パリのちいさなオーケストラのレビュー・感想・評価
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温かみのある映画!
つい先日観た映画の「ボレロ」で始まり、やはりフランス映画でクラシックとなるとボレロか?とややうんざりしたものの、温かみのある映画で、これまでの貧乏からの音楽家のサクセス ストーリーとしては、本当に素晴らしく、良い映画だと思いました 移民・貧乏というハンデを抱えながらも、才能ゆえにパリの名門校への編入が認められたものの、周りの上流階級の子弟の嫌がらせにも挫けずに、夢の実現にまっしぐらに立ち向かって行く、主人公の情熱・熱意に感動し、成功を祈らずにはおられなくなる映画でした 特に、移民の父母の苦労も並大抵ではなかったはずなのに、父母の愛情溢れる育て方や姉妹愛、家族愛、刑務所に行って演奏する等、主人公の他者をも幸せにしようという、愛に溢れる行動に感動しました 全編に流れるクラシックの名曲の数々も素晴らしく、感動の嵐と言っても良い位の映画で、得した気分になりました
チェリビダッケ
チェリビダッケが実名で出ることを知った以外は全く白紙の状態で鑑賞。 チェリビダッケは知る人ぞ知る伝説の指揮者でほとんど録音を残していない。だいぶ以前にNHK BSでチェリビダッケの日常的な演奏活動や指揮法を放送していたくらいで果たして本作ではどうなるかと思ったが、この作品ではその指揮法のシーンをはじめとして見事に晩年のチェリビダッケその人を演じ切っていた。 チェリビダッケは主人公との対話を幾度となく交わしていたが、対話を通じて自分と向き合うことは音楽だけではなく人生そのものである。そこには孤独とは異なる己の世界観がある。チェリビダッケの哲学を映画を通じて味わった感じだ。 ストーリーとしては見応えがある。随所に流れる音楽もこれまた良い、特にフランスもののクラシックは街の風景とも重なる副旋律で、ラストシーンに見事に繋がっている。
どれかに絞った方がいい
2024年劇場鑑賞239本目。 実在の指揮者とチェロ奏者の姉妹の若かりし頃を描いた作品。 この指揮者志望の姉が色々な活動を一度に並行して行ってパンクしそうになっているので、見かねたお父さんが自分のレビュータイトルのセリフを言うのですが、映画としても今何をやっているのか分からなくなる時があって混乱することもありました。指導してくれる老指揮者とのやり取りは良かったです。 音楽映画で良くない演奏といい演奏が素人でも分かる映画はいい映画だと思うのですが(セッションや蜜蜂と遠雷はこちらも聴いていてなんとなく分かった)これは何がだめなの?何がいいの?という感じでした。
映画『ボレロ 永遠の旋律』を合わせ見ると、ザイアの音楽哲学がより良く理解できる
2024.9.25 字幕 アップリンク京都
2022年のフランス映画(114分、PG12)
実在の指揮者、ザイア・ジウアニが楽団を結成する様子を描いた伝記映画
監督&脚本はマリー=カスティーユ・マンシヨン=シャール
原題の『Divertimento』は、劇中でザイアが結成する楽団の名前で、「嬉遊曲」という意味
物語の舞台は、1985年のフランス・パンタン
アブデルマジド(Zinedine Soualem)と妻のリラ(Nadia Kaci)は、双子の女の子を授かり、二人は7歳になっていた
ある夜のこと、クラシックのビデオを観ていた両親にもとに、長女のザイア(Lorena Kaidi、17歳時:ウーヤラ・アマムラ)が起きてきた
ザイアは指揮者の真似事を始め、父は温かい目で見守っていた
それから10年後、ザイアと妹のフェットゥマ(リナ・エル・アラビ)は、地元スタンの音楽院に通い、最終学年にて、パリの名門ラシーヌ音楽院への編入が認められた
友人たちと別れを告げてパリに向かった二人だったが、その音楽院は金持ちの子息が集まっているところで、アルジェリア移民の田舎者は冷遇されてしまう
音楽院のモルチェリー先生(Laurence Pierre)は彼女たちの実力を認めていて、ザイアが指揮者になりたいという目標を持っていたことも知っていた
そこで先生は、来たるコンクールに向けて、エリート院生のランバート(Louis-Damien Kapfer)と楽曲を分け合って参加するように促した
