シビル・ウォー アメリカ最後の日のレビュー・感想・評価
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残酷な世界で目覚める本能
まさかシビルウォーがA24スタジオの作品だったとは
エンタメ系アクション映画だと思い込んでいたけど、最初にA24のクレジットが出てきて驚いた
常に日常に潜む隣り合わせの恐怖をえぐってくるA24が切り込んだアメリカが抱える不穏な未来
ただのアクション映画を越えた恐ろしい映画だった
このまま行けばアメリカにいつか訪れる可能性があるだろう恐ろしい未来
トランプが選挙に勝つため使った戦略が生み出した国の分断
ホワイトハウスが襲撃されたあの日
長い年月を費やし培われてきたアメリカの民主主義がいとも簡単に崩壊する様を眺めた人々が感じた危機感を見事な映画に昇華させたA24の手腕
お仕着せがましさや説教くささなど微塵も感じない、ただ純粋な恐怖
戦場カメラマンに憧れ、自分も戦場カメラマンになる夢を抱いた少女
そして戦場カメラマンとして日々を生き、精神が麻痺してしまったカメラマン達
戦いに随行する少女が成長して、むき出しの本能を研ぎ澄ましたカメラマンとして生まれ変わりゆく様を通して悪政がもたらす恐ろしさを痛感する
かれらの旅路に現れる様々な人々
混乱に乗じて己のルールで平気で人を殺す人達
平和という幻想に包まれて、すぐ隣で起きている悲惨な現実を見ないふりをして関わらず生きる人達
全てはフィクションだけど全て現実に潜んでいる
政治への無関心な日本に訪れる未来は?
そんな日本映画を観てみたい
ハードなシナリオ
理念の先にもし分断が加速したら。
SFテイストな、僕らのちょい先に有るかも知れない物語なんだけど、少女の成長物語としての一面も描かれる。
未熟を乗り越え人としてアップデートするのが成長なんだけど、本作は報道と言う少し特殊な世界のルールな訳ですよ。
ラスト少女の目の前で大変な事が起き、普通なら取り乱し、とても耐えられないような事態に落ち入るんだけど彼女はラスト、静かに客観としてシャッター切るんだよね。
アレを非人道的、心の無い行為と捉えちゃう人も居るでしょうけどアレが報道なんだよな。
世界に事実を伝えると言う仕事は客観で在らねばならない、ただ現実のみを淡々と嘘無く伝え、主観とメッセージを乗せないのが正しい報道なんですよ。
世界に有る事実が応援協力すべき事なのか?否定すべき許せない事なのかの判断は見た側がすれば良い。
だってそこに伝える側の主観主張乗せるのは思想コントロールになっちゃうじゃん。
それはルール違反だよと僕達が戦争の歴史で学んだ事じゃん。
だから報道は時に個人を捨ててでも客観を獲得しなきゃいけないんだよな。
そこを主観と感情、思想で進んだのがそもそものこの戦争なんじゃん。
それを静かに決断、成長と描く少し残酷にもハードで強いシナリオだったな。
半端ない緊迫感
戦場カメラマンのリーをキルスティン・ダンストが、ジャーナリストのジョエルをヴァグネル・モウラが、戦場カメラマン志望の女性ジェシーを、ケイリー・スピーニーが演じる。
赤いサングラスの男を、まさかあの俳優さんが演じていたとは。。或るレビュアーさんから頂いたコメントで初めて認識したという 😆 ホント、びっくりでした。
危険を顧みず戦場に赴き、次に何が起こるか分からない緊迫感の中、果敢に被写体を追う姿がリアル。
ただ、ジェシーの危うい行動に、ラスト迄違和感が拭えなかった。
… ホワイトハウス、さすがに地下シェルター設置してそう 👀
映画館での鑑賞
「PRESS」の意義と欺瞞
すごい映画でした。
まず、状況がよく分からない。
内戦でアメリカが二分し、非正規軍がワシントンに攻め入ろうとしているって辺りから始まるんだけど、何のことで揉めてるのか、双方の言い分はどうなっているのかなど、詳細が説明されないから、観客としてどっちに肩入れして観ていくべきかの判断基準が示されない。
でも、例えばイスラム教国家の内戦を描いた映画を観る時「どちらに理があるか」なんて関係なく、純粋に人間同士が殺し合うことの不毛さを感じるのに、舞台が多少見知ったアメリカになると、起こっている地獄は同じなのに、日本人の我々でさえ「正義と悪」を探してしまう。
本作では、その辺りの背景が描かれない分、ちゃんとその地獄を感じられるつくりになっている。
