大きな玉ねぎの下でのレビュー・感想・評価
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素敵な作品です
…交換ノート
からはじまる素敵なstory。
初対面は最悪のふたり…だった
が…
バイト先で
知らない相手と
業務交換ノートで
悩みを打ちあけ
互いに励まし合う仲になり
そして推しの話題で盛り上がった
が…ふたりとも相手に気づいていない
コンサートに行くことになった相手は…
ここでは主人公の両親の
出会いも差し込まれている
たまたま親友のペンフレンドの代筆を
頼まれ現在の妻との出会いがある
人生たくさんの選択をして行くなかで
いまの人生に繋がっている
父親の言葉に染みる
いま一番想っている人に
…会いに行く
はグッときました
両親のパートとリンクし
ラストのシーンは感動しきり
周りの人たちも
とても丁寧に描かれています
アイミタガイの監督さんでした
……納得です
…大きな玉ねぎとは
武道館のことだったんですね
楽曲ファン個々の解釈に対する回答例、およびその別回答と思った
40歳代後半から50歳代、つまり私と同年代の皆さんにとって爆風スランプの曲は、とある青春の1ページに流れるBGMであったことと思います。
特にこの「大きな玉ねぎの下で」は、おそらく青春の“失恋ソング”の中でもベスト3に入るのではないでしょうか。 そしてこの曲を聴いた一人一人が、
・コンサートのチケットを送った文通相手は何故来なかった(来られなかった)のか?
・主人公と文通相手は、そのまま破局してしまったのか?
という心残りともいえる解釈を抱きつつ、たまに誰かのカバー曲を聴きつつ、30-40年間を過ごして来たのではないでしょうか? 少なくとも私はそうでした。
今回の映画は過去部分(昭和・平成時代)と現代部分(令和)の二部構成です。
まずは私たちが中年世代が謳歌した青春時代です。、文通相手が来られなかった理由やその後の二人の人生が描かれているのは、すなわち「青春という過去」から数十年間の心残りに対する“一つの回答例”ともいえましょう。
次に今を生きる若者達の青春や恋愛模様です。一人一台スマホが当たり前の現代に「大きな玉ねぎの下で」をどう落とし込めるか、そしてその結末はどうなるのか。現代部分は「もし同じテーマを現代で再現したらどうなるのか?」という、ある種の実験とも言えますが、私はこの曲の“別回答”であると感じました。(過去部分は高校生、一方の現代部分が就活中といった歳の差はありますが…)
エンドロールが終わった後も「なるほどね…」と妙に納得してしまい、なかなか席を離れられませんでした。
この過去と現代が上手くリンクしあうところも、見どころの一つだと思います。
最後に、曲のカバーを否定する原作主義者たちのマイナスな意見が、公開前に多く見られました。しかしそこは映画の中でも爆風スランプの歌が当然使われていますのでご安心を! それとasmiさんのカバーもASMRのような聴き心地で現代部分に十分マッチしていると思いますし、今を生きる我々にとっても「昔は昔、今は今」として受け入れられるのではないでしょうか。
長々と書き連ねましたが、「大きな玉ねぎの下で」と聞いて少しでも何かを感じた人は、ぜひ観て損はない作品だと思います。 明日2回目を観に行ってきます!
