十一人の賊軍のレビュー・感想・評価
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勝利者などいない
東映の時代劇
時代劇の中でも東映の時代劇は
・エンターテイメント全振り
・歴史考証なんざ知らん現代的ムード
・迫力重視のブレッブレのカメラワーク
・血みどろの斬れ飛ぶ腕や足などの残酷描写
・個人描写より命令に従って死んでいく登場人物
などの思い切った作風が特徴
これは基本的に勧善懲悪の時代劇しか
なかった時代に任侠映画等で勝負してきた
東映が時代劇でも同種のスタイルで
映画作りをしてきたところ
そしてこれは時代劇がどんどん
テレビ放送に移行していき
斜陽にあった時代劇映画を
再興させるための打開策で
あったとも言える
で今作は
「日本侠客伝」「仁義なき戦い」などの
脚本を書き上げた笠原和夫が
戊辰戦争で藩に官軍を食い止める
ためだけに新発田藩の罪人が駆り出される
「十一人の賊軍」のプロットを蘇らせたもの
この脚本は結末の展開に
当時の東映社長・岡田茂が激怒し
第1稿350枚が破り捨てられ
残っていなかったとか
このエピソードを知った
「碁盤斬り」「孤狼の血」等の
白石和彌監督が現代に合うよう
メガホンを取った作品
さてその結末はどうだったか
前述したような東映エッセンスを
ふんだんに組み込みながら
ド派手に散っていく罪人たちと
精錬に藩の為に散っていく者
迫力満点でした
東映の剣会の殺陣はあの
張り詰めた空気感まで伝わってくる
ようでした
人物描写が弱い
感情移入できない
という感想もよく見ますが
そんなもんいらないのです
ただ「使い捨ての罪人たち」
でほぼ全員死ぬからです
確かに最近
人の道を外れた者たちの
彼らにも事情があるんだ!
みたいのをジャンプ漫画でも
色々見ますがそこってあんまり
必要ですかね
バトル漫画で戦いの虚しさ
とかをやたら出してくるの
正直げんなりうんざりしてます
この映画みたいに
新しい時代に生きる新政府と
それまでの社会を作ってきた
徳川幕府が日本人同士戦って
決着を付けなければいけなかった
戊辰戦争
これ以上の虚しい戦いは
ないわけでですから
この映画は新発田藩の家老
溝口内匠から剣士鷲尾兵士郎
まで自分の立場に囚われて
戦っていきます
それでいいのです
作中の描写だけで
だいたいわかるくらい
配役で使い分けされています
山田孝之演じる政なんか
超わかりやすい
別に主人公ではない
新発田藩は憎んでいるし
隙あらば官軍に寝返る
1人でも逃げたら全員無罪放免は
ナシという条件は後に
嘘八百であることが
バレますが
そもそも罪人同士が自ら
協力する義理はない
展開が進むと自然と
結局そうなっていきますが・・
あとほんとね
仲野太賀素晴らしい
お父さんもまだバリバリ
だけど二世俳優ほんとすごいよ
個人的には期待通りの
東映時代劇感満載で満足でした
血肉飛ぶ娯楽映画
今まさに自藩の家老に斬りかかろうとする足軽、鷲尾兵士郎(仲野太賀)が、憤怒の鬼と化して叫ぶ。
「俺は11人目の賊だ!」
この映画の「義」の完成と言える場面。
仲野太賀の迫力に感動した。
しかし義というものは、いつの時代も政治やエラい人に踏みにじられるものなのです。(という最後に繋がっていきます)
登場人物10人の賊は、それぞれ個性的でおもしろい。
妻を手篭めにした侍を殺した政(山田孝之)、
医者の勉強がしたくてロシアへ密航しようとしたおろしや(岡山天音)、
檀家の奥さんと密通した坊さん引導(千原せいじ)など、
悪いと言えば悪いが、仕方ないといえば仕方ない、情状酌量の余地がある罪人ばかり。
政治がよければ犯さずに済んだ罪もある。
10人全員の過去が語られるわけではないが、
そこは推して知るべし。
全員根っからの悪いやつではないと思わせてくれる。
いや、だんだん彼らこそ人間として正しいように見えてきさえする。
この11人(罪人10人足軽1人)で砦を守る戦いをするのだが、戊辰戦争の東北は、なかなかわかりづらい。
2022年公開の役所広司主演映画「峠 最後のサムライ」も戊辰戦争の東北が舞台だった。
こっちは長岡藩の街も民衆もついに戦火に覆われた。
しかし歴史的には、新政府軍のターゲットは長岡でも新発田でもなく、元京都守護職の松平容保がいる会津。
松平容保は、鳥羽伏見の戦いで幕府軍が負けると、さっさと京都から会津に逃げ帰っていた。