特に私が強く感じたのは「報道」という立場について。
もちろん、命の危険を冒してこういう事実を伝えるという人々がいてこそ、我々は世界中で起きていることを知り、考えることができる。
それはわかるのだが、報道記者、カメラマンという存在があくまで「仕事」である以上、そこには会社や記者同士の、収益や栄誉に関する競争から逃れることはできない。
記者の目的である「伝える」という大前提から逸脱し、「スクープを独り占めしたい」「過激な写真を撮りたい」という欲望が一種性的なエクスタシーにも似た喜びに置き換わったとき、それは「報道」と呼べるのか。
建前上、「PRESS」は戦場でも中立の証人として攻撃の対象から除外される。
報道が、憲法でも保証された表現の自由のひとつの形態である一方で、大きな欺瞞と隣り合わせになっている怖さも感じずにはいられなかった。
エンドロールで、現像されるように徐々に現れる写真。
これの意味するのは「地獄」以外にない。
戦場に赴く中で、ジャーナリストという仕事に辟易としていくリーと、逆に取り込まれていくジェシーの対照的な姿も印象に残る。
(ジェシーも良かったね)
あと、あえて内戦を無視して通常の生活を続ける地域。ああいうものの存在を示すことで、グッとリアリティが増す。
いや、もちろんあの赤いサングラスのイカれ兵士のクダリも刺さったけど。
で、このジェシー・プレモンス恒例の「マット・デイモンと見間違える件」ってのもあるんだけど、調べたらキルスティン・ダンストのパートナーなのね。
とにかくずっとピリピリしてて、気が抜けない、ホラーみたいな映画でした。
【追伸】
朝イチの劇場はお客さんも数名という感じでしたが、映画ラスト、ホワイトハウスでの「あの」シーンで、(無音演出の中)ずっと携帯で誰かと話してた年寄りを、私は一生許さない。
絶対に許さない。
中盤から徐々に恐ろしさにアクセルがかかってくる
序盤は登場人物やシーンの少なさからスケール感がなく退屈に感じ、あくびが出た。中盤から徐々に恐さからの緊張感にアクセルがかかっていった。
恐さとは価値観の違いからくる力こそが正義、共存不可の世界であり、それこそが戦争なのだと改めて考えさせられた。
ちなみに約7分の出演だった赤いサングラスの男が「憐れみの3章」に出演していたジェシー・プレモンスでキルスティン・ダンストの夫だと観終わってから知った。
戦争は残虐
戦争映画という事のみで、あらすじも知らずにIMAXで鑑賞。
残酷なシーンが多く、目を覆いたくなる様な場面も多い。
戦争により?人間に対する命の大切さなどの感覚がめちゃくちゃになる。
見終わった後に、自分がとても幸せな世界で生きられてる事に感謝しかなかった。
起こりうる未来
アクションものを期待しているとかたすかしをくらうので注意。最後30分くらいだけか。あとはロードムービー。
誰と誰がたたかってるのか?それらはそこまで重要ではない。撃たれてるから、撃っている。が、正解なのか。という現状。。
未来なのか、それとも現在もどこかの国では起こっているリアルな現実を突きつけられたようなきがした。
国際法に従って、一般人が理解していないレベルで縛られている戦争ではあるが、それを無視した暴力は時として存在する。赤いサングラスの男に話が通じるわけがない。これは、硫黄島からの手紙や父親たちね星条旗、プライベートライアンなどで描写されてきた事実であるとおもう。この映画の感想としては、ただただ、暴力。という感想。争っている陣営は共に正義を掲げるのだろうか、そこには正義も悪もない。
ストーリー云々よりも音がとてもミリョクテキだった。IMAXシアターで観るのに適している。
分断の末に起こり得る未来
観る人の捉え方次第でジャンルが変わる映画だった。戦争映画であり、ロードムービーであり、成長の物語でもあるように思う。
「どのアメリカ人だ」と問われるシーンは分断の行く末を生々しく突き付けてくる。日本でも外様という言葉が未だに使われているのを耳にするが、考え方の根っこは赤サングラスの男と変わらないように思う。
アメリカ大統領選のある年に公開されたのも、警鐘なのだろう。
思ってたのと違うけど面白かった
なぜ内戦が起きたかとかそれによってどうアメリカが変化してくのかという映画かと思ってたけどそうでなかった。既に変わり果てた内戦中のアメリカになっていた。でも見応えは充分あった!
