「Cat rig」Flow ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
Cat rig
「Away」のギンツ・ジルバロディス監督の最新作で猫ちゃんが主役のボートムービーという事でとても楽しみにしていたところに試写会のお知らせが来て舞い上がりながらの鑑賞。
特典としてポストカードをいただきまして感謝感謝しながら座席自由なのでいの一番に端っこの席へGO。
環境音と鳴き声で送られる濃密な85分でした。
洪水に飲み込まれた世界で生きる動物たちの目線の世界にドキドキワクワクさせられましたし、オープンワールドのゲームを始めてプレイした時のような壮大な世界に飛び込んでいくというのをスクリーン目一杯味わえたというのも劇場体験ならではだなと思いました。
全体的に世界観の説明はほぼ無い感じで、猫ちゃん視点で段々と世界の現在を理解していく作りなので頭フル回転しながら今作を観るのがベストであるなと思いました。
最初は洪水から逃げながら過ごしていた猫ちゃんがボートに乗って揺られていたカピバラと出会い共に旅をし、モノ集め大好きなワオキツネザルや好奇心旺盛なワンコ、大人びた船頭のヘビクイワシ、おバカなワンコ3匹衆、巨大な鯨のような生物などなど、決して人間の言葉は喋りませんし、デフォルメされたデザインではないからこそよりリアルさが際立っていて良かったです。
道中の何気ない旅の様子もとても心地よくて、小さいお手手や足でボートを操縦していたり、途中途中にある建造物に立ち寄ってみたりと、ロードムービーとはまた違う斬新な形での旅というのが観れたのも面白さに拍車をかけていました。
取り残された犬たちを助けた時に、ボート上で好き勝手して食料を食べ尽くし、ワオキツネザルの宝物を壊したりとやりたい放題にしていたのは結束されていたサークルをぶち壊しに来たような感じがしてリアルだなぁとなってしまったのも興味深いところでした。
最初こそ互いが互いを疑いながらで、船からよく落ちる猫ちゃんを置いていくなんて展開がありつつも、徐々に関係性を深めていく感じが素敵でしたし、彼らも喋っている言葉は多分違うだろうに分り合えたりしているみたいでしたし、表情や仕草で喜び怒り悲しみ楽しみあっていたりして観ているこちらまで嬉しくなってくる不思議さがありました。
水位の上水というのがダイレクトに危機に繋がっているので、洪水が起こったりするところはゾクっときましたし、猫ちゃんが序盤はジャボンジャボン飛び込んでいくもんですからハラハラしていました。
その水中もしっかり描いてくれており、カラフルな魚たちが彩ってくれてとても美しかったです。
完全に危機が消え去ったわけではないからこその緊張感が続きながらも、この仲間たちとならなんとかやっていけるなという自信が猫ちゃんたちについているような気がして、確かな成長が感じられたというのも良きでした。
映画を観る時にたくさん想像しながら展開を読んでいくっていうリアルタイム考察が捗りまくって楽しかったです。
唯一無二のアニメーション、これからもその色を紡ぎ続けて欲しい限りです。
鑑賞日 2/27(試写会にて)
鑑賞時間 19:00〜20:25
座席 K-1