ファーストキス 1ST KISSのレビュー・感想・評価
全238件中、121~140件目を表示
命がけの愛
未来から来たカンナに、2024年に死ぬことを知らされても、15年間のカンナとの幸せな結婚生活を優先させるため、結局 死を選んだ駈のカンナへの命がけの愛に感動しました。(駈が死ななければカンナが未来からやってくることもないため、夫婦仲が悪化し離婚してしまうということを2009年時点で知ることができず、態度を改め円満な夫婦関係を築くことができない)
心優しい駈が、ベビーカーがホームから転落することを知っていながら見過ごし(緊急停車ボタンが駄目でも、転落前から母子の側にいて気を配っていたはず)、助けた際に犠牲になったとは思えないので、未来のカンナと出会った駈は自ら命を絶ったのか···(最後のカンナ宛の手紙は遺書?)
重いテーマですが、主人公2人のコメディーシーンが面白く、楽しく見れる映画でした。
追記
明らかな自殺だと、更にその先のカンナが何度もタイムスリップするシーンと整合性が取れないので、ベビーカー転落は変えられない運命だが、駈自身は救助する際に自己犠牲をいとわなかった、あるいは、自身も避難する余裕はあったものの、それまでの結婚生活のために、人生に終止符を打ったというところでしょうか。
追記2
そもそも、駈の死を防ぐためにカンナが未来からやってきているので、予告映像にもあったカンナの「うまく書き換えればあなたが死ななかった今を作れるかもしれない」というのは残念ながら不可能なのでは?
(駈が助かれば、うまく過去を書き換えて駈を救おうとしているカンナも存在しない)
上述の矛盾は生じるものの、2024年のカンナが、2009年の駈に姿を見せることなく2009年のカンナとの出会いをなんとか阻止し2024年に戻ることができれば、部屋から駈の遺影や遺品が全てなくなっていて、駈が赤の他人として生存しているという今も作れたのでしょうか。
坂元裕二的「いま、会いにゆきます」
まず、松たか子と松村北斗がすごい。
素晴らしい。
物語の80%は男女のコメディであり、坂元裕二の魅力が存分に盛り込まれた会話劇だ。
このコメディ(しかも本当にちゃんと笑いをとる方のコメディ)会話劇を、演じきった2人の力量に感嘆する。
この2人の力であっという間に2時間とちょっとの物語が過ぎていく。
と、これだけで十分お金を払う価値があるのだが、この話はタイムトリップものだ。
しかも途中からは「ループもの」としての展開もある。
ここからは松たか子の芝居力を存分に味わうべきだ。
そして制作陣の手間の掛け方に敬意を払うべきだ。
カット数の多さ、松たか子の衣装のパターン、、、丁寧に丁寧に作られた作品だった。
(ちゃんとお金かけて作ってる)
運命は変えられない、かもしれない。
でもそこにいくまでの道のりは変えられるよ。
何度生まれ変わっても僕は君に会いに行くだろう。そして君を選ぶだろう。
そして出来ることなら少しでも君を幸せにするような人生を生きたいと願っている。
カンナ(松たか子)は何度も駈(かける)(松村北斗)の人生を変えようとしたけど
変わらなかった?
いや、きっとそうではない。
カンナは自分の人生を変えることができた。
それは駈(かける)とカンナが2人で作った道のりだったんだ。
もしあなたにパートナーがいるなら、この作品を見終わったあと
相手を見る目が少しだけ違ってくるに違いない。
伝え直したい言葉や思いが滲み、沁みる
伝え直したい言葉や後悔を持ったまま続く人生、
やり直したい相手はもういない、自責の念、関係が壊れるに至った後悔、そこに残ったままの思いが滲み、沁みる
いくつかの後悔は心にしまい忘れながら生きてく現実、タイムトラベルで過去を何度も上書きできるファンタジー、この対比が可笑しくて切ない
ファンタジー部分がキラキラすればするほど、思いが残ることの残酷さを突きつけられ、涙
カンナの部屋、
自分の意思で手放した人を予期せぬ出来事で永遠に失ってしまった喪失感を表現するカンナの部屋
駈のモノがそのままとっ散らかっていて時間が止まったまま、喪失感の大きさが胸に突き刺さる
カンナの部屋の細かな造作や装飾、演出が素晴らしい
タイムトラベルのターン、
過去の言葉や行動の数々を何度も上書きしようとするカンナが本気で可笑しくて楽しくて、駈との時間はピュアな多幸感満載でニタニタしながら楽しめる!最高!
