劇場公開日 2024年11月29日

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「つげ義春先生はご存命」雨の中の慾情 ジョンスペさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5つげ義春先生はご存命

2025年1月20日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

短編がほとんどとは言え膨大にあるつげ義春作品は大昔にねじ式を読んだだけ。幻想的でよくわからなかった上、今となっては魔太郎みたいな顔の主人公とメメクラゲしか記憶にない。その程度のつげレベルで本作を観たのだが、話をどう解釈するかは人それぞれでも、夢と現実を行き来する構成は原作ほどの意味不明さはなくけっこうわかりやすい。

福子がポーンと車に撥ねられるシーンや子どものつむじから液体を吸いとるエピソードなど、所どころで違和感ありありのつげ義春世界を、壁のシミを福子の裸体と被らせたり日常から惨劇の戦場に突然切り替えたり、片山慎三監督の演出で見応えある映像にしていたと思う。夢と現実との交錯は、思えば序盤から女子中学生のぎこちない日本語からすでに始まっていたのだろうけど、鑑賞したのがすでにひと月近く前なので、オレの記憶もどこまで本当なのかあやしくなっている…。

ジョンスペ