新発田藩としては、どっちにもつきたくない戦いたくない、来ないでお願い〜って気持ちかもしれない。
藩主も若くてオドオドしている。
だから家老溝口内匠(阿部サダヲ)みたいな存在が必要になる。
この家老が大変イヤなやつ。
卑怯。
卑怯という言葉がぴったり。
自分の考えばかりが正しいと思う政治家。
人を使い捨てにする、嘘をつく、他人の命はゴミより軽い。
でも結局、最後の最後には、同盟を裏切ったおかげで新発田藩は戦火を免れ、民百姓は殿や家老に感謝するという幕切れになっていた。
…この最後のシーンに複雑な思いを抱いた。
歴史的事実とはいえ、阿部サダヲには最後の最後まで卑怯で腹黒で、憎まれものでいてほしかった。
同盟を裏切ったのも、賊たちを使い捨てにして殺したのも、みんな民百姓を守り国を守るため致し方なかったのだというふうに見せてほしくなかった。
善人面するなコラと思った。
ずっと卑怯で腹黒いイヤな奴でいてくれればよかった。
死んでいった賊たちを思えば、いたたまれない。
阿部サダヲの娘が自刃したのも、砦で死んだ恋人、入江数馬(野村周平)のあとを追っただけではなく、父の卑怯な行いを知ってからの絶望の自刃にしてほしかった。
「すまなかった」と娘の亡骸に向かっていう言葉も薄っぺらい感じがした。
もっと後悔しろ!と思った。
(もう溝口家老と阿部サダヲの線引きがなくなってる!笑)
★いかさま賭博師の赤丹(尾上右近)は魅力的だった。
声もいい。甘さと精悍さが両立してる。
★謎に腕が立つ爺っつぁん(本山力)もカッコよかった。
「元毛利家槍術指南役」と、最後の斬り合いの場面で明かされる。
やっぱりねーっ!そうだと思ったー!かっこいいー!と、心の中で喝采。
★血も首も肉片も飛びまくる。
斬り結ぶ敵味方の真っ只中にいるような実在感ある戦闘シーンは見事
★ゆりあんリトリィバァの登場は何なんだ?あそこで映画への没入感が一気に引いた。
★娯楽映画として見よう。
良い作品になる可能性がいっぱい詰まった「佳作」
言いたい事は山のようにあるのだが、悪い作品であったかと言えば「否」
ただ、少しずつ「惜しい」が重なって、評価としては佳作どまりだった・・・
11人の賊たちの個性の表現、溝口家老の鬼気迫る感じの演出、脚本が「違う」感(阿部サダヲさんは最高なのだか彼の眼力やお芝居だけではカバーしきれていないのが残念)
原油はあんな燃え方しないのにとか、いつの間にか鉄砲隊が全くいなくなるとか
大砲は山道は運べないのにとか、ナダルだけはどうしても違和感しかなくて受け付けなかったとか・・・はみんな横に置いてもね
でも、官軍の将、二人と対峙する長州藩士の最後の殺陣や仲野太賀さんのラストの立ち回りとその絶命した時の表情は最高だった
あと、鶴瓶さんの息子さんは最近どんな役も見事こなしていて実は密かに「推し」である
あと、砦のストーリーはフィクションだと思うが奥州小藩新発田藩の辿った道は史実通りなのでこれで歴史に興味持った方は是非そちらの世界へもどうぞ
幕末エクスペンダブルズ
時代が大きく動いた幕末。
〜勤皇の新政府か幕府を助ける佐幕か〜
越後の一藩、新発田藩も難しいかじ取りを強いられた。藩論は早くから勤王にまとまっていたが、佐幕諸藩に包囲された状態にあり、同盟軍の圧力によりしぶしぶ奥羽越列藩同盟に参加することに。
しかし実際戦列には参加せず、出兵には応じるなど慎重に行動しつつ、新政府軍と連絡を取り合い、新発田に上陸すると直ちに同盟を離脱した。
これが奥州戦争の帰趨を決め、歴史に「新発田の裏切り」と呼ばれる出来事になる。
(新発田藩からすると裏切っていないが)
この間の権謀術数の駆け引きは、やはり史実の方がおもしろい。
長い割にスッキリしない。
ちょっとフィクションすぎた印象。
新発田城下を戦火から守るため、新政府軍と同盟軍が衝突しないよう、同盟軍が新発田を出るまで要の砦を守りきれば無罪放免とする言い渡し。
時間稼ぎに罪人を使う時点でコレあるか?と思うが、ここまではまぁ面白い感じ。
後にこの無罪放免が嘘で「守っても守らなくても処分」ということがわかるが、コレをひっくり返さないのが残念なところ。
十一人が賊軍として同時に揃わないので、なんだかなぁ…(八犬伝のあとだから余計に感じる)
しかも各キャラが薄いので感情移入しにくい、登場時に字幕でキャラ名出してもらいたかった。
御家老、
処分の仕置きは逃がしてもよかったのでは?
