お坊さまと鉄砲のレビュー・感想・評価
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ブータン、行ってみたいなぁ〜❤️
幸せって、色んな形があって人それぞれなんだろうけど、民主化する前のブータンの皆さまの幸せも、きっと素晴らしかったんだろうなぁ😌
ブータン、いっぺん行ってみたい‼️
いい話なのに、ちょっと贅肉付きすぎで気が散ってしまった
ブータンのイメージ再現が好印象、特に導師は絶妙。幸せな日常に出現した民主主義への戸惑いと動揺を通してたどり着くラストは感動モノである。
ただ映画としては難点もかなり気になった、アメリカ人は密輸の機関銃を寄進してお咎めなし?ガイドはどうなるの?なんで2丁?模擬選挙はガチの予選だったの?etc
そこが本題ではないのは分かるが、かなりのウェイトを割いているのでそっちに意識が飛んでしまう。
“今まで十分に幸せだったの”の台詞もいただけない、これはキモなので劇中でストレートに話されると急に脚本感が出て、無邪気なブータン人も映画という作りもの世界感がでてしまった。
内容は良いと思いますが、少し減点しました。
資本主義が発展したら民主主義が必要になるけど、資本主義がなかったら?
「他国では血を流して勝ち取った民主主義」というありがたいものを導入するのだ、という政府の役人に地元の女性が、血を流す必要のないところになぜそれが必要なのか?と問う。この言葉に感動してしまった。
もちろん王政が良いわけではない。どんなに良い王の治世でも身分や性別など様々な差別はあっただろう。
しかし、そもそも大きな不満なく暮らせていたのに外から人々を分断するような制度を導入するのは何故か?という素朴な疑問を抱くのはよくわかる。
とは言っても、否応なく他国から押し寄せる資本主義の波を避けることはできない。ブータンにも貧富の差が広がり、人々はいかに人より多くを所有し、それがあたかも「幸せ」の象徴のように考えだすだろう。
世界は発展し様々な知恵を産み出し、学問も医療も芸術も、あらゆるものが進んだが、人間の「幸せ」はそれとは別物なのだ❕と考えさせられる、この映画は素晴らしい寓話として描かれている。
昔読んだ文化人類学者中根千枝氏の本に、フィールドワークで未開人の中で暮らしていると、時々とても退屈になる、精神世界がシルプルすぎて、というような話に驚いた。
ブータンの人たちもこれから今まであまり必要なかった競争心や妬みや嫉み、ありとあらゆるねじれた気持ちの世界を生きるのだろう。
そしてやっぱり「幸せ」は何だったのだろうと考えるにちがいない。
精神世界が深まるのは悪いことではない。人間社会が発展していろいろなことを産み出した。映画もその一つ。不可逆的なこの社会、鎖国を解いて遅れてやってきたブータンの人々に、先進国が重ねてきた様々な失敗を学んで軽やかに飛び越えて進んでほしい。
コメディ?
2006年変化が訪れた。
テレビやインタネットがブータンに入ってきて、国王が国民がリーダーを選べるという贈り物をくれた。(え..今になって本当かよ)でも、国民は民主主義(参政権)というシステムのもとで生活をしたことがない。そこで、今、政府がどういうものかを....
これがこの映画の出だし.....(この映画は推薦できる)
民主主義(参政権)って国王から与えられるものではなく、国民が必要だから勝ち取るものなんだよ。これの映画を観てこれを一番感じた。それに民主主義が国民にとって優先権?
