「【”結婚したのだから、”その時が来るまで”愛する人とは相手を思い遣り楽しく過ごす事の大切さを描いた作品。”中盤まで何度も時を駆ける松たか子さんの姿を楽しみ、最後半は、グッと来てしまった作品でもある。】」ファーストキス 1ST KISS NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”結婚したのだから、”その時が来るまで”愛する人とは相手を思い遣り楽しく過ごす事の大切さを描いた作品。”中盤まで何度も時を駆ける松たか子さんの姿を楽しみ、最後半は、グッと来てしまった作品でもある。】
ー 鑑賞中、リチャード・カーティス監督のタイムトラベルラブコメディの逸品、「アバウト・タイム 愛おしい時間について」が頭を過った作品である。-
■結婚して15年になるカンナ(松たか子)と、カケル(松村北斗)の毎日の生活は冷え切っており、カンナはカケルに”離婚届を役所に出して来てね。”とぶっきら棒に言うが、会社に行った夫は線路に落ちたベビーカーに乗った赤ちゃんを助けるために事故死してしまい、二度と帰って来なかった。
だがある日、カンナが車を走らせていると、トンネルの中で崩落事故があり気が付くと、15年前の夏に初めてカケルと会った高原のリゾート地に来ていた。-
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・序盤の重い雰囲気から、カンナがカケルの死を防ぐためにタイムトラベルを何度も行う姿が可笑しい。冬服で真夏のリゾート地に現れ、慌ててTシャツを購入したり。
で、カンナは15年前の自分を未だ知らない若き純粋なカケルを見て、二度目の恋に落ちるのである。
・そして、カンナはカケルの事故までの生活パターンをポストイットでポイントを書き込み、”カケル死亡”の赤いラインと”カケル生存”の白いラインに分け、”カケル死亡”のラインの赤いポストイットを一つ一つ潰そうとするのである。
カケルの良く行くお肉屋さんのコロッケを貶してカケルに叱られたり、芝生の上で大嫌いな犬達にまとわりつかれたり・・。
そして、その度にカンナはリセットして、対策を考えて来るのである。犬達に対してはフリスビーを何度も投げたり。クスクス。
ー 一々、カンナが登場するとその姿をポラロイドカメラで”カシャ”と映す女の子と男の子も可笑しいが、カケルが気付いた時にカンナが十何枚もあるその写真を見せるシーンに使うとはなあ、上手いなあ。-
■それにしても、カンナが15年前に行った時のカケルとの遣り取りを見ていると、ヤッパリ二人は相性が良いんだよね。カケルも”何だか貴女だと良く喋っちゃうんですよ。”などと言っているし。
カケルは担当教授(リリー・フランキー)の後援会のサポートで来ていて、教授の娘(吉岡里帆)は、どう見てもカケルの事が好きなのに、全然気が付かないのである。
・ちょっと切なかったのは、カンナが”カケルと出会わなければ彼は死なないのだ。”という選択肢を選ぶシーンかな。けれども、矢張りカンナとカケルは出会ってしまうのである。そして、何度も何度も行列に並んだかき氷屋で漸くかき氷を食べる時に、カケルはカンナが落とした”カケル死亡”と書いてあるポストイットを見つけて、漸くカンナが誰であるのかに気付いて行くのである。
・序盤と再後半に映される”三年待ちの餃子”を竹原ピストルさんが演じる配達員が配達に来るシーンのカンナのリアクションの違いも、”脚本、上手いなあ。”と思ってしまったな。
ー 最初は、”こんな餃子頼んでいたかなあ。”再後半は(自分の死の日時を知っていた)カケルが頼んでくれたんだ!”-
<そして、二人は予定通りに結婚するのだが、二人は朝ごはんは一緒に食べて(でも、カンナはパンでカケルはご飯)、夜はベッドに一緒に寝て、カケルは会社に行く時には”行ってきます。”と振り返ってカンナの顔を見ながら言い、カンナもキチンと”行ってらっしゃい。”と笑顔で言うのである。
そして、カケルが事故で亡くなった後に、彼が残してあった手紙をカンナが見つけ、その内容が流れるシーンには、思わず沁みてしまった作品である。
カケルは、ヤッパリカンナの事を心底愛していた、正義感の強い良い男だったのである。
今作は、結婚したのだから、”その時が来るまで”愛する人とは相手を思い遣り、楽しく過ごす事の大切さを描いた作品なのである。>
共感ありがとうございます。
かき氷の列の直後に並んでた二人組が、知る筈もないのに知り合いみたいになってたのが可笑しかったです。オバさんの事が好きなんだよ!鋭い。