「期待度○鑑賞後の満足度△ 最後まで観たら「人の裏をかいた面白いものを作ってやろう」という魂胆が透けて見えて私的には冷めてしまった…昨今のTVドラマ慣れしている人には面白いかも…」あの人が消えた もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
期待度○鑑賞後の満足度△ 最後まで観たら「人の裏をかいた面白いものを作ってやろう」という魂胆が透けて見えて私的には冷めてしまった…昨今のTVドラマ慣れしている人には面白いかも…
①前半はミステリー仕立てだが何かワチャワチャしていてだんだん冷めてくる(主演の男の子が演技がヘタでリアクションが悪くドラマ的に盛り上がらない)。
②と思いきや、突然コメディか?、と此処でどんでん返しが来て伏線が次々と回収されて面白い!となるのだろうが、私は以下の点で話に引き込まれるより先に「?」となったのと、その次のどんでん返しは、前半からの一応リアリティを全面に出している描き方からするとルール違反のような気もしたので(先のどんでん返しが次のどんでん返しの伏線になっている構造自体は巧いとは思うが…)、“面白かった”と感心するほどには行かなかった。
1. 隣に先輩が座っているのに“何で此処にいるの?”と驚くリアクションは映画的には無いでしょ、スクリーンに写っていないので観客には分からなかっただけであなたは分かっていた筈でしょ、眠りから覚めたとかいう設定ではないのだから、先ず此処で「?」
後から思うと次のどんでん返しの伏線なんだけれども…
2. “実は私達は公安なんです”って、極秘任務についている公安が一般人に打ち明けるわけないでしょ、と此処で次の「?」
一気に、真面目にこの映画と向き合おう、という気が飛んでしまった…
逆に、そういうつもりで作っているのなら、染谷将太の、イギリス帰りにしてはヘタクソな英語やパーソナル・トレーナーに擬装するにしては貧弱な身体もありかな、と思って心の中で突っ込むのを止めた(そういう意味では術中に填まっていた、と言えるかもしれない…)。
3. さて、そして最後のどんでん返しだが、最初からでなく最後でこの展開にするのは新しいとも思うけれども、ややチグハグ感は否めない。演出がもう少し湿っていたらまだ自然になったかも…
それにこういう落ちにすると、2. のホラ話を彼女一人であの短時間で作ったとは思えず、染谷将太パートは彼の言動を知らなければ話を拵えられなかったわけで、二人は現場を押さえられた時の為に二人で準備していたの?とか変な方に考えが行ってしまう…
4. で、最後になんかホロッとさせる落ちがついたかと思うと、主人公は転生してマンガのヒーローとなり今までの映画内の登場人物がマンガの中の登場人物として紹介される。
この辺りのドライブ感はよく、本作で一番良かったくらい(このマンガを読みたくなったくらい)。
考えてみれば冒頭からは想像出来ない姿にまで正に転生したような作品で、そのアバンギャルドさは悪くないが、TV的な脚本・演出ではなくもっと上手く映像化すれば面白い怪作になったかもしれない。