首なんか似た奴でいいのでは?
銃で解決するところも小物感。
同盟軍を煙に巻いた策士はどこへ?(怒)
最終戦は剣の勝負で家老斬ってもよかった。
(史実上生存した人物は殺せないのか)
ナダルの演技に驚いた。
普段の大げさな感じがむしろ大河に合うのではないか(笑)
スッキリしない。暗いのが、偉いのか?痛快時代劇じゃいけないのか?
仲野太賀好きです。
本作では、真っ直ぐさが良かった。
そこは絶対報われてほしかった。
全体として、面白かったのですが、もっとスカッとした痛快時代劇が良かった。
理不尽な結末を、すでに予告編でネタバレするのもどうかと思ったし(最初から無罪放免にする気はなかったって)、何か、悲惨な末路や暗い話にした方が、作品の格が上で、明るい面白さは格が下だとでも思ってるのではないか。
『八犬伝』の馬琴の言葉「現実はそうはいかなくても正しいものは報われる世の中であってほしい」を思い出した。
時代劇にしては最後がスッキリしない
戊辰戦争のなんたらは解るのだが、百歩譲って突っ込み処満載なのも許せるのだが...アベサダの大老役が最後にやられない(殺されない)のは賊軍側の武士役の仲野太賀の無念極まり無い為、時代劇としては全くNGである。特にアベサダの大老は農民達をあんなに殺生しておいて最後迄生き残ってはいけない。(史実であったとしても…)
監督は時代劇が何たるかを理解していない。史実を元に大老が殺されていないとかなら別の老中を創ればよかっただけなのに…。
これでは観た者達が納得出来ないし、胸のすく思いがしない。
アクション映画としては良いが、設定が時代劇なので最後は皆スッキリしたいのだ‼︎
ノベライズに比べると
ノベライズ本を読んだ時は、話はまあまあだけど、映画にすると面白いんだろうな、という印象であったが、実際の映画は、怪力男がそれほど怪力でもなく、生臭坊主もそれほど生臭でなく、火付け女?は三味線を弾かなかいなど、萌えポイントがことごとくスルーされていて、超がっかり。何のために戦うかも、途中ぼけてしまい、感情移入したくてもできなかった。ノベライズ本の勝ちかな。主人公がどれほど奥さんを大事にしているかの冒頭部分を削っているので、そこで既に負け試合。
新堀田と書いてシバタと読む(笑)
いやぁ、3時間弱があっという間に終わっちゃった😂
山田孝之のヘタレっぷり、仲野太賀のカッコよさ、阿部サダオの狂気が絶妙過ぎて、最後まで一気に駆け抜けて、バッドエンドなんだけど、何か清々しい気持ちにさせてくれる極上作品です😆
ナダルやゆりあんも思ったほど酷い大根ではなかったし、野村周平が本人とは真逆のメチャクチャ好青年だし、アイツが全ての和を乱している元凶だから早くいなくなれって思ったら見事に退場してくれたし、でも音尾琢真は早すぎだよって思ったら、子供に若返った中尾明慶君、まさかの生き返りで裏のMVPと、もうてんこ盛り🤣
玉木宏も贅沢すぎる使い方しよるわ、爺さんも本田忠勝ばりの活躍しよるわ、もう、とにかくよかった☺️
生きたいのか死にたいのか。
時は幕末から明治。
大政奉還後、次々に起こる官軍と幕軍の戦い。
罪人とおぼしき者たちがどちらにもいい顔したい新発田藩の策略に飲み込まれるお話。
まず全員の素性がイマイチピンと来ない。早口であいつはあーだこーだ言ってたけどついていけなかった。
そして山田孝之の立ち位置がどーにも。。。裏切って戻って裏切って戻って、逃げるけどまた戻って自爆って。。。仲野太賀の最後も、十一人目の賊宣言がなんとも言わずもがなな気がして。
さらにみんな歯が綺麗。そこが一番入り込めなかった所
これはTVの〇〇周年特番二夜連続前後編2時間ドラマとかでもうちょっと掘り下げてやった方がいいような。。。
油田掘って火つけたら自分も危ないだろ、、、っと思ったらホントにぶっ飛んだ(^_^;)
とても面白かったです。
今年ベスト!最高に面白い!
なんとなく見てみたらこれが大当たりでした!