スケールが大きい様で小さい・・・
始まりが少し安っぽい感じだったのは置いといて
一部で実物の戦車やヘリが出てくるシーンは圧巻
お話としてはプレスの成長の物語ですが、プレスがこれ程のものとは!
これは映画の世界だけでなく現実でも同じであれば凄い!
戦士がプレスに敬意を払うのも分かる
でも、終わりはもう少しかっこよくして欲しかった
生温い映画ではないので注意。
つい先日『エイリアン ロムルス』でお目にかかったケイリーちゃんが、またまた主演!スパン早!
『スパイダーマン』シリーズでMJ役だったキルステンが大人になり過ぎて最初疑ってしまったが、ベテラン感出てていい役作りだった。
冒頭は大統領の演説練習のシーンから始まる。
ものすごく緊張を感じる演技だった。
物語はいきなりアメリカが内戦状態で始まり、心の準備もなく初っ端から戦闘に出される気分とでも言おうか。
悲惨な戦場と化したアメリカの映像とは真逆に、軽快なBGMが流れる。
映画はD.C.に向かう戦場カメラマン達のロードムービー風だが、幾度となく緊張感のあるシーンで心拍数があがる。
危険な戦闘域真っ只中へ飛び込む戦場カメラマン。
感情をコントロールする術を持たなければやっていけない。身の危険もあるなか、事実を伝える為にシャッターをきる。
もしこれが現実だったら、、、と思ってしまうようなリアルさ。オブラートになんて包まず、戦争の悲惨さを映像でバンバンだされる。
映画と言えども、銃殺される瞬間や血みどろの遺体の数々は目を覆いたくなった。
(ウォーキンデッドで耐性あるから大丈夫!と思い込まないと無理だった。)
内戦が起きても無関心が一番安全だと言う店員。
店の外では銃を構える人。
無関心がいつまで自分を守ってくれるのか。
ホワイトハウスまで迫ってきた矢先に主人公リーが取り乱すシーンは、私も引きずられたのか、いや、今まで平気そうにこの悲惨な映像を見てきて堪えてきた感情が溢れてしまったか、恐ろしくて恐ろしくて涙が流れた。
殺された大統領の周りで微笑む兵士達。
彼らはマトモな人間なのか、それとも悪魔なのか。
自問自答は諦めろ。
目の前の事実をカメラに収めるんだ。
思ったのと違った
娯楽アクション映画かと思って観に行ったら、緊張感の強いられる映画でした。
準主役の女優は全く知らない方でしたが、今まだ上映しているエイリアンにも出ているというので、そちらも観に行くことにします。
2箇所で観てみた結果、
丸ピカのドルシネより、立川極音の方が迫力はありました。
場内で銃撃戦が起こっているみたいなの。
分断
この作品の舞台のアメリカが、なぜそこまで分断してしまったのか。詳しい説明はないのでわからない。
だけど、分断を前提に作品は作られていて、なぜか違和感を感じながらも、観ることができてしまう…。そこに怖さを感じる。
分断された内戦の米国の中で描かれるジャーナリストの成長を描いたロードムービー
【はじめに】
本作『シビル・ウォー』で監督と脚本を担当したアレックス・ガーランドのデビュー作は『28日後』というゾンビ映画の脚本でした。その来歴もあってか、この映画は戦争よりも分断に伴う終末世界を描くのに多くの尺を使い、14ヶ月間インタビューに応じていない大統領(ニック・オファーソン)に突撃取材を敢行するために自動車で旅をするリー・スミス(キルステン・ダンスト)ら一行のロードムービーと、23歳のジャーナリスト志望のジェシー・カレン(ケイリー・スピーニー)の成長を軸に構成されています。
【所感】
リーたちジャーナリスト一行が遭遇するのは、『分断』です。一行がガソリンスタンドで遭遇する自動洗車機に吊された“略奪者”の拷問された姿に、ガソリンスタンドのオーナーはハイスクールの同級生だが、在学当時よりも拷問の時に一番言葉を交わしたと言い放っています。
かつての身近な人であり、会話の糸口になるような共通項は罪を許すような慈悲にもならず、ただ同じ地域に住んでいる持つ者と持たざる者だけの対立がそこでは描かれます。
ここでジェシーが“略奪者”の姿を撮れなかった事を悔やむことが描写されます。しかし、拷問を受けた”略奪者”の存在に気付いたのは、ジェシーなのです。彼女には間違いなく才能があるのです。
だからこそ、このエピソードの後にリーは破壊されたヘリ(H60?)を被写体に撮影するように、ジェシーに特訓をするのです。
