「不安と晩年」敵 kikisavaさんの映画レビュー(感想・評価)
不安と晩年
『ファーザー』や『VORTEX』をみたときにも思ったけど、晩年を描く映画は、つねにぼんやりと靄のような「不安」にくるまれている。
人生の終わりかけにもひとは不安から解放されないのか、と思うとすこしうんざりしてしまう。
この映画でも、きちんとした清潔な生活に少しずつ不安は入りこんでくる。あまり感情的にならず、おろおろと夢と現にふりまわされる老紳士をものすごくていねいにみせる。
老いそのものが敵だとは思いたくないけれど。
最後に読み上げられる文章がとんでもなく押しつけがましくて、彼の人間性がそこにみごとに集約されているなあと思った。
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