ウルフズ

配信開始日:

ウルフズ

解説・あらすじ

ジョージ・クルーニーとブラッド・ピットが「バーン・アフター・リーディング」以来16年ぶりに共演し、同じ事件現場で鉢合わせした2人のフィクサーの共闘を描いたクライムアクション。

重大事件を隠蔽する裏社会のもみ消し屋=フィクサーのジャックは、ある男を始末する依頼を受ける。早速現場へ足を運んだものの、そこへもう1人のフィクサーであるニックが現れ、なぜか同じ依頼を受けていたことが判明。これまで一匹狼として暗躍してきたジャックとニックは渋々ながらも2人で仕事に取り掛かるが、死んだと思われていたターゲットの男が生きており、逃げ出してしまう。慣れないタッグでターゲットを追ううちに、彼らは謎の組織の犯罪に巻き込まれていき……。

慎重派のジャックをクルーニー、行動派のニックをピットが演じ、「ゴーン・ベイビー・ゴーン」のエイミー・ライアン、「ケミカル・ハーツ」のオースティン・エイブラムスが共演。トム・ホランド主演版「スパイダーマン」シリーズのジョン・ワッツが監督・脚本を手がけた。Apple TV+で2024年9月27日から配信。

2024年製作/107分/アメリカ
原題または英題:Wolfs
配信:Apple TV+
配信開始日:2024年9月27日

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映画レビュー

3.5ブラピ&クルーニーファンは必見、イケオジツンデレバディの始まりの話

2024年9月28日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

 女性検事長がチェックインしたホテルの一室に倒れた若い男性に、既に脈はない。検事長は慌てて、信頼できるツテから聞いていた「片付け屋」を呼ぶ。颯爽と現れたベテランフィクサー。ところがそこにもう1人、同じ「仕事」をしにきた男が現れて……

 ブラピとクルーニーが一匹狼的片付け屋を演じるというだけで、ビジュアルつよつよなのはもう折り紙付き。闇稼業らしく黒ずくめのファッションに身を包んだ2人が並ぶだけで、もう映画だ。一方物語の展開はハードボイルド系ではなく、小洒落たコメディと言った方が近いかもしれない。

 のっけから死体になったかと思われたオースティン・エイブラムスが息を吹き返し、想像以上に走ってしゃべる。彼の逃走シーンと、片付け屋コンビに捕まったあとの要領を得ないしゃべりが長いのはブラピたち同様こちらまで辟易したが、そんな彼が友人から頼まれた荷物(おクスリ)の受け渡しを完遂させようと、2人は反発し合いながらも行動を共にすることになる。
 互いの名前も知らない2人だが、会話はよくハモるし、危機的シチュエーションでの状況確認はツーカー。長年組んだバディのようなコンビネーションだ。
 色々と設定のユルさを感じる部分もあるし、敵役も正直インパクトは薄いが、本作は言ってしまえば、2人のイケオジの微笑ましいマウントの取り合いや、相手に反感を持つのに気が合っちゃうツンデレ的尊さを愛でる映画。
 2人がパーティー会場でとっさに銃を向け合うシーンなんか、あの絵面を見せるための脚本だろう。でもいいんです、カッコいいから。

 しかしまあブラピとクルーニー、60歳と63歳とはとても思えない。若く見えると言うより年齢不詳。加齢による寂しい衰えではなく、長期熟成のウイスキーのような深みのあるいい男っぷりだけが増していて、またこの2人の個性の組み合わせの妙というものもあり、大変眼福でございます。老眼鏡をかける姿まで様になる。
 ストーリーは軽めで、続編が決まっているということを念頭に観ていると何だかシリーズの導入部というか、前日譚のようでもある。それでも、ブラピとクルーニーに好感を持っていれば十分に楽しめる娯楽作。

 それにしても返す返す、劇場公開が中止になったのは残念だ。
 その理由について公式からの説明はないが、ネットニュースなどではApple Original Filmsの直近の作品の興行収入が国内外で振るわなかったからだとか、Apple TV +の加入者数が伸び悩んでいるので(1ヶ月の視聴者数がNetflixの1日分にさえ及んでいないというデータもあるそうだ)、投資効率の悪い(Apple的には)映画館での上映よりApple TV +に観客を直接誘導する方がコスパがいいという経営判断があったからとか言われている。
 それでも、一度は劇場公開を予告し、前売券を売って劇場でも予告をがんがん流しておいてからの方針変更は正直、映画ファンにとっての印象は最悪。この流れで加入者を大幅に増やせるかというと、ちょっと疑問だ。

 業界の覇者Netflixはオリジナル作品をぽつぽつ劇場公開して、映画館好きにも目配せをしているのだし、Apple Original Filmsも劇場公開を諦めないでほしい。ブラピとクルーニーがわちゃわちゃする話はいくらあっても困らないので、続編に期待している。

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ニコ

3.5小品ながら巧妙な掛け合いを堪能

2024年11月30日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

ジョン・ワッツ監督はスパイダーマン映画に抜擢される前に軽量級の良作『コップ・カー』で広く認知された人。だからこそ『ウルフズ』へのコミットメントが発表された際、私は同じ妙味へのカムバックを期待した。結果から言うと、期待値を突き抜ける快音とまではいかないが、少数精鋭のキャストの味わいを適度に凝縮させた手堅い一作であるのは確かだ。その中心に据えるべき必要不可欠なレシピは、一眼でただものでないこと、プロフェッショナルであることを納得させうるスター俳優二名様。彼らは自らが唯一無二であると主張しながらも、やることなすこと表裏一体なのだから面白い。ある意味でブラピ&クルーニー版『Mr.&Mrs.スミス』のように思えたりも。二人の巧妙な掛け合いを見つめているだけで108分は小気味よく過ぎていく。劇場に比べて気負いなく観れるストリーミング公開は、作品のリラックスしたムードともいささか相性が良いように思えた。

