「たと〜えテンポが悪くとも〜、たと〜えツッコミ多くとも〜 ♪」ボルテスV レガシー おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
たと〜えテンポが悪くとも〜、たと〜えツッコミ多くとも〜 ♪
昭和時代の日本の名作ロボットアニメ「超電磁マシーン ボルテスV」が、フィリピンで絶大なる支持を得ていたことは知っていました。その後、フィリピンで2023年に実写版テレビシリーズが製作されたらしく、本作はその劇場版です。まさか令和の時代に日本凱旋を果たした名作にまた会えるとは感無量です。期待に胸を膨らませて公開初日に鑑賞してきました。予想どおり観客の大半は中高年の男性でしたが、客入りは悪くない印象でした。
ストーリーは、地球侵略を目論むボアザン星のプリンス・ザルドスが率いる軍団の襲撃から地球を守るため、この日に備えて訓練を重ねてきたスティーヴ、ビッグ・バート、リトル・ジョンの3兄弟と、マーク、ジェイミーの5人は、極秘に開発が進められていた5機のボルトマシンで出撃し、合体して人型ロボット・ボルテスVとなって、敵の繰り出す大型ロボットに挑むというもの。
熱い!熱すぎます!まずは、約半世紀の時を超えて本作を制作してくれたことに敬意と感謝を申し上げたいです。その深すぎる愛が溢れまくっており、往年のファンなら感動に咽ぶ泣くシーンのてんこ盛りです。日本のアニメにどこまでも忠実で、ボルテスチームはキャラ設定から外見までしっかり寄せていて、コスチュームはデザインもカラーもバッチリです。基地である大鳥島のビッグファルコン、基地内でのボルテスチームの出撃シーン等も、見事に再現しています。劇伴に関しても、そのほとんどをオリジナルのEDアレンジを使用するというこだわりぶりで本当に頭が下がります。
極めつきはもちろんボルテスV!各ボルトマシンの原作のフォルムはそのままに細部まで徹底的に描き込み、メカメカしさと重量感を醸し出しています。その圧倒的なカッコよさにため息が出ます。中でも、“ブイ・トゥギャザー!”の掛け声から始まる合体シークエンスは、Vフォーメーション、操縦桿の変形、各機のドッキング、内部ギミック等、カット割も含めて完全再現!しかもバックにはボルテスVの歌が日本語で流れるというこだわりとリスペクト!このシーンだけでも本作を見る価値が十分にあります。合体後は、バズーカ、超電磁ゴマ、天空剣、Vの字斬りなど、武器も技もすべて再現しており、非の打ちどころなし!
こだわりは敵側にも及び、キャラもメカも当然のように完全再現されています。中でもスカールークがカッコいい!あの斬新なデザインが、フルCGでさらに魅力アップしています。ここまできたら、キャラ名もオリジナルどおりでよかったのではないかと思うのですが、プリンス・ザルドスって!? そこはハイネルでしょうが!とついツッコミたくなります。
本作は全90話のテレビシリーズをベースに製作されており、オリジナルアニメの第1.2話に相当する内容です。そのためストーリー的には、大河ドラマのような原作のプロローグに過ぎません。つまり、1本の劇場作品でありながら、無理に話をまとめようとせず、そのストーリーさえオリジナルに忠実に沿って展開しているのです。ここにも、こだわりと潔さを感じます。
ただ、ここまで純度100%の愛に満たされた作品なのに、話がおもしろくないのはどうしたことか…。率直な印象としては、まずテンポが悪いです。緩急のつけ方に間延びを感じ、気分がイマイチ上がりません。また、映像に対して音がチープで、恐怖や緊迫感が伝わりにくいです。特に、街や基地が攻撃されるシーンでは、音の迫力が絶対的に不足していると感じます。また、一般人の描写があまりなかったり、基地内の人々が悠長に構えているように見えたりしたのも残念です。加えてツッコミどころも満載で、合体後の前方視界しかないコクピット内でスティーヴが何度も後方を振り返ったり、バリアで基地から締め出された母がいつの間にか基地内に搬送されたり、ホログラムの軍長官がモニターに視線を向けたり、博士である母が突然戦闘機を操縦できたり、戦闘中の僚機が司令部を介しないと通信不能だったりと、もうガバガバです。しかし、これらの大半はオリジナル通り、つまり愛ゆえのツッコミどころなのです!
しかし、どうしても残念だったのは、テーマ曲を歌っていたのが堀江美都子さんではなかったこと!マジで残念!ここは外してほしくなかったです。あと、できればエンドロール中は、水木アニキのEDを流してほしかったです。もし続編があるなら、テンポのよい編集とオリジナル曲の使用を含めた音響のテコ入れで、さらに素敵な作品に仕上げてほしいです。てか、続編希望です!そして、他の名作アニメも、今度は日本で実写リメイクしてほしいです。
というわけで、最後は主題歌にのせて締めさせてください。
たと〜えテンポが悪くとも〜、たと〜えツッコミ多くとも〜
受け取ろう深すぎる愛を 届けよう心から謝意を〜♪
吹替版のキャストは、小林千晃さん、金城大和さん、花倉桔道さん、小市眞琴さん、中島愛さん、諏訪部順一さん、飯田里穂さん、堀江美都子さんら。中島さんや堀江さんの起用にも、リスペクトを感じます。
共感&フォローありがとうございます。
本当に愛に溢れているのになぜか面白くないと歯がゆい思いをしました。
オリジナルを見てみたらその場の勢いと後で説得できるような画面作りをされており、目から鱗がボロボロと落ちていきましたw
避難する一般人も描かれていましたし…。
報道では堀江美都子さんがレガシーでEDをカバーしたというインタビューがあったので、MXでの放送ではミッチーの歌声が聞けるはずだと私は期待しています。
望みがあるとすれば、
イタリアでヒットの鋼鉄ジーグ、フランスでヒットしたUFOロボグレンダイザーか、今回味をしめたフィリピンが闘将ダイモスの実写化(ちょっとできてる)ぐらいでしょうか。
残念ながら今の日本には熱量も予算もない…
ジャパンプレミアでの白倉プロデューサーの話もどことなく他人事で、日本のクリエイターの意識が低いことがよくわかります。
トップがこれでは…
コメント返信ありがとうございます。
全くの余談ですが、まさか「無敵超人ザンボット3」が出てくるとはビックリしました!自分も大好きな作品で、最も実写化を望んているロボットものの作品です。面白いですよね。誰か作ってくれないかな。3部作とかで・・・
すかちんさん、共感&コメントありがとうございます。
本作のレビューを上げておられないようなので、こちらに返信いたします。
当時の子ども向けアニメしてはシリアスだと感じたのですが、大人になって観るとまた違った印象になりますね。特にアニメなら気にならなかった演出も、実写となると途端に違和感が生じることもありますよね。おっしゃる通り、「オリジナルに忠実すぎるのも弱点」だと思います。
ゆうさん、共感&コメントありがとうございます。
そちらにコメントできなかったので、こちらに返信いたします。
おっしゃる通りで、私の好みを見抜かれていて、恥ずかしいやら嬉しいやらです。
作品としての出来はイマイチですが、裏設定を脳内補完してツッコミどころは妄想で埋め、思い出補正で評価は上方修正してしまいました。笑
共感ありがとうございます。
音楽で言えばジャラララ、ジャッジャッ♪のBGMが最初から使われ、ボルトインで最高潮でしたね。
こういう企画はシンシリーズとは真逆ですね~ほぼ完全再現。