Flowのレビュー・感想・評価
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意味は、見ている側が考える映画
セリフもナレーションも字幕もないので、どういう経緯でこうなったのか、ということは提示されません。エンドロールの後にあるシーンが、全てを語っているように思いました。現実は甘くないということかと。
今から60年ぐらい前のディズニーによる、「訓練された動物が演技をする」映画を思い出しましたが、全然異なり、ずっと考えさせられる内容。
出てくるキャラのいずれかに、自分や知り合いを当てはめてみるのがいいと思いますが、でもそうしても自分のことが救われることもなく。ただ、いろいろな気づきはあるでしょう。
アニメ映画ということからか、予告編が、GWや夏休みに向けたいわゆるアニメばかり。この映画を見に来た人には、そういう映画は興味ないでしょうに。
自然の摂理が不条理に思えるのは、思い通りにならず、都合が悪いと考えてしまうからだろう
2025.3.14 イオンシネマ京都桂川
2024年のラトビア&フランス&ベルギー合作のアニメーション映画(84分、G)
洪水後の世界に生きる群れから外れた動物たちを描いた動物映画
監督はギンツ・ジルバロディス
脚本はギンツ・ジルバロディス&マティス・カザ
原題は『Straume』、英題は『Flow』で、ともに「流れ」という意味
物語は、大洪水が起きて、人間の姿が見えなくなった世界にて、一匹の濃い灰色の猫が、自分の住処から出て、冒険に巻き込まれる様子が描かれていく
木彫り職人の家に出入りする猫は、仲間も友だちもいない日々を過ごしていた
ある日のこと、犬が捕まえた魚を奪った猫は、必死になって彼らから逃げることになった
なんとか逃げきれた猫だったが、そこに洪水がきてしまい、濁流に流されてしまった
猫は追いかけてきた犬の一匹に助けられ、さらにヘビクイワシとも交流を持つことになった
映画は、猫を中心とした冒険になっていて、セリフは一切なく、見たままの世界が広がっていく
何が原因で大洪水が起きているのかはわからないが、不定期にいろんな場所で洪水が起こっていく
そうかと思えば、いきなり水が引いてしまい、海の生物が陸に打ち上げられたりしてしまう
彼らは自然の前では無力で、「流されるまま」生きていくしかない
本作には色んな動物が出てくるのだが、特徴的なのは「群れで生きる動物」と「群れから外れる動物」がいることだろう
自分以外の個体が一切いない訳ではないのだが、犬は群れから外れるし、ヘビクイワシも群れに置いて行かれてしまう
つがいが生まれることもなく、ただ今を切り取っていて、そこにはいつもと変わらぬ自然があるだけのように思えた
ラストでは、水が引いてしまったことで座礁するクジラが描かれるが、猫たちには何もすることができない
これまで自分たちを攻撃してきたものが、実は誰かを助けてきたものだったことがわかる
彼らはとても優秀で、人間なのかと見まごうほどに色んなことを吸収していく
それでも、動物の生態からは外れておらず、それがリアリティを生み出しているのだと思った
テーマ性は色々あると思うが、象徴的なのは「取り残されている」というところだと思う
いわゆる「ノアの方舟」に乗れなかった動物たちというイメージがあって、そんな彼らはどのように生きていくのかを描いていく
群れで生きる者もいれば、群れよりも大事なものを優先する者もいる
生きていく上で、生存本能よりも先立つものが動物にもあって、それが彼らのアイデンティティにも思えてくる
彼らは動物に見立てられた人間にも見えてくるが、人間だともう少し殺伐としているように思えるのは、「無益の殺生をするかしないか」というところなのだろう
それが自然界の掟だとするのならば、人間は一番下等にも思えてくるから不思議なものである
いずれにせよ、映画から何を感じるかはそれぞれに委ねられていると思うが、個人的には自然の摂理には都合というものがないということだと思った
