シビル・ウォー アメリカ最後の日のレビュー・感想・評価
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色々情報提供できると思うので必読📕
見てて誰が敵か味方かわからんしどっちが正しいのかもわからないしなんなの?内戦てそういう事ですからそれが正しい答えです🤓
ガチな話ホラー映画と比べても断然シビルウォーのほうが遥かに怖いです😱
これを読んだらかなり観る視点が変わると思うので必見です🤓エンタメ要素一切無しのウルトラリアル戦闘映画🥶今年見た作品でも上位に入るくらい凄かった作品です🤩(臨場感と緊張感で言うとトゥモローワールドに近いかな👍)
まず凄いのが同じアメリカ🇺🇸同士で戦っていて同じ軍服で同じアメリカ人だから敵か味方が見た目では全くわからない状態で戦っているから観ているこちらが全く見分けがつかない事によって緊張感が増すんですよね😱(戦場カメラマンがいつ誰に撃たれるかわからない状況を作っているからずーっと緊張感が持続するので見ていてかなり疲れます😞)
あと詳しい人なら絶対に有り得ないでしょうと思うテキサス州とカリフォルニア州の同盟(共和党と民主党の連合軍ってマジかよ笑)が政府軍と戦い大統領抹殺の為に戦争してるってのが面白いですね🔥
この作品の凄いところなんですが銃声の音で俳優がビックリしてるのがリアルだと思ってたら実際に実銃と同じ音量での撮影をしているのと俳優たちに細かい指示をあえてしていないからどこで銃撃音がするのか全く分かっていないからリアルにビックリしているという事で
実弾撃ちまくる寸前のリアルな環境を作っての撮影なのが功を期してますね!(撮影の手法が有名なエクソシストの撮影現場みたいな狂ったやり方してるし🤣)
あと戦争してる理由などに一切触れて無いし 見ている側もどちらの味方をすれば良いとか一切無いからそこも内戦という部分で同じ体験をさせられるんだよなあ🫥
あと市街地戦闘という事でスタックを組んでの室内への侵入などの部分が精密に演じられており良かったですね!
この監督28週後の制作やって作品としてはエクスマキナやMEN 同じ顔の男たちの人なので普通の戦争映画な訳が無いとは思ってましたが良い方向に監督の癖が炸裂していて良かったと思いますよ🤭
今からかなり重要な話をします🤓
自分はアメリカ版の予告しか見た事無かったんですが(10カ月くらい前にA24の公式が出した予告はちゃんと戦場カメラマンが主役の戦闘メインじゃない作品だってよくわかる内容でYouTubeでA24で調べて10カ月前に出してる予告を見たほうがいいと思いますよ日本の予告とイメージが全く違うので!ちなみに日本の予告はアメリカ版の何バージョンかあるうちの戦闘メインの編集の予告です)たら最初から戦闘がメインじゃなくて戦場カメラマンがメインの作品だって理解した上での鑑賞なので予告詐欺とは思って無かったです! 感想で予告と違うって意見が多発していて! 予告と違うって何?となったので今やっと日本の予告を見たんですが戦闘メインの作品ぽい予告で戦場カメラマンがメインになるのを隠してるから その落差で評価を下げる人がいるんですが これは日本の予告を作ったやつが悪いですわ👎
あと恐怖レベルでいうと今年ダントツで1番怖いと思った作品!(戦争映画で怖いと思う作品としては過去の名作と比較してもかなり上のほうですね自分の体感では🥶)
平穏なシーンと緊張感のあるシーンのメリハリが凄いのよ‼️一流大手映画会社じゃなくて小規模な作品ばかりのA24制作だから(パラマウントとかワーナーじゃないんだから色々と無理ですから笑笑)無限に戦闘シーンて訳にもいかないのを上手く戦場カメラマン目線という事であまりお金をかけずに上手く作ってるので関心しました!