アナログというちょっとした不便さで人は温かい気持ちになれる。
以前から考えていたのですが、令和の現在は例えば交通事故を誘発するあおり運転とか、些細なことで店員にキレちらかすモンスタークレーマーとか、昭和の時代には考えられなかった人たちが多く存在しますよね。自分はこれが人と人のつながりがデジタル化しすぎて、生身のコミニュケーションが出来なくなった社会の仕組みにも原因があると考えていました。
本作では夜と昼の通常は会う事のないスタッフが、あえて連絡ノートという超アナログな方法を使って仕事が円滑に進むように努力をしてみるという目の付け所がエモいんです。最初はトイレットペーパーを誤発注したり現代っ子らしいアナログ慣れしていないところを露呈していましたが、丈流の描く力こぶマークに美優が反応して二人の距離が少しずつ近づいていくところなんか、昭和生まれの自分が観たらワクワクします。
ラストは、実際に虎太郎と今日子が玉ねぎの無人販売所で逢った時みたいに、若い二人が本音の気持ちをさらけ出して上手く心を一つにできるのが、最高の落としどころですね。続編に期待してしまいます。
昭和パートと武道館が懐かしい
♪九段下の駅をおりて坂道を~
asmi の「大きな玉ネギの下で」も心地良く聞けた本作。
武道館は20代の頃は、数回行ったもんだった。
聖子ちゃんとかTMN とかね。
でも、玉ネギの存在を意識したことがなく、今更ながら初めて屋根の上のあれだと知った(+_+)
特別爆風ファンではないが、Runner は今でもよくかけて、世代ではない息子を洗脳。本作でも流れてちょっとニヤける。
父も息子も大きな玉ネギの下へ。
過去と現在が重なる、つながりが素敵なストーリー。
昭和~平成に差しかかる部分が懐かしい香り。
交換日記みたいな連絡ノート、普通は毎回 担当者名とか書くでしょう、と野暮な事は言ったらダメなんだよね。どんな人なのか想像したり、ドキドキしたり、返事を楽しみに待ったり。
紙に書く。それが良かった。それが昔は当たり前だった。
過去の2人の、会った事がなくても、手紙を書いてる人がこの人なんだと感じとる、そんな感性も大事だなと見ていて思った。
「生まれちゃったから生きなくちゃ」は素敵な言葉。
主役のお二人は勿論のこと、脇の山本美月ちゃんや和田正人が良かった。愛流君は顔ちっさいな~。
手書きの文字は優しい
Letter
楽曲にインスピレーションを得た映画は1月に「366日」、今作と同日には「世界征服やめた」と年始から飛ぶ鳥を落とす勢いで公開されていますが、「366日」はヒットしていますし、何か観客を惹きつけるものがあるんでしょうか。
すれ違いの文通、交換日記、携帯一つで思いをサクッと伝えれる時代になったからこそ、アナログの良さをじんわりと伝える作風は良かったです。
キャラクター面で難のある作品になっていたのが首を傾げる原因にはなっていました。
親世代の文通があった時代の話は爆風スランプのライブとの親和性、一度離れてしまったら連絡の取れない関係性という儚い感じが良い具合に作品に染み込んでいてグッとくるシーンが多かったです。
学生時代のシーンと現代で再会したところも時代の変化があってもふとしたきっかけでまた会えるという希望に満ちた感じなのも素敵でしたし、文通→ラジオとバトンパスを繋いで生まれた再会というのもとても良かったです。
子供世代は同じバイト先の昼と夜での交換日記がお互いのことを知っていくという感じです作用していくのですが、なんてことない会話で生まれるお互いへの感情というのがちーっと薄く感じてしまい、桜田ひよりさんの出演作である「交換ウソ日記」の方がそのやりとりという面では上手かったかなと思いました。
2人の距離が0か100かってくらいのアンバランスさもあまり共感はできなかったです。
今作の最大の欠点は主人公の丈流と友人の喜一の性格です。なんでこんな性格にしてしまったんだ…。
丈流は初っ端から友人に詰めてかかったり、美優への病院での絡み方とか最高に気持ち悪かったです。
大学4年生で就職に何も手をつけてない、「何か」を探り探りなのをイキッて誤魔化しているあたりはまだしも、誘ってもらった会社にテンプレを利用した履歴書持って特攻して馬鹿正直に自分をダラダラ垂れているところとかはいい加減にしなよとなりました。
そりゃ時間の無駄って言われるよってくらいにはクズの素質があると思いました。
喜一はもうシンプル不快キャラでした。
最初の飲食店での他のお客さんの絡み方が嫌でしたし、接客業を長いことやっているので煽るような感じで呼び出されるのとか超腹立つので誰かはっ倒して欲しかったです。
急性アルコール中毒でぶっ倒れたにも関わらず、病院で撮影しまくり看護師さん撮りまくりの非常識行動に呆れましたし、ビールの飲み方でダラダラこぼしたり、勝手な行動を取って沙希さんに迷惑をかけたりとなんでこんな奴と仲良くしてるんだろうと思ったら丈流だからそりゃ仲良くできるかと変な納得がありました。
最後のシーンも父親はちゃんと自分から会いに行ったのに、丈流は武道館でダラダラ待っているという行動しなささ、地味に会場の帰り道でただただ突っ立ってて他の人の迷惑になってるあたりも嫌でした。
変にベタベタせずスッと終わったのだけは良かったですが、この辺は親たちの方がよっぽど良かったですし、なんなら親たちのストーリーの方がメインで観たかったなぁとなってしまいました。
