アビゲイル

劇場公開日:

解説

吸血鬼の少女を誘拐してしまった犯罪グループが過ごす戦慄の一夜を描いたアクションスリラー。

元刑事フランク、巨漢の用心棒ピーター、凄腕ハッカーのサミー、元狙撃兵リックルズ、逃走車ドライバーのディーン、医師ジョーイの互いに面識のない6人の男女。指示役ランバートによって集められた彼らは、富豪の娘であるバレリーナの少女アビゲイルを誘拐する。計画は順調に進み、あとは郊外の屋敷で少女をひと晩監視するだけで多額の報酬が手に入るはずだった。しかしその少女の正体は、恐ろしい吸血鬼だった。少女を監禁するはずが逆に屋敷に閉じ込められてしまった6人は、どうにか生きて脱出するべく悪戦苦闘するが……。

「美女と野獣」のダン・スティーブンス、「ザ・スイッチ」のキャスリン・ニュートン、「イン・ザ・ハイツ」のメリッサ・バレラが誘拐犯役で出演するほか、テレビドラマ「ブレイキング・バッド」のジャンカルロ・エスポジートが指示役ランバート、「マチルダ・ザ・ミュージカル」のアリーシャ・ウィアーが吸血鬼の少女アビゲイルを演じた。監督は2022年版「スクリーム」のマット・ベティネッリ=オルピン&タイラー・ジレット。

2024年製作/109分/R15+/アメリカ
原題または英題:Abigail
配給:東宝東和
劇場公開日:2024年9月13日

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(C)2024 Universal Studios

映画レビュー

4.0吸血鬼と人狼とそして誰もいなくなった

2024年12月2日
PCから投稿

日本では芸能関係者は思想的政治的なことを言わないが、あちらでは若い人気者でも主義を明言したり(2024/11/05の投票日にそなえて)トランプかハリスかを公言することがある。
バレラがスクリーム7のヒロインを降板したのは中東の紛争に関する見解をソーシャルメディアに投稿したからだった。
彼女はUNRWA(国際連合パレスチナ難民救済事業機関)へのリンクを貼って寄付を呼びかけたり、サンダンス映画祭でパレスチナ支持のスローガンを連呼したことで配給元のスパイグラスから解雇され、後日その騒動を回顧しつつ「私は反ユダヤ主義とイスラム嫌悪を非難します」との声明を発表したそうだ。

アメリカの枢要はイスラエル支持なのでパレスチナ支持の政見が駆逐される傾向があるがUNRWAはイスラム過激派グループとつながりがあるとされている。
まったくのところ中東というのは密事だらけのゾーンである、と同時に、国家の報道スタンスは支持する側への偏向をもっている。
いずれにせよ芸能人が求められてもいない政見をぶつのは得策ではないがハリウッド圏内では立場を明確にすることで個が際立つ場合がある。
とりわけバレラのように強い顔立ちの人が意見すると社会的責任へのコミットメントが感じられてむしろ効果的だったりする。
結局バレラはスクリームのヒロイン解雇騒動からさっさと立ち直り映画アビゲイルの撮影に入った。
これらが昨年から今年(2024)初頭にかけての出来事である。

クレジットをみてまずキャスリンニュートンが助演なことに驚いた。「Fan!」だからというだけではなく今が旬の若手だからだ。ニュートンに後塵を拝させたメリッサバレラ、あらためてつええ、と思った。
メキシコモンテレーの産で太い眉と大きな目をもっている。フェミニンなのに自信が横溢した、現代を勝ち抜ける面魂(つらだましい)といえるのではなかろうか。

以前Freaky(邦題ザ・スイッチ、2020)のレビューでニュートンを「据わった目」と評した。殺人鬼と女子高生が入れ替わってしまうホラーコメディなので、ニュートンは据わった目をする必要があった。しかしその目の据わり方が半端ではなかった。ニュートンは子供から業界にいた人なので精神的な落ち着きが目にあらわれる。基本的に据わった目をした女優だ。
すなわちクレジットをみた途端、映画アビゲイルはわたしにとってバレラとニュートンの目の据わり対決になった。