本作の広告で何度も繰り返された「どういう種類のアメリカ人だ?」という質問をする赤いサングラスの男(ジェシー・プレモンス)のエピソードでは、ジェシーの未熟な行動が招いた故のトラブルだと捉える向きもあるでしょう。
ただ、赤いサングラスの男はあの道路で検問をしており、ジェシーが車を乗り換えなくても遭遇していた事態であります。
赤いサングラスの男に関して、パンフレットのインタビューでガーランド監督は、人種差別主義者だとカテゴライズしていました。けれども、彼は一人目は無言で射殺していますが、香港出身のジャーナリストは、外見がアジア系だからではなく、質問の回答によって殺されています。人種差別主義者の中でもさらに絞り込むならば、赤いサングラスの男は新規の移民を歓迎しない移民排斥派なのです。香港出身の男も例えばアメリカ最大の中華系居住州のカリフォルニア出身とでも偽ればその場は乗り切れたのではないか、と思えなくもありません。
もちろん、脚本の段階ではどんな俳優がキャスティングされるか分からないから、相手の視覚情報から人種を特定して射殺する流れにしなかったとも、一連の台詞を大切にしたかったなどもあるのでしょうけれど…。
いずれにせよ、私はジェシーを責めるのは酷だと思いますし、リーたちは14ヶ月インタビューに応じていない大統領にインタビューをさせるのにどんな取引をできるだけの材料を持っていたのでしょうか? PRESSSという事やリーの知名度でそれなりに尊重されると思っていたのでしたら、やはり脳天気だったと思います。例えば、サミーはラジオから流れる大統領の演説をいつもと同じだと言って切ってしまうシーンにもそれを感じました。
同じ演説でも何度も聞き、声の調子や使用している言葉の違いやスタジオの音響から現状を推測するのもジャーナリストの役割ではないでしょうか。現実の世界では、北の指導者の体型や歩き方からどんな病気を患っているのか推測される報道がなされています。非言語化されない部分や微かな違いにも、カーテンの向こうの事実が影を落としているはずです。
色々割り切れない思いもありますが、サミーをはじめ大量の死に直面してゲロを吐きながらも、大統領官邸に突入するシーンで自らをかばってくれたリーの死に様にも迷いもなくシャッターを切り続けるのは、戦場カメラマンとして彼女は確かに成長したのでしょう。
しかし、ワシントンでハンヴィーと激突する大統領専用車と、そして大統領官邸への突入の戦闘シーンは圧巻でした。この場面の戦闘の激しさや、ニュースでよく見る個々の部屋を戦場にして徐々に占拠していく様は、アメリカ政治の当事者ではなくても無理な要求を突きつける同国に鬱屈した感情を抱いたことがある日本人としてはある種のカタルシスを感じます。
ただ、交渉をする秘書官の女性も、命乞いをする大統領を拘束もせずに全て銃殺というのは、ビン・ラディン並みの扱いで、DNA鑑定を経て特別法廷で裁かれたフセインのようにもならないのは少々唖然としました。
グアンタナモ捕虜収容所で米軍が行っている虐待は知っていますが、日本人は80年前の戦争で『生きて虜囚の辱めを受けず』という思想から捕虜になると恥だし悲惨という考えを元に、沖縄や南洋の島々で軍人や民間人の集団自決を招きました。実態は、捕虜になった人々は意外な待遇や尋問への訓練を受けていなかったために様々な情報を提供する事になり、米軍は対日戦に捕虜の情報を役立てました。
この映画は元軍人を撮影に参加させてリアリティを追求したのに、そこは果たしてリアルだったのか、疑問を感じました。
エンタメや戦場という狂気を表現するには必要な描写であり、戦場ではどんなルール違反も悲劇も起こりえるという事もあるでしょう。また、西部勢力が支配してきた地域が正常で常識が通用する地域でもなく、国際法が通用する正規の軍隊と描写しない事で、この後のアメリカの苦難を表しているような場面だともいえるのかもしれません。
【妄想というか今後の展望】
そもそも本作の大統領が3選を目指して実現できたのはなぜなのでしょうか? パンフレットでは、トランプ前大統領が3期目の当選を目指した事を発言した事からこのような大統領を創作したと語られていますが、一人の大統領の意思だけではアメリカといえども憲法改正は容易ではなく、全州議会の75%の同意が必要なのです。
史実で3選以上を果たしたのは、フランクリン・ルーズヴェルトでした。4選という例外的な彼の長期政権を支えたのは第二次大戦という非常事態があったからでした。