何かしらの物理的な作用が起これば洪水は起こるし、それが引くのもまた然りという感じで、それらとどのように向き合うのかというものが描かれている
人間の目線で見ると「ああしたら良い」とか色々と思い巡ることがあっても、彼らの行動を見ていると、そう言ったことにもあまり意味がないように思えてくる
助かる時は助かるし、死ぬ時は死ぬと言った感じで、ただ生かされたからにはその時が来るまで生きるしかない
座礁したクジラも自然の一部であり、何かしらの作用によって救われることもあるかもしれない
だが、あそこで朽ちたとしても、それが無意味とは思わない
とは言え、このような意味づけをするのも人間のエゴのようなものなので、流されるままに生きていくのが本来の在り方なのかな、と感じた
旧約聖書の追体験
(理由はわからないが)人類のいなくなった世界が水に覆われ、住処を追われた黒猫ちゃんが小舟に乗って旅をするフィルム。
ノア一家のいない小さな「方舟」冒険譚であり、一種の【神話】。
荘厳と言える美しい景色の中を、黒猫視点で体感するのは、まさに「旧約聖書」の追体験。
こりゃ欧米人にはたまらないだろうから、アカデミー賞受賞は納得ですわなぁ、としみじみ。
85分の作品ですが、体感で40分くらい、しかし情報量の濃さで3時間規模の映画を観た後のような満足感がありました。
ジルバロディス監督の前作『Away』と同じくセリフなし(動物の鳴き声はあり)ですが、水音や樹が風で揺れる音、遠方で鳴く動物の声など、音響設計も面白い。
なんて理屈っぽい感想は横に置いておいて、猫とカピバラの掛け合いを観に行くだけでも価値ありですから、おすすめしちゃいます。
同じ舟に乗り合わせたカピバラ、犬(レトリバー)、キツネザル、鳥といった動物たちと、生き延びるため協力し合ううちに友情が築かれていくのは、どことなく『けものフレンズ』風味で可愛く微笑ましくほのぼのしました。
他の動物の行動に対し、「おいおい」と呆れたときの黒猫の「目」の表情がまたよいのです。
できるだけ大き目のスクリーン&音響のいい箱での鑑賞を推奨します!
注)小さいスクリーンで特に発生しやすいのが、乗り物酔い。
猫目線にリアルに描くことにこだわりすぎたのか、わざわざ手振れみたいに画面を揺らすような作画・撮影をしているため、酔いやすいです。
大きい画面を、後ろめの座席で観る方が酔いにくいです。
アカデミー賞長編アニメ映画賞を受賞。おめでとう!
試写会にて。
監督のデビュー作にして前作の『AWAY』で監督の才能を感じました。期待して本作を観に行きましたが期待を裏切らない素晴らしい出来でした。
前作もそうでしたがセリフはありません。登場する動物も擬人化されたものではなく鳴き声だけです。でもそこがいい。とてもリアルでこの動物が水害にあって他の動物と知り合ったら本当にこんな感じだろうなと思わせてくれる。映像も素晴らしかったです。特に水の表現。凄く細やかで美しかったです。ハリウッド大作ならスタッフ1000人ぐらいでやるところ、お金が無かったので若手20人で制作したとか。でもそれが良かったと監督のインタビューで言われてました。自由に色々な事が出来たそうです。この監督これからも楽しみです。
Cat rig
「Away」のギンツ・ジルバロディス監督の最新作で猫ちゃんが主役のボートムービーという事でとても楽しみにしていたところに試写会のお知らせが来て舞い上がりながらの鑑賞。
特典としてポストカードをいただきまして感謝感謝しながら座席自由なのでいの一番に端っこの席へGO。
環境音と鳴き声で送られる濃密な85分でした。
洪水に飲み込まれた世界で生きる動物たちの目線の世界にドキドキワクワクさせられましたし、オープンワールドのゲームを始めてプレイした時のような壮大な世界に飛び込んでいくというのをスクリーン目一杯味わえたというのも劇場体験ならではだなと思いました。
全体的に世界観の説明はほぼ無い感じで、猫ちゃん視点で段々と世界の現在を理解していく作りなので頭フル回転しながら今作を観るのがベストであるなと思いました。
