「タイトルなし(ネタバレ)」劇場版プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミク ピータンさんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルなし(ネタバレ)
生粋のファン向け作品なので、プロセカ未プレイユーザーにとっては意味不明な内容だったと思う。まあファン向け作品なら変にそこに尺取らないのは正解とも言えるけど、「誰かの強い『想い』が『セカイ』と呼ばれる異空間を作り出すことがある。セカイの風景はその想いを持った人によって千差万別である」「作中5つのユニットが登場し、それぞれ5つのセカイを構築しており、さらにそれぞれ違った姿と性格のボカロが住んでいる」「歌えないミク(以後、バツミク)も誰かの想いから生まれたセカイに生きていて、〇〇という想いを伝えたい・・・」という世界観の大前提の説明くらいはするのが親切な脚本かなあと思う。多分、その説明があるだけでアニメ映画好きな人なら何となくストーリーを掴めると思うし、プロセカユーザーにとっても、改めてその大前提の説明があるとないとでは、初見時の理解に大きな差ができると思う。序盤が冗長だったと感じる人が多いみたいだけど、それはキャラの切り替えが多いからじゃなくて、バツミクという存在がどういう立ち位置なのかクライマックス近くまで不明でただのプログラムバグみたいに感じられるからだと思う。
と、否定的な部分を先に書いたけどラストのライブシーンは本当に良かった。「壁にぶつかったり夢を諦めた人達の背中を押したい」というバツミクのセカイの想いを5ユニット&バツミクがそれぞれがインスパイアして全く異なる解釈の楽曲で歌い上げる。伝えたいことは同じはずなのに、表現によってここまで違いがでるのかと、ボーカロイドというよりもはや音楽という文化に対して感動を覚えた。作画も序盤は割とキャラの顔が崩壊していた分、ライブ中の作画解放は凄まじく、いいものが見れたなあと思えた。
クライマックスは本当に素晴らしいし、映画としてのメッセージ性も最高。だからこそ、そこに至るまでの過程がファン向け作品だとしても少し雑すぎたなあというのが総括です。