松たか子さんと松村北斗さん、このおふたりがカンナと駈だから、ファンタジー感満載な甘く切ない時間にも違和感なく没入できました!
キュートで軽やかなオトナの魅力あふれる松たか子さん、コミュニケーションが不器用だけど心優しいピュアな恐竜オタク青年の駈を演じた松村北斗さん、タイムトラベルで出会うふたりの時間はキラキラした光が放たれているのかと錯覚するほど!大きなスクリーンで観て心から良かった!ふたりがほんとに素晴らしかった!
最後に、
この物語のラストはどんなカットで終わるのだろう、、どんな風なら納得できるかな、わたし、、
途中からとても気になって、気になって、、
心がザワザワした、、
タイムトラベルから覚めず、未来を知らずに生き直せたら、ふたりが紡ぐ優しい時間をあびながら、そんな気持ちにも
終盤はカンナの駈への思いと感情に心が侵食されていた
終わり方がなぁ…
松たか子と松村北斗の魅力満載の映画。
ファンの方にとっては最高の作品だし、むしろ新しいファンが増えるくらいでは。
松たか子演じるカンナが過去にタイムスリップして若い頃の夫と出会うというものなので、年の差があるキャスティングなわけだけど、そんな年齢の差も、何度も年上の女性であるカンナに恋に落ちる駈も気にならないくらいふたりの相性がよく、自然で心地よい空気が映画全編に溢れていた。
「どうしたら夫が死ぬ運命を避けられるのか?」
そこがストーリーの肝であることは理解しつつも、過去を行き来することでゆっくりゆっくりと、夫を失ったことへの喪失感や生前見逃してきた愛情に向き直っていくカンナの姿がより印象的だった。
タイムスリップというファンタジー要素に包まれているけれど、すべてカンナの妄想でした、と言われても納得してしまいそうになるくらい、彼女の自己セラピー的な側面も強く感じた。
ふたりで過ごしてきた長い時間の中で忘れてしまったこと、諦めたこと、傷つき傷つけたこと、後悔したこと、失ったもの、逆に自ら手放したもの、そんなやりきれない全てを見つめなおしていく心の作業。
辛く孤独なその作業を軽やかに、どこか可笑しく、そして必死にやり切ろうとするカンナがとても愛らしくて、時々笑ってしまうのに泣きそうになる、そんな不思議な気持ちになった。
だからこそ最後の終わり方を残念に思ってしまった。
夫が死なない未来を必死に探し出そうとするカンナが、最後のタイムスリップで若い頃の駈に自分の正体や過去に戻ってきた理由、ふたりの未来について話す。
「たとえ死ぬことになっても…」とカンナと一緒に歩む未来を選んだ駈と最後の時を過ごして、未来に戻ったカンナ。
そこから映画は駈の目線に移り変わり、離婚や自身の死の未来を知った駈が今度はカンナと幸せな結婚生活を送っていくシーンが続く。
結果として彼は自分の信念を曲げずに小さな命を助け、やはりカンナの元から去ってしまう訳だが…。
もちろん、駈が最後に残した手紙にはグッときたし、彼の死を避けることはできないんだろうなぁと何となく予想できていたし、何よりふたりが今度こそは幸せな結婚生活を送れたことはすごく良かったのだけど…だけど、それじゃあ元の時間軸のカンナはどうなったんだろう?と思わずにはいられないのだ。
観客はずーっと、愛を無くして夫を失った時間軸のカンナを見守って応援してきた。
だからこそ、最後のタイムスリップを終えた彼女のその後が見たかったし、見せるべきだったと思う。
夫が死ぬという未来を明確に変えることよりも、彼との愛を見失わない未来を選択し、そして一縷の望みを彼に託したカンナが戻った未来。
その未来はどう変わっていたのか?その変わった未来を彼女はどう受け止めたのか?
そして受け止めた先のカンナの心は?