キャストがとにかくよく、特に終盤の仲野太賀の演技は圧巻でした。
阿部サダヲ、山田孝之、野村周平も最高。
途中の賊軍たちのかけあいも楽しめましたし、尾上右近の賭博のシーンが最後に効いてくるのもたまらなかったです。
そしてIMAXでもないのに音響と映像の迫力がすこがったです。
もう二回くらい見たいと思える。
DOLBYのある劇場でみたらどうなるのか楽しみ。
来年アカデミーにくい込んでくると思います。
結局、御家老の溝口(阿部サダオさん)の権謀術数で新発田藩は救われたのだ。うーんお見事、名家老じゃ。
最後に「メデタイ、メデタイ、メデタイな」と踊る領民の浮かれぶりを見れば、藩を守ることに対していかに優秀だったかが分かる。犠牲になった者や、溝口にとっては皮肉な掛け声にも思えるが。
家老の溝口は、正に家老が成さねばならない藩の平和、安定、存続という仕事を見事にやり遂げたのだ。
そのためには鬼にもならねばならん。
その結果、領地、領民、家臣、そして幼い領主をも守り抜いた。コレを名家老と言わずしてなんと言えよう。
とはいえ、溝口の計画全てがトントン拍子でうまく行ったわけではない。
同盟軍が城内から引き揚げるまでの1日か2日、官軍を足止めする計画も、不測の事態が生じて順調にはいかない。
賊軍を無罪放免するのがウソなのが、入江たちの立ち話でバレちゃうし、娘は砦の入江んとこ行っちゃうし(^^)、同盟軍は、なかなか出てかないし、塹首したのがコロリ患者だったのがバレて、そのうえ幼い殿が何か喋っちゃうし、うまく引き入れた官軍の山縣のヤローには砦の官軍壊滅の責任に中野太賀の首持って来なきゃならないし、もうテンワヤンワだ。
なかでも溝口にとって1番の想定外は、娘の自害だろう。妻にも自分に触るなって言われちゃうし、僕も一瞬 ボウ然としてしまったヨ。
溝口もある程度の犠牲は覚悟していたのだろうが、藩を守るためとはいえ、コレは溝口にとって、余りにも大きな犠牲だったろう。溝口スゲー可哀想 (ノ_・、)
話は変わるが、映画がなかなか終わらないと思った。
もうボチボチ砦の官軍やっつけて、そろそろ終盤かな?なんて思ってると、次から次へと想定外の事態が引き起こって、スゲー面白いんだけど映画が全然終わらない。
映画が終わって明るくなった時の第一感は、「なんかスゲー疲れた」である。
あと、山田孝之さん生き残ると思ったら、逃げずに戻ってやられちゃった。
それと、数えてなかったけど、罪人自体は10人だったのねと思った。
時代劇が熱い!!!
たまたま死罪で囚われていた十一人が新発田藩家老の策略で、
無罪放免を餌に砦の護衛作戦の任につくことに…
ただただ無罪のために、生きるために…
官軍の侵攻を防ぐ中で団結していきつつも、
仲間がどんどんやられていくのが、
昔の任侠ものの時代劇版みたいだなー、
と思いながら観ていましたが、
鑑賞後に解説読んだところ、
ー 「日本侠客伝」「仁義なき戦い」シリーズなどで知られる
名脚本家の笠原和夫が残した幻のプロットから ー
とのことで、なるほどー!でした。
これぞ、エンタテインメント!!
仁侠娯楽時代劇の面白さでした。
だいぶグロいところは苦手でしたが…
しかし、いつもながら、
白石監督は役者さんを良い顔で撮られるなぁ…と思いつつ、
今回は仲野太賀さんが、本当に素晴らしかった!
今年の個人的最優秀男優賞です!!
コメディもシリアスも達者に演じられる仲野さんを観ながら、
なぜか先日鬼籍に入られた西田敏行さんを思い出してしまい
涙が出てしまいました。
それと、もう一人、本山力さんの立ち回りがハンパなかった!
最高にカッコ良い爺っつあん。
その美しい殺陣の所作をずっと観ていたかったです。
時代劇が熱い!!!