しかし、テーマというより、内容が煩雑のようにみえて、深く絡み合っている。
現代の眼で2006年のブータンの社会事情を見ているので、これってコメディーじゃないのと感じるかもしれない。しかし、2006年に急に国王から「民主主義」のプレゼントをもらって、国王はいいさ、海外の教育を受けているから。他の全ての民は慌てふためいたに違いない。その様子が滑稽に描かれている。模擬選挙管理委員会、選挙人、被選挙人、村人の中でも、家族でも、また、子供の学校でも(いじめ)諍いが起きる始末。この子供の父親は娘に消しゴムを頼まれたが、選挙活動で頭がいっぱいで忘れちゃうんだよね。でもさ、笑っちゃうことに、父親は娘を街の学校に送りたがったり、物欲にも目覚めてくる。
そして、『娘に首相になれるチャンスがある』っていうけど、
娘は『首相になりたくないよ。消しゴムが欲しいんだよ』と。民主主義が逸れてきてしまうんだよね。。。。
最初のシーンではウラUra という村のラマが模擬選挙が始まるという国際ニュース(英語で)を聞いていて、僧ラマはタシTashi (Tandin Wangchuck)に、銃を2丁満月の前までに集めよと伝える。この日は模擬選挙の投票日。銃というから、米国の『銃保持の自由』という憲法を咄嗟に思い出し、民主主義と言って銃も集めるのかと勝手に思っていた。何しろブータンというとアメリカの模倣というイメージが強いから。あくどい僧侶だねと。これは私の検討はずれだと。。。後で、徐々に徐々にわかっていく。
選挙管理委員会は村人にどう投票するか教えに来た。党は3つに別れていて(Blue representing freedom and equality, red representing industrial development, and yellow representing preservation)
青、赤、黄色
村人には一番幸せをもたらす党に投票してと伝える。。。。。これも後で徐々にわかっていく。このように、私の『おもい』が方向転換してしまう。
村人たちは3つに分かれて、エイエイオーと叫ばされる。。。。この掛け声すら、伝統的な静かな生活に満足している民にとっては、 they are being taught to be rude と感じさせてしまう。選挙の練習だけで、村人や家族は分かれてしまい、揉め事になってしまう。「民主主義とは何か」を村人に一つも論じていないのである。国王の思惑をどう村人が理解できる?先に記したが、当時の国王は欧州かどこかの教育を受けてるけど、少なくても、国の方向を急激に『民主主義』にchangeするわけだからね。民主主義の押し付けを民がどう受け入れたらいいか分からなく、それぞれの民が試行錯誤していく。でも、模擬選挙の結果、『黄色』 yellow representing preservationが圧勝するんだよ。それも、黄色は国王のカラーだからだって。大笑い!国民の国王preservationの意識が強いので、黄色に入れたんだと錯覚するが、ただ、『国王のカラー』だって。投票の権利どころじゃない、呆れちゃった。黄色は使ってはダメ!将来、Change は不可能?可能?
面白いことに、アメリカ合衆国の文化の走りなんだろうねブータンの当時は?テレビって、『一億総白痴化』と言われる時代も日本にあったけど…..恐ろしいね。。。問題意識がなく、受け入れていることは。。。MTV (Money for Nothing)
それに、コカコーラのことを『Black Water』と言って注文してたよ。
はっきりコカコーラのラベルを見せてなかったけど、明らかでしょう! 米国の文化を次から、次へと取り入れて、最後には米国のゴミ(例えだけど)を全部受け入れてしまってるのかも。
ゴミは不幸にも、人間の体を蝕んだり、環境を破壊したりして、企業(現在は多国籍企業)だけが暴利を蝕んでいる。また、ジェームスボンドも庶民の人気の的であり、AK-47sも。この銃はタシが西洋文化の証だと思って、欲しいのだと思って見ていたが、イイエ、最後はこれがオチになる。
銃集めをしている、特別な銃だけだと思うが、米国人ロン(Harry Einhorn)はある村人の持っている銃は『米国の南北戦争』の銃だと判断し、買い求めたがっている。ロンはこのストーリーでは単純に歴史的な高価な銃を集めたがっていると私は判断した。村人に通訳を入れて値段の交渉に入るが、価値観の違いと言おうか、見解の違いと言おうか(ロンは金儲けを考えているかも、ラマはたくさんの人を殺したいわく付きの銃) 歴史認識の違いと言おうか。。。。おかしい。
ロンはこの歴史的な銃購買の交渉をブータン人の通訳を介してするわけだが、なぜ、ある村人が銃の購入金額に『躊躇』を示すか意味がわからない。合理主義で金銭欲の強いあるアメリカ人の典型をロンが代表している。また、ロンは 選挙管理委員会の一人に会うわけだが、ロンにとって民主主義は全く興味のないものらしく、選管とは対照的であり、滑稽だった。民主主義社会の中にいる人間にとって、それに関して興味もなく、ありがたみもあるわけじゃないらしい。ましてや、そんなこと話す気もなし、銃への執着に比べたら、取るに足らない話題さと思ってるよ。この様子がうまく描けているね。