駈は変わらず亡くなっていただろう。でも、一人帰ってきた部屋にベッドはきっかり一台で、トースターのプレゼントが届いていたり、カレンダーに旅行の予定が書き込まれていたり、ふたりで遊んでいたであろうゲームが残されていたり、お揃いの靴下があったり、沢山の笑顔の夫婦の写真が壁に飾られていたかもしれない。
そして、本来のラストと同じように駈からの最後の手紙を見つけるかもしれない。
それらを見た時、実際の思い出はなくとも、カンナの心は大きな愛に満たされたんじゃないだろうか。
そしてそこでやっと彼女の心の旅は終わりを告げるんじゃないだろうか。
という理由で個人的には元の時間軸のカンナを最後まで見たかった。
その後に、若い頃のカンナと二度目のはじめましてをして、恋に落ち、結婚し、一緒に生きていく駈の姿で締めくくったら………とか、お前クリエイター気取りかよ?みたいなうざいことをエンドロールを見ながら考えてしまったりとかした。
でもそれくらいどうしても元の時間軸のカンナの最後を見たかったんだ~~。
ただ、とにかく主演のおふたりが素晴らしかった!!
最後のタイムスリップで「君と結婚できないのは嫌だ」の言葉に思わず顔を覆って泣くカンナとかものすごい心に来たし、「こりゃ恋に落ちるよ」な駈の誠実なキャラクター性も最高だった。
ジリジリとした真夏の質感や、最初の方のケーブルカーの時のふたりの撮り方も切なさに満ちていてとてもとても好きだった。
坂元裕二特有の台詞回しがちょっと個人的に合わないなと思ってしまうところもあったのだけど、総じて切なくて愛らしい観てよかったと思える映画だった。
※教授の娘がわざわざ訪ねてきて「幸せだったのか?」とか言い始めた時は「カンナがやらないなら私がやる!」とぶん殴ってやりたくなったけど。あれはどんな夫婦関係であれ伴侶を失った人間にかける言葉ではなく、ものすごく残酷な行いをする女だなと思った。
観終わった後ちょっとボーッとしていたいくらい心が動かされた
餃子が届いた理由が、
初めは、自分が忘れていたのかも、だったけど、
最後には、自分のためにカケルが頼んでくれたのかも、と変わったところ、いいなと思った。
ちゃんと相手のことを考え合えるように変わったんだよね。
あんなに不仲だったのに、
カケルのために意地になって未来を変えようとしたカンナには想いが残っていたんだと感じた。
そして最後にどうなるか聞いた後、
カケルは、2024年の結末を知って、ずっと仲良くしたいと思い続けて行動したんだと思うけど、
結果、2024年にも無にならず、仲良いままいれたのは、
結末を知らないカンナも同じように行動したんだと思うし、
そうなるようにカケルがカンナに仕向けていたこともあったのかもしれない。
死ぬという悲しい結果は変わらないのに、
人生の中身は変わった。
そうありたい。
この映画を好きな人と一緒に見れて良かったです。
松たか子さんが、素敵
どこをしっかり描くか?どこを端折るか?
というところでは、タイムリープものとしては、どうやってタイムスリップして、戻るか?が大切かなと思うので、そこら辺が結構雑だったのが残念でした。そこなんとかできなかったのかなぁと、、。
松たか子の映画として、素敵なら映画であることは間違いないです。
『いつもといっしょ』
駈が出勤する際に交わす何気ない夫婦の会話です
この言葉の尊さを是非劇場で感じて来て欲しい
何気ない日常がどれほど尊い日々なのか、改めて気付かされ後半は涙が溢れ出てくる状態でした。
脚本、演出はもちろんですが、音楽や光の眩さ、自然の美しさ等、本当に素晴らしかったし何より松たか子さん、松村北斗さんのお芝居に魅せらせました。
松さんは言わずもがな、松村北斗さん!