逆に単純エンタメになってないけど
この監督故に緊張感と不穏な雰囲気の作り方が上手くてホラー映画よりこの作品のほうが断然恐怖レベルが高いですよマジで(ガソリンスタンドのシーン 途中で道路のど真ん中で兵士が一人死んでて敵と睨み合いをしてる場面に遭遇するシーン 車から下ろされて軍服着たヤバいやつにどの種類のアメリカ人か?って聞かれる近年では最強クラスの緊張感最高峰の激ヤバのシーン🫣)変に生々しいエグいシーンだらけでパンチが効いてましたね✊(ホラー映画じゃないのにホラー映画より怖い作品て 大怪獣のあとしまつ 愛アムール シビルウォーは殿堂入りです🤮)
あと音楽の選曲が自分は良かったと思います🎵(エグいシーンで軽い曲を流すのは確信犯よね)
そういや2回くらいありましたが無音のシーンがかなり効果的に使われていてセンスの良さを感じました🫶
最後に通常スクリーンでも音響ヤバかったからIMAXで鑑賞してないのはかなり痛いです🤕
最後の最後にですが 日本の予告だけを見てA24制作でホラーが得意な監督だって知らないで映画館に行ってたら戦闘シーン少ないし予告詐欺だしなんなのよ🤬ってなってるでしょうね😡
結局なんの映画?
アメリカン・ニューシネマのような肌触り
「もし現代のアメリカで国家を二分する内戦がおきたら」と云う情報以外何も摂取せずに鑑賞。
アメリカ人にとってCivil Warと云えばただの内戦の事では無く、自国の歴史上の南北戦争を想起することぐらいは知っている(私にとってはキャプとトニーのヤツ)
だからてっきり社会が分裂する過程描く話だと思ってた。
今のアメリカの現状、超インフレや持つ者と持たざる者の間の拡大等の国家への不信感が増大する中で大統領選挙が行われる上で、保守や権威主義に傾く恐れからリベラルな視点での反戦を訴える映画なのかなぁと。
だが良い意味で期待を裏切って、全く違う映画だった。
凄い映画だと思う。
冒頭から既に内戦状態、しかも情勢は一方的になりつつある状況で始まる。
何故国が分断したのか、何が原因か、イデオロギーの衝突も描かれない。
保守とリベラルが組んで、国を倒そうとしている。権威主義体制に対する民主主義の抵抗、あるのは狂気のみ。
政府軍の敗北に傾くなか、ジャーナリストとカメラマンが大統領にインタビューするべく、内戦下のアメリカを移動して地獄巡りするロードムービーとも言える展開で、道中の狂気が描かれる。
戦時下の狂気を巡るロードムービーと言えば「地獄の黙示録」、ある狂気を止める為に正気の巡回者が、その狂気に同化して止める話で、ある種の神話に昇華しようとした物語であるのに対して、本作は主人公を含めて皆、始めからまともではない。
戦争行為の大義名分を決して描かないので、それを報道する行為も殺戮の記録でしか無い事が際立つ。
狂気と死しかない。
アメリカ人のジャーナリズムにおいて、戦場の風景は必ず異国であり、自国の内戦の経験は無い。
平時には同級生であった者を殺したり、強烈なレイシズムから大量殺戮したりする無政府状態の中、その経験の無い違和感の中で、それを切り取り残そうとするカメラマン、敗戦の将となりそうな大統領の肉声を録ろうとするジャーナリスト。
一応、主人公に憧れる女の子の戦場カメラマンとしての成長や、ホワイトハウスで市街戦が繰り広げられる中、ある種の人間性を取り戻したかの様な主人公が、戦場に恐怖感じて蹲るのだが、ジャーナリストの鼻が効いて、大統領の存在に気付く矜持(狂気)は、捨てられなかったりする話はあるが、あくまで描かれてるのは狂気と死のみであると思う。
女の子を庇って主人公が亡くなる所も、女の子は一瞥するが放っておくし、主人公がアップになる事もない。
劇中散々映る死体と同じ扱いである。
ある意味反体制を描く本作は、彩度を抑えたドライな映像に、60年代末から70年代初頭のバンド、シルヴァー・アップルズのラブフィンガーズで始まり、まるでアメリカン・ニューシネマの様な雰囲気が漂う。
市街戦のパートだけは、制圧作戦のシミュレーションの様な映像となるが、あくまで、全体の印象はニューシネマの様で、鑑賞後の心に残る感じも近いと思う。
最後に映し出される切り取られた写真の狂気を観客に提示して終わるのも、ニューシネマぽい。
中々の秀作だと思います。
