劇場公開日 2024年12月7日

「やるせない渾身のドキュメンタリー、その冷たい怒りよ」どうすればよかったか? 加藤プリンさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0やるせない渾身のドキュメンタリー、その冷たい怒りよ

2025年3月29日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

難しい

タイトルの通りです、やるせなさの滲み出た、これ以上ないタイトルとノンフィクションの凄みですね

これは見た人の数だけ、見え方の変わる映画で、

まぁどの映画、この世の何を見ても、それはそのとおりなのですが

この映画は其れを最短距離で見せつけ、思い知らせてくれますね

これを記録し、公開しようというその覚悟が凄まじい

その根底にあるのは、冷たい、あまりに冷たい、絶対零度のような怒りなのでしょうね

20年間の苦しみがわずか3週間で解けてしまったことも、

父親も母親も結局は互いの所為にし、無責任であったことも、

とてもとても遣る瀬無いですよね

ラストの父親へのインタビューは、映画としては完全に蛇足なのですが

そこを淡々と問い詰める、レンズ越しだった監督の

剥き出しの怒りと、無念の結晶なのでしょう、

あれをあそこまで冷静に、声も荒げずに、問い詰め、表面化させたその執念、その愛、その怒り、その絶望に、ただただ絶句するのみです

姉上への愛は、確かにあって

其れは治療後の、そしてラストシーンとしてのエンドロールのあとの姉上のあの姿

あれこそが、監督の、本来あるべきだった、失われた家族愛に満ちた映像なのだと感じました

因みに、パンフレットを読むと、この遣る瀬無い気持ちは更に更に加速します

映画に乗せられなかった更なる事実が、我々を打ちのめしてくれます

加藤プリン