劇場公開日 2002年3月30日

ブラックホーク・ダウン : 映画評論・批評

2002年3月15日更新

2002年3月30日より日劇1ほか全国東宝洋画系にてロードショー

アメリカで平等の理念が最も現実味をおびるのは

ベストセラー「ファストフードが世界を食いつくす」には、世界的な均質化=アメリカ化とは対照的に、ラスベガスは過去10年を、中世イギリスや古代エジプトなど世界中を再現することに費やしてきたという話が出てくる。世界から歴史を払拭し、エキゾティシズムに変える。それは映画にも当てはまる。

ソマリアでの1日にも満たない局地的な戦闘という題材は、歴史を省略する格好の免罪符になる一方で、ロケ地やセット、異境を際立たせる色調、アフリカ音楽を積極的に取り入れたサントラなど、この映画はエキゾティシズムを醸しだすための努力を惜しまない。

そして、いかなる犠牲を払っても仲間を救うというドラマが、アメリカの深層を映しだす。多民族国家で、かつまた貧富の格差を生む不平等な市場主義の国アメリカは、内部に共通のアイデンティティや夢を求められると矛盾が露呈するという難題を抱え込み、これまで外部に敵が登場したり、強引に敵を想定することで危機を免れてきた。そういう意味では、皮肉なことではあるが、いまのところアメリカで平等の理念が最も現実味をおびるのは、どこにもない異境のなかで敵の激しい攻撃にさらされるときでしかないのだ。

(大場正明)

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