Flowのレビュー・感想・評価
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水は淡水? 海水? まあどっちでもいいや
才能に恵まれてるであろう新進のシンガーソングライターが「こんなの出来ちゃったんだけど、聴いてもらえる?」とか照れくさそうに言って歌い始めると、これがなかなかいいっ!! ベテラン歌手のような手練手管はないけど、歌詞がこっちに向かって真っ直ぐに飛んでくる、ラッキー、なんて感じの気持ちにさせてくれました。昼下がりの映画館で、この作品を頭を空っぽにしてぼーっと見てると大人になる過程で失くしてしまった何かを思い出すかもしれません。
手放しで褒められないが
終わった瞬間、悪くないと思ったし好きなシーンもあった。でも、スタッフは50人以下、制作費は350万ユーロ(約5.5億円)という点が無ければ大絶賛にはならなかったと思う。よくこんな低予算で、ここまでのものが、という価値観は映画にとって正しいんだろうか。観ている側が、作っている側にそこまで配慮する必要があるのだろうか。私はないと思っている。映画はその映画の中身だけで良い。
個人的に大群の鹿が駆ける所と、ラストの水面のシーンは良かった。あの振動が消えてしまった瞬間は美しいとさえ感じた。それだけを見に映画館に行っても良いと思う。
猫は水が大嫌いなはずなんだがなぁ。
3月17日(月)
我が愛しのグルミットがトム・クルーズばりのアクションを見せる「ウォレスとグルミット 仕返しなんてコワくない!」や、ドリームワークスの快作「野生の島のロズ」や、評判が良い(未見)ピクサーの「インサイド・ヘッド2」を押しのけてアカデミー賞長編アニメーション賞を受賞したラトビアの「Flow」。
興行側が読み違えたか、小規模公開で小さなスクリーンでしかやっていない。
TOHOシネマズ池袋スクリーン4で「Flow」を。平日昼間でも7割程度の入りだ。
黒猫が大水が出た世界で廃船?に乗り合わせた動物たちと水の上を彷徨う。動物を擬人化せずに言葉を話す事もない。
動物の鳴き声、泣き声、啼き声、哭き声、自然音と音楽のみである。
何故、大水になったのか?そこに居た形跡はあっても登場しない人間はどうなってしまったのか?説明も字幕もない。
監督の5年前の前作「Away」も同様に台詞無しの少年の話しだったらしい。ちょっと観てみたいね。
本作も監督・製作・編集・音楽の一人4役をこなしている。
登場するのが、黒猫と4種類の犬、アフリカのヘビクイワシ、南米のカピバラ、マダガスカルのワオキツネザルと生息地域が違う生き物が乗り合わせているのも意味があるのか。
ヘビクイワシは、黒猫に魚を与えようとして仲間に襲われ羽根を痛め翔べなくなってしまう。
ヘビクイワシはタカビーで上から目線、船の舵取りも自分で行う。カピバラはおおらかで我関せず、ワオキツネザルは自分の好きな物に夢中とキャラ分けもされている。
余談だが、私は動物園で動物を観るのが好きで、レッサーパンダやカピバラを観るのは大好きである。ちなみに私の写真は上野動物園で撮ったハシビロコウ。
映画は、黒猫の視点で描かれるが、犬に追われて全力疾走する時のスピード感、足元に迫り来る水に水没する恐怖感、ワシに捕まって大空から落下する浮遊感と変化を付けて映像が単調にならないようにしている。大木に引っ掛った船からの脱出はヒッチかトム・クルーズか。
本作で素晴らしいのは、鏡、ガラス、水面に映ったリフレクションの緻密な表現である。
それに対して毛並みなどはぬっペリしていて、こだわりが無い。ピクサーなら毛1本1本を緻密に描く所だろう。
オープンソフトで作られたとの事で、そこはこだわる所ではないと言う事か。
ヘビクイワシが天に召されて?水は引き、各々は地上の園に戻る。水の中にいた悠然としていたクジラのような生き物(瞼があるから魚ではない)は地面に横たわっている。
異種に施しをしようとした者は仲間から攻撃され、一緒に彷徨った異種は助け合う。
何の暗喩なのだろうか。
クレジット後の姿に、また水が来たと思うか、別の個体と思うかも含めて、考える映画なのかな。
自分としては、水が嫌いな猫が水中に潜って何匹も魚を穫るのが納得がいかなかったけど。水に落ちた猫は、慌てて必死で船に登ろうとしていた。あれが本当の猫の姿でしょう。