20代から40代への瑞々しさ、純朴さ、慈愛に満ちた穏やかな表情に声、とても胸に来ました。
思い出すだけでも涙腺が崩壊してしまいそう。
今この時に、こんなにも愛おしさの詰まった優しく心温まる作品に出逢えて本当に良かったです。
また観に行きたいと思います。
期待以上でした
坂元裕二脚本で、松たか子さんと松村北斗さん主演でタイムトラベルものとか、もう期待するなと言うのが無理な映画なので、期待ハズレだったらどうしようと逆に不安になっていたのですが、完全に杞憂でした。期待を大きく越えてきてとても良い作品になっていました。
前半は夫を亡くして悲しいはずなのに、松たか子さんの悪戦苦闘ぶりにくすくす笑わされてしまいました。コメディなのかなと思っていたら、後半は今度は松村北斗さんの番。松村北斗さんが泣かせにかかるので大変でした。手紙のシーンは松村北斗さんのあの声と読み方で涙腺が崩壊してしまいました。あまりに良い映画だったので、2日後にもう一度観てきました。もう一回くらい観たいですね
なお、タイムトラベルものとして観るといろいろおかしな点も多いのですが、そういうのは気にせず、松たか子さんと松村北斗さんの夫婦の物語を劇場でお楽しみください。
映画館で観てよかった
「どうしてついてくるんですか…!」
「…妻だから」
このセリフが、射抜かれたように記憶から離れない。
タイムリープが軸となる作品が個人的に好きで、
長年の推しである坂元裕二さんがタイムリープ作品を書くというので公開をずっと楽しみにしていました。
(監督もサントラも主題歌もみんな推しだったので益々期待していた)
何度もスズリカケルの死までのシナリオを変えるべく、15年前と現在を行き来するカンナ。
カケルは自らの死の宣告を受けた日から、カンナを愛せなくなるタイムリミットまでのカウントダウンの日々がはじまったのだ。
それをカンナは知らない。ただ純粋に愛し愛され、円満に夫婦生活を過ごしていた。
彼は15年間の間にいつでもカンナにこの全ての出来事を話すことが出来たはずなのに、それをしなかった。
1日、1日、自分が死ぬ日に近づく中、カンナにそれを諭されずにただ愛していたこと。
当日、彼はどんな思いで家を出たのか。
そんなことを考えていたら、涙腺が弛み、自然と感情が込み上げた。
ふたりは、ずっともっと"愛したかった"
「僕はたとえ死ぬんだとしてもあなたと会えないのは嫌です。」
一度目の死の時、カンナはもう愛せないことを悔やんでいた。
二度目の死の時、カケルはもう愛せないことを悔やんでいた。だが、彼は続きがあることを知っている。
このサイクルの中で、どちらかがどちらかの記憶がない。
だけど愛はある。必ず結ばれる。とんでもないラブストーリーだ。
若くても歳を取っても愛が芽生える。
「好きな人って、いて、見るんじゃなくて、
見たら、いるんだよね」
と過去の坂元裕二さんのドラマ「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」の劇中でのセリフが、今作でもいきていた。
コロッケも、ボールペンを使った例え話も、トーストも、靴下も。
"坂元裕二の本"である代名詞のようなアイテムが盛りだくさんだった。
夏休みの課題で新聞を作っていた子供たちが撮る"写真"が、時空を越える境目、時空を越えたカウントになっていたアイデアに、くうぅっとなりました。
一体どこからそのアイデアが生まれるのか…
とても興味深い。
今作は二度、三度、と何度でも観たい作品だと思ったし、夫婦で観るべき作品なのかもしれないと感じました。
ここからは主観の余談を少し。
松たか子さんは『カルテット』のまきさんと、『大豆田とわ子と三人の元夫』のとわ子。
吉岡里帆さんは『カルテット』のアリス。
坂元裕二さんは"あてがき"(キャストを決めてからセリフを書く)でお馴染みの脚本家さんなので、きっと今作もそのスタイルだったと思うが、
坂元裕二さんを通したキャスト陣の方のイメージが見えておもしろかった(関心した)。
とにかく吉岡さんは少しいじわるで、そしてまっすぐで、自分のやり方で人生を開拓してゆく人。ブレない人。という人物像がしっかり出来上がっているんだろうな。と、前作のアリスちゃんと似たエッセンスを今作でも感じて確信した。
そして、Xなどで散見された今作を見た方のレビューでとても評価の高い松村北斗さんの演技。
彼が坂元裕二さんの作品に出てくれたことに、キャストの発表の時から、坂元裕二さんファンとしても純粋にとても嬉しかった。
彼のナチュラルな表現力のおかげで、すぐにのめり込めたし、そこにアイドルの彼は存在していなかった。
が、やはりアイドル。「これ以上、僕をどきどきさせないでください」を3回おかわりした坂元先生。
あれは間違いなく彼への愛あるアイドルいじりである。
(しかも3回目の時、カンナは携帯電話で録音してた)
きっと一度目の鑑賞では気付かないような細かい演出がわんさか隠れていると思う。
二度目はそれに気付きたい。見つけたい。そう思うのも坂元裕二さんの作品の面白い魅力だと思います。
そういえば、
松たか子さんはこれまで坂元裕二作品の中で、幾度となく身内やそれに等しい人を亡くしている。
先生の中で、松さんのイメージは大切なものを失いながらも自立しまっすぐに生きている女性なのかもしれない。
(今はまだ余韻の中にいるので、また思い出せたことがあればレビューに書き足したいと思う)
p.s.タイムリープの作品は必ずと言っていいほど、主人公が時をかけることに楽しくなり一時期乱用し始める傾向にある。
タイムスリップしてみたい
同じ年代同じ場所にタイムスリップできる
ようになったカンナは毎日様々な作戦を
立てて駆を何とか助けようとする。
時には大失敗、時には告白を受けたり…
それぞれのエピソードがとても面白い。
そんな中で最後に出会った駈は運命を変える
ことなく夫婦愛を大切にして生きる事ができた。
何度もやり直しした甲斐があったね…
松たか子さん、若い時代のメイク?