追記として現実的には、強大な軍の最高位にいる大統領があの様に制圧されるのは、リアリティに欠ける。攻撃ヘリや戦車、装甲車で制圧されるが、それ以外の強大な力を持つ軍備は登場しない。戦闘機も攻撃機もドローンもミサイルも。
その気になれば軍を掌握している内に戦略爆撃を加えていれば、ああ云う情勢にはなってないと思うのだが。
軍の掌握を失った時点で逃亡してる筈だし、少しでも命令系統が残ってたなら、DC制圧前の基地に爆撃を加えたら逆転するし、そもそも最高機密の地下脱出路やシェルターもあるだろうから、劇中の様な追い詰められ方をするとは思えない。
ただアメリカがこの様な内戦状態になったなら、東アジアの情勢はとんでもない事になってるので、軍事力は大方そちらに流れてるのかなぁと忖度しながら観ていた。
残酷な世界で目覚める本能
まさかシビルウォーがA24スタジオの作品だったとは
エンタメ系アクション映画だと思い込んでいたけど、最初にA24のクレジットが出てきて驚いた
常に日常に潜む隣り合わせの恐怖をえぐってくるA24が切り込んだアメリカが抱える不穏な未来
ただのアクション映画を越えた恐ろしい映画だった
このまま行けばアメリカにいつか訪れる可能性があるだろう恐ろしい未来
トランプが選挙に勝つため使った戦略が生み出した国の分断
ホワイトハウスが襲撃されたあの日
長い年月を費やし培われてきたアメリカの民主主義がいとも簡単に崩壊する様を眺めた人々が感じた危機感を見事な映画に昇華させたA24の手腕
お仕着せがましさや説教くささなど微塵も感じない、ただ純粋な恐怖
戦場カメラマンに憧れ、自分も戦場カメラマンになる夢を抱いた少女
そして戦場カメラマンとして日々を生き、精神が麻痺してしまったカメラマン達
戦いに随行する少女が成長して、むき出しの本能を研ぎ澄ましたカメラマンとして生まれ変わりゆく様を通して悪政がもたらす恐ろしさを痛感する
かれらの旅路に現れる様々な人々
混乱に乗じて己のルールで平気で人を殺す人達
平和という幻想に包まれて、すぐ隣で起きている悲惨な現実を見ないふりをして関わらず生きる人達
全てはフィクションだけど全て現実に潜んでいる
政治への無関心な日本に訪れる未来は?
そんな日本映画を観てみたい
ハードなシナリオ
理念の先にもし分断が加速したら。
SFテイストな、僕らのちょい先に有るかも知れない物語なんだけど、少女の成長物語としての一面も描かれる。
未熟を乗り越え人としてアップデートするのが成長なんだけど、本作は報道と言う少し特殊な世界のルールな訳ですよ。
ラスト少女の目の前で大変な事が起き、普通なら取り乱し、とても耐えられないような事態に落ち入るんだけど彼女はラスト、静かに客観としてシャッター切るんだよね。
アレを非人道的、心の無い行為と捉えちゃう人も居るでしょうけどアレが報道なんだよな。
世界に事実を伝えると言う仕事は客観で在らねばならない、ただ現実のみを淡々と嘘無く伝え、主観とメッセージを乗せないのが正しい報道なんですよ。
世界に有る事実が応援協力すべき事なのか?否定すべき許せない事なのかの判断は見た側がすれば良い。
だってそこに伝える側の主観主張乗せるのは思想コントロールになっちゃうじゃん。
それはルール違反だよと僕達が戦争の歴史で学んだ事じゃん。
だから報道は時に個人を捨ててでも客観を獲得しなきゃいけないんだよな。
そこを主観と感情、思想で進んだのがそもそものこの戦争なんじゃん。
それを静かに決断、成長と描く少し残酷にもハードで強いシナリオだったな。
半端ない緊迫感
戦場カメラマンのリーをキルスティン・ダンストが、ジャーナリストのジョエルをヴァグネル・モウラが、戦場カメラマン志望の女性ジェシーを、ケイリー・スピーニーが演じる。
赤いサングラスの男を、まさかあの俳優さんが演じていたとは。。或るレビュアーさんから頂いたコメントで初めて認識したという 😆 ホント、びっくりでした。
危険を顧みず戦場に赴き、次に何が起こるか分からない緊迫感の中、果敢に被写体を追う姿がリアル。
ただ、ジェシーの危うい行動に、ラスト迄違和感が拭えなかった。
… ホワイトハウス、さすがに地下シェルター設置してそう 👀
映画館での鑑賞
「PRESS」の意義と欺瞞
すごい映画でした。
