「赦しと救い」グラディエーターII 英雄を呼ぶ声 機動戦士・チャングムさんの映画レビュー(感想・評価)
赦しと救い
理由はどうあれ、ローマ帝国は現存しません。跡地は観光地となり、皇帝の名は、世界史の暗記項目になりました(しかも、もう覚えていない)。ルシアスの想いは、断絶したのでしょうか。ただ、ローマを舞台とした英雄譚は、余多のメディアを通じて、極東の島まで届いています。
結局のところ、ローマの夢って、何だったんですかね。ローマは世界に平安をもたらしたのか、戦災の火種だったのか。◯肉◯食に当てはまる語句は、焼肉定食が正しいと思う私にとって、敗者に憐れみをもたらさない弱肉強食と云うワードは、どうも腑に落ちないわけです。
改めて、ローマの夢って、何なのでしょう。真の復讐は赦しと救いだとしたら、私達はその夢を手に入れるどころか、見ることすら叶わないのでしょうか。先人の夢は忘れられ、世界は新たなる混沌の兆しで鳴動しています。すでにヒトは、世界を消滅させるだけの軍事力を保持しています。場合によっては、意に染まぬ隣国に、死の灰降らせる準備をしている大統領もいます。崩れゆく帝国に、自らの野心を賭けたマクリヌスですが、今、何処にいると思います?。そんなマクリヌスから見たルシアスは、どう映ると思います?。
乱世に終止符を打つのは、マクリヌスの野心なのか、ルシアスの夢なのか、どちらだと、皆様はお考えです?。
ヒトは、恩讐の彼方に、たどり着けると思いますか?
ルシアスの夢を引き継ぐヒトは、誰だと思います?。
皆様の現世の行いは、後世にどんな影響を遺します?。
英雄を呼ぶ声、皆様に届きましたか?。
「我が名はネロ」
リドスコおじさんの映像美には、いつも驚かされます。私達のイメージするローマの凛々しさと禍々しさを、余す処なく映像化してくれます。やはり、映像の天才ですね。ストーリーは意図的に、起承転結を緩やかにしているようです。未来を誰かに託すスタイルも、最近のリドスコおじさんらしいかな?。
で、私が推すローマ物は、安彦良和の「我が名はネロ」。もう1つの「グラディエーター」ともいえるお話ですが、無味乾燥な世界史の授業も、後からこういうマンガ読むと、違ってみえるから不思議です。是非、お試しあれ。
追記)
三國志に法正と云うヒトが登場します。恐ろしく賢いヒトだったそうですが、自分が蜀の軍師になると、それまで自分を蔑ろにしたヒトを、密かに処罰したそうです。これを知ったのが、蜀の宰相、諸葛亮。さて、皆様ならどうします?。
…このクニに新しい法律を作ります。法正さん、貴方の力を借りたい。諸葛亮がそう持ち掛けると、方正は私刑を止めたそうです。自分で作った法を、自分で破るわけにはいかないからね。
皆様のレビューを拝見。大きく分けて、画がきれいで好きと、ストーリーが雑でがっかりの2つになるようです。私も、同意します。たださ、リドスコおじさんの伝えたかったことって、それなのかなぁ~とも、思うわけです。この映画のラストですが、万を凌ぐ益荒男(ますらお)を前に、皆様なら何を話しますか?。いわゆるルビコン川を超えて、賽を投げるわけです。新たなる帝政ローマは、その後どうなる?。
真の復讐は、赦しと救い。
先述の法正と諸葛亮、皆様は、どちらの道を選びます?。
確か、二度ほどルシアスが口にしたような気がします。
これを実践できるのは誰なのか。
実践するのは誰なのか。
英雄を呼ぶ声は、皆様が発するものなのか。
皆様ひとりひとりが受け止めるものなのか。
改めて御考慮願います。