姿がラブジェネ当時と変わらん…驚愕!
松村北斗くんの40代姿も違和感なし。
二人の空気感がとても良かった。
「シネマの神は細部に宿る」【3月7日再追記】
「私も彼の靴下を履いていました」
⏩️
「靴下だけは丁寧に撮ります」【2月21日追記】
⏩️
「シネマの神は細部に宿る」【3月7日再追記】
🥟🍞👕🍧🌽🧦📆💌🪴
【カケルとカンナの靴下】
この映画の「靴下」は、“愛情”を象徴する小道具として登場します。
恋愛感情と靴下の片方はいつか無くなってしまったり、新婚時代は彼の靴下を二人で履いていたのに、別々に洗濯をするようになったり。
最後のタイムトラベルで、硯駈(松村北斗)に15年後の悲しい未来を伝える硯カンナ(松たか子)。駈の目線がカンナが履いている駈の古い「靴下」に気付いた時、駈の心を動かします。
離婚しようとしていた駈を、カンナはずっと愛していたこと。2人が結婚しないようにしてまで、カンナが駈の命を救おうとしていること。駈は15年後に自分が死ぬ未来だとしても、カンナと結婚生活をやり直す選択をします。
✎____________
【坂元裕二さんのネタバレ】
坂元裕二さんが気にしていた「ネタバレ」ってなんだろう、と考えていました。
映画の宣伝コピー「神様どうか、私たちが結ばれませんように」や予告で、駈が死ぬ未来を変えようとカンナが過去にタイムトラベルを繰り返すことは、既にネタバレされています。
カンナが駈と結ばれる赤い糸を切って、最後のタイムトラベルのために家を出る時、2人が15年の結婚生活を過ごした家の中を見渡すその数秒間に、カンナの想いが溢れていました。
駈の手紙にも、「幸せな15年間でした。君と一緒に食事をすることは、15年前にタイムトラベルすることよりも奇跡でした」と、2人の“日常”が綴られていました。
坂元裕二さんが映画館で観て欲しかった「ネタバレ」は、2人のこの15年への想いと決断なのかなと思います。
✎____________
【塚原あゆ子さんのミルフィーユ】
電車の人身事故は、冒頭のスローモーション、事故現場での遺品回収、血の付いたレシート、脱線事故のニュースなどリアリティがありました。事故の解像度に比べて、タイムスリップが論理的整合性に欠けていて不思議でした。
いつも眠そうにしていたカンナが寝落ちした「夢の中」で、タイムスリップして出会い直した駈と幸せな15年の結婚生活を過ごして、夢から覚めたら餃子を焼く前だった、なのかもしれない…1回目に観たすぐ後の感想です。
2月14日付のORICON NEWSで、塚原あゆ子監督のインタビューを読みました。「“タイムトラベルもの”のミルフィーユ状に重なった可能性」について語られていて腑に落ちたので、一部を引用します。
「過去の出来事は変えられないけれど、違う視点で捉え直すことで、許せることや受け入れられることが増えるのではないか。
たとえば長年ギクシャクしていた夫婦でも、『最初に出会った頃の彼の顔を思い出したら?』と考えることで、違う選択ができるかもしれない。
そういったやさしい決断ができるかもしれない、という可能性を描いた映画です。」
坂元裕二脚本の、『最高の離婚』の細かくて面倒くさい濱崎光生(瑛太)、優しくて冷たい2面性の上原諒(綾野剛)、『花束みたいな恋をした』の元カノが忘れられない山音麦(菅田将暉)。
『ファーストキス』の硯駈(松村北斗)は、彼ら3人の“後悔”も、「ミルフィーユ」でやり直してくれたように感じました。
✎____________
【松村北斗さんの主演男優賞】
ちょうど1年前に公開された『夜明けのすべて』の私のレビューより。
「W主演の松村北斗さんは、旧J事務所というバイアス無しで評価されるべき俳優。演技の仕事に集中できれば、菅田将暉さんや磯村勇斗さんのような俳優を目指せる可能性を感じました。」
SixTONESの活動と俳優を両立させて、20代でキネマ旬報主演男優賞を受賞。『ファーストキス』公開2日前の2月5日午前0時、公式X発表とNHKニュースを見て、驚きとうれしさで深夜に騒ぎました。ほっくん、おめでとう!