映画は筋肉馬鹿なKevin Durandと冷静なダンスティーヴンスの会話ではじまる。
Durand:(運転しながら)温度は大丈夫かな、寒すぎたり暑すぎたり...
スティーヴンス:温度はいいから、運転しろや

冒頭、集められた賊たちがどこかへ忍び入る状況と各員の性格が描かれて、はやくもわくわくさせた。
Matt Bettinelli-OlpinとTyler Gillettはホラー一筋にやってきたコンビ監督で、ホラーオムニバスのセグメントや、鳴かず飛ばずだったDevil's Due(2014)を経て、サマラ・ウィーヴィング主演のレディ・オア・ノット(2019)でブレイクした。
ヒロインを非現実な状況に入り込ませてhorribleな画を提供しつつしっかり笑いもとる。──自分たちならではのスタイルを見いだしたコンビ監督の好調が伝わってくる滑り出しだった。

見慣れている人ならわかりきったことだがダンスティーヴンスはシュッとしたハンサムだが演技派である。しかしシュッとしたハンサムであることに気を取られて印象が残りにくい。言い換えると演技が巧すぎるので印象が薄い、ほどの演技派といえる。
まだ何も解っていない映画初っ端の台詞、Temperature’s fine.Just fucking drive.だけで大笑いするにちがいない。請け合ってもいい。

キャスリンニュートンもじょうずだった。設定は「裕福な家庭に育ったスリルを求めるハッカー」。まったく、そのお手本のような演技力だった。

バレラは血を浴びる係に徹したが血まみれでも素敵な人だった。
映画アビゲイルは吸血鬼と人狼ゲームとそして誰もいなくなったを掛け合わせたスプラッターコメディで、各キャラクターにもしっかりと具が詰まっていて、ところどころ本気で笑わせた。

imdb6.6、RottenTomatoes83%と84%。
エンドクレジットには2023年7月31日、薬物の過剰摂取で死亡が確認された25歳のアメリカ俳優、ここでドライバーのディーンを演じたAngus Cloudへの追悼がある。

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津次郎

2.0【負け犬アメリカさん達の悲哀】

2024年10月30日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

吸血鬼バレリーナを誘拐する闇バイトに集まった連中はただの肉片になるか、光を浴びると放射状に飛び散る肉片になるかのどちらかだが、ドラッグ中毒者や社会からドロップアウトした負け犬が集まった。

不死身の吸血鬼の人選に世相や社会の動向を反映させるのは既定路線なのか、私自身スプラッター映画を殆ど見ないのでわからないが、死ねない怪物の悲哀と負け犬人民の悲哀で良い勝負をしている気がした。教科書的に言うなら、混沌の闇を意識と啓蒙の光で浄化し新たな出発を迎える通過儀礼。まぁ、そんなことはどうでもいい。

どうしようもない予告編を観て鑑賞を決めたが、役者は皆中途半端で音楽、映像、照明もやりすぎ感があって微妙だし、エクソシストみたいな気持ち悪いバレリーナの動きを期待したが、あまり見られなかった。という点で中途半端なB級映画だと思う。ただし、とても笑えた。

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ジャパニーズ先住民

3.0狩る側と狩られる側

2024年10月24日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

PVでわかる通り、狩る側(正確には誘拐で殺しではないが)だと思っていたのが、狩られる側に一転するというお話

テーマはおもしろそうだったし、最初は期待どおりの展開
ところが佳境をむかえた辺りで爆散シーンがあり、あれっ!そういうタイプなの!?
と思っていたよりもB級?旧ゾンビ映画に近いものになっていました
もちろんジャンルとしては違うし、飽きさせない展開で楽しめたけど、
カレーを期待したらシチューが出てきた。くらいの「気持ち」でのがっかりはあった

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みたむら

4.0チュチュ

2024年10月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
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なつ