首
2週続けて日本の歴史もの映画が立て続けに登場してきて中々面白い期間だなーと考えながら鑑賞。
賊軍と呼ばれる悪党たち含め多くの人間の思考が入り乱れる群像劇で2時間半とボリュームたっぷりにお送りされる時代劇で堪能させていただきました。
白石監督らしくグロ全開のチャンバラが繰り広げられるので惨さが惜しみなく発揮されていたのはとても良かったです。
特に太賀さんと本山力さんの殺陣は見応え抜群で、血みどろになりながら刃が体に貫かれながらも奮起する姿には手に汗握る展開でしたし、終盤足掻きに足掻きまくる兵士郎の鬼気迫る表情込みで感情が揺さぶられました。
砲弾もガンガン飛んできますし、クリーンヒットで体がバラバラになりますし、爆破シーンも大盤振る舞いの如くたくさん流れますしで豪華な映像が繰り広げられていて嬉しかったです。
油を用いての大爆発シーンなんかウッキウキで待ってましたし、見事に爆破してくれるのでここだけでも満足度はとっても高かったです。
十人の悪党と浪士たちそれぞれにフォーカスを当てるためには仕方なかったんだと思うんですが、それ込みでも登場人物の印象がブレブレになってしまったのは惜しいところです。
全員がそれぞれ特殊な力を持って戦場に適応していく感じの話だと思ったら、非戦闘民の方が全体的に多く、辻斬もエゲつない力を発揮するのに離脱するシーンが多かったのはもったいなかったです。
政とノロが義兄弟のような感じで徐々に関係性を深めていくのは良かったです。
実の兄に似ているから政に懐いていたノロでしたけど、政を助けてからは本当の兄弟のように見えてきて、覚悟を決めるシーンなんかカッコ良すぎて痺れました。
兵士郎は筋が通った真っ直ぐな男で、どのシーンでも最前線に切り込んでいく姿に惚れ惚れしました。
キャストになぜか芸人さんがちょくちょくいるのはおそらく監督の好みだとは思うんですが、せいじさんは別にせいじさんじゃなくても良いと思いましたし、若干残る関西弁が舞台的にはノイズになったかなーと思いました。
ナダルさんは迫真の表情自体は良いんですが、いざ喋ると感情が乗り切ってないのでお笑いになってしまうのが良くも悪くもってやつでした。
ゆりやんは…必要でしたかね…?あそこにカメラワークを割くのははっきり言って無駄でしかなかったような…。
大いに楽しませてもらいました。
新機軸の時代劇がたくさん出てくるのは日本人として嬉しい限りです。
時代劇には容赦のないグロが必須だなと改めて思いました。
鑑賞日 11/1
鑑賞時間 17:10〜19:55
座席 A-1
心熱く涙した! 賊軍の十一人目、誠意ある覚悟に男気を感じた!
白石和彌監督の最新作!
劇場予告を見て、1日も早く鑑賞したいと期待しておりました。
公開初日に休みとって行きましたが 期待通りの大変満足な仕上がりでした。
ありがとうございました。(*´ω`*)
良くこんな話を見つけたなっていうか、展開流れを創ったなと思います。
時代劇ってもう古い?? いやいやそんなことは無いね。
前作の”碁盤斬り”もそうでしたが 作り手が新しい風を吹き込む事で
ワクワク感が立ち起こります。
人としての思い行動、何故 今それをするのか、
どの様に生きて行くのか、スジのある人の心(仁義)を1本太く入れて描くことで
この新時代劇は完成されているのだと感じます。
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(話展開)
日本近代史上最大の内戦、1868年(慶応4年 / 明治元年)に起こった戊辰戦争。
新政府軍(官軍側)と対立する奥羽越列藩同盟(旧幕府軍ら賊軍側)。奥羽越列藩同盟へ渋々加入していた新発田藩が、新政府軍(官軍)への寝返りする流れ展開を描く。表向きは来藩した同盟軍へ同志を貫いている様に、戦に加担するかに見せかる。しかし殿の官軍側への御意志があり藩内を激しく動揺させることに。
官軍側が1日ズレ程の遅れで新発田藩に着いてしまうため、
領地果ての砦にて 長岡藩になりすまし 官軍側と交戦足止めさせる作戦を企てる。もちろん誰も敵わぬ官軍と戦うものはおらず、新発田藩にいた罪人を急遽藩命令により砦を守る役目を与える。それは無事に任務を終えたら無罪放免の特赦される約束でもあった。
砦にて集められた罪人たちの 壮絶な死闘が始まるのであった!
