「最後まで見入った」ビューティフル・マインド chocolatemovieさんの映画レビュー(感想・評価)
最後まで見入った
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天才数学者の栄光の話かと思いきや、後半は幻覚を伴う統合失調症の治療と戦う夫婦の姿を丁寧に描き、圧倒された。栄光の裏には過度なプレッシャーによる精神異常がセットなのだろうか。天才がゆえの苦悩、孤独がもたらす悲劇。だが幸運にも妻アリシアが見捨てずに支えたお陰で再び教鞭を振るうまでに再起し、晩年にはノーベル経済学賞を受賞するまでに輝かしい栄光を再び手にする。
小さい子どもを育てながら、精神疾患を抱える旦那を支える妻の荷の重さは想像しただけでこちらも参りそうで、言われた通りに薬を飲まないことで子どもに危険をもたらした事など、誰しも縁を切ると決意するのではというような事件だが、妻は夫を再度入院させるのではなく、病気とともに社会復帰することを後押しする。病気を抱えた異常者として冷やかしを受け、恥を晒しながらもプリンストン大学に通い、かつての生活と同じ環境で心を落ち着けていく。
最後にノーベル賞ノミネートの話を受けているカフェにて敬意を払われ周囲の学者達からペンを一本、また一本と贈呈されるシーンは1番グッと来た。
ただ唯一、映画としての見応えを増す演出ではあるが、敵国(ロシア)の暗号を読み解く極秘任務を遂行する中で描かれた銃撃シーンなど、見応えのある部分が、のちに全て頭の中での妄想であり実在しない事だということが、夢オチのようであり、すんなり受け取れなかった。暗号を読み解く過程がまさに天才の仕事ぶりのようであったので、そこが妄想であるとしたら、仕事ぶりで評価される所の描かれ方が少ないので、晩年のつらいシーンの方が重みを増し、ちょっとバランスが悪い気がした。
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