「小川 森田 清水 六角 加藤 辻 高橋 !」あの人が消えた 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
小川 森田 清水 六角 加藤 辻 高橋 !
あれ、『ラストマイル』みたいな物流業界の話?…と思ったら、
ノーノー。
人が消えるマンションの謎に配達員が挑むミステリー。
と思いきや、意外にコメディ? まさかのスパイ? 二転三転。
が、巧みな脚本や展開に唸らされる。
気になった点もしっかり回収。
映画で例えるなら、『カメラを止めるな!』×『ユージュアル・サスペクツ』×『シックス・センス』…?
高橋文哉らアンサンブルも魅せ、ネタバレ厳禁!
↑劇中のキーである“頭文字ヒント”で簡易レビューしてみたけど、何だかヘンテコな文になっちゃった。やっぱ難しいね。
改めて、脚本の巧さに脱帽。
(尚、レビュータイトルの名字は適当に選びました)
当初はノーマーク。
が、脚本が見事の評判で気になってきた。
実際に見てみたら、これが面白かった!
監督/脚本の水野格が演出を担当したTVドラマ『ブラッシュアップライフ』は見てなかったが、この脚本の巧さは本当に見事!(←何回言う?)
ドラマはバカリズムの脚本が注目されたけど、本作だって。なのに、ほとんどの映画賞でスルー。コメディ色強いから…? 少なからずツッコミ所や非現実的だから…? キネ旬でも脚本部門ゼロ票。やっぱ当てになんねーわ、この賞。
私は評価する!
若い配達員の丸子は担当になったとあるマンションでファンのWeb小説家・コミヤチヒロと遭遇。
ウハウハになるが、彼女は同じマンションに住む島崎にストーカーされているようで…。島崎の部屋に配達があり、覗くと、盗聴器らしきものが…。
マンションは人が消えるという曰く付きでもあった。
住人の目撃情報。血まみれの女性を見た。血の付いたシャツを着た島崎を見た。島崎が気絶したコミヤチヒロを担いでいるのを見た。丸子も島崎がコミヤチヒロの部屋のドアを叩いてるのを…。
身を案じた丸子は居ても立っても居られず、コミヤチヒロの部屋へ。そこで…
ここで突然の場面転換。サスペンス/ミステリーだった作風がコメディへ。
寿司屋に行ったら洋食メニューが出てきたような。
序盤の謎や不審点がコメディに昇華。本当に『カメ止め』みたい。
“梅沢富美男”には笑った。
コミヤチヒロと島崎の正体は…。名前も偽名。
ヘッポコなくせに上司を“M”と呼ぶジェームズ・ボンドばりにカッコ付けの染谷将太にまた笑った。
ある捜査の為にマンションに潜む被疑者探し。丸子も“仲間”と勘違いされ…。
無事解決と思いきや、丸子はある事に気付く。
須藤、別府、寺田、梅沢、相馬…。頭文字を繋げると…。
4人の会話シーン。全てが分かった上でもう一度確認したくなる。本当に“会話のキャッチボール”が出来てないのか…?
確かに! 初見では気付かなかったほど絶妙。
これなら机を叩いた音に何故あんなにびっくりしたのか、不自然に落ちたマスキングテープなどに納得いく。
島崎やコミヤチヒロの本当の本当の正体は…。
サスペンス/ミステリーからコメディへ。再びサスペンス/ミステリーへ。
にしても、荒川先輩、よく気付いた。コミヤチヒロの頭文字トリック、それを丸子が荒川に話していた事…ここでまた伏線が活きてくる。
それにしても、まさかの衝撃展開。
高橋文哉演じる主人公の名前・丸子夢九郞(マルコ・ムクロウ)。ちと変わった名前だが、勘のいい人なら気付くかも。主人公が◯◯◯◯◯あの映画の主人公の名前を日本名にもじったものだと。これを知った時、私ゃまたまた唸った!
強引な点や腑に落ちない点もあるにはある。
コメディでは麻酔銃に撃たれた須藤。でも実際は…。本当に被害に遭ってたかもしれないゾッとするシーン…。
そっち方向へ…?
しかし、信じ難い事もある。
マンションの住人は無事だった。
あの人が危険を知らせてくれたから。
犠牲者はその張本人…。
あの人が消えた。
最後になって分かるタイトルの意味にしんみり。
高橋文哉、田中圭の好演。
染谷将太のコメディ/不気味演技、北香那のキュートさもポイントプラス。
ミステリー、コメディ、思わぬ展開。そして最後の最後の“転生”にナイスオチ!
いや~面白かった!
一つだけ苦言。
同じ配達をしている者から言わせて貰えば、マンションの住人に深入りしたり、ジロジロ部屋の中を覗き込んだり、そこでずっとサボったり、ましてや勝手に上がり込むなどしちゃいけません!