「夫婦であること、その幸せ」ファーストキス 1ST KISS すみれ7878さんの映画レビュー(感想・評価)
夫婦であること、その幸せ
夫である駈くんの事故死から物語は始まります。妻であるカンナさんとは冷え切っており、彼が事故で死んだ日は離婚届を役所に提出する日でした。愛し合って結婚したのに、時が経つにつれパートナーから同居人になり食卓も寝所も別々に。そして離婚で他人に戻る。この過程は悲しいですね。見ててそうなるだろうなと。
ある冬の日、カンナさんは過去と現在を行き来する方法を発見します。そして過去での行動が少しだけ未来に影響を与えることも。そこから駈くんが死なない未来を作ろうとあの手この手で大奮闘するんです。もう40歳半ばに達しているカンナさん。時には滑稽に、時には大失敗しながら、頑張る姿がとても愛おしいです。
最終的には、彼が死ぬという運命は変えられません。バック・トゥ・ザ・フューチャのようにはなりません。でも、そのことを知った彼が、ほんの少し心がけや行動を変えるだけで夫婦生活自体は壊れないというストーリーで、まずまずのハッピーエンドに仕上がっています。彼のファーストキス(過去)とラストレター(15年後)が美しいです。
夫婦であることの幸せとは、本当に小さなことの積み重ねなんですね。食べるものは違っていても同じ食卓で朝食を取るとかね。確かにそういうことなんだろうと私も実感します。
★良かった点
・場面ごとのセリフ回しが良い
この映画、名台詞がいっぱいあります。ノベライズが出たら買おうかな。私がウンウンと思ったのは「恋は盲目だけれど、結婚したら4K解像度で見れる」ってやつ。私自身、長めの交際を経て結婚しましたが、一緒に暮らし始めた当初はびっくりしてましたよ。こんなことがイヤなんやと。もう結婚してウン10年ですが、もはやできる限り文句を言わないよう注意して暮らしております。「(未来から来た)今の君と会いたいから結婚しよう」というプロポーズも良かったです。
・頑張る松たか子さんがひたすらかわいい
犬にまとわりつかれ、疾走し、古生物学の本を購入し、ロープウェイの駅で落下し、氷屋さんの列の後ろに並ぶ若い女に毒づかれたりしながら、滑稽なまでにがんばるおばちゃん。応援したくなる。
・松村北斗君の演技が良い
死んだ当時の老けメイク。若い頃から離婚寸前の時までの立ち居振る舞い。突然現れたカンナさんを不審に思ったり、「好き」をあふれさせたり、素晴らしい演技だったと思います。
★惜しかった点
・タイムリープの仕組みのわかりにくさ
多分、特定の日に戻って、特定の日に帰ってくる。時間も限定されている。しかし、ちょっとわかりにくい。これが明確であることにストーリー上は大した意味はないので、問題ないとも思いますが、私は明解な方が好み。
・やっぱりスカッとハッピーエンドもありなのでは
これは賛否両論あると思うがアメリカ映画なら駈くんは死なない。私が彼なら状況を事細かに聞いて、事前にベビーカーが落ちるのを防ぐように考える。しかし、この運命を変えちゃうと余韻みたいなのが減ってしまうかなあ。でもね。おじさんは、やはり誰かが頑張ったら、その努力には報いてあげたくなるんだ。大けがして包帯だらけの彼が「ごめん。かっこつけ過ぎちゃったよ」「バカ。どんだけ心配したと思ってんの?」でも良かったと思うんだよ。
・夫婦には子供がいない
子供がいると全く違う視点・感情が生まれるので、この映画とは別物になると思います。これはそういう別作品に期待しましょう。この映画はむしろ純愛もの。そう考えると惜しくはないか。
・音楽...悪くなかったけれど、私はヨルシカの「忘れてください」を推奨します。
総じて見れば良い映画でした。映画館で見られて良かったです。
すみれ7878さん
私のレビューに、コメントありがとうございました
確かに「子はかすがい」という言葉もある通り、双方の血を受け継いた子どもがいるといないとで、夫婦の意味って異なりますよね
子どもを挟むことで、恋愛の続きの夫婦ユニットから、家族ユニットにコンバートする…というか?
それを言うと、子どもが巣立った後の夫婦の変化も恐ろしいものがあり、まさに私はその過程中です(笑)
坂元裕二さんの脚本なので、セリフの応酬が楽しいですね!ほぼ二人のやり取りだけなのに、バリエーションがあって、楽しめました
「カルテット」の松たか子さんと宮藤官九郎さんが演じた夫婦がすれ違う原因が切なくて、こんな原因を思いつく脚本家の視点が恐ろしく、今回のエピソードも脱帽しました
フォローさせて頂きますね
よろしくお願いします🙇
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