「今後ドラマを見返すたびにこの結末が脳裏をよぎるとか...」室井慎次 生き続ける者 みかんさんの映画レビュー(感想・評価)
今後ドラマを見返すたびにこの結末が脳裏をよぎるとか...
踊る大捜査線のドラマシリーズが大好きで、劇場版は2作目以降はスピンオフ含めて基本的に蛇足だと思っているクチです。
それでも踊るが好きなので、この映画も楽しみに観に行きました。
室井さんの晩年(という歳でもないけれど)、引退後を描いた作品として、一作目は悪くはないと思いました。正しいことをしたければ... を胸にずっとやってきた室井さんが、あのタイミングで心を折られ、今回の映画で新城が選んだ道には行けなかったのもなんとなく分かる。
それよりも、あの口下手な室井さんが、新しい居候に掻き回されながらも揺るがない家族の絆を作り上げていたことに感動しましたし、最後、それでも捨てられずにとっていた仕事着のコートが燃えていく様は本当につらかった。
これをどう回収するのだろうと、期待しながらの後編視聴でした。
結論から言うと、結末で一気に冷めてしまった。
柳葉さんを解放することを優先した結果なのかなんなのか。ここまで話を家族の絆、ハートフルストーリーに振り切ったのであれば、最後ハッピーエンドでも良かったじゃん...。東大の赤門、さらに時は流れ警察庁の前で家族写真を撮るエンドロールで良かったよ。
比較的丁寧に描かれたように思えた前半と違って、後半は地元の人もなぜか急にデレ始め、児童相談所の二人に至ってはもはや罪。まさか加藤浩次のためごときで室井さんがあんなことになるなんてつらすぎる...
この先ドラマシリーズを見返すに当たっても、毎回ああなるんだよなという思いを脳裏に抱かないといけないとか、本当にひどい。
そうなってくると、細かいことは良いんだよという気持ちで見ていた前半と違って、添え物でしかなかったレインボーブリッジ事件の扱いとか過去作品のオマージュを散りばめる役回りでしかなかった松下洸平の存在意義とか余計なところまでもがあらためて目につくわけです。
青島くんもドラマシリーズは20代だからあの青臭さが許されていたわけなので、それを引きずったままの前回の映画はわりとひどいと思いましたし、このあと50代を超えているはずの青島くんをどう描くつもりなのか不安しかない。
見ますけどねそれでも好きだから。
当時のまま思い出を保存したい気持ちとのせめぎ合い。続編を描く難しさだと思いました。