まず、状況がよく分からない。
内戦でアメリカが二分し、非正規軍がワシントンに攻め入ろうとしているって辺りから始まるんだけど、何のことで揉めてるのか、双方の言い分はどうなっているのかなど、詳細が説明されないから、観客としてどっちに肩入れして観ていくべきかの判断基準が示されない。
でも、例えばイスラム教国家の内戦を描いた映画を観る時「どちらに理があるか」なんて関係なく、純粋に人間同士が殺し合うことの不毛さを感じるのに、舞台が多少見知ったアメリカになると、起こっている地獄は同じなのに、日本人の我々でさえ「正義と悪」を探してしまう。
本作では、その辺りの背景が描かれない分、ちゃんとその地獄を感じられるつくりになっている。
特に私が強く感じたのは「報道」という立場について。
もちろん、命の危険を冒してこういう事実を伝えるという人々がいてこそ、我々は世界中で起きていることを知り、考えることができる。
それはわかるのだが、報道記者、カメラマンという存在があくまで「仕事」である以上、そこには会社や記者同士の、収益や栄誉に関する競争から逃れることはできない。
記者の目的である「伝える」という大前提から逸脱し、「スクープを独り占めしたい」「過激な写真を撮りたい」という欲望が一種性的なエクスタシーにも似た喜びに置き換わったとき、それは「報道」と呼べるのか。
建前上、「PRESS」は戦場でも中立の証人として攻撃の対象から除外される。
報道が、憲法でも保証された表現の自由のひとつの形態である一方で、大きな欺瞞と隣り合わせになっている怖さも感じずにはいられなかった。
エンドロールで、現像されるように徐々に現れる写真。
これの意味するのは「地獄」以外にない。
戦場に赴く中で、ジャーナリストという仕事に辟易としていくリーと、逆に取り込まれていくジェシーの対照的な姿も印象に残る。
(ジェシーも良かったね)
あと、あえて内戦を無視して通常の生活を続ける地域。ああいうものの存在を示すことで、グッとリアリティが増す。
いや、もちろんあの赤いサングラスのイカれ兵士のクダリも刺さったけど。
で、このジェシー・プレモンス恒例の「マット・デイモンと見間違える件」ってのもあるんだけど、調べたらキルスティン・ダンストのパートナーなのね。
とにかくずっとピリピリしてて、気が抜けない、ホラーみたいな映画でした。
【追伸】
朝イチの劇場はお客さんも数名という感じでしたが、映画ラスト、ホワイトハウスでの「あの」シーンで、(無音演出の中)ずっと携帯で誰かと話してた年寄りを、私は一生許さない。
絶対に許さない。
中盤から徐々に恐ろしさにアクセルがかかってくる
戦争は残虐
起こりうる未来
アクションものを期待しているとかたすかしをくらうので注意。最後30分くらいだけか。あとはロードムービー。
誰と誰がたたかってるのか?それらはそこまで重要ではない。撃たれてるから、撃っている。が、正解なのか。という現状。。
未来なのか、それとも現在もどこかの国では起こっているリアルな現実を突きつけられたようなきがした。
国際法に従って、一般人が理解していないレベルで縛られている戦争ではあるが、それを無視した暴力は時として存在する。赤いサングラスの男に話が通じるわけがない。これは、硫黄島からの手紙や父親たちね星条旗、プライベートライアンなどで描写されてきた事実であるとおもう。この映画の感想としては、ただただ、暴力。という感想。争っている陣営は共に正義を掲げるのだろうか、そこには正義も悪もない。
ストーリー云々よりも音がとてもミリョクテキだった。IMAXシアターで観るのに適している。
分断の末に起こり得る未来
観る人の捉え方次第でジャンルが変わる映画だった。戦争映画であり、ロードムービーであり、成長の物語でもあるように思う。
「どのアメリカ人だ」と問われるシーンは分断の行く末を生々しく突き付けてくる。日本でも外様という言葉が未だに使われているのを耳にするが、考え方の根っこは赤サングラスの男と変わらないように思う。
アメリカ大統領選のある年に公開されたのも、警鐘なのだろう。
スケールが大きい様で小さい・・・
生温い映画ではないので注意。
つい先日『エイリアン ロムルス』でお目にかかったケイリーちゃんが、またまた主演!スパン早!