最初は洪水から逃げながら過ごしていた猫ちゃんがボートに乗って揺られていたカピバラと出会い共に旅をし、モノ集め大好きなワオキツネザルや好奇心旺盛なワンコ、大人びた船頭のヘビクイワシ、おバカなワンコ3匹衆、巨大な鯨のような生物などなど、決して人間の言葉は喋りませんし、デフォルメされたデザインではないからこそよりリアルさが際立っていて良かったです。
道中の何気ない旅の様子もとても心地よくて、小さいお手手や足でボートを操縦していたり、途中途中にある建造物に立ち寄ってみたりと、ロードムービーとはまた違う斬新な形での旅というのが観れたのも面白さに拍車をかけていました。
取り残された犬たちを助けた時に、ボート上で好き勝手して食料を食べ尽くし、ワオキツネザルの宝物を壊したりとやりたい放題にしていたのは結束されていたサークルをぶち壊しに来たような感じがしてリアルだなぁとなってしまったのも興味深いところでした。
最初こそ互いが互いを疑いながらで、船からよく落ちる猫ちゃんを置いていくなんて展開がありつつも、徐々に関係性を深めていく感じが素敵でしたし、彼らも喋っている言葉は多分違うだろうに分り合えたりしているみたいでしたし、表情や仕草で喜び怒り悲しみ楽しみあっていたりして観ているこちらまで嬉しくなってくる不思議さがありました。
水位の上水というのがダイレクトに危機に繋がっているので、洪水が起こったりするところはゾクっときましたし、猫ちゃんが序盤はジャボンジャボン飛び込んでいくもんですからハラハラしていました。
その水中もしっかり描いてくれており、カラフルな魚たちが彩ってくれてとても美しかったです。
完全に危機が消え去ったわけではないからこその緊張感が続きながらも、この仲間たちとならなんとかやっていけるなという自信が猫ちゃんたちについているような気がして、確かな成長が感じられたというのも良きでした。
映画を観る時にたくさん想像しながら展開を読んでいくっていうリアルタイム考察が捗りまくって楽しかったです。
唯一無二のアニメーション、これからもその色を紡ぎ続けて欲しい限りです。
鑑賞日 2/27(試写会にて)
鑑賞時間 19:00〜20:25
座席 K-1
猫の気持ちで冒険旅行
猫の気持ちで自分も旅に出てしまった。
猫の純粋な目で見た世界が生き生きとこちらにも流れ込んでくる。未知なるものへの恐怖、失敗からの学び、共存とは何か、他者を思いやる気持ちと受け取った親切への感謝、出会いと別れ。
ユーモラスなメンバー達と共に少しずつ成長していく猫に試練を与え続ける美しい大自然も眼福!
推しキャラも人によって違うだろな。
寝方の癖が強いあの子もいい。
でもニフラー(ファンタビのね)みたいなアイツも良い。
どこまでも陽気で愛嬌があるアレも良い。
でもやっぱ脚長さんよ!!
めっちゃかっこよかった!!
いや、みんな推せるわー。
個人的には、ニフラーみたいなアイツの好きな物への執着は私も皿オタなのですごーくよくわかる。笑
セリフはないけど、なんなら人間語じゃない言葉なら動物達は交わしてた気もするけど、例え言葉が分からなくても、気持ちや考えてることは伝わるという、異国を旅した時に誰もが体験するであろうあの気持ちを思い出す。
仲間になりたい気持ちも、そんなヒドイ!!の気持ちも、ありがとうの気持ちも、なんか全部全部リアルに伝わった。
色々沁み入る良い映画だった。
ノアの方舟
映像を楽しむ。猫を楽しむ。珍しい旅の仲間。
試写会で観る機会を得られました。
会場も立派な試写室で環境は申し分なくありがたかったです。
人類が滅びた後と思しき世界で動物だけが生活している。
視点人物は黒猫。
ある日突然押し寄せた洪水で世界がどんどん水没していく中、どんどん移動を続けていく。
移動中に仲間ができ、種族を超えた交流が…
という感じのお話で、ストーリーをどうこういうタイプの作品では無し。
美麗なCGによる自然描写と、主役の猫を中心とした愛らしい動物達の姿を楽しみましょう。
猫仕草をちゃんと表現しているのは猫好きにはポイントが高いでしょう。