✎____________
P.S.
映画館は女性が多く、カップルやご夫婦の姿も目立ちました。一人で来ている男性も何人かいて、この映画を選ぶ男の人って、なんかステキだなと思ってしまいました。
1回目は、映画好きの友達と観に行きました。
2回目は、大好きな人と観に行きたいと思っています。
✎____________
【2月21日追記】
2回目の鑑賞。今日は涙は出ませんでした。ラストの2人のような笑顔で、「ありがとう」と伝えたい気持ちで観ていました。
再々入荷で購入できたパンフレット。オフショット写真集・ハルキゲニア・とうもろこし・花屋・かき氷Tシャツ・餃子・レシート・付箋・カレンダー・手紙・ポラロイド写真…すぐ売り切れてしまう理由が分かりました。
《コラム》に岡室美奈子教授の「夫の靴下を履く女」、《プロダクションノート》に山田兼司プロデューサー・坂元裕二さん・塚原あゆ子監督の「靴下だけは丁寧に撮ります」。
2回目の鑑賞は、パンフレットの「靴下」に泣いてしまいました。
✎____________
P.S.2
『ファーストキス』で思い出した映画が2本。『ラン・ローラ・ラン』と『エターナル・サンシャイン』。
恋人の命を救うため過去に戻ったローラ(フランカ・ポテンテ)が、20分のタイムリミットでベルリンの街を疾走し、スピード感のあるタイムループで変わる運命と3パターンの結末を描いたパラレルワールド。1999年公開ドイツ映画。
ケンカ別れした互いの存在を忘れるために、記憶除去手術を受けた恋人ジョエル(ジム・キャリー)とクレメンタイン(ケイト・ウィンスレット)。「人はナゼ人を好きになるのか」の本質を描いたラブストーリー。2005年アカデミー賞脚本賞受賞、2024年製作20周年記念特別限定上映。
ローラとクレメンタインの髪が同じオレンジ色だったのは、不思議なシンクロニシティです。
✎____________
【3月7日再追記】
「7月10日」の運命が変わっている“可能性”や“希望”を、駈が信じていたという仮説。
最初の「7月10日」では、枯れたままの鉢植えと、「いってらっしゃい」を言えなかったカンナ。やり直した「7月10日」では、自分1人のコロッケではなく、2人の家に置く鉢植えを花屋で選んでいる駈。
「7月10日」に“もし”自分の目の前で事故が起きたら、反射的に助けると考えていたとしても、駈はきっと帰るつもりで家を出たのではないでしょうか。
6月のカレンダーに隠した手紙は突然いなくなった時のための保険、カンナがカレンダーをめくる行為は止まっていた時間を自ら動かすという比喩、その時にカンナの背中を押すための手紙…フォローしているレビュアーさんの解釈です。
映画『花束みたいな恋をした』の坂元裕二脚本に登場する本棚、「シネマの神は細部に宿る」。
ドラマ『アンナチュラル』で脚本の野木亜紀子さんが、「塚原あゆ子監督は“大切な人が遺してくれたもの”のディテールショットが素晴らしい」と、絶賛されていたことを思い出しました。
✎____________
2月13日・2月21日映画館で鑑賞
2月15日★★★★★評価
2月15日レビュー投稿
2月21日レビュー追記
2月25日レビューP.S.2追記
3月7日レビュー再追記
ループし続ける話?
【あらすじ】
主人公の夫は線路に落ちた赤ん坊を助けて自分は死亡してしまいますが、主人公は夫と初めて出逢った15年前の日に戻れるようになり、何度もその日をやり直して、夫が死なない未来を作ろうとします。
人助けをしないよう説得→失敗
線路に飛び降りずに非常ベルを押すよう指示→列車が暴走し大人数が死亡する大惨事に未来が変わる=失敗
通勤しないような仕事に就くよう薦める→失敗
結局、自分と出逢わなければ、転職することもなく、電車に乗らずに済むと思ったところで、彼女のだらしない性格が災いして、未来の日付で自分が死ぬことが書かれたメモが過去の彼の手に渡ってしまいます。
問い詰められ、未来のことを白状せざる得なくなる主人公。
全てを知った彼は、それでも過去の彼女と結婚する未来を選択します。
何も知らない妻と、今度は失敗せず幸せな生活を送り、15年後、赤ん坊を助けて亡くなるのでした。
【あらすじ ここまで】
松たか子の演技力が冴えますね。
松たか子だからこそ、大人かつキュートなキャラになっています。
15歳も年上の女性に出逢ったその日にグイグイくるイケメン学者という設定が不思議でしたが、惹かれる運命という括りなのでしょうか?