自分も以前の職場を離れるタイミングで恩人から手紙をもらったのですが、これが本当に本当に嬉しくてもらった時はマジ泣きしちゃいましたし、今でも落ち込んだ時とかに読むとじわじわっと元気が湧いてくるので手紙って本当に大切だなと思っています。
手作りのものほど素敵なものはない、それが再確認できただけでも良かったです。
鑑賞日 2/8
鑑賞時間 18:40〜20:45
座席 C-9
レビューも整理できてません 追記
世代としては爆風のオリジナルでもっと推しまくって欲しかったかな。桜田ひよりガチャピンでカワイイ、細い足にデカいブーツが似合う。あと課長の自転車はひよりに似合うからと太いタイヤのものが選ばれたと邪推。
親の方のスジは途中で読めちゃうけど冒頭の飯島直子と繋がるのは読めず。タイゾーはエグチと知り合いなこと息子に言ってないのも変だし息子もそれ聞いて反応薄かったような気もする。子の方のスジは二人とも顔がいいから持つ。で就職どうなったのかな?この辺も作る側があんまり整理できていない気がする。
あと少し気になったのは距離感。実家と病院は三浦?病院からDOUBLEに寄って武道館、どのくらいだったのか。下宿先とバイト先は都内?サンプラザを映像に収めたいのはわかるが距離感が謎。
追記:本作について現代であの歌のスジを再現させる工夫は理解したのですが、過去の二人は結局当日に会えていた、というのが歌のどうしようもない切なさを弱めてしまう感じがしました。いっそ過去の二人に絞って「かつて会えなかった二人が現代で会う」というような話にした方が良かったのではなどと思いました。
頑張れる人はそれだけで格好いい
定番と思える展開は多いが、それが丁寧に描かれており、心に刺さる言葉のチョイスが見事なので印象に残る。
スピード感があるわけでもないのに、全く飽きることなく、感情移入。
最後は勿論心で叫んでいた。
気づけば涙がとまらなくなった。
大きな玉ねぎの下では何年も前の歌だが、改めていや初めて歌詞の意味をしみじみ感じる。
神尾さんは国宝的イケメンなのに何故か不器用な青年がピッタリな役作り。
桜田さんは目で演技ができる稀有な女優さんだが、魅力をいかんなく発揮。
泰造さんは本職とは真逆の役だがお見事。
江口さんはチー兄ちゃん復活?と思ったが言葉が重い。相変わらずいい俳優です。
観客は少なかったが間違いなく他人に勧められる映画です。
温かくて優しくて切なくて
いいじゃん、いいじゃん☺️
若者より中高年に刺さるかも!?
「爆風スランプ」の名曲にインスパイアされたラブストーリーということで、期待して公開2日目に鑑賞してきました。観客はまばらで、そのほとんどが中高年でしたが、幅広い年代におすすめできる素敵な作品だったと思います。
ストーリーは、夜はバー、昼はカフェとして営業する店「Double」で、夜のバイトを務めるこじらせ大学生・丈流と、昼のバイトを務める看護師見習い・美優が、互いの素性を知らぬまま業務連絡ノートを通して始まった交流はいつしか交換日記のようになり、顔も見えない相手に惹かれあっていくが、実は二人はすでに最悪の出会いを経験しており、実際には全く好意を抱いていなかったのだが、美優のお気に入りのラジオ番組のパーソナリティが語る思い出の中に登場する文通のエピソードが、二人の関係に大きく関わっていくというもの。
あらすじを書こうにもうまくまとめられないほど、本作のストーリーは複雑に入り組んでいます。かといって理解するのが難しいかというと、全くそんなことはありません。令和と平成を行き来しながら、二つの恋愛をきれいにまとめ上げています。その構成とは裏腹に、終わってみれば、「会いたい人がいるなら、今すぐにでも会いに行け」というシンプルなメッセージが心に響きます。
主演の二人はもちろん素敵なのですが、それを縁の下で支えるような4人の存在が大きいと感じます。ともすれば、今の時代に管理ノートという名の交換日記はちょっとアナログがすぎる気もしますし、その相手が気になるなら普通にその時間に覗きにいく気がします。しかし、うまい具合に過去の文通エピソードを織り交ぜ、交換日記ノートに違和感を抱かせないような演出の巧みさを感じます。
そして、この文通が現代の二人の生活にがっつり関わってくる展開も、でき過ぎかもしれませんが、なかなかうまいと感じます。さらに、この平成の恋愛に関わる4人の再会シーンが最高すぎて、涙が止まりません。こうした物語の下支えが、丈流と美優の恋を強く大きく後押ししているようで、観客もいつのまにか二人の恋を応援してしまいます。
もちろん観客は、自身の経験に基づいて登場人物の誰かに感情移入していると思うので、若い世代には、平成のエピソードは不要と感じられるかもしれません。でも、私には、大学で知り合い、卒業後に手紙をやりとりした相手のことが思い出され、胸が熱くなりました。今では連絡も途絶えてしまったのですが、それでもふと思い出すことがあり、いつかもう一度会えたらと思って切なくなります。
こんな感じで大人にはノスタルジックな思いを抱かせてくれる本作ですが、だからと言って上映中の鼻歌はマジ勘弁です!「大きな玉ねぎの下で」が流れるたびに聞こえてくる後席のおじさんの鼻歌に、せっかくの切ない雰囲気を粉々に破壊されました。上映中の光と音はダメ絶対!