『スパイダーマン』シリーズでMJ役だったキルステンが大人になり過ぎて最初疑ってしまったが、ベテラン感出てていい役作りだった。
冒頭は大統領の演説練習のシーンから始まる。
ものすごく緊張を感じる演技だった。
物語はいきなりアメリカが内戦状態で始まり、心の準備もなく初っ端から戦闘に出される気分とでも言おうか。
悲惨な戦場と化したアメリカの映像とは真逆に、軽快なBGMが流れる。
映画はD.C.に向かう戦場カメラマン達のロードムービー風だが、幾度となく緊張感のあるシーンで心拍数があがる。
危険な戦闘域真っ只中へ飛び込む戦場カメラマン。
感情をコントロールする術を持たなければやっていけない。身の危険もあるなか、事実を伝える為にシャッターをきる。
もしこれが現実だったら、、、と思ってしまうようなリアルさ。オブラートになんて包まず、戦争の悲惨さを映像でバンバンだされる。
映画と言えども、銃殺される瞬間や血みどろの遺体の数々は目を覆いたくなった。
(ウォーキンデッドで耐性あるから大丈夫!と思い込まないと無理だった。)
内戦が起きても無関心が一番安全だと言う店員。
店の外では銃を構える人。
無関心がいつまで自分を守ってくれるのか。
ホワイトハウスまで迫ってきた矢先に主人公リーが取り乱すシーンは、私も引きずられたのか、いや、今まで平気そうにこの悲惨な映像を見てきて堪えてきた感情が溢れてしまったか、恐ろしくて恐ろしくて涙が流れた。
殺された大統領の周りで微笑む兵士達。
彼らはマトモな人間なのか、それとも悪魔なのか。
自問自答は諦めろ。
目の前の事実をカメラに収めるんだ。
思ったのと違った
分断
分断された内戦の米国の中で描かれるジャーナリストの成長を描いたロードムービー
【はじめに】
本作『シビル・ウォー』で監督と脚本を担当したアレックス・ガーランドのデビュー作は『28日後』というゾンビ映画の脚本でした。その来歴もあってか、この映画は戦争よりも分断に伴う終末世界を描くのに多くの尺を使い、14ヶ月間インタビューに応じていない大統領(ニック・オファーソン)に突撃取材を敢行するために自動車で旅をするリー・スミス(キルステン・ダンスト)ら一行のロードムービーと、23歳のジャーナリスト志望のジェシー・カレン(ケイリー・スピーニー)の成長を軸に構成されています。
【所感】
リーたちジャーナリスト一行が遭遇するのは、『分断』です。一行がガソリンスタンドで遭遇する自動洗車機に吊された“略奪者”の拷問された姿に、ガソリンスタンドのオーナーはハイスクールの同級生だが、在学当時よりも拷問の時に一番言葉を交わしたと言い放っています。
かつての身近な人であり、会話の糸口になるような共通項は罪を許すような慈悲にもならず、ただ同じ地域に住んでいる持つ者と持たざる者だけの対立がそこでは描かれます。
ここでジェシーが“略奪者”の姿を撮れなかった事を悔やむことが描写されます。しかし、拷問を受けた”略奪者”の存在に気付いたのは、ジェシーなのです。彼女には間違いなく才能があるのです。
だからこそ、このエピソードの後にリーは破壊されたヘリ(H60?)を被写体に撮影するように、ジェシーに特訓をするのです。
本作の広告で何度も繰り返された「どういう種類のアメリカ人だ?」という質問をする赤いサングラスの男(ジェシー・プレモンス)のエピソードでは、ジェシーの未熟な行動が招いた故のトラブルだと捉える向きもあるでしょう。
ただ、赤いサングラスの男はあの道路で検問をしており、ジェシーが車を乗り換えなくても遭遇していた事態であります。
赤いサングラスの男に関して、パンフレットのインタビューでガーランド監督は、人種差別主義者だとカテゴライズしていました。けれども、彼は一人目は無言で射殺していますが、香港出身のジャーナリストは、外見がアジア系だからではなく、質問の回答によって殺されています。人種差別主義者の中でもさらに絞り込むならば、赤いサングラスの男は新規の移民を歓迎しない移民排斥派なのです。香港出身の男も例えばアメリカ最大の中華系居住州のカリフォルニア出身とでも偽ればその場は乗り切れたのではないか、と思えなくもありません。
もちろん、脚本の段階ではどんな俳優がキャスティングされるか分からないから、相手の視覚情報から人種を特定して射殺する流れにしなかったとも、一連の台詞を大切にしたかったなどもあるのでしょうけれど…。