とまぁ、そこまではいいとして、夫に言いたいです。
なぜ最愛の人を残して死ぬんです?
15年前に出逢った未来の彼女は、あなたの死を受け入れてキスしたわけじゃありませんよね?
不幸な結婚生活をやり直したかったのではなくて、結婚なんてしなくてもいいから、ただあなたに生きていて欲しかった、そんな彼女の想いを完全に踏み躙っています。
自分がいつ轢死するか知った上で覚悟して生きて行く強さ、実際に轢死しに行く強さ、狂わず平常心を装って周囲に接して生きていく、そんな有り得ないレベルの強靭な精神力を持っているなら、15年の間毎日毎日、誰も不幸にならない未来を考え抜いたと思いますが、その挙げ句の答えが"自殺"なんですか?
ベビーカーに気をつけるだけで、誰も死なずに済む未来があったのでは?
それと、15年前に何かがあったことを匂わせる手紙を残しますか?全然癒やしにならないですよね。幸せな結婚生活だったのなら、尚更救いに行こうと思う性格の彼女では?
あのキスを味わいたいために、彼女にまたタイムリープさせたい、エンドレスにしたいということ?
何度も過去をやり直すことで最上の未来を掴み取るのがタイムリープ物の醍醐味だと思うので、大団円じゃないラストはなんだかなぁという気がしました。
いやあ、よかったです!ご夫婦揃ってご覧ください
個人的な理由でなかなか劇場に足を運べずアマプラ頼りの今日この頃。気がつけば2025年初の映画館での鑑賞がこの作品だったことはある意味ラッキーだったかも?って感じられる作品でした。
最初はドラえもん並みに『タイムふろしき』乱用に苦笑いしっぱなしでしたがいくらすれ違いで離婚してしまった夫婦とはいえ、もともと好きで愛を育んできた二人なので「なんとか命を救ってあげたい」カンナ(松たか子さん)の奮闘努力には頭が下がります。
何度も何度も運命を変えるべく挑戦する姿には「何故生きてるうちにその努力をしなかったの?」とも思いましたが後悔先に立たずってところですね。
前なんかの作品レビューでも書いた気がしますが離婚して随分経ってから旦那さんを亡くした友人の当時の落ち込む姿を今さらながら思い出しました。
何故タイムトラベルしてきたかをバラしたあたりからはシリアスというか心を打たれるシーン満載でした。それまでの流れはアイデアが裏目に出たり、かき氷に並ぶ女の子たちに何度もクレームつけられたりとコメディチックな展開でクスッとする場面がたくさんありました。やっぱり今まさに春のパン祭り中だよねってひとり笑ってしまったり、決してぶつからない朝食時のふたりの見事な動線などさすがです。
名言もたくさん!
「恋愛はお互いのいいところをみつけるけど、結婚はお互いの欠点を探す」
う〜ん確かに言えるけどウチはお互いリスペクトしてるからそんなことはないぞ!と思っているのはこっちだけ?!
「僕をこれ以上ドキドキさせないでください」を何度も言わせたり
「あなたにもう一度会いたいと思ってしまうのは、あなたのことが好きだからだと思う」という駈(松村北斗さん)の意を決しての告白に対し
「この世で一番嫌なのは好きでもない人から好意を寄せられること」と心にもない言葉を言い放ってしまうカンナ!涙が出てきます。
「僕は15年後にまた君と会えるなら、あそこにいる今の君と出会うよ。」キュン死ですね、多分。
松たか子さんが凄い俳優さんであることは前から知ってましたが松村北斗さん、とてもいい雰囲気、間を持った素敵な役者さんですね。出る作品出る作品どんどん実力を上げられてますね!『夜明けのすべて』でも思いました!(見た目はあんちゃん、江口洋介さんの若い頃みたいですが)
やはり「カンチ、〇〇〇しよ!」東京ラブストーリー坂元裕二さん、『檸檬』ロングヒットの「アンナチュラル塚原あゆ子さん、はずしませんね。そういえば遅ればせながら先週観た『わたしの幸せな結婚』も塚原監督でした!