映像のクオリティーがスゴイ
鑑賞後にこの映画について調べてたら「Away」の監督だと知り納得。この作品も本作と同じような作風で、とても美しいアニメだった。
ラトビア出身のジルバロディス監督のインタビュー動画を見たら、流暢な英語を喋っていたので、ラトビア出身だけど英語圏のバックグラウンドもあるのかもしれない。作品が世に出たのも、クオリティーの高さはもちろん、英語で仕事ができる環境があったのかも。
アート指向の作品であり、かつ平日の上映ににも関わらず、客席がほとんど満席だったのに驚いた。口コミか、宣伝か、インフルエンサーの情報発信があったのだろうか。
水の表現を筆頭に、動物たちの動き、自然の描写など非常に美しいシーンの連続。映画を見るというよりアート鑑賞のつもりで見てもいいかも。台詞がないのでストーリーの意味や背景が若干分かりづらい。
映像だけではなく、音楽もこの監督が担当していて、これもかなり良いので、多才な人なのだなと感心した。
とにかく絵の美しさに目を奪われ、「ことば」がない分、想像力が掻き立てられる
オスカーを獲得したラトビアのアニメーション映画には人間のことば(台詞)は一切出てこない、というより、建築物など人間の痕跡はあるものの、人間という生き物が本作には登場しない。
にも関わらず、どうしても人間の社会に思いを馳せずにはいられない。
必ずしも自分の思い通りにならず、運命に流され、飲み込まれながら進んでいく人生。その中で感じる不安、孤独、絶望、友情、連帯、希望……。また、生きていく中で身につけていく知恵。
集団の排他性や弱者に対する横暴さ、独占欲などは個人の問題であると同時に国家の問題でもある。多種多様な民族の共存は現在でも様々な課題を我々に突きつけている。
そして、宗教。キリスト教的な視点ではノアの方舟やバベルの塔、そして、最後の晩餐におけるユダなどの逸話が浮かんでくるし、アミニズム的な神の存在も垣間見えるように思える。あの鳥はどう考えても「火の鳥」的であるし……。
自分のことしか考えない人間や、領土を含めて人のものを勝手に奪おうとする人間は、こんな作品を観て猛省すべきであろう。
綺麗なだけでは物足りない
なかなかに切なさが残ります
自然に住む動物たちと1匹の猫を追う長編アニメーション
セリフはなく、動物たちの鳴き声や生態で状況を把握する
1匹の黒猫にフォーカスして、大洪水にのまれながらも必死必死に生き延びるすがたを、不安と緊張で煽られるも、リアルかつ綺麗な映像で綴られる
それぞれ大洪水を逃れて一艘の船に集結した動物たちが、言葉はなくとも支え合いながら窮地をしのぐ
世界中が洪水に呑み込まれたかのようなシチュエーションに、
何度となくハラハラとさせられる
偶然なのか奇跡なのか、巨大な魚に救われるような場面が何回かあった。
最後洪水が引いてのまれていた自然が戻ると、黒猫を救った巨大魚は打ち上げられたようになってしまい、弱っていくがどうすることもできない黒猫が切なかった
旅猫リポート
台詞もナレーションもないのは「Away」同様なので、違和感はない。かえってずっとニャーニャー言っているので、前作より(猫的には)台詞が多いとも言える。音だけだと今関あきよし監督の「しまねこ」にも近い。
前作にもナゾの構造物が出てきたが、今回も常滑の巨大招き猫みたいな彫像やら、やたら猫のオブジェが乱立しているので、もともと人間がいない猫が文明を築いていた世界かと思ったりもしたが、たぶん違うらしい。
猫のしぐさはかなりリアルにとらえていたけれど、一方ワオキツネザルは擬人化が過ぎる。水の視覚的表現などは凝っているとは思うものの、いかんせん話が皆目面白くない。物語よりも映像表現のダイナミズムに注力したのかもしれないが、残念ながら私は途中でほぼほぼ飽きてきた。
途中で猫が水を口に含むような場面があった気がするのだが、あの洪水は淡水なんだろうか?そう言えば、泳いでいる魚も鯉や金魚っぽかったような。
悪くないけど、 映画じゃなくても良いかな あと気持ちもうちょい短く...
悪くないけど、
映画じゃなくても良いかな
あと気持ちもうちょい短くても良いかな
自然とか動きとかは綺麗に描かれていたけど、
動物の表面の質感がなんとも言えないのは、
わざとなの?