続くトルーマン政権の1951年に3選を明示的に禁止する憲法修正22条がなされました。
アメリカ建国の際にワシントンが自ら3期を固辞したことからアメリカ大統領は伝統的に2期のみだと思われがちですが、それまでは一種の不文律のような慣習だったのです。
大統領はひょっとして、中国かロシアなどの大国との第3次世界大戦を背景に3選を果たしたのかもしれません。
そう考えると、米国の内戦において大統領が治める地域にNATOなり自衛隊なり米国外の勢力が存在しない理由も納得が出来るかもしれません。もはや、外国にも米国を助けたり関与する余裕がない世界なのでしょう。
私としては、この映画は壮大なプロローグとして、真面目にシビル・ウォーの世界をNetflixか何かで連続ドラマにしてほしいと思うのですが・・・特定の党や人物をぼかして観客に会話することを求める本作の監督の意向とも得意とする分野とも異なるので、ないと思いますが…2時間映画で終わるには惜しい作品だと思わされました。
戦争の理不尽さを描いた良作
アメリカが分断、州連合軍と政府軍が内戦状態。その要因も内戦に至る経緯も作中では語られない。当然、諸外国の動きも一切、触れていない。(ロシアや中国が沈黙している筈がない)
描かれているのは、個々人に降りかかる、戦争がもたらす理不尽さ、非常識さが、ひたすら描かれている。
その舞台がアメリカ国内というのが、ポイントで昨日まで同じ国の市民だったのが、内戦だからと、いとも簡単に同じ市民を殺害してしまう事の恐怖。
「同じアメリカ人だろ!」「どのアメリカ人だ?」という台詞に、戦争の醜悪さが現れている。多分、ウクライナで、ガザで、レバノンで同じ理不尽さが繰り広げられているのだと想像させられるだけで、この作品の価値はある。
ラスト、捕らえられた大統領に一言インタビューを行い、その答えを聞いて「充分だ」と言い放つジャーナリストの態度は、戦争を始めたのは権力者、だから、その責任を自分で取れという痛烈な批判なのだろうと感じた。
アベンジャーズは最後まで登場しなかったけど、続編から?
近未来に起こってもおかしくないシチュエーションの描写。ひょっとすると製作者はAIか?と想像してしまう位に現代アメリカを多角的に立体的に抉り取った手腕は素人にはすごいとしか思えない。兆、京、垓の情報の断片を組み合わせて、起こりうる状況を画像に落とし込むトランスフォーミングも人間業離れしていた。すごかった。
「アベンジャー」を期待して観に行くと外れた感が半端ないかもしれない。レビューもそういった感想があふれていたけど。さすがに現代のアメリカ人でキャプテンアメリカが登場してワルモノをぶっ倒す作品とそうでない作品の差は理解しているんだろう。ちなみにジョンウェインは赤いサングラスつけて出てました。
ニューヨーク、ワシントン、シャトル便で1時間くらいの距離だけど、交通事情を加味して今回はぐるっと遠回り。結果としてエグイくらいあの辺のアメリカ人を描いてしまうところもすごかった。偏見と差別むき出しで銃をぶっぱなし、強奪者には死をもって報いさせるという伝統的な米国流の問題解決法、古くはホロコースト、近くは中東での人命軽視の死体処理等、州兵、私兵、自警団、正式軍(東、西)の使い分けとか、作戦時のヘリコプターの使い方とか、軍の作戦プロトコル等を知り尽くした人が制作人にいたんだろうと感じた。緑地の多さ、芝生の濃さ、湖畔を進む軍事車両等、はなに野宿しているおっさんの奥で軍用トラックが下手へ、ヘリコプターが天へフレームアウトしていく静と動、映像美とも言えるなにげない風景、無機質な戦闘兵器と夜空にくぐもった音で聞こえてくる砲撃、銃声の音、さらには”Go stealers!" のペイント。大いなる力を持った3期目大統領が引き起こした惨劇の様子をドキュメンタリーとして描いたのかと錯覚してしまう。
更に主人公の世代交代、ジャーナリストの宿命である非人格に徹しなければならないプロ意識の発現とトラウマになる心の傷跡、それを新旧の世代交代にかぶせていくシナリオワーク。主人公を虫けらのようにヤッテしまうことで、レンズを通じた意思の継承を見せてしまう小業等、挙げだしたらキリがないほどすごい作品だと思いました。
アメリカが内戦状態になった理由が全く判らなかった
星条旗の星が2つになっていて、なんで2つになったのかその経緯もよく判らないし、そしてよく判らないままDCが陥落していた。
なんで?
