「役者、全員お見事! ただし脚本の一点だけに疑問・・・」I Like Movies アイ・ライク・ムービーズ LukeRacewalkerさんの映画レビュー(感想・評価)
役者、全員お見事! ただし脚本の一点だけに疑問・・・
主役ローレンス(演:アイザイア・レティネン)もそのお母さんテリ(演:クリスタ・ブリッジス)もバイト先店長アラナ(演:ロミーナ・ドゥーゴ)も、もっと言えば親友も学校の先生もバイト先の他の店員もみんなキャラが立っていてクォリティ高い演技を見せてくれました。
他のレビュワーさんも言及していますが、ローレンスの極端な言動はやっぱりある種の発達凸凹で、その知識がなく背景もわからない人には「しばいたろか、このガキ」とか「青春の一時期にありがちな傲慢さが痛い」と捉えられるかも知れません。
でもしかたない、病気なんですよね。
というかパニック障害で更衣室に立てこもってしまうところも含めて、すべての言動がローレンスの生きづらさを表していますね。
だからお母さんのテリが「Cast Away」を思い出して」って誘導してドア越しに落ち着かせるのが妙にリアリティがあった。
ただ、ちょっとわからない展開が、アラナの「ルームメイトが自殺した」のは嘘だった、と、それに続いて言わなかった俳優キャリアで性被害に遭った、という告白。
つまり性被害に遭って仕事も学業も一旦挫折した過去を言いたくないがために、それと同等くらいショッキングな「ルームメイトの自殺」というエピソードをフィクションとして言ってしまいました・・・という建付け?
・・・うーん・・・
性被害について告白するドゥーゴの演技は素晴らしかったし、そのあと夜の駐車場で自分の父親の自殺を告白するローレンスに共感し黙って抱き締めるシーンもぐっと来たのですが、えええええ? あのルームメイトの自殺が嘘だったの? それならあの駐車場の共感シーンは何? 身近に自殺者が居たという共通体験からの「共感」に嘘があるということになる。
その割には、ローレンスが店内に泊まって翌日問題になって、従業員控室みたいなところで本社筋?の男性の前でローレンスと罵り合いになった末、確かにそこで言うことじゃないだろうが自分の父親が自殺したことを口走ったローレンスに「あんたはいつもそうやって父親の自殺を引き合いに出して同情を引くのよ!」って、それはそれでちょっと言いすぎでしょう。
いやーこの女優いいなぁ、とずっと思いながら観ていたので、そこのところからちょっと興醒めしてしまいました。
そこだけ惜しいなぁ。ので星を半分減らして3.5にしました。