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(良かった場面)
・爆破場面全般。中々良い破壊っぷり。見ていて素晴らしい。
CGも多用しての絵ですが破壊の様、飛び散り方がイイですね。
・雨の日夜の橋の爆破。もう誰が誰何だか分かんねぇ事に成ってるけど
兎に角遣りたい事は分かった。あれは結構大変な撮影だったと思いました。
この吊り橋みてて感じたのは、映画”恐怖の報酬”を思い出しましたね。
あの ニトロ運ぶトラックが激流にかかるボロ橋わたるんですが あれとよく似た感覚を味わいました。
・湧き上がる井戸油を流して爆破炎上作戦。実際はある程度は燃え広がるだろうけど爆発炎上は無いと思うのよ。ダイハ-ドのビル爆破時みたいに逆流火炎で爆破場面入れてるけどあれは起こらないよね。でもその発想 見てて面白かったです。
・切腹?でも切腹しないw
溝口内匠:役 阿部サダヲさん、この人らしい役処。ありそうだわ。
最後まで 決断意思がフラフラで。藩内の民の事を思うと分からないでもないが この裏切り行為。 まさしく切腹モノですな。
・官軍側 水本正鷹:役 ナダルさん。お笑い系の人が出ているからとか とやかく言ってる人が居る様だけども それが一体どうしたのさ。スッゴク顔の険しい眼差しは良かったよ。前から役者向きの顔だと思ってた。ブラックレインに島木譲二さんも出てたし、鉄道員に志村けんさんも出てる。各場面に良い味が出てるならそれで良いのではないかな。
・さだ(政の妻):役 長井恵里さん
女郎屋に居たが、なつからお金を受けとる時の場面がよかった。
耳が不自由の表現と、夫の思いに触れる場面が良い。
(心熱くした所)
・入江数馬:役 野村周平さんの 命を擲ってでも必ず無罪放免特赦の約束を守る。騙すような恥ずべき行いをして本当に申し訳なかった・・・罪人達を前に頭を地面につけて謝罪する場面。人として成すべき事をする、真っ当な姿が心に響いた。
・爺っつぁん:役 本山力さんの戦い振りが凄い!
長州出身の剣術家で強盗殺人を犯した人って設定。とにかく殺陣がスゲ-!
他の連中の戦いをよそに一人バッサバッサと斬っていく姿がカッコイイ。
メッチャ頼れる活躍振りに心が燃えたわ。
・何と言っても ココ。
鷲尾兵士郎:役 仲野太賀さんの最後の活躍。
”俺が11番目の賊軍だぁ!” 刀を握った手を抜けないように紐で硬く縛って相手へ特攻して行くところですね。
あの場面は台詞含め心熱く涙しましたわ!
今 絶好調のアクション時代劇の決定版!
是非、ご家族揃って
劇場へどうぞ!
誰の視点でみるか
雨の中、日本最古のシネコンで観ました。
(大森ではないです)
妻を新発田の藩士に手籠めにされ、怒りのあまり藩士を殺害して罪人となった政、および決死隊仲間の罪人の視点で観たら、溝口は保身しか頭にない冷酷な裏切り者、藩士で決死隊のリーダー、鷲尾にとってもそうだろう。
でも、新発田のような小藩で、近隣を大国に囲まれて常に苦渋を強いられている環境では、頭を使って生き延びるしかない。保身も、自分がいなくなったら藩の舵取りをする人がいなくなるからではないか。現に新発田は戊辰戦争では戦場になること無く、溝口は領民たちから大変に感謝されていたのは、ラストで描かれている通り。
主役は政・罪人たちなので彼らの視点で見てしまうが、対家老(藩)としては描かれ方はフラットで、罪人側・家老側のどちらか一方に肩入れするようになっていない。
人物も、家老をいかにもな「悪役」ともわかりやすい「名家老」とも描いていないし、罪人達も美化も露悪的にもしていない。
決死隊の構成は、そもそも死罪だった罪人達と、リーダーは藩の方針と異なる同盟派支持で不穏な動きをする鷲尾、彼は官軍討伐なら喜んで出向くだろうし、戦死すれば藩にはむしろ一石二鳥。もうひとりの若侍はコマッタチャン。それに示しをつけるために家老自身の娘の許嫁をつける。
切羽詰まって城内で首をはねた人々は、コレラの罹患者
犠牲者は藩士3人と死罪の罪人、コレラ患者だけで、他の領民は傷つけられていない。
領民から見たら溝口は小藩の被害を最小限に抑えた、名家老なのだ。
頭の良い名家老だけど、小柄で童顔で声が高くてちょろちょろ動く、人として軽そうな感じなのがリアル。こういう一見与しやすそうな人のほうが警戒されずにいつの間にか重要な位置にいたりする。阿部サダヲはこういう役がぴったり。
ラストマイルの、巨大通販会社に翻弄される運送会社の支店長と若干通じるものがありました。
溝口自身も娘婿を失い、娘に自害され、妻からは鬼と白眼視される。
個人として大きな犠牲を払っている。