何があったの?
戦争ジャーナリストの人たちが大統領のインタビューを取るために命がけでNYからDCに向かうのだが、その道中でやたらと人が殺される。
虫けらのように殺される。
最初は怖がっていた若いカメラマンが、段々戦場にいることに慣れ、人間同士が殺しあうシーンをカメラに収めることに恍惚感を覚えるようになっていく。
こういった心の変化も戦争が生む『狂気』なのではないかと思った。
これが『戦争』なんだと現実を見せられた気がした。
いや。
現実はもっと悲惨なんだと思う。
でもこれはアメリカの内戦の話ではなく、アメリカの内戦という設定で戦場カメラマンを描いた作品。
紛らわしいタイトルを付けるな!
今この時も東欧や中東が戦場となっている。
今日スクリーンで目にしたシーンよりももっと悲惨な状況が繰り広げられているかと思うと、なんとも言えない気持ちになる。
戦争がこの世の中からなくなる日がいつか来るのだろうか?
見ごたえ満点の圧倒的な面白さ! 分断された巨大国家の終焉を描く、ド迫力のサスペンス・アクション巨編!!
内戦中ずっとメディアに出てこない大統領のインタビューを敢行するため、戦場カメラマンやジャーナリストのグループが数々の戦場をくぐり抜けワシントンDCを目指して1,300kmを命懸けでドライブする大興奮のロードムービー
重厚で目が離せないストーリー展開とド迫力の映像・サウンドデザインに圧倒され、109分があっという間でした
ストーリーもいいけど、バトルシーンの描写が凄い、全編にわたって描かれる銃撃戦は腹の底まで響き渡る重低音と共に戦場の恐怖を描き、特にクライマックスのワシントンDCでの市街戦は圧巻、最高にエキサイティングでした
主人公の報道カメラマン・リーを演じるキルスティン・ダンストさんの終始苦悩に苛まれる表情が素晴らしく、描かれてはいないがリーのこれまで戦場で見てきた壮絶な経験を黙って表情と立ち振舞いで魅せているんであろう演技はみごとでした
そしてリーに憧れて行動を共にし同じく一流の報道カメラマンを目指し成長していくジェシーを演じるケイリー・スピーニーさんの演技も素晴らしく、しかもメチャクチャ綺麗なので目が離せません、今年『プリシラ(2023)』『エイリアン/ロムルス(2024)』そして本作と3連発で話題作の主役を務め、今ハリウッドで最も勢いのある若手女優さんですね
超美人で演技もできるだけでなくアクションもこなせる素晴らしい方で大ファンです
秩序ある国がひとたびバランスを崩すとここまで酷い状況になるのかと怖くなるストーリーライン
敵とみなすと徹底的に殺し合う人間の愚かさがえぐり出され、狂気に満ちた人間の醜悪な部分が露骨に描かれます、特にヤバい奴オーラ全開のジェシー・プレモンスさんが出てくるくだりは全身に力が入りっぱなしの緊張感でメチャクチャ怖かった、このシーンは早く終わって欲しかった
人間の醜くてとっても愚かな一面で締めくくるラストに妙に納得感を覚え忘れられない作品になりました
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