「猟犬の罪」聖なるイチジクの種 ihatakaeightさんの映画レビュー(感想・評価)
猟犬の罪
家の中で消えた護身用の銃を巡り疑心暗鬼する家庭内サスペンススリラー。
映画の切り口は、体制派の猟犬のような仕事から脱却できそうな父とその家族の「家庭内」に焦点を当てているのが面白い。テヘランの情勢が緊迫するにつれ、家族内の不協和音が大きくなっていくのも観る者に伝わった。
そして、クライマックスに至る背景を存分に描けている点に評価したい。詳細は控えるが、家族が外部問題に対応する事で追い込まれていく描写が一つ一つ丁寧だ。更にこの映画を観れば遠いテヘランの状況はあんな感じだったのかと想像できた。
キーツールとしてスマホが大活躍だ。テヘランの若者においても、宗教的社会規範よりも家長の威厳よりも、SNSで流れてくる情報の方が真実のようだ。まさに御時世である。
ナイーブな話題ですが、映画としての切り口語り口はちゃんとエンタメ作品として成り立っているので、「聖なるイチジクの種」という監督の主旨をじっくり考えるも良し、純粋に、猟犬の罪を背負う父とその家族の疑心暗鬼サスペンススリラーとしてみるも良しだと思います。
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