家老として冷酷なことをせざるを得なかったので、家老としてその報いを受けねばならない。最初から覚悟の上で甘んじて受けたよう。筋が通った人物に見えます。
そして政の視点で見ている我々観客は、溝口の因果応報だ、と溜飲を下げたりする。
大義のためには小義は犠牲にする、それはそうなのだろうが、犠牲にされたものはたまったものではない。蟷螂の斧かもしれないけれど、甘んじて受けることはないのだ。
なつとノロが生き延びて、家老の娘からもらった大金を手つかずで(そう見えました)政の妻に渡すラストで、下層民ではあっても人である心意気が示されたのと、理不尽にどん底に突き落とされた妻が救済されたことで、観客として気持ちに収まりがつきました。
家老の娘が婚約者を追ってのこのこ戦場に来た場面は余分と思っていたが、このためだったのか。
罪人達はひとりひとり個性はあるようだけど、それが活かしきれていたかどうかは疑問
ドンパチは派手で大規模、クライマックスが2度もあってスゴイと思ったが、首が飛ぶ腕が飛ぶ肉片が飛び散る、スプラッタ残虐シーンが凄まじくて見ていられず目をつぶったところが多々ありました。
上映時間が長い。若干ダレるところがあって時々集中力が切れた。
芸人さん大量投入、観客サービスとか話題作りかもですが、出しすぎでは。
芸人さんのきらきら衣装とか中折れ帽、映画の雰囲気にあってなくて浮いてて異様でした。
銃一任の賊軍
銃なんか持たせたら、「大軍相手に放免より、侍3人殺して脱走しよう」って奴も出そうだが。
序盤で政をはじめ何人かの罪を犯した経緯が描かれる。
だが、時代言葉や方言に加えてBGMや効果音と被って分かるような分からないような。
これは全体を通して続くし、残りの罪人は台詞で軽く触れられる程度。
本質的な悪かどうか判然としないので、モヤモヤする。
そうこうしてるうちに次々と減っていくのだが、特に思い入れもないので感情も大きくは動かない。
というか、絆を深めるような描写はほぼ無いのに兵士郎は罪人の死にキレまくり、政も危険を知らせに舞い戻る。
死線を共にした連帯感として納得はするが、気持ちは乗り切れない。
罪人だけでも人数が多いし、入江やら御家老まで描くので全体として人物が薄いのが残念。
それ故か、タイトル回収に震えることもなかった。
素人集団の泥臭い戦いぶりは良かった。
ただ、SEが安っぽかったり、鉄砲の命中率が高すぎたり、兵士郎が強すぎたりは気になる。
罪人どもがいつ銃の扱いなんて覚えたのかも不明だし、橋もあんな中央で爆破させる必要がない。
乱戦では誰が何やってるか分かりづらいのも難点。
何人か演技が棒なのもノイズで、ナダルは下手ではないがナダルというだけでノイズ。笑
ナレーションは声なのか読み方なのか演出なのか、何かが浮いてた。
とはいえ長尺ながら退屈はしなかったし、人物を斜めに捉えるなど画づくりに魅力はあった。
爺っつぁんもカッコよかったし。
それにしても、政はよく殺されないなと思うし、引導は最後まで念仏唱えてただけだったな。
良かった。いいんです。でも比べちゃうんです。
白石組、碁盤斬りに続く時代劇
全て魅せます白石監督、破裂する体、切れた手首に骨の断面、グロ描写満載、どんどん期待が膨らむ。
色んな方がレビューしてる通り、キャラクターの深掘りが薄く、感情移入出来にくいなぁ。
でも長い時間を感じさせない良い映画でしたよ。
それはもう。
阿部サダヲ演じる溝口が無表情で農民の首を刎ねる狂気、仲野太賀の兵士郎の鬼気迫る殺陣、甲高い声でいやらしく溝口を問い詰める斎藤役の駿河太郎、すぐに殺されちゃう音尾さん(役名すらわからない)
出演者みんな良かった。
でも、でも、でもやっぱり比べちゃうんです。
七人の侍や十三人の刺客と、、、
この手の映画はやっぱりカタルシスが重要な推進力になると思うんだけど、こいつは絶対ぶっ殺す。と思わせるキャラが弱く、ちょっとずつサイズダウンした感じが否めない。
そんなこんなで上記2つの映画をまた観たいと思わせられたことでマイナス⭐️一つとしました。
雑感、
・大砲の球が飛んできた時、思わず避けちゃう。
・兵士郎の殺陣の始めの人差し指を立てるポーズ、知る人ぞ知る流派なんだろうな、知ってる人教えて
・グロ満載だけど、エロはなかったなぁ。
・本山力演じる爺っつぁんで、七人の侍で言うところの木村功さんかな〜。
カタルシス、プリーズ!
お客さん、少ないです。ガラガラです。
マジで、すっからかん。
でもでもでも。
それも、しゃーないか!
って言うw
建て付けの昭和感が半端ないんですよ、悪い意味で。CIAにハシゴ外されただけじゃなく、最後はNATO空軍機の空爆で殲滅される特殊部隊、的な。
ラストの駆け足も、切り替え早すぎて笑うしかないし。
城下を戦場にせずに済んだから良しとする?
