「圧倒的な非対称性」ノー・アザー・ランド 故郷は他にない jinminさんの映画レビュー(感想・評価)
圧倒的な非対称性
イスラエルとパレスチナ、民法と軍法、重機と取り壊される家、武器と丸腰のデモ、どこにでも行けるユヴァルと西岸に閉じ込められたバーセル、スクリーンのこちらと向こう、この圧倒的な非対称性に打ちのめされた。
軍時訓練=社会防衛という名の下に、国家がマイノリティの住居を破壊する。(それは映画内で明かされていたように、マイノリティを弱らせる事こそが真の目的)
このあからさまなレイシズムに対するパレスチナ人の命がけの抗議を、ルールだから、法律で認められているからとニヤニヤしながら踏みにじるシオニストたち。
差別ではなく区別、法律を守っているだけと言いながら、反差別規範をかいくぐってマイノリティを痛めつけるこの行為は、沖縄の基地問題など、世界各地の植民地主義的な場所で共通に行われている。
デモでもスタンディングでも署名でもBDSでも、何かしら自分にできる植民地主義に抗う行動を起こす事でしか、この映画に刻みつけられた凄まじい胸糞の悪さを解消することはできない。
コメントする