いずれにせよ、私はジェシーを責めるのは酷だと思いますし、リーたちは14ヶ月インタビューに応じていない大統領にインタビューをさせるのにどんな取引をできるだけの材料を持っていたのでしょうか? PRESSSという事やリーの知名度でそれなりに尊重されると思っていたのでしたら、やはり脳天気だったと思います。例えば、サミーはラジオから流れる大統領の演説をいつもと同じだと言って切ってしまうシーンにもそれを感じました。
同じ演説でも何度も聞き、声の調子や使用している言葉の違いやスタジオの音響から現状を推測するのもジャーナリストの役割ではないでしょうか。現実の世界では、北の指導者の体型や歩き方からどんな病気を患っているのか推測される報道がなされています。非言語化されない部分や微かな違いにも、カーテンの向こうの事実が影を落としているはずです。
色々割り切れない思いもありますが、サミーをはじめ大量の死に直面してゲロを吐きながらも、大統領官邸に突入するシーンで自らをかばってくれたリーの死に様にも迷いもなくシャッターを切り続けるのは、戦場カメラマンとして彼女は確かに成長したのでしょう。
しかし、ワシントンでハンヴィーと激突する大統領専用車と、そして大統領官邸への突入の戦闘シーンは圧巻でした。この場面の戦闘の激しさや、ニュースでよく見る個々の部屋を戦場にして徐々に占拠していく様は、アメリカ政治の当事者ではなくても無理な要求を突きつける同国に鬱屈した感情を抱いたことがある日本人としてはある種のカタルシスを感じます。
ただ、交渉をする秘書官の女性も、命乞いをする大統領を拘束もせずに全て銃殺というのは、ビン・ラディン並みの扱いで、DNA鑑定を経て特別法廷で裁かれたフセインのようにもならないのは少々唖然としました。
グアンタナモ捕虜収容所で米軍が行っている虐待は知っていますが、日本人は80年前の戦争で『生きて虜囚の辱めを受けず』という思想から捕虜になると恥だし悲惨という考えを元に、沖縄や南洋の島々で軍人や民間人の集団自決を招きました。実態は、捕虜になった人々は意外な待遇や尋問への訓練を受けていなかったために様々な情報を提供する事になり、米軍は対日戦に捕虜の情報を役立てました。
この映画は元軍人を撮影に参加させてリアリティを追求したのに、そこは果たしてリアルだったのか、疑問を感じました。
エンタメや戦場という狂気を表現するには必要な描写であり、戦場ではどんなルール違反も悲劇も起こりえるという事もあるでしょう。また、西部勢力が支配してきた地域が正常で常識が通用する地域でもなく、国際法が通用する正規の軍隊と描写しない事で、この後のアメリカの苦難を表しているような場面だともいえるのかもしれません。
【妄想というか今後の展望】
そもそも本作の大統領が3選を目指して実現できたのはなぜなのでしょうか? パンフレットでは、トランプ前大統領が3期目の当選を目指した事を発言した事からこのような大統領を創作したと語られていますが、一人の大統領の意思だけではアメリカといえども憲法改正は容易ではなく、全州議会の75%の同意が必要なのです。
史実で3選以上を果たしたのは、フランクリン・ルーズヴェルトでした。4選という例外的な彼の長期政権を支えたのは第二次大戦という非常事態があったからでした。
続くトルーマン政権の1951年に3選を明示的に禁止する憲法修正22条がなされました。
アメリカ建国の際にワシントンが自ら3期を固辞したことからアメリカ大統領は伝統的に2期のみだと思われがちですが、それまでは一種の不文律のような慣習だったのです。
大統領はひょっとして、中国かロシアなどの大国との第3次世界大戦を背景に3選を果たしたのかもしれません。
そう考えると、米国の内戦において大統領が治める地域にNATOなり自衛隊なり米国外の勢力が存在しない理由も納得が出来るかもしれません。もはや、外国にも米国を助けたり関与する余裕がない世界なのでしょう。
私としては、この映画は壮大なプロローグとして、真面目にシビル・ウォーの世界をNetflixか何かで連続ドラマにしてほしいと思うのですが・・・特定の党や人物をぼかして観客に会話することを求める本作の監督の意向とも得意とする分野とも異なるので、ないと思いますが…2時間映画で終わるには惜しい作品だと思わされました。
全812件中、361~380件目を表示