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牛津厚信

4.0ジョージとブラッドのイケ親父アピールも許せる範囲内

2024年9月30日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

楽しい

重大犯罪の現場に駆けつけて事後処理をするのが専門のもみ消し屋。この既視感がありそうでなさそうなキャラクターを、なんと贅沢にもジョージ・クルーニーとブラッド・ピットが演じる。しかも、現場で鉢合わせした2人が互いに相手をディスりながらも待ち構える想定外の危機をギリギリで回避して、最後はダメ押しの・・・が用意されているのだから、劇場公開だろうが配信ストレートだろうが観ないわけにはいかない。

2人が巻き込まれる死体処理からの麻薬カルテル問題へと急展開は、若干脚本の整理が悪くて戸惑うが、気がつくとジョージとブラッドの2人芝居に引きずられている自分に気づくはず。仕事に対するスタンスは対照的でも、寄る年波には勝てない2人が見せるふとした仕草は、狙ったものとはいえグッとくる。かつて、最もセクシーな男の称号を奪い合った彼らの、「それでも俺たちイケてるだろ?」的アピールも許せる範囲内だ。

ゆくゆくは、バディムービーからブロマンスな犯罪コメディに成長して欲しいが、昨今の映像ビジネスの変容ぶりを考えると先行きは不透明だ。

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清藤秀人

3.51day 1万ドルのカメラ

2025年3月14日
iPhoneアプリから投稿

シナリオは非常によく練られており、
全体としてはしっかりとした構成が感じられるが、
ユーモアを交えたテンポに関しては、観客によって好みが分かれる部分もあるだろう。

特に、ブラッド・ピットとジョージ・クルーニーの息の合ったやり取りや間合いは、
観客によっては強く共感し、
楽しめる一方で、
少しノリきれないと感じる人もいるかもしれない。

印象的なのは、二人の共演が生み出すユニークな間合いと、
青年がライオンやキリンにじっと睨まれたまま長回しで見せるシーンのように、
さまざまなシーンでニヤリとさせるシークエンスが多い所だ。

しかし、特筆すべきはやはり映像面の完成度だ。

特に撮影と照明は映画全体において圧倒的な存在感を放っている。

カメラワークは単にアングルやカットの切り替えにとどまらず、
空間の使い方やシーンの流れを意識的に細かく作り上げている。

雪景色を全景で捉えたショットでは、
舞い落ちる雪が、
時間の経過と共に美しく積もっていく様子が見事に描かれている。

その細部まで丁寧に映し出されることとは裏腹に、
物語はバイオレンスシーンが容赦なく展開され、
そのコントラストのユーモアもノレるノレないの分かれ目だろう。

また、光源に街灯を使用したシーンでは、奥行きのある、
緩やかで自然なライティングが印象的だ。

この照明の使い方は、単なる技術的なものにとどまらず、
シーンごとの雰囲気を巧みに表現しており、
物語の進行に対するアンビバレントな感情的な影響をもたらしている。

また、二人の会話シーンでは、
カメラが寄りに切り替わるタイミングやサイズが絶妙で、
場面ごとにその空間をどう見せるかという工夫が感じられます。

Aカメオペレーターが、
ステディカムを兼任、

ファントムカメラ(30倍までスロー撮影可能)は、
別の技術者。

ちなみにファントムカメラは、
専門オペレーター、
機材レンタル、各種周辺機材、
特殊な照明機材、電源車等々で、
1day、1万ドル程度必要な最も高額な撮影費用の、
パターンの一種だ。

そして撮影監督(D.O.P.現場ではDPと呼ばれるケースが多い)は、
アカデミー作品賞エブエブで知られるラーキン・サイプル、
彼の高い技術は本作にも色濃く反映されている。

彼の繊細でありながら大胆なデザインは、
映画のビジュアルに深みと魅力を与えており、
今後は多くの映画監督が彼を求めることだろう。

撮影監督と監督の役割について言えば、

基本的なカット割りに関しては、

監督が決めるチーム、
DOPが決めるチーム、
作品、メンバーによってさまざまだが、

本作ではジョン・ワッツの演出と、
ラーキン・サイプルの絵作りが見事に融合し、
素晴らしい化学反応を生み出している。

ただし、主演のブラピとクルーニーが作り出す強烈な存在感が、
時に映画全体に浸透しすぎている面も見受けらる。

二人のパフォーマンスは本作において大きな魅力の一部ではあるが、
その個性が物語を時には過度に支配してしまっている印象もあり、
良い意味でも良くない意味でも、映画全体に一定の影響を与えているように感じる。

まとめると、

本作は非常に完成度が高く、映像、演出、パフォーマンス、
すべての要素が緻密に作り込まれている。

特に映像の美しさとその細部にわたる工夫は、
長く記憶に残る作品となっている。

先細る今後の映画業界で、
注目されるべき監督やスタッフが集結したことが感じられる、
非常に魅力的な作品ではある。

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蛇足軒妖瀬布

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