なのですが、猫が歩くときにゲームでありがちがテンプレ足跡がずっとしていて「猫がそんなに足音立てて歩くかい!」と鑑賞中ずっと気になっていました。それもあり映画というよりはアンプレイアブルなゲーム映像を観ている気分でした。IMAXであったり高画質大画面な環境で楽しむのが良いと思います。
ちなみにCGの質感はリアリスティック一本槍ではなくて、ある程度階調を落としたトゥーンぽさのある処理がされていました。
まさかカピバラに強く心を揺さぶられる日が来るとは思いもしませんでした
ご縁があって試写会に招待いただきました。
人類がいなくなった後の世界を主人公の黒猫が冒険をする物語。旅の過程で様々な動物たちと出会って、別れて……。
動物たちしかいない世界のお話ですので、当然セリフはありません。『ロボット・ドリームズ』を思い起こす設定ですが、擬人化された動物ではなく、より生身の動物に近い設定で、多少のデフォルメこそありますが、動物たちは動物たちとして生きています。
各動物たちはCGのモデリングやテクスチャーはやや粗いものがあります。背景の描きこみや水や光の表現に比べると質感の差がはっきりとあり、一昔前のゲーム機のような印象も感じるものですが、それぞれのキャラクターの動きや感情表現などが高いクオリティで表現されているため、全く気になるものではありません。
好奇心旺盛な猫、馬鹿なのか利口なのかわからない犬、少し抜けてるキツネザル、自らの判断に絶対で孤高な鳥、そして何よりおっとりしてるようで慈悲深く存在感のあるカピバラ!!
彼らが人間のいない終わりゆく世界を旅する過程で、それぞれの役割をこなしていき、小さな共同体を作っていく過程で一人一人?が愛おしくなって感じられるのです。
前作『Away』は監督お一人で、本作もアニメ映画としては極めて低予算で作られていると聞いています。かつてアマチュアCGコンテストで新海誠さんの作品を見た時に感じた可能性-コンピュータの発展で作り手の情熱と才能があれば、素晴らしい映像作品を個人でも作れるということーの延長線上にこの作品があるのだと思い、とても感動しています。
「float」でなくて「flow 」つまり「浮く」ではなく「流れ」
2024年12月19日 17時30分より19時00分
ローマボルゲーゼ公園内の「Cinema dei Piccoli」で鑑賞。
地球温暖化とノアの方舟をだいたい思い起こすだろう。
さて、それは絶対にサブな事で、別な所に演出家の本当の主旨が隠れていると思う。日本に帰ってから日比谷で見よう。
導入部と方舟が登場してから、内容が180度変わる。
AWAYの作家なのだろうね。
ニャー
これぞアニメーション
youtubeの猫動画を本気で楽しめる人にお勧め。
youtubeで、何の芸も無い獣畜生の動画がたまに上位に上がる事があるけど、何が面白いのかが全く理解できません。
これは、俺が、猫にも犬にも興味がないからなのだが、では、猫好き、犬好きの貴方方に問う。
鶏がコケー、コケー、鳴いているだけの動画を見てどう思いますか?何の感想も浮かばないでしょ?
カエルとウサギ食うフランス人が、ウサギを愛でる動画を見た所で、
可愛い?これ食材じゃん?
と、思うようなもの。
やったら、評価は高い映画だが、プレステレベルの映像で、色んなアクシデントがあるも、特に知恵を使うような事は無く、その場の流れで、淡々とストーリーが進んでいく。筋無し、ヤマ無し、落ちナシの風景映画。
犬と猫は、仲悪い筈なのに、特に何もトラブルもなく、あれだけの動物達が一箇所に集まったら、下手すりゃ、蠱毒が出来る筈なのに、みんな仲良しこよしなんだよな。
この映画の唯一良かった所は、一瞬で終わるEDロール。こんなに早く終わるEDロールは見た事が無いので、話のネタに見る価値はあるが、
映画本編は、youtubeの猫動画と大差が無いので、猫を溺愛している人にしかお勧めできません。
フライト・リスクか、アノーラをお勧めします。こちらは、筋もヤマもオチもありますので。
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