「シンプルイズベストな作品」劇場版プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミク もやっしーさんの映画レビュー(感想・評価)
シンプルイズベストな作品
まずレビューを書くにあたり、自分はプロセカについて知っている事はあまりない事をここで断っておきたい。
知っている事としては、5つの音楽グループがいる事、グループのメンバーはそれぞれ対応したセカイと呼ばれる異空間に行ける事、セカイにはそれぞれの世界観に合わせたボーカロイド達がいる事であり、プロセカの公式HPをざっと見れば分かる事のみだ。
しかし、この映画を見るにあたっては、その程度の知識で十分だった。
理由としては、この映画の主題として描きたかったであろう、「音楽を届けたい」にフォーカスした内容だったからだ。ざっくり要約すると、自分の歌を夢破れた人や挫折した人、今まさに折れそうな人に届けようと奮闘したミクの映画である。
自分が仕事や勉強等で上手くいかない時、ふと流れてきた音楽に心を救われた経験はないだろうか?自分はエレファントカシマシの「RESTART」や「俺たちの明日」に元気を貰ったことがある。
この映画において、ミクが歌を届けたかった人々は、名前の無い、いわゆるモブとして描かれているが、そのおかげで逆に自分が苦しかった頃を投影でき、元気をくれた音楽と出会えた事、その時の感情をふと思い出すことができた。
また、懸命に歌を届けようとするミクの健気な姿にも心を打たれた。正直、追い詰められて余裕の無い人々相手に、あのやり方はまずかったと思うし、実際に失敗こそしたが、その志が本物だった事は様々な人に教えを請いに行く姿から充分に伝わった。
他にも、終盤に5つのグループがミクの歌いたかった事をそれぞれが解釈して曲にして歌い上げるのだが、これも良かった。画面の迫力もさることながら発破をかけるような曲もあれば、辛さに寄り添うような曲もあって、それぞれの音楽観が良く出ていたように思う。
多くの登場人物を出しながらも、ストーリーが散らかる事なく音楽の魅力も引き出して、しっかりとまとめ上げた良い作品だった。
惜しかったところとしては、ストーリーの進行が遅く感じた事だろうか。
自分はプロセカのキャラクターについて理解する為に、前半の日常パート(?)も結構集中して見ていたが、まぁまぁ長く感じた。知らない事を理解しようとしてたので、退屈には感じなかったが、元々知っている人達にとってはテンポ悪く感じるかもしれない。
最後に、評価は3.5が妥当だと思うが個人的に好きな、Orangestarさんの「快晴」が流れたので+0.5しときます。
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