当時のフランスには女性指揮者と呼ばれる人はおらず、ランバートやその友人たちは「女をマエストロとは呼べない」と揶揄する
そうして、練習をボイコットするなどの行為に及び、モンチェリー先生は強く嗜めることになった
ある日、授業の一環でセルジュ・チェリビダッケ(ニエル・アレストリュプ)の講義に参加した院生たちは、そこで彼の指揮者哲学というものを学ぶことになった
ヴィクター(Victor Burgard)は「指揮者の存在理由」を質問し、ランバートは「録音を避ける理由」を訊く
そんな中、ザイアは「作曲家と話せないのに、どうやって音楽の本質を知るのか?」と尋ねた
さらに「指揮者を目指している」と告げるものの、チェリビダッケは「女性に指揮者は向いていない」と一蹴した
映画は、スタン音楽院、ラシーヌ音楽院、ワークショップによる生徒への指導などの多忙を極める中で、さらにチェリビダッケの指導が重なっていく
それらを着実にこなしながら、技術を高めていくものの、一向に「指揮者は孤独である」と感じていた
チェリビダッケは「孤独と感じている間は楽団と一体になれていないが、それを成しえた時には奇跡が起こる」と励ます
この言葉が後半の楽団の野外コンサートにつながるのだが、この言葉以外にも随所に指揮者哲学というものが登場する
その言葉ひとつひとつが大切なもので、それを吸収し、体現していくザイアが描かれていく
また、彼女は自然音のリズムに合わせてタクトを振る癖があって、その習慣が彼女を絶望の淵から救うことにもなる
ワークショップの教室で偶然出会ったディラン(Martin Chapoutot)とその父(Zbigniew Jankowski)とのエピソードなども胸熱で、親子関係に悩みながらも、その愛を感じていくシーンも感動的だった
本作では、主要なキャストも含めて、ほとんどが現役の音楽家であり、それぞれが自身のパートを実際に演奏している
だが、ザイア役のウーヤラ・アマムラは音楽未経験者で、フェットゥマ役のリナ・エル・アラビは元々はヴァイオリニストだった
二人には本物のザイアとフェットゥマが指導にあたり、彼女たちのシーンも実演となっている
このあたりのこだわりが凄まじく、音楽映画としての質を高めていると言えるだろう
いずれにせよ、本作にはモーリス・ラヴェルの「ボレロ」が登場するのだが、この「ボレロ誕生譚」を描いた『ボレロ 永遠の旋律』とリンクする部分が多い
ザイアが自然音に生活のリズムや人生を感じるのと同じで、ラヴェルも「ボレロ」は日常に響き渡る生活の音(映画では工場の規則的な音)がベースになっていると言っていた
この2作の親和性はとても高いので、もし『ボレロ 永遠の旋律』をまだ観ていない人がいたら、合わせて鑑賞することをオススメしたい
フラッシュ・モブ
女性の進出を陰に陽に阻もうとする人が音楽界にすらいる訳だが、これはクラシック音楽が、伝統を守るにせよ打破するにせよそれを理解・習得する事無しには表現できない分野である事と関わっていて一筋縄ではいかない問題だろう。だから、この伝統というものをもう少し掘り下げて欲しかった。 内容はハリウッド風の単純シンデレラ・ストーリーではないし、演奏場面も適度に下手(失礼!)な実演なのが良い。あのチェリビダッケも見た目はブルーノ・ガンツのヒトラーに迫るそっくりさんだし、いかにも本人が言いそうな事を言ってて面白かった(禅を語らせたらもっとそれっぽかったかも)。
24-094
女だからダメなのか、 エリートじゃないからダメなのか、 出自によるところなのか、 誰の心にもあり、耳にすることも奏でることもできる音楽は格式と伝統だけのものなのか❓ 孤独と感じているうちは、 奏者と繋がっていない みんなとひとつになれば 奇跡が起きる 憧れた師の言葉は偉大だ。
いい作品だけど、もったいない脚本の詰めの甘さ
予告篇を観て決めた作品だが、期待値以上の内容だった。 女性指揮者をテーマに作品はTARに続いて2作目だが、実話に驚いた。 作品内容は良かったし、いかに女性指揮者が大変だと言うことをスクリーンから痛感した。オーケストラ設立の大変さやコンクールでの仕打ちなど、差別や屈辱を受けても夢を諦めない二人の姉妹の姿には胸を打たれた。 せっかくいい作品だったのに脚本は、少し詰めが甘い気がした。勿体なさも感じる。実話なのだから。
どうなるか?想像はつきますが、主人公が栄光を掴むには、紆余曲折が。。。
