「主人公がちょっと…」大きな玉ねぎの下で サバ煮さんの映画レビュー(感想・評価)
主人公がちょっと…
ネット記事を読んで面白そうだったので鑑賞。
全体としては纏まった脚本であり、伏線回収も上手く、広げた風呂敷もきちんと畳まれたいい脚本だったとは思います。
カメラワークは抜群に良くて、独特的なカフェの内装を非常に上手く利用していましたし、過去と現在が交差する後半は切り替えもスムーズで見ていて楽しかったです。
ただ正直、主人公のキャラクターが受け入れ難いと言うか……ほかの登場人物は(ヒロインもまぁちょっとキツ過ぎないかと思う所はあれど)皆良い人だったのに、なんで主人公だけこんな嫌な奴にしちゃったんだろ?というのが感想です。
作中の季節がいつ頃かは分かりませんが4年生であの就活への向き合い方は本当に有り得ないと思ったし、それに対する作中の結果があまりにも御都合主義過ぎるというか…
本編で会社側の男性が言っていたことは至極真っ当なことで、1回目の主人公の対応も大分有り得ないのに2回目に来ることが非常識通り越して私は失笑してしまいました。
その2回目に問われた時に本人なりの固い決意があるのかと思えば歌詞を引用しただけの薄っぺらい発言で、これで採用されたのだとしたら白けるな〜と思います。
(採用されないならされないでなんでこんな無駄なシーン入れたんだ?とも思います)
他は良かっただけにここが凄く引っかかりました。
ヒロインがしっかりと将来の夢をもっていることと対比して見せたかったんだろうとやりたいことは分かりますが、最終着地地点があまりにもおざなりでヒロインには「本当にこの男でいいの?」と聞きたくなります。
役者さんは皆さんお上手でグイグイ引き込まれました。
観なきゃ良かったとまでは思わないけど、人に勧めたいとは思わないし2回目もいいかな…の気持ち
自分は連絡ノートにタメ語で書き始めた時点で引きました。
「母さんに背広姿を見せてやろう」から、そのシーン無しで面接して、結果も描かれない…
この辺は非常にモヤッとします。
「時間がない」は母を安心させたかったのかもですが、それも自分の都合ですしね。
2回目の会社訪問でも採用はないですね。でも、交換ノートに本心を書いていた主人公が、実社会でも自分をさらけ出すことや、自分の課題と向き合うことに意味があるのだと思います。