イヤイヤイヤ。
このお話の流れからは、守りたかったのは城と主君なのであって。城下町の民じゃないにゃん!
って事で。
デニーロ主演のミッションのラストショットは、スペイン軍に滅ぼされた村から皆殺しの殺戮を逃れ、カヌーで上流に漕ぎ出す子供達の姿でした。カタルシスが望めないなら、そっち系の方がw
ちょっと撮り散らかし感のあるシナリオと言い、ふた昔以上前のカタルシス無きストレスMAXの締め方と言い、エンタメとしても、社会的示唆をテーマにした作品としても、中途半端で入り込めませんでした。
唯一の燃え場面は、長州藩の剣術師範が名乗りを上げる、ってところでした。
退屈だった。
割と。
なお、仲野太賀さんの熱演は、光ってました。ものすごく!
期待値がめっちゃ大きかったから、この評価かなぁ。もっと斬り合いを見たかったです。
久々の劇場鑑賞作品のレビューです。
ここしばらく某短歌サイトに入り浸っていて、映画観てレビューを書く時間がなかったです。
結局最初から最後まで花火(なんとか玉って言ってったっけ)に頼って花火で終った印象が強かったです。
(正直パンフレット買おうと思わなくて資料がまるでないです。1100円もしたし。11人だから?・笑)
もっと外連味たっぷりの斬り合いを期待していたのですが。
せっかくの面白い設定を活かしきれなかった感は否めなかったです。
それぞれの罪人が持ち味を発揮して、侍の軍勢に立ち向かう活躍が見たかったのに。
主人公は山田孝之演ずる大罪人・政かと思いきや、 仲野太賀演ずる侍の兵士郎だったのねん。クライマックスで「俺が十一人目の賊だ!」(だったかな?)の大見得を切るところがゾクゾク(賊々?)っとしたのですが、その他はごく平凡なドンパチだったです。罪人たちの泥臭くて恰好の悪い喧嘩殺法の殺陣を見たかったの!
戦のキーパーソンとなる佐久本宝演ずるノロが、いいスパイス効かせてたこと、なつを演じた鞘師里保の日本的美女の魅力(ふつくしい♡)が清涼剤でした。田中裕子や黒木華に通ずるような。そんな感じ♡
せっかくの山田孝之の活躍が見えてこなかったの。山田さん、完全に周りに喰われてるの。
脇役のはずの岡山天音演ずる“おろしや”のかっちょよさとか、剣豪の“爺っつぁん”の殺陣の方が明らかに見せ場あったの。
イカサマ博徒の赤丹なんてもっともっと活躍の機会があって良さそうだったものを。千原せいじ演ずる生臭(スケベ)坊主とかも。せっかくの良キャラなのに。惜しい。
なーんか惜しい。惜しすぎる!「極悪罪人もっとがんばれし!」ってずーっと思ってたの。あんなんじゃなくて、斬り合いの果てに見事に散って逝ってほしかったの!
こういう合戦活劇って古くは『七人の侍』だとか、マイフェイバリット映画のひとつの『十三人の刺客』と比べざるを得ないです。
圧倒的に不利な状況を“野良犬の意地”で大逆転する活劇を期待してたの!
そういう作品と比べてみると、どーしてもこの評価に落ちつくです。
残酷描写も私にはマイルドだったし。ハウスバーモントカレーの甘口みたいな。首は飛んでたけど、もう慣れた(笑)
劇場のポスターはやけに期待を煽りまくるかっちょ良さでした。あのポスターver.のフライヤーあればなぁ。ほしぇ。鞘師里保♡のポストカードやクリアフォルダがあればほしぇ。
そして失敗したっぽい座席選び。Dolby Atmosがガン!ガン!!効いてる箱を選んだのですが、座った場所が悪かったのか、めーっちゃ頭と胃袋に響いて、劇場さんが遠慮してほしい劇場売店以外で買った飲食物をゲロッパしそうになっちゃったの。(東鳩製菓のキャラメルコーン4袋&100円自販機の無印微糖レモンティー)レビュー書いてる今でも胃がムカムカしてるです。
ちっちゃな箱に移る前に『八犬伝』観に行こうかなぁ…
【詠ってみました】
期待した映画にイマイチ乗りきれず僕ならこう撮るとか夢想
リアルすぎるのもちょっとな( ̄▽ ̄;) ランボーの最終観たときと同じ感覚に
幕末も好きであまり描かれていていない奥羽越列藩同盟の部分なので、面白かったのだが、リアルというグロさがなんか邪魔した。そこまで必要なのかなぁ。なくても充分楽しめるのになぁ と
ランボーの最終章観たときもなんかこんな気分だったなあ。
仁義なき戦いなんかはリアル描写なのだがこんな感じにはならない、何かが違うんだろうな
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