それと、セリフがない映画は、
それ明記してくれるとありがたい
また言うけど、悪くはない
ストーリーは、ほぼ無いです。
アカデミー長編アニメ映画賞受賞作はなるべく映画館で観るようにしているので、早速鑑賞。
3DCGの出来は素晴らしいです。ディズニーやピクサーなどとは異なる、ヨーロピアンなスタイル。単に綺麗というだけでなく細かい仕草を非常に丁寧に作り込んでおり、日本の3DCGアニメ作品にもぜひ見習ってほしいところです。
一方ストーリーは、主人公の猫が大洪水から逃れるために他の動物たちと共に旅に出るというものですが、セリフがないので、物語を観ているというより動物ドキュメンタリーを観ているような感覚です。動物同士が協力したり、友情のようなものを見せるシーンも出てきますが、それよど強く訴えかけるようなものではありません。自分はアニメ、特に劇場アニメ映画にはしっかりとしたドラマを期待するので、Flowは合いませんでした。
レビューを見ると、絶賛している人もいるので、好みが分かれる映画なんでしょうね。
いろんな意味でクオリティ低い
圧巻の映像表現
映像表現がとてつもない。多用される長回しや、猫と同じ低い視点でのカメラワーク、あえて加えられている手ブレによって臨場感が醸し出されている。水の表現もすごく巧みで、波打つときの光の屈折がすごくリアル。
世界観は思っていたよりファンタジー色が強かった。洪水の規模も半端じゃないし、鯨のような架空の生き物も登場して驚いた。特にヘビクイワシが謎の光に消えていくシーンが印象的。
主人公の黒猫が、大きな猫の像の上から水没した森を見渡し、そこで謎の巨大な生き物の神々しい姿を目にするまでのシークエンスが凄まじくて鳥肌が立った。
動物たちの知能もかなり高く、言葉はなくても感情が分かりやすく読み取れる表現になっていた。この点に関しては、自然の摂理をありのままに描くことを期待していた身としては少し肩透かしを食らった気分だが、捕食者-被食者の関係にある種の動物は登場しなかったので納得はできた。
にゃんこ終末旅行
人類が絶滅したのか動物しか出てこず、更には水に呑まれた世界を黒猫が旅をする。
本作の動物たちは言葉を発さず、彼ら同士でも意思の疎通は取れていない。
動きもかなりリアル寄りではあるが、やりすぎでないアニメ的表現でそれとなく伝わる。
リアリティラインのバランスがとても好み。
…と思ってたのだけど、中盤に鳥が操舵しだす辺りからこれが崩れだして少々残念。
ある程度やらないと話を展開しにくいのかもしれないけど、個人的には最後まで貫いてほしかった。
映像としては、光の表現が素晴らしい。
水は時折硬さを感じることもあったものの、水面の描写に関しては目を瞠るものがあった。
動物たちは毛の一本一本という方向ではないが、陰影が細かく、ワンカットの黒猫一匹に何色使われてたのやら…
動きも適度に愛らしく、黒猫の耳やゴールデンレトリバーの口元が特にお気に入り。
犬種による鳴き声や身体の大きさによる足音など、音の表現も細かかった。
話としては小舟で漂いながら、水に落ちたり壁にぶつかったり、仲間が増えたり喧嘩したりするだけ。
お気に入りを尽く奪われるキツネザルが可哀想。
死生観とかはありそうだけど、そこまでは読み取れず。
終盤の無重力描写は、鳥が召されて黒猫も危うかったってことかな?
水が急に引いたり、鹿の大群がそのまま残ってたり、設定面では疑問が残るが、映像体験としてはなかなか。
世界観は想像が膨らむと取るか説明不足と取るか…
咥えた瞬間魚が動かなくなるなど、後半にいくほど息切れも見えた。
好みの問題もあるが、やはりリアリティライン高めのまま60分程度で纏めた方が光りそう。
水もそのままでよかったかなぁ。
ラトビアのアニメ映画 一匹の黒猫の目線で、初めから終わりまで描かれ...
ラトビアのアニメ映画
一匹の黒猫の目線で、初めから終わりまで描かれた動画。
現れるのは、猫さん一匹と、他の様々な動物のみ。
人間の面影は皆無、言葉も皆無。
建物や、かつて使われたであろう部屋や道具類があるぐらい。
世界中が洪水で沈みはじめ。
猫らしく、最初は孤高だったものが
他の様々な動物と、追いかけられたり、助けられたり、
仲間意識が芽生えたり、警戒したり、去られたり etc.
生き延びてゆくための逞しさ、圧巻。
ふだんの私的な悩みが、小さく安っぽく見えてきました。
誰(どの生物)目線に寄り添うかで、見える物事がまるで違う印象です。
再び観にいかねば。
あとでパンフ冊子を読んで驚いたこと、
OSS(オープンソースソフト)の動画ソフトですべてつくられたとか。
お金をかければ良いってものではないですね。
YouTubeの猫動画で十分かも?
