「タイトルなし」聖なるイチジクの種 えみりさんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルなし
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かなり感情移入して腹が立っていた。そもそもこの男は無能だし小市民的だし、その無能さ、臆病さを家族に吐き出して自分を保ってるし、さっさと官舎に行けばいいのに、田舎で自分の存在を守るために家族を閉じ込めるDV気質は最低だ。そして女の子たちは既に強い。スマホが家父長にとってコントロールしきれない存在だと言うことがよくわかるし、だからこそ。ケータイを取り上げ、暗証番号を言わせ、テープを巻き付ける。日頃の鬱憤晴らしである。それでもこのシーンで妻は夫に暗証番号は知ってるはずでしょというのが怖い。これがまだイランの中年主婦の現実か。まだ日本の主婦のほうがまし。
最も気持ち悪いのが、子どもや妻に告白させて撮影することと、銃のありかに行く道もずっとカメラで撮っていること。家族は全く守られていない。ここてはすでに公的な仕事のスタイルが、優位になっている。
この強迫的な妄想病理を引き出すのが神という名へのイラン体制の病理で共産主義と同型。官僚制の最も悪い特性も表れている。
昔ねらこの男が家族をみんな殺すのかと思ったけど、そうでない点は明るい。娘が父の銃を奪ったのはすでに父にうんざりしてたからでもあったことがわかる。イランもすでに末期的なのだ。
私はトルコで見た、有名な洞窟の家をこんなふうに使うのも面白かった。
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