タシは 伝統的な銃とAK-47sとを交換する意思もなく、また、大金にも興味を示すようで示さず『使い道がない』というようなことをロンの前で言う。
それに引き換えロンが一番 不信感が募り、何のためにここにいるのか分からず、伝統的な銃のみの虜になっているのが。語学のハンディーもあるし、通訳も全部通訳しているわけではないし….何が起きているのか全てを理解するのが難しいようだ。
最終的にはロンもタシとラマも選管委員会も村人も全部が丘の頂上の礼拝場?のようなところに集まるわけだが、そこには大きな穴が掘られていて、その周りに人々が集まり、これからラマの説教を聞くようだなあ、とわかる。
ここからが、『あれ!!』 なるほど、そうなったか?と。ロンは狐につままれている様だった。このシーンを是非観賞して楽しんでほしい。
選挙導入に向けての国民審査をしたと考えれば、その意図を無視したものが導入されたのかなと思った思
2024.12.17 字幕 アップリンク京都
2023年のブータン&アメリカ&フランス合作の映画(112分、G)
2005年の立憲君主制に向けての模擬選挙を描いたヒューマンコメディ
監督&脚本はパオ・チョニン・ドルジ
原題は『The Monk and the Gun』で、「僧侶と銃」という意味
物語の舞台は、ブータン中央部にあるウラ村
そこでは数少ない村民たちが暮らしていて、彼らのもとに国営放送が届いていた
国王の計らいによって立憲君主制が採択され、国民は初めての選挙を迎えることになった
そこで選挙委員会が立ち上げられ、各方面で投票登録の作業が行われることになった
ウラ村にはプバ(タンディン・プブ)が訪れていたが、一向に登録数が伸びず、都市部からツェリン(ペマ・ザンモ・シェルバ)が派遣されることになった
これらの動きを知った老僧ラマ(ケルサン・チョジェ)は、弟子のタシ(タンディン・ワンチュク)に「銃を二丁探せ」と命を授ける
そして、その期限は4日後の満月の夜までだった
一方その頃、ウラ村に住む老人ペンジョー(プブ・ドルジ)が所持しているアンティーク銃を求めて、銃コレクターのロン(ハリー・アインホーン)が訪れていた
彼の通訳にはガイドのベンジ(タンディン・ソナム)があたり、国内で禁止されている銃の売買をサポートすることになっていた
映画は、群像劇として描かれ、本筋はタシによる銃の獲得となっている
その背景に、コレクターの暗躍と選挙登録が行われていて、その当時の流れというものが感じられるようにできていた
ポスターヴィジュアルの中で、「銃を抱える僧侶が描かれている絵」が採用されているものがあって、この視点は小学生のユペル(ユペル・レンドゥップ・セルデン)のものだろう
ユペルはツェリンから消しゴムなどの文房具を貰うのだが、学校では父親の政治信条の相違によっていじられたりしていた
また、ユペルの父チョペル(チョイン・ジャツォ)と祖母アンガイ(Tsheri Zom)の支持政党が違うことで家庭内不和も起きていて、間に挟まれる母ツォモ(デキ・ラモ)は選挙に意味を見出せなかった
物語は、まさかの銃埋葬というとんでも展開になるのだが、仏塔を建てるためにはそこに何かしらを埋めなければならない
ラマが銃を選んだのは、世界中で起きている紛争の火種に政治による対立構造があると考えていたからだろう
選挙によって代表を選び、国民の声を反映させていく意味はあるものの、勝った方だけの意見を聞くとか、負けた方の意見を蔑ろにするという極端なものではダメなのだと思う
だが、今の先進国の政治を見ていると、是かと否かという分断の上で成り立っていて、宗教対立から思想対立へと切り替わっていくように見える
ラマには2005年の時点で「思想分断が幸福を壊す」と考えていて、それゆえに仏塔を建てなければならないと考えたのではないだろうか
いずれにせよ、ほんわかっぽい邦題を思うと、かなり攻め込んだ内容になっていて、そこに南北戦争(ドゥアール戦争)の銃が登場するのは感慨深い
その時代に使用されて同胞を殺した銃というところに意味があって、これはブータンと戦闘を起こしたイギリス(インド)が使用されたものだと思われる
その銃は外国からもたらされて自国民を殺したものであり、それを今回の選挙制度となぞらえているのだと思う
本来は、選挙など行わずにこれまでの国づくりを続けていけば良いものを、あえて壊して近代化させる意味はほとんどない
村民たちは「黄色(伝統の保護)」に票を集めたが、それは単なる国王の色ではなく、ブータンはこの先もこれまでのブータンであり続けたいという願いがあったのだろう
この選挙は模擬選挙だったが、選挙を導入するかどうかの国民審査のような意味もあるので、多くの人民が反対していたものを推し進めたと言っても過言ではないのかな、と感じた
供物
最初の方はブータン時間が
ゆったりと流れて、うとうと状態
選挙のことがわからない村民に役人が
選挙を教えるという展開だが
なぜか銃コレクターが現れて…僧侶も銃?