主演は、神尾楓珠さんと桜田ひよりさんで、場面によってさまざまに変化する二人を自然な演技で魅せています。脇を固めるのは、江口洋介さん、飯島直子さん、西田尚美さん、原田泰造さん、山本美月さん、asmiさん、伊東蒼さん、藤原大祐さん、窪塚愛流さん、瀧七海ら。中でも、江口洋介さんのセリフと演技がじんわりと沁みます。
心揺さぶられる素敵な映画。
別に私は評論家でも無いし映像業界の人でも無いし映画マニアでも無いし学も無いし、まぁ本当に何も無いから、私の意見に左右されなくて良いんだけど…。この映画、数ある名曲を実写映画化した系作品の中で、初めての成功作品だと思ってる。技術的な面とかヒューマンドラマとしての質だとかよく出来た構成だとか一人一人の等身大として描かれた人物面ができてるのかだとか、一旦そういうものはその辺に置いといて…
「心揺さぶられ度」★★★★
「キュン度」★★★★
「面白いなぁ度」★★★★
「号泣度」★★★★★
「恋を応援したくなる度」★★★★★
「この歌を更に50倍位好きになった度」★★★★★
こんな感じでした。
だってさ…漫画実写作品は大抵原作ファンから失敗だとか言われつつも、母数多いから成功パターンも割と沢山あるけど、名曲を元に実写化した系作品って…ほぼ成功数0.000....じゃなかったかなぁ?(満遍なくは観てない)
その歴史がある上で今作でしょう。
そりゃ、ベタな展開とか無理矢理の設定だとかラブコメの王道的なところとか先の読める展開とか言いたい事はあるんだろうけど、映画って結局観終わった後に「あ〜面白かった」「あ〜感動した」「(数日後…)まだ思い出しちゃうな」→こういう感情が大事な媒体だと思うから、それでいけばめちゃ良い映画だったよ。
これまでの名曲を実写化した系映画は、歌は良い歌なんだけどな…この内容で良かったんだろうか、アーティスト達はどう思ったんだろうか…とひやひやしちゃうのがあまりにも多くて…。名曲系映画が永遠に背負うカルマなんでしょうとまで思ってた。
とは言えこの映画は、果たしてサンプラザ中野はどう思ったろう?とか思わず、めっちゃ良い映画やん!が先行したので、めっちゃ良い映画だったんだと思ってる。(パンフでは中野くん、号泣したって言ってた。それ見て私もまた泣きそうになった)
ひとつひとつの設定はドラマ的な漫画的なところが多々あれど、それぞれ面白くて観入っちゃいました。あと私の好みの問題で、文通とか言葉とかから始まる恋がかなり好きってのもあります。結構憧れが強いかも。それも今作の女性陣がまた…桜田ひより、伊東蒼、最高ッッ…!!!この2人大好き…元々大好きだけどもっと好きになった。この2人以外のキャストも良かったよ、諸々の設定も、「大きな玉ねぎの下で」という名曲を映画にする上で素晴らしいキャスト・設定だとも思ってる。
私の好きなシーンが沢山あって、ラストシーンはもう言うまでもなくなんだけど、それ以外の、昔の恋ターンで、友人の代筆でせっせと手紙を書く虎太郎の机に向かう後ろ姿とか、あと現代の恋ターンで、酔っ払った2人がほんとに楽しそうに笑顔で歌うたってるシーンとか…え?なんで私こんなにハマっちゃってんの?って幽体離脱した自分が少し上の方で驚いてんだろうなってぐらい物語にハマってくのを感じながら各素敵シーンを夢中で観ちゃってた。
名曲を実写化した系作品に裏切られ続けてそれでも今回は信じたい…でもどうしよう…って思ってる人いたらちょっと観てみて欲しいなあ。
この映画は、脳みそで観るんじゃなくて、心で観て欲しい。素敵な音楽と共に。
会えない時間こそが想いを募らせる
HYの『366日』に続いてこちらもヒット曲からインスピレーションを得て作られた作品。今回は爆風スランプの「文通相手の女の子と武道館のコンサートで会うはずだったのに、結局、会えなかった男」の歌だ。
なにせ歌い出しのひと言目が「ペンフレンド」。サンプラザ中野くんより2学年下というほぼ同世代の私には懐かしいが、そんな(氏名と住所を雑誌に掲載するという個人情報タレ流しな出会い系サイトのハシリみたいな)コンセプトが現代の若者に通じるのか?と鑑賞前に案じていたのだが、そこは不自然にならずに上手く設定が構成されていた。
