劇場公開日 2025年2月7日

「楽曲ファン個々の解釈に対する回答例、およびその別回答と思った」大きな玉ねぎの下で takatetsuさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0楽曲ファン個々の解釈に対する回答例、およびその別回答と思った

2025年2月10日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

幸せ

 40歳代後半から50歳代、つまり私と同年代の皆さんにとって爆風スランプの曲は、とある青春の1ページに流れるBGMであったことと思います。
 特にこの「大きな玉ねぎの下で」は、おそらく青春の“失恋ソング”の中でもベスト3に入るのではないでしょうか。 そしてこの曲を聴いた一人一人が、
・コンサートのチケットを送った文通相手は何故来なかった(来られなかった)のか?
・主人公と文通相手は、そのまま破局してしまったのか?
という心残りともいえる解釈を抱きつつ、たまに誰かのカバー曲を聴きつつ、30-40年間を過ごして来たのではないでしょうか? 少なくとも私はそうでした。

 今回の映画は過去部分(昭和・平成時代)と現代部分(令和)の二部構成です。
 まずは私たちが中年世代が謳歌した青春時代です。、文通相手が来られなかった理由やその後の二人の人生が描かれているのは、すなわち「青春という過去」から数十年間の心残りに対する“一つの回答例”ともいえましょう。
 次に今を生きる若者達の青春や恋愛模様です。一人一台スマホが当たり前の現代に「大きな玉ねぎの下で」をどう落とし込めるか、そしてその結末はどうなるのか。現代部分は「もし同じテーマを現代で再現したらどうなるのか?」という、ある種の実験とも言えますが、私はこの曲の“別回答”であると感じました。(過去部分は高校生、一方の現代部分が就活中といった歳の差はありますが…)
 エンドロールが終わった後も「なるほどね…」と妙に納得してしまい、なかなか席を離れられませんでした。

 この過去と現代が上手くリンクしあうところも、見どころの一つだと思います。

 最後に、曲のカバーを否定する原作主義者たちのマイナスな意見が、公開前に多く見られました。しかしそこは映画の中でも爆風スランプの歌が当然使われていますのでご安心を! それとasmiさんのカバーもASMRのような聴き心地で現代部分に十分マッチしていると思いますし、今を生きる我々にとっても「昔は昔、今は今」として受け入れられるのではないでしょうか。

 長々と書き連ねましたが、「大きな玉ねぎの下で」と聞いて少しでも何かを感じた人は、ぜひ観て損はない作品だと思います。 明日2回目を観に行ってきます!

takatetsu
またぞうさんのコメント
2025年2月11日

 イイねと距離感への同意コメントありがとうございました。距離はあらためて確認して2時間で行けそう、という結果となりましたが、見ていて違和感があったのは事実ですから仕方がない(笑)
 本作について現代で再現させる工夫は理解したのですが、過去の二人は結局当日に会えていた、というのが歌の印象を弱めてしまう感じがしました。いっそ過去の二人に絞って「かつて会えなかった二人が現代で会う」というような話にした方が良かったのではなどと思ったりしました。

またぞう