「Letter」大きな玉ねぎの下で ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
Letter
楽曲にインスピレーションを得た映画は1月に「366日」、今作と同日には「世界征服やめた」と年始から飛ぶ鳥を落とす勢いで公開されていますが、「366日」はヒットしていますし、何か観客を惹きつけるものがあるんでしょうか。
すれ違いの文通、交換日記、携帯一つで思いをサクッと伝えれる時代になったからこそ、アナログの良さをじんわりと伝える作風は良かったです。
キャラクター面で難のある作品になっていたのが首を傾げる原因にはなっていました。
親世代の文通があった時代の話は爆風スランプのライブとの親和性、一度離れてしまったら連絡の取れない関係性という儚い感じが良い具合に作品に染み込んでいてグッとくるシーンが多かったです。
学生時代のシーンと現代で再会したところも時代の変化があってもふとしたきっかけでまた会えるという希望に満ちた感じなのも素敵でしたし、文通→ラジオとバトンパスを繋いで生まれた再会というのもとても良かったです。
子供世代は同じバイト先の昼と夜での交換日記がお互いのことを知っていくという感じです作用していくのですが、なんてことない会話で生まれるお互いへの感情というのがちーっと薄く感じてしまい、桜田ひよりさんの出演作である「交換ウソ日記」の方がそのやりとりという面では上手かったかなと思いました。
2人の距離が0か100かってくらいのアンバランスさもあまり共感はできなかったです。
今作の最大の欠点は主人公の丈流と友人の喜一の性格です。なんでこんな性格にしてしまったんだ…。
丈流は初っ端から友人に詰めてかかったり、美優への病院での絡み方とか最高に気持ち悪かったです。
大学4年生で就職に何も手をつけてない、「何か」を探り探りなのをイキッて誤魔化しているあたりはまだしも、誘ってもらった会社にテンプレを利用した履歴書持って特攻して馬鹿正直に自分をダラダラ垂れているところとかはいい加減にしなよとなりました。
そりゃ時間の無駄って言われるよってくらいにはクズの素質があると思いました。
喜一はもうシンプル不快キャラでした。
最初の飲食店での他のお客さんの絡み方が嫌でしたし、接客業を長いことやっているので煽るような感じで呼び出されるのとか超腹立つので誰かはっ倒して欲しかったです。
急性アルコール中毒でぶっ倒れたにも関わらず、病院で撮影しまくり看護師さん撮りまくりの非常識行動に呆れましたし、ビールの飲み方でダラダラこぼしたり、勝手な行動を取って沙希さんに迷惑をかけたりとなんでこんな奴と仲良くしてるんだろうと思ったら丈流だからそりゃ仲良くできるかと変な納得がありました。
最後のシーンも父親はちゃんと自分から会いに行ったのに、丈流は武道館でダラダラ待っているという行動しなささ、地味に会場の帰り道でただただ突っ立ってて他の人の迷惑になってるあたりも嫌でした。
変にベタベタせずスッと終わったのだけは良かったですが、この辺は親たちの方がよっぽど良かったですし、なんなら親たちのストーリーの方がメインで観たかったなぁとなってしまいました。
自分も以前の職場を離れるタイミングで恩人から手紙をもらったのですが、これが本当に本当に嬉しくてもらった時はマジ泣きしちゃいましたし、今でも落ち込んだ時とかに読むとじわじわっと元気が湧いてくるので手紙って本当に大切だなと思っています。
手作りのものほど素敵なものはない、それが再確認できただけでも良かったです。
鑑賞日 2/8
鑑賞時間 18:40〜20:45
座席 C-9