スマホがこれだけ一般化し、すれ違うことが難しくなった時代。しかし、すぐに連絡が取れないからこそ生まれる感情の愛おしさは現代だからといって薄れる訳ではない。むしろ、会えない時間こそが想いを募らせる。そして深い愛情は時間という魔法によってのみ紡ぎ出されるのではないだろうか。
昔に比べて現代は格段に手軽に連絡が取れるようになっている一方で、逆にスマホの連絡先を指先一つで消去しただけで全てを失うことも容易になっている。実は個人情報の概念が薄かった過去の方が、住所や電話番号など複数の連絡先を持っていて、後々まで意外と繋がりやすかったのかも知れない。
若者たちの恋愛と大人たちの親交。どちらの世代にも刺さる物語りに仕上がっている。
手紙や交換ノートで気付く本当の自分
同世代の青春を応援しつつ、子ども世代の恋愛にドキドキするのが本作の醍醐味
2025.2.9 イオンシネマ久御山
2025年の日本映画(115分、G)
原案は爆風スランプの楽曲『大きな玉ねぎの下で』
文字を通じて絆を深め合う男女を描いたラブロマンス映画
監督は草野翔吾
脚本は高橋泉
物語の舞台は、神奈川県鎌倉市
大学4回生の堤丈流(神尾楓珠)は、いまだに就職先も決まらずに、週末の昼はカフェを営んでいるバー「Double」で働いていた
母(西田尚美)は病気のために入院していて、父(原田泰造)とは疎遠がちになっていた
ある日のこと、丈流は親友の喜一(中川大輔)と小柴(伊藤あさひ)と一緒に居酒屋にて愚痴りあっていた
だが、その丈流たちの会話を聞いていた美優(桜田ひより)は、どうしても言いたいことがあって、丈流に「あなたは何がしたいの?」と聞いてしまう
いきなり知らない女に訳のわからないことを聞かれて驚くものの、不穏な空気を宥めようとした喜一はその場で倒れてしまう
低体温症になりかけているとのことで、素早く美優が応急処置を施し、大事に至ることはなかった
美優は看護学校の実習生で、その知識が活かされることになったのだが、実は彼女の実習先の病院に丈流の母が入院していた
気まずい再会をする二人だったが、どうしても喧嘩腰になってしまい、またもや不穏な空気が流れてしまった
物語は、夜のバーで働いている丈流が、店長(休日課長)から昼のカフェとの業務連絡を取るように言われるところから動き出す
連絡ノートのようなものを用意し、そこに共同備品の発注のことなどを書いていたが、丈流がアーティスト「a-ri(asmi)」の歌詞の一部を引用したことによって、親睦が深まっていく
だが、お互いに相手のことを探ることもなく、誰かを想像しながら、筆を走らせていくのである
映画は、現代パートの奥底に過去パートが存在し、この二つの恋愛は直接的には関連しない
ネタバレはしない方が良いので詳しくは書かないが、あるキャラの両親に付随する物語となっていた
それが丈流と美優が聞いているラジオに登場することによって、思わぬ関連が生まれる、という構成になっていた
個人的には結びつけ過ぎかなと思ったが、これぐらい交友範囲が狭いのもあるあるなのかなと思った
映画における一番の難題は「サンプラザ中野くんを探すこと」だが、本当に一瞬だけ登場していた
ウォーリーを探せレベルに難易度が高いが、それも映画の一興なので、バラさずに伏せておいた方が良いのかもしれません
いずれにせよ、落ち着くところに落ち着くという物語で、勘違いが生むすれ違いも切ない
ナビゲーターのTaijyu(江口洋介)の語りは過去パートの結末が紡ぐ言葉で、それが二人に伝わるのは良かったとおもう
二つのパートの切り替えがうまく、時系列の混同もさせないので見やすい映画となっていた
脚本の質が高く、30年前と今とをうまく繋げているのだが、やはり30年前を知る人向けの映画なのかな、と感じた
同世代の青春を応援しつつ、子ども世代のすれ違いを応援したくなる映画なので、若年層には響きづらいのかもしれません
全68件中、21~40件目を表示