰されることはない(イスラエルの軍人が丸腰のパレスチナ人を傷つけても99%以上不起訴だそうです)。
パレスチナ/イスラエル問題に詳しくなくても全然大丈夫です。何が起こっているかを真っ直ぐに伝えてくれる映画です。
観たらきっと誰かと話したくなるから、誰かを誘っていくことをおすすめします。
(色々な人の感想を聞きたくなる映画でもあるので、ぜひレビュー書いてください)
テレビや新聞では報道されない、パレスチナでのイスラエルのダークサイド
パレスチナ人の『バーセル・アドラー』は
自分の生まれ育った土地「マサーフェル・ヤッタ」に侵攻するイスラエル軍を
幼い頃から映像で世界に発信してきた。
しかし、自分の行いは認識されているのか、
または世論を動かすことができるのかを常に自問している。
イスラエル人ジャーナリストの『ユバル・アブラハーム』は
彼の行動に共感、二人はタッグを組み撮影を続ける。
しかし『ユバル』にしても、
パレスチナ人からは最初猜疑の目で見られ
心無い言葉をぶつけられ、
イスラエル人からは売国奴と非難をあびる。
そうした二人の葛藤を、正面から見据えるのが本作、
95分尺{ドキュメンタリー}の特徴の一つ。
とは言え、
やはり主軸となるのは、イスラエル軍とイスラエル人入植者の非道な行い。
「ジュネーヴ第四条約第49条」で
自国市民を占領地域に移住させることは禁止されているようだが、
イスラエルは国際法などお構いなし。
パレスチナの領土に対しイスラエルの法を持ち出し、
武力をちらつかせながら強固な態度で臨む。
演習場にするとの名目で、
個人の住宅はおろか学校に至るまで重機で破壊し更地にしていく。
しかし実際には、軍に随伴している入植者たちが、
自分たちの家を建てるのだろう。
こうした強権の発動は、現首相の『ベンヤミン・ネタニヤフ』が
政権を掌握した2009年よりとりわけ顕著になってきたよう。
言葉で抵抗するパレスチナ住民に向かって、
逮捕や時として発砲で威圧する。
映像は、そうした理不尽な顛末を余すところなく
眼前に晒す。
パレスチナの問題はニュースや新聞で
概略を理解した気になっていた。
とりわけ、直近の「ガザ侵攻」は
メディアで取り上げられない日はないほどの報道密度。
が、本作を観てしまうと、
それでもまだまだ甘かったと、
慙愧の念に苛まれる。
そこに先住している人々を
理解不能な理由を付けて追い出す、
或いは住めない状態にすることを、
後から来た者が平気で推し進めることの理不尽さ。
勿論、ミサイル一発の恐怖はありつつ、
真綿で首を締めるようにじわじわと攻めることも恐ろしい。
その怨嗟の声は、
手をこまねいている国際社会にも向けられている。
一般的に{ドキュメンタリー}と言うと、
回り出した瞬間から、
被写体はカメラを意識し、
撮影者の主観も入るのでは?
本当の素の状態を捉えるのは難しいのでは?と
常々思うところ。
しかし今回我々がスクリーンで目にするのは、
あまりに容赦のない行いの数々。
わけてもイスラエル軍は、
そうしたことなどお構いなしに冷徹な顔を見せつける。
どうしたら力になることができるのか、知っている人がいたら教えて欲しい。
観てしまったら、何もしないことが偽善のような気がして、パレスチナのために何かしなくてはと、気持ちが焦る。
何かしても偽善なのかもしれないけど。
でも何ができるのか、どうしたら止められるのか分からない。
村から人を追い出すのは、都市に人口を集中させるためと言っていたが、それって、都市部を爆撃して効率良くジェノサイドを行うため?
どうしてこんなことがまかり通る?
今人が住んでる家をブルドーザーで潰したり、子どもたちが勉強していた校舎を、子どもたちの目の前で破壊する?
どうしたらそんなことができるんだ?
どうやって生きてくるとそんなことができるの?
ましてや丸腰の人間を至近距離から撃つなんて。
これのどこに正義や正当性が存在できるのか分からない。
家を破壊する重機に「HITACHI」の文字があって、HITACHIに罪は無いけど、悲しかった。
パレスチナ人のバーセルとイスラエル人のユヴァル。
私には彼らの人種的な違いが分からない。
まるで兄弟のように仲が良いのは分かる。
それなのに、人種が違うという理由で分断されていく。
どんどん周りとも気まずくなっていく。
ツラくて、正直ものすごくストレスが溜まって悲しくて、心をかき乱される作品だった。
2025アカデミー賞授賞式で、バーセルとユヴァルの元気な顔を見られて良かった。
アカデミー賞受賞によってもっと世の中に広がりますように。
タイトルなし
いくつかパレスチナの映画を観たけれど、映画を撮るというコンテクストが入れ込まれている映画という意味で緊張感のあるドキュメンタリーはこれが最高峰だと思う。いわゆる戦争現場ではないけれど、日常的にそこに戦争が展開されているということを生々しく見せる。
ブルドーザーと〇〇という言葉は沖縄でよく聞かれたのだけど、ブルドーザーの力というのはこれなのかとまざまざと見せられる。
活動家のお父さんほど勇気がないとするパレスチナの監督、お父さんが逮捕されたら石油を売らないと、といった監督の立場まで撮っている。
そして、この映画終了後についてのラストの展開も息を呑む。
日常が淡々と撮られているのだけど、その日常は戦争なのだという息苦しさ。来る日も来る日も変わらない。
そして入植者のある種の影。
ジャーナリストたちのかかわり。
予備知識なく見た感想
オスカードキュメンタリー映画賞にノミネートされているので見た。
パレスチナ問題というので、てっきり今のガザ地区の戦闘を描いた、密着した作品かと思ったが、ヨルダン川西岸で、イスラエル側が毎日のように重機でパレスチナ人の家を壊す「日常」を記録した作品。
一応「違法建築だから」というタテマエだが、根拠が示されるきともないので、おそらく法的根拠は無いのだろう。
そうしてパレスチナ人を追い出した後はイスラエル人の「入植者」がやってくるのだが、どーみても農業に向いた土地でもないし、パレスチナ人だって農業ではなく養鶏などで生計を立てている様子。
その昔、「戦争の目的」とは結局「食料確保」のための農地、土地、水源の確保だったハズだが、ココは違うらしい。
イスラエル側(兵士&入植者)のモチベーションというか動機は何だろう?命がけでその土地を奪うだけの目的って?
過去数多くのドキュメンタリー映画を見たが、その中でぶっちぎりに低予算だし、素人だと思う。それでもこうして世界中で上映されアカデミー賞最有力と言われる。
(内容はひたすら壊される家なので、単調ではあるし、撮影、編集、技術的には素人っぽい)
それでも公開できちゃうことに驚き。
それは本作が見つめた真実だと思う。
家が奪われていくのが日常、というパレスチナの現実。
全108件中、81~100件目を表示









