「予想以上に面白かった女性バディ物」ネムルバカ 鶏さんの映画レビュー(感想・評価)
予想以上に面白かった女性バディ物
石黒正数先生の同名漫画が原作となった作品でした。監督は、「ベイビーわるきゅーれ」と同じ阪元裕吾監督。話は全然違うけど、若い女性二人組の話で、チラシのルックが同作とソックリで興味がそそられました。
内容的には、2人で下宿に住むバンドをやってる先輩・鯨井ルカ(平祐奈)と、ノンポリの後輩・入巣柚実(久保史緒里)のお話。2人とも金欠で汲々とした生活を送っているところも「ベイビーわるきゅーれ」と重なっており、現在の貧困化著しい日本では、これが実態なんだということで、土台の部分にリアリティを感じました。一方リアルじゃないのは、久保史緒里と平祐奈の甚だしい”可愛さ”くらいのものでしょう。
コメディタッチのお話ですが、柚実にキモいオッサンが再三迫って来るシーンは、オッサンにとって耳の痛い話で笑えないところ(笑) また、柚実自身が、好かれてると思ってた同級生田口(綱啓永)が、実はルカ推しだったところは、何となく予想は出来たけどコメディ全開で非常に面白かったです。
バンドで活動していた鯨井ルカ1人に大手レコード会社から声が掛かり、バンドメンバーと別れるシーンで、ルカとメンバーとの間に分厚い壁を見せていた画面構成は、「天才と凡人の間に壁がある」と言っていた前半のセリフの伏線回収になっていて、実にお見事でした。その他にも、将来の夢とか、自分の限界とか、一生懸命にやるとか、若者らしい期待と不安の綯い交ぜになった感情表現やストーリー展開も、青春群像劇の片鱗があって実に共感出来ました。
メジャーデビュー後、順調に売れたルカでしたが、1年後にコンサートに柚実やバンドメンバーを呼び、トリでバンド時代の思い出の曲、しかも柚実の寝言がきっかけで作った曲を演奏して失踪するという流れも、冒頭のシーンと韻を踏んでいて良かったです。
チラシのルックが「ベイビーわるきゅーれ」に似ているというだけで観に行ったので、正直大きな期待をしていなかった作品でしたが、かなり面白くて大満足でした。
そんな訳で、本作の評価は★4.4とします。
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