「分からなくはないけど……」室井慎次 生き続ける者 へいさんさんの映画レビュー(感想・評価)
分からなくはないけど……
はじめに。
自分なりに踊る大捜査線は大好きです。
踊るシリーズ再始動となり、全作見直して、
破れざる者を見た。
大いなる序章という事で、前作は概ね納得し楽しめた。
なんなら二回見に行った。
で、先行上映を見た。
結論からいうと、なんの盛り上がりもなく
序章のそのままのスピードで物語が進み、
レインボーブリッジの持ち出しも、
死体が出てきた理由の訳も全く語られず。
ましてや事件も、当たり前だが刑事ではない室井をほっといて犯人逮捕に繋がる。
レインボーブリッジも日向真奈美もコンテンツの無駄遣い。
ただ、淡々と踊る大捜査線版北の国からだった。
そもそも、あんなに村人にハブにされてたのに、
あんなに簡単に皆が心変わりするのか?
日向杏もあんなに簡単に心を開いて呪縛から溶けるのか?
そもそも青島との約束を守れなかったから、
そのケジメをつけるために子供を引き取り
子供たちとの暮らしが楽しいと話してた室井が
吹雪そうな山奥に向かうのか?
遭難して皆に迷惑をかけるかもと思わないのか?
室井慎次のキャラクターって、あんなだったのか?
青島との約束はそんな簡単な事だったのか?
子供は自分が引き取ると言ったあとの行動としてはおかしくないか?
人の人生なんて、そんなに映画やドラマになるほどドラマティックで刺激的な事は少ないのかもしれない。
警察を辞め、山奥に暮らせば
関わる人は減り、
普通の人の人生はそんなものなのかもしれない。
関わった人や子供たちに室井の信念は受け継がれ
そういう意味では「生き続ける」ってことなのかもしれないけれど、
踊る大捜査線って、そういうものだったのか?
これは自分だけなのかもしれないけれど
ある意味ファンタジーで
生きづらい毎日の中でも
ユーモアと信念と、信頼出来る仲間がいれば生きていけるよ
それが自分の中での踊る大捜査線だった。
いろんなキャラクターがいて
青島みたいなキャラクターばかりではなく、
室井慎次みたいな人の人生があるのは分かるけど
これは敢えて見せる必要があったのか?
もう物語の中盤で、薄々とラストは見えていたけど、思った通りの結末だった。
こんなんならドラマの最終回に
あの階段の上と下で敬礼をして
お互いを信じて、それぞれの立ち位置で互いを信じて生きている。
そこで終わっていて良かったのではとさえ思えてしまった。
(でもそれだと最悪の七日間も、レインボーブリッジもいらないってことになってしまうけど)
自分としては、低迷してるフジテレビをもう一度復活させるため踊る大捜査線で一旗あげたい。
けど、柳葉敏郎はもう室井慎次の呪縛から逃れたい。
しかも柳葉敏郎と織田裕二の確執はやっぱりあって、二人をまたシリーズに引っ張り出すのが難しい
それならやっぱ室井慎次、死んでもらおうか?
ってのがフジの答えじゃない?
みたいに思ってしまった。
この二作は踊る大捜査線シリーズではなく、室井慎次という人間にフォーカスしたストーリーで、
一人の人間の生き様を見ろと言われても、
なんの感情移入も出来なかったし、
ラストに向けて畳み掛けるように心変わりする周囲の描き方が雑すぎて
完全に置いてけぼりだった。
本当に苦痛に感じてしまうほどだった。
ここまで書いたけど
本当に踊る大捜査線は今まで見てきたドラマで一番好きで、
ある意味生き方の指針の一つみたいに勝手に思ってる。
だからこそ、もう踊る大捜査線シリーズはもういいです。
ラストに出てきた。
これでどこかできっと彼も彼なりに日々に揉まれながら生きてる。
それでいいと思うから続くのはやめてくれ。