この謎は後半とけてスッキリ
このあたりは笑いもおきて
後味はよかったです
ブータンの民主化の歴史もわかって
勉強になりましたね
穴へ捨てるシーンはジョン・レノン御存命なら喜んだだろうな
ドタバタ劇を装いながら言うべき事はきちんと伝わってくるなかなかの秀作。
民主制は国や共同体の意思決定手続きのひとつにすぎず、必ずしも至高の政治理念では無いという、綺麗事を排した目線が好ましい。絶対王制や原始共産制や幕藩体制に比べたら「まし」なだけだから。衆愚政治に堕する危険を孕んでいると言う点であの銃が民主制の象徴かも知れんし。
王家や仏教に象徴される伝統が結局は円滑な民主化を可能にした要因となったことを示し、それらに対する敬意(一面の黄色い花畑!)を忘れないのもいい。
有権者登録で「生年月日を言いなさい」というシーンをみて落語の「代書屋」を思い出してしまった。
「世界一幸せな国ブータン」
今年290本目。
新宿武蔵野館で。お坊さんが2丁の鉄砲を若い僧に頼む。どうなるのそこが面白い。後半お客さんから笑いが起こるシーンも何か所か。「本日公休」は台湾の映画、今作はブータン、台湾など4か国の合作、良作が端々にあって嬉しい。
火種
2006年第4代国王の退位により、民主化されることになったブータンの田舎の村で、模擬選挙を前に混迷する村人たちと銃を巡るドタバタをみせる話。
選挙管理委員が来村することを聞いたラマ僧の言いつけで銃を探す僧侶と、貴重な骨董品の銃を探してアメリカからやって来た男とガイド、そして模擬選挙にのめり込む主人を持つ家族と選挙管理委員御一行等をみせていく。
必要以上のものを望まない人達と、欲に目が眩む人達と、そんな人達の鬼ごっこだったり尊厳だったり…。
コメディだけど結構サスペンス風味も!?
選挙ももちろん面白かったけれど、銃を巡ってはコミカルさがかなり全面に出ている感じだし、どちらもコミカルさの中にしっかりと本質があってとても面白かった。
宗教は欲や武器に勝る?
予告編にあったような選挙の話と高僧が銃を必要とする展開に思わせぶりがあった。アメリカ人が高値で欲しがった銃さえその高僧に譲るほど僧侶は尊敬されていて、銃取引の仲介者が警官から捕まりそうになり、処罰を逃れるために銃を供出することになり、警官の拳銃や子どもの玩具の水鉄砲さえ供出することになってしまった。高僧の願いを聴き入れたアメリカ人は、代わりに聖なる秘具を与えられることになる。執着から逃れることの大切さが説かれていた。聖書の「駱駝が針の穴を通るより難しい」という例えにも通じるが、欲張り爺さんの成れの果ての説話にもありがちな感じがする。
アメリカ人は、ブータン人から、J.F.K.やリンカーンを生んだ国と羨ましがられるが、それらのリーダーは、銃の力で倒された人々でもあったので、銃を無力化したブータン社会の力には敵わないところがある。けれども、インカ帝国を少数の軍人で征服したピサロ氏に対抗できるほどには有効ではないだろう。
『ゲンボとタシの夢みるブータン』に描かれていたような、僧侶養成教育よりも実用教育に転換しつつある傾向は、ここではまだ描かれていないようである。
不穏な雰囲気が鮮やかに一変
大切なものを思い起こさせてくれる、素敵な作品でした。銃を巡ってブータンらしからぬ物騒で不穏な雰囲気が、鮮やかに一変するのは見事。国民が国王をどんだけ好きなのかもよく分かりました。
きな臭い話かと思いきや笑えるお話でした
ブータン初の選挙ということで…
選挙とは何かを何故か憎しみを煽るように教えて回る役人
二人の有力候補を巡って次第に不穏になる家族や村人
位の高いお坊様は国の為にと銃を若いお坊様に用意させようとする
何やらきな臭いストーリーが展開する中、南北戦争時代の銃を求めにブータンに来たアメリカ人も村にやってきてさてどうなるのか?