猫好きの使命として視聴してきました。
随所に出てくる猫ならではのあるある動作は、猫好きには堪りませんでした。
また、全ての動物たちが可愛いだけでなく、動きそのものも絶妙で、セリフがなくても行動の目的や意図が自然に伝わってきたのは素晴らしかったです。
とはいえ、肝心の動物の画質はPS3、水の動きはPS4レベルといったところ。
今日日、この画質ならMeta Quest3で余裕でVR鑑賞できるんじゃね?と思いながら観てました。
というか内容的も演出的にもVRで、せめて3Dで観せるべき作品だったと思います。
また、そこかしろに散りばめられている【意味深な物体やシーン】が気になる、というか鼻に付きました。
視聴者がどうにでも想像し、解釈できる余地を敢えて作ったのでしょうが、そうした部分が投げっぱなしの割りには、悪く言えばありきたりなので、画質の粗さと合わせて陳腐感を感じざるを得ませんでした。
長くなりましたが、ココからが結論です。
猫や動物たちの可愛さと癒やしが全て、それに全振りの映画です。
見終わったあとには、日頃のストレスもすっきり晴れ、とても心が癒やされたことは間違いありません。
でも、ぶっちゃけ、この感覚はYouTubeで猫や動物の癒やし動画を観たのと全く変わりません。
そうなんです、結局はYouTubeの猫動画・動物動画で十分なので、お時間が余ってる猫好き・動物好きな方のみ視聴すれば良いかもしれませんね。
い、言ってもうた(汗)
正に「考えるな、感じろ」
予告を初めて観た時から、この物語の終焉はどうなるのか?そればかりが気になっていました。
映像がとても綺麗で、遅いくる水の迫力に、どうする事も出来ない恐怖を感じ、その逆もあるとは思わなかった。陸が落ちる表現も圧巻でした。
動物達の声や態度でしか読み取れない旅路の果ては、正しく「考えるな、感じろ」でした。
あのラストをどう解釈するかで分かれる動物達の道のり…私はハッピーエンドが好きなので、そうであって欲しいと思います。
またじっくり鑑賞したら解釈も変わるかな?
機会があればもう一度、動物達の旅路に同行したい。
海に浮浪し異大陸の動物に逢う (南米・アフリカ・マダガスカル)
台詞なしで説明が皆無なので、消化不良な部分はあるが、動物の動きがリアルで観てて飽きない。鏡に興味を持つ猿、鏡に反射する光を追いかける猫のワチャワチャは可愛い。ゴールデンリトリバーに驚き、毛を逆立てる猫もリアルだった。
登場した動物の分布を調べると1つのテーマが浮かぶ。ネコもイヌも人里に多く、監督の出身国ラトビアを含むほぼ全世界に居る。一方、カピバラは南米固有、ヘビクイワシはアフリカ固有(サハラ以南)、ワオキツネザルはマダガスカル南部固有。つまり後者3種の分布は海に隔てられている。本作は洪水(Straume [ラトビア], flow [英])で漂流するので、異なる大陸・島の動物が集うのも不可能じゃないが、描かれた時間軸ではちと速すぎる。つまり、リアルな漂流を描いたのではなく、分布が離れた動物たちを敢えて選び、彼等が出逢う姿を描きたかった気がする。ネコとイヌが洪水によって欧州?を旅立ち、普段は会う筈のない大陸の動物たちと遭遇し、諍いもありつつ最後は協力し仲を深め、4匹が睦まじく水面に写る。困った時に必要なのは、国境や種の壁ではなく、協力しあえる仲間...なのかもしれない。
1時間5分頃から、直立した岩の上で重力を失い揺蕩う場面、何故ヘビクイワシは天に召され、ネコは地上に戻るのか? 傷ついた羽根で無理した鳥の天命か? 或いは、直後の1時間10分頃から水が引いて洪水が終わったのは、ヘビクイワシが天に昇って起こした御業なのか?
終盤、水が引いて陸の上で身動き取れなかったクジラが、エンドクレジット後に海を漂っているのは、洪水が再度起きたという事か? 全然違う個体なのか? と観客が想像する余地が残された映画なんですね。
詩的な映画
動物を擬人化したアニメ映画という共通点のある「野性の島のロズ」と本作を、2本続けて観ました。
「野性の島のロズ」の動物たちは言葉を喋り、「献身的な母性愛」や「集団への自己犠牲」のわかりやすい物語で、激しく情動を刺激される映画でした。
一方本作の動物たちは人間的な振る舞いはするものの、言葉は一切喋りません。テーマもよくわからない。
じゃあつまらないかというと、そうではありません。「野性の島のロズ」を「散文的」とすると、本作は「詩的」な映画でした。美しい背景の中に象徴的な事物が羅列されています。一つ一つにおそらく隠された意味があるのでしょうが、考える映画というより、感じる映画なのだと思います。洪水で洗い流されて人間たちがいなくなった後の世界は、大変美しい不思議な世界でした。特に水の表現が見事です。そして動物たちは昼寝をしたり遊んだり助け合ったりして暮らしています。必死になったり呑気になったりしながら。
お魚くわえてなくても追いかけられる
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