タイムトラベル前の夫婦関係の親友Mくんと後のわが家を見るようでした。
少し倦怠期にさしかかった、逆にラブラブなご夫婦にも是非ご覧いただきたい映画です。よかったです!
今頃カンナはまた、層を超えているのだろうか
カンナも硯もお互いを想っている。だけどそれぞれの(ミルフィーユの)層が異なっていて、その2人が会えればいいな〜と思ったが、そうかあの最後のタイムスリップがその時だったのか、と思い返した。
1回目の時はすれ違ってしまったけれども、最後は2人が笑って15年目を迎えることができた。できれば硯には亡くなって欲しくなかった。しかし、今頃またカンナは層を超えているのかな。
心に残ったのは、「無」に成っているはずのカンナが何度も15年前に行き、去ろうとする硯を追いかけることを「妻だからだよ」と言うシーン。もうこの時には好きではないはずなのに、なぜこんなにも変えようとしているのか。その答えがこの言葉なのだと思う。
残念ながら私にはこのタイムスリップを使えなさそうだ。だけど、15年の時を超えたカンナが教えに来てくれたように思う。
テーマは別のところにある
分かったことは、予告でも頻繁に推していたタイムリープ設定は、この物語を進める上での単なるピースに過ぎず、坂元裕二が伝えたいことはもっと別のものであるということ。
上手く言語化出来ないが、大きな括りで言うと愛の物語。純愛、博愛、自己犠牲。恐らくタイムリープをメインで観に行くとこの作品の本質を見失う。
とはいえ、夫を救うために何度も時間を行き来し、奔走する松たか子は最高にキュートだし、受ける松村北斗も良い。
映像がとてつもなく綺麗だなと思ったら、四宮秀俊だった。さすが。
終盤、松たか子と松村北斗の立場が逆転するシーンがあるのだが、松村北斗が圧巻。
恐らく彼のこの締め括る力が、タイムリープというファンタジーにリアリティをもたらし、説得力を生んでいるのだと思う。
また夜明けのすべてでも感じていたことだが、彼の声は本当に良い。この終盤からクライマックスの手紙のシーンに掛けて、号泣必至。
夫婦はもちろんのこと、カップル、家族、大切な人と一緒に観て欲しい。
松村北斗さんの演技が光る
45歳のカンナがタイムリープし、夭逝する夫の運命を変えようと奮闘するストーリー。
終盤、タイムリープと人生の終焉の秘密を駈に打ち明けてしまうことで、今度は何も知らない29歳のカンナと秘密を知ってしまった駈が結婚生活を送ることになる。
秘密のリレーが及ぼす駈の人生への影響の大きさを考えると、ある意味残酷で。単純に「素敵なストーリー」とすることは出来ないけれど、愛するカンナの言葉に耳を傾け、仲睦まじく同じ食卓で朝食を食べ、寄り添って眠り、カンナが駈の遺影の写真を選ぶ時、笑顔の写真が(きっと)たくさんある、15年間の駈の人生は幸せだったのだろう。
スターのオーラを消し肉布団を巻いて青年〜40代の「駈」を演じた松村北斗さん真骨頂の"静”の演技が今回もキラキラ光っていた。2度目も観てみたい(きっと1度目に気づけなかった仕掛けや散りばめられた小道具たち…がたくさん有りそう)
追記
29歳のカンナさん、懐かしく可愛らしい記憶の中の松たかこさんそのもので、息を呑みました
追追記
若いカンナさんは30歳だったかもしれません🙏
15年後、45歳でしたよね?
心が優しくなる帰り道
公開2日目に主人と観に行って一週間が経ち、
普段は映画は一回観れば満足するタイプなのだが、
じわじわとまたカンナと駈に会いたくなっている。
それほどお二人の演技が素晴らしかった。
駈が亡くなってしまうという未来は変えられなかったけれど、過程は変えることができた。
一緒に向かい合ってごはんを食べて、会話のキャッチボールをして、、
寂しくも嬉しくて、ラストの手紙のシーンは思わず涙が溢れた。
日常の夫婦生活でつい見失いがちな気持ちをあらためて大切にしていこうと思えるとても優しい映画。
出会えてよかった。
全238件中、121~140件目を表示
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。