劇場公開日 2025年2月7日

「おススメできる、今週の2月2週本命枠か」大きな玉ねぎの下で yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0おススメできる、今週の2月2週本命枠か

2025年2月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

今年48本目(合計1,590本目/今月(2025年2月度)11本目)。

 平成元年ごろと現在をほぼ交互に描く、文通により知り合った当事者と、その想いが交差するお話。予告編にもありますが、「爆風スランプ」の方に関しては知っていれば有利かもしれませんが、音楽は何度も流れるし、「大きな玉ねぎ」が何を指すかは明確にわかりますので、そこは「知識があれば有利」程度です(映画内でもちゃんと説明はされます)。

 「手紙で気持ちを伝えることの大切さ」の観点では、それこそアニメですが「ヴァイオレット~」とかかわるところもありますし、特に平成パート(昭和から平成にかわるころ。つまり、今から35年くらい前)では、映画内に出てくるように少年少女向けの雑誌に「ペンフレンド募集」というのは実際にあり、そこにおいて、字が下手な方が代筆を頼んだり、あるいは個人情報の関係で本名自体を出さなかった(今のハンドルネーム、ペンネームに近いところもあろうが、例えば姓名であれば、漢字1字を置き換える程度のことはあった)ことはあり、その部分についても触れられていた点は良かったところです。

 確かに作品として「大きな玉ねぎ」が何を指すかなどを知っていれば理解の上で有利だし、当時(平成になったころ)に「日本武道館に行く」は特別な意味があり(それこそ新幹線しか選択肢はなかったし、高速バスだの飛行機だのは高校生には負担が重すぎた)、これらの点に触れつつ、現在パートにおいては、いわゆる「就職面接が苦手な子」や、看護実習についてなど、今時の話題がふられて色々な意味で配慮があったのが良かったです。

 決してアクションもりもりの映画ではないし、それを求める向きにはおすすめはできませんが、心温まる映画が見たいなという方にはここ一押しといった映画でしょうか。個人的にはおススメ枠です。

 採点に関しては以下を考慮しました。

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 (減点0.1/平成パートにおいて、発信主義と到着主義が混同されて出てくる)

 旧民法では、発信主義(出した時点からカウントする)と、到着主義(相手に届いた時点からカウントする)が混在しており、解釈上ヘンテコな状況になることがありました。この点、現在の2020年以降の民法ではそろえられた部分がありますが、平成パートの部分はこの関係で厳密に見ると変なところがあります。ただ、このことは旧民法まで知らないとわからないし、それ自体が話のトリックになっているわけではないので、問題はないだろうと思います。

 (減点0.1/速達で出すときに郵便局を通す必要があるか)

 確かにこのとき(昭和最後の日)に郵便局が混んでいたのは事実ですが、当時からのルールとして、速達で出したい場合、所定の切手を貼った上で、「速達」と赤書きした上で、はがき・封筒の縦側(通常は、郵便番号を書くところ)に赤線を書くことでもその取扱いになっていました(特に過疎地域では郵便局が早く閉まる傾向があったため)。

 この点はちょっと配慮が欲しかったかなというところです。
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 (減点なし/参考/「119」にかけると、どこにつながる?)

 あまり意識される機会がないのですが、映画内で出てきたので、ついでに触れます。

 日本で110といえば警察、119といえば消防・救急と決まっていますよね。

 ところが、日本の中でも「東京23区以外」では、いわゆる消防・救急については総務省直下の組織であるそれに対して、東京23区においては「東京消防庁」という、都の直下組織につながる点で、実は扱いが違います(実際には、東京23区の隣接市程度なら駆けつける)。これは、戦後のGHQの占領の中で、消防・救急も警察とのつながりが強いのだから、国の直下にするのは良くない、という考えがあらわれて改められたままGHQが離れたという特殊な経験を持つからです。

 この点、消防・救急の「119番」といっても、東京23区とそれ以外とでは扱いがまったく違います(ただし、普通は意識されないので、消防・救急を広く扱う総務省に管轄外の苦情が来ることもあるし、それは仕方がないである一方、特に風俗営業等の開業ほかを扱う行政書士は必ず理解していないといけない事項(東京23区とそれ以外で、消防法に基づく手続き先が実は異なる、という点)ではあります(ただ、これも極めてマニアックな話))。

yukispica