劇場公開日 2025年1月17日

「東日本大震災で傷ついた東北との接し方」サンセット・サンライズ hiroishiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0東日本大震災で傷ついた東北との接し方

2025年1月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

幸せ

 映画予告を見て、菅田将暉の生き生きとした演技、脚本が宮藤官九郎(以下・クドカン)ということもあり、これは面白そうだと鑑賞。

 物語前半は西尾(菅田将暉)と百香(井上真央)との奇妙な出会い、西尾のご近所での怪しく、温かい行動にクスリと笑い、そしてなにより、ケン(竹原ピストル)が経営する居酒屋での「もてなしハラスメント」シーンでは、まず料理をしっかりと映し、ケンが講釈を述べ、西尾がそれを本当においしそうに食べて、周りが囃すの繰り返しに、かつてのクドカン脚本のドラマ「あまちゃん」で祖母・夏が孫のアキにウニを食べさせるシーンを思いだし、「俺にも食べさせてくれ!」と切に願うほど楽しめます。

 中盤以降、西尾が好意を持ち始めた百香の過去が見え始め、会社方針と自分の生き方に挟まれ、苦悩する西尾が放つ「せつなさの絶叫」で、物語は起承転結の「転」から「結」へと向かい、ケンが芋煮会でじっくりと語った「東北人の本音」と、百香が一人、涙を流すある行動を見せられた上での終盤は、西尾と百香が東京と三陸とで別々に生活しているシーンに転じます。私はこれこそが、ここで終わることこそが、この物語のテーマであろう「東日本大震災で傷ついた東北との接し方」なんだと思い、悲しいけど、良い終わらせ方だと思いました…の・で・す・が、物語はまだまだ続き、やはりクドカン、最後はハッピーエンドで終わらせてくれました。(でも、ハッピーじゃ無い方が大人向け?(笑))

 井上真央さん演ずる百香は魅力的でした。特に「なめろう」?を作るシーンは、百香の家庭(家族)観と西尾への想いに揺れ、イラつき、モヤモヤした感情が良く表現されていて、この物語のメッセージを集約していました。心に残るシーンでした。

hiroishi