非常に面白かったです。
民主主義は幸せを求めるための一手段であって、それで啀み合う様な最近の日本の政治はなんなのだろうと思ってしまいました。
まさか銃があんな事になるとは。
銃マニアのアメリカ人、最後はまさかのものを手に入れてしまいますw
ブータンの山村の長閑な風景、草っ原にポツンと立つ仏塔も見どころ。
民主主義、民主主義
国民から長年愛された国王が時代の流れを踏まえ自ら譲位して、議会制民主主義の立憲君主制への移行を主導した2000年代中頃
ところが国民は必要性も含めて選挙というものが一体なんだかわかっておらず戸惑いが広がる中、ある山間の村の高僧が弟子に、ひとまず銃を二挺準備するよう伝える
というあまりに絶妙な掴み
国民が選択権を持つという、当然にとても大切、と、されているものの当然さをあらためて問う
夢は欲と裏表で、期待は差配と一対、なんか色々感じるとこ多かったなー、よい映画だ
アジア的な
「ブータン 山の教室」の監督による、今度はコメディ。
初めての民主選挙のための模擬選挙と、何故かそのために銃を求めるラマ僧の弟子と、その銃を求める銃コレクターと通訳。誰もが初めての体験に手探りで、それ故の絶妙な噛み合わなさ…いわゆる西欧的なコメディでもなく、微妙なユーモアが心地良い…
終盤にラマ僧の目的が明らかになると、なるほどという思いとともに、西欧的な価値観に基づく「民主化」「近代化」が本当に正しいのか、という思いを抱かざるを得なくなる…
模擬選挙の説明係が「対立する政党ですから、もっとこう憎み合うくらいに…!」って言ってたのは、昨今の情勢を見るだにその通りで笑った…ww
前作とともに、アジア的な価値感についての再評価のために観られるべき作品だと思う…
最大幸福国家神話をなぞる「無邪気」な映画
ワンチェク国王が王妃と一緒に来日したのは2011年。美男美女の王夫妻に日本中が沸いた。あれからもう10年以上経ったのか。
国王が即位したのは2006年。先立つ2005年に初めての選挙が実施された。憲法公布は2008年。推移は我が国の明治憲政史と非常によく似ている。権力と国民が協調して立憲君主制に段階的に移行したということである。
この映画は初めての普通選挙の前に模擬選挙を実施する話だから時代背景は2005年手前ということになる。その割には現国王の写真が役場に掲げられていたり2006年から公開されたダニエル・クレイグの007シリーズ映画がTV放映されていたりする。(しかも「カジノロワイヤル」でなく「慰めの報酬」にみえる。ならば2009年の公開)割と時代考証がいい加減なのだがそれはまあ良い。
模擬選挙では架空の候補者3名から1人を選ぶ。赤色の候補者は民主主義の拡大を訴え、青色の候補者は経済発展を訴える。対して黄色の候補者は伝統主義の固持を訴える。結論、模擬選挙でこの村の選挙民が圧倒的な率で選んだのは黄色だった。もう一つ、この映画がテーマとしているのは武器の不所持、廃棄であり、それも映画の結末として表される。
幸福度を高めることを国家目標としているブータンのありのままを捉えているようにみえる。
でも本当にそれで良いのだろうか?自分の親やそのまた親と同じく第一次産業に従事し、仏僧や王室を尊び、つつましやかな生活をする。それで心の平安が確実に得られるのだろうか。ブータンに生まれた以上、それ以外の選択はないのか?
パオ・チョニン・ダルジ監督の前作「ブータン 山の教室」はその問いかけを静かな語り口で提起した作品だった。でも、本作は時代をさかのぼって民主主義がスタートするある意味無邪気な時代を描いているとはいえブータンが幸福な国家であると、あまりにも画一的、無批判に描いてしまっている気がする。ブータンは最大幸福を目指している国ではあるが、最大幸福を実現している国ではない。選挙管理委員の若い女性役人や彼女と交流を持つ村の少女ユペルの姿に新しい世代の誕生を予感させている部分はあるものの世界中に流布されているブータンのイメージを無自覚、かつ問題意識もなく再生産しているような気がするのだが。
ミステリアスで面白かったです!