実話を参考にしているということで、どうなるか?想像はつく所はありますが。。。それを加味しても、成功を勝ちとるまでの紆余曲折は観てて、感動🥺泣かずにはいられません🥲
指揮者という仕事が、どれだけ繊細で大変かわかりました。指揮の上げ、下げひとつにも、どれだけのこだわりがあるのかわかりました。しかも、女性指揮者は世界でわずか6%しかいないのに、紆余曲折を乗り越えて女性指揮者として成功する❗️素晴らしい✨アッパレ👑
最後のオーケストラの演奏「ボレロ」めちゃくちゃ感動しました🥺
夢を諦めなかった女性の素敵な物語です
ザイアがオーケストラを設立したのが1998年と言うのだからこの物語はそれより以前の話ですね。人種差別、性差別、階級の不平等など今よりもっともっと差別がきつかったでしょうし、まして移民の子となれば尚更だったであろうと想像がつきます。 どの世界でも「女だから」などと言う不条理があるのは知っていますが、指揮者の世界でもそうだったのですね。 「女性は信念がないから指揮者に向いていない」などと言われ諦めるのなら最初から夢なんか追いません。自分の好きな事の為ややりたい事の為に真剣に取り組んで夢を追うのに男も女も関係ないですもんね。 でも一人じゃない。家族や仲間の存在も勿論ですが、やはりチェリビダッケ先生との出会いは大きかった。 厳しい指導の中でも温かく見守ってくれる師との出会いは運命的な何かを感じます。 「皆と一体と感じられたら奇跡が起こるはずだ」など師の言葉の一つ一つが刺さります。 それとやはり音楽が素晴らしいです。 主要キャスト以外の配役は現役の音楽家たちを起用していると言うことで、クラシックの数々の名曲に魅了されます。 世の中の不条理な事や理不尽な事は無くなることはないのかも知れないけれど、寄り添ってくれる人たちだってきっといる。 くじけそうになったら今度は周りが力をくれます。 人と人の出会いの不思議さとその大切さ。好きを貫く努力と勇気。 目指す道を諦めず、音楽と懸命に向き合う姿は美しかったです。 ラストの青空の下での演奏は何と素敵なシーンでしょう。 いい映画を見ました
期待度○鑑賞後の満足度◎ 小品だけれども観て良かった。泣きました。正確には『“サン=デニ”(ド・ゴール空港のある所)の小さなオーケストラ』だけれども、“パリ”にしとかないと客来ないんだろうなあ。
①音楽に関しては全くミーチャンハーチャンのファンで楽譜も読めないし管弦楽器の区別も付かない。 だからクラシックを題材にした映画は敷居が高いんだけれども、本作は家族愛、姉妹愛、人間愛を散りばめた人情劇として巧く出来ているので、そんな私でも楽しめました。 ラストは勿論、児童施設での子供達によるミニオーケスラの演奏シーン、刑務所での演奏シーンにもホロリと来てしまった。 ②本作ではそれ程シリアスには描かれていなかったけれども(山の手民が下町民を見下す、金持ちが貧乏人を見下す、エリートが非エリートを見下すのはフランスでも同じだな、という描写は多々あったけれども)、マイノリーで且つ経済的にも恵まれていない女性が成功するのにはかなり苦労があったのだろうと想像できる。 ③主役の女の子、本作を観ている間、誰かに似ているなぁ、とずっと思っていて後半で気付きました。ジェニファー・ローレンスに似てるんだ。妹役の女優さんはブルック・アダムス似かな。
敬意を忘れずに
パリの名門音楽院に編入した地方出身の指揮者志望の女性が奮闘する話。 チェリストを目指す双子の妹と共に編入したら、自分をセレブと勘違いしたセレブの子どもだちたちや自己評価の高いアッフォな学生たちに馬鹿にされ、指揮の授業でもまともに演奏してもらえず…。 特別授業で世界的指揮者に認められたことで少しは前に進んだ感じもあったけれど、学院のアッフォは相変わらず? とりあえず奢らず真面目に謙虚にコツコツね。というのをみせていくドラマで、これといって意外な感じもなければ大きな波もないけれど、まあ面白かったかな。
人が音を紡ぐ、音が人を繋ぐ
皆と演奏を重ねて、師から指導を受けるにしたがい、指揮者としての顔つきが変わっていく。師の言葉の一つ一つが音楽の、オーケストラの理解を深めてくれる。 やはりボレロには人を惹きつける魔力がある。 話として軸がどこか分かりにくかった。
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