劇場公開日 2024年10月25日

「かわいいは正義」ゼンブ・オブ・トーキョー おきらくさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5かわいいは正義

2024年11月5日
iPhoneアプリから投稿

朝から体調が悪いみたいで、映画館に向かうバスの中で久しぶりに車酔い。
そんな状態で鑑賞したので、途中、女子高生4人が輪になっているところをカメラがぐるぐる回りながら撮影している場面で、危うくリバースして映画館出禁になるところだった。

冒頭、主人公の池園が「欲しいものを全部手に入れようとするのは罪ですか?」みたいなことを言っていたが(うる覚え)、そんな人には2021年公開の映画『プラットフォーム』がおすすめ。
そういう考えが、世界的な貧富の差の拡大を招いているということを、この映画から学んでもらいたいですね。

修学旅行の昼食時、食べたいものがみんな違うからという理由で、女子高生がバラバラに分かれて一人で食事することなんてあるのか疑問。
寂しく一人で食事より、周りに合わせてみんなでワイワイご飯というのが、一般的な女子高生の振る舞いなのでは?
偏見だったらすみません。
まあストーリーの展開上、ここでみんながバラバラになってくれないとこの後の話に繋げられないので、ここは仕方ない。

問題はその後の場面。
みんなで口裏を合わせて、池園を集合場所に一人置き去り。
「いじめ」というワードが脳裏によぎったのは自分だけ?
みんな、それぞれ東京でやりたいことがあるんだったら、池園に直接伝えればよかったのでは?
池園って話せばわかるタイプの人間に見えるけど。
もしかしたら池園に気を利かせたつもりかもしれないが、その結果、修学旅行中に一人放置って、なかなかの残酷ショー。
一人で健気に東京の名所を巡る池園の姿が、『世界名作劇場』の主人公なみの不憫さで、切なくて悲しかった。
あとこの場面は、制作者たちの「一人で勝手に旅行のスケジュール決めちゃう奴ってうざいよねえ」みたいなメッセージが感じられて、不快だった。

この後は、個別にそれぞれの迷惑行為について言及していこうと思う。

まず、アイドルのオーディションを受けようとしている桐井さん。

誰がどう考えても、修学旅行中にやることでは無いと思う。
修学旅行って普通、平日に行われると思うが(休日は人が混み合う東京ならなおさら)、高校生参加可能のオーディションが平日に開催されることってあるのだろうか。

あと、「憧れの人が写ってる写真がないと、オーディション怖くて受けれない」とか言ってる人は、アイドルの世界はいろいろな意味で向いてないと思う。

アイドルのサイン会に行ったことが無かったので知らなかったが、サイン会でファンが突然アイドルに人生相談してもOKなんですね。
それに対するアイドル側の解答が斬新で、度肝抜かれた。

次、憧れの男子の後を追う羽川さん。

あなたのやっていることはストーカーです。
可愛らしい女子がやっているから微笑ましい感じになっているが、男女入れ替えたら相当キモイと思った。

「好きな人に告白するのが修学旅行の定番」という話が、恋愛の星のもとに生まれ損ねた人間にはピンと来なかった。

どうでもいいけど、この学校の生徒は修学旅行中に一人で行動するやつ多すぎ、と思った。
一匹狼タイプの人が多い学校なのかな?

次、推しキャラの限定グッズを手に入れたい説田さんとその一味。

ビデオチャットしながら東京の街中を突き進んでいたが、あれは歩きスマホとは違うのかな?
人がごった返した場所であれをやるのはかなり危険な気が…
堂々と行われていたので、もしかしたら「歩きスマホの何が悪いんじゃぼけぇ」という、監督からのメッセージかもしれない。

「新宿でずっと迷子」というボケをかましていたお嬢さんは、LINEやビデオチャットは使いこなしていたのに、「Googleマップ」というアプリはご存知ないのかな?

行列の先頭でモタモタしている人がいるとイライラしてしまう心が狭い人間なので、UFOキャッチャーでの説田一味の行動はなかなかの蛮行に思えた。
しかも事情を知らない行列に並んでいる客からすれば、知り合いを列の先頭に割り込ませているようにしか見えず、その場にいたら発狂していたかもしれない。

最後、クールな桝谷さん。

この方は何か他に目的があって単独行動をとっているわけではないので、「お前は池園と一緒にいてやれよ」と思った。

お洒落な喫茶店で常連ぶった結果、店員から何度も行動の間違いを指摘されることになり、その姿が痛々しくて可哀想だったが、自業自得なので仕方ない。

喫茶店に一つしかないと思われるトイレに、身勝手な理由でずっと占拠。
臭いものが出そうになっている時にこんなことをされたら、殴ってしまうかも。

「かわいいは正義」ということで、女子高生たちの迷惑行為の数々が不問にされている作りに、個人的には嫌悪感が勝ってしまった。

おきらく