初めての選挙によって“変化”を求められ戸惑う村の人々の姿を、前作同様、温かい眼差しと飄々としたユーモアで紡ぎながら、本当の幸せとは何かを、観る者に問いかける。
2006年国王が退位し、ブータン初の選挙が行われる事となった。高僧はその話を聞くと弟子に銃を2丁手に入れるよう指示。弟子は銃入手の為奔走。
何故銃が選挙に必要なのかが分からずミステリアスで面白かったです。
ラストで使い道が分かった時は想像と全然違ったのでビックリしました!面白かったです!
監督は『ブータン 山の教室』のパオ・チョニン・ドルジ。前作同様、山の自然が美しい。
(オンライン試写会は全てネタバレ扱い)発展途上国における議員選挙等の実態を見るに良い映画
今年425本目(合計1,516本目/今月(2024年12月度)4本目)。
※ (前期)今年237本目(合計1,329本目/今月(2024年6月度)37本目)。
オンライン試写会に招いてくださったfansvoiceさま、ありがとうございました。
ここでは「一部コメディを含む」というような書き方になっていて、確かに笑いを誘うシーンはあるものの、一方でドキュメンタリー映画でもないものの、実際に「つい最近」(といっても30年くらい前)に初めておきたブータン国内での選挙をどうするか、という趣旨を描く映画です。法律系資格持ち(行政書士)としてはこのあたり憲法論(投票権)の問題になるので国内はもちろんかかる趣旨は国外にもあてはまるので、意識的に応募したら当選しました。
ブータン自体は日本とは(台湾等と比較したときの)「極端に」いわゆる親日国ではないし在日ブータン出身の方がいないわけでもない(2021年データで410名とのこと)ですが、それでも仏教の考え方が似る等比較的親和性が強い国で、どちらかかというと日本との交流は盛んでもあります(なお、国名でブータンを漢字名で書く場合「不」が普通。「仏」だとフランスとかぶるため)。このため、国自体は少ないし交流も少ないのは確かですが、少なくてもブータン出身の外国人も日本に滞在されておられますし、文化が似るので(韓国、台湾ほかの近隣諸国では「ない」にも関わらず似て日本文化の吸収も早いとされるのは仏教の関係もあると思います)、あまりトラブルはきかないほうですね。
ただ、30年ほど前にはじまった「選挙」も何も不正をする目的もあったものではなくて、それまで「どうしたらいいかわからない」状態だったのがそのときのブータンで、そのために「選挙はこういうようにします」といういわゆる「選挙監理団体」(選挙や民主主義における選挙の不慣れに対して国連などが手助けするところ)が実際にブータンにいっており、そのときには日本も協力しています。ブータンのはじめての選挙の不正防止より、実際に「どうしていいかまるでわからないし投票用紙やら箱やら言われても何がなんだか」だったので、選挙のイロハから教えた、ということになりますね。もちろんそうして選ばれた選挙で現在は何度か選挙も行われていますが、そのたびに国連などのそうした組織の関与は少なくなり、今ではほとんど存在しない(ブータンがやや国として高地にあるため、入手しにくいものを貸与する程度にとどまっている)ようになっています。
映画で描いているのはこうした事情で、どうしても「退屈な映画」になりがちなのでギャグシーンなども若干入ってはいますがギャグシーンも単発的なもので「はじめての選挙をいかにして成功させるか」という部分に焦点があたる「準ドキュメンタリー映画」の要素が強い映画です。
映画に「娯楽性」を求めていく立場ならおすすめはできないでしょうが、教養が高まる映画ではあることは間違いない事実なので、是非といったところです。
採点上特に気になる点までないのでフルスコアにしています。
(この映画、台湾等いくつかの国の合作です。日本・ブータンもある程度の交流はあるのに、なぜ日本はかかわらなかったのだろう…。当時のコロナ事情?)
007
2024年12月2日
映画 #お坊さまと鉄砲 (2023年)鑑賞
ブータンにおける国王の退位により王政から議会制民主主義へ移行する際の初の選挙における人間ドラマ
とにかく人が優しく穏やかなので、最初から最後まで温かい気持ちで過ごせる映画です
@FansVoiceJP さん試写会ありがとうございました。
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