シビル・ウォー アメリカ最後の日のレビュー・感想・評価
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アメリカ人がアメリカ人を殺す
あり得るかもですね。
以前、トランプ支持者が襲撃した事件がありましたよね。
自分がその映像をTVで見たという事は、現場のプレスが撮っていたと言う事で。
この映画の内戦の原因は分かりませんが、こんなシーンをTVで見る日も来るのではないかと思えてしまいます。
赤サングラスもまともじゃないけど、突っ込んで行くプレスも正気の沙汰ではない。
後には死体の山しかない。
日本公開サブタイトルに違和感
何かと尖った作品で話題になるA24制作。
しかも今までで一番のバジェットの作品。
監督もエクス・マキナと28週後が大好きなので
公開を心待ちしていました。
早速鑑賞。
戦場の緊迫感が報道の視線から描かれていて
ドキュメンタリータッチの画作りはとてもいいですね。
役者もとてもいい。
ロムルスに出ていたケイリー・スピーニーもとてもいい
どんどん良い役がまわってきそうです。
ただ、ほとんどの観客の一番の関心事、
アメリカでの内戦感が弱いと思いました。
他の国の内戦に置き換えて撮っても、ほぼ同じ映画が作れます。
世界トップクラスの軍事力を持つアメリカで起きた内戦。
どうしても目新しい戦闘を期待するし
911テロを超えるような想像を絶する光景が見られると思ってしまいます。
この映画にそういう新しさはありませんでした。
内線に至る理由も語られない。
また、そういう要素がないのに
配給会社は大袈裟なサブタイトルをつけて煽っています。
いいところも多いのにもったいない。
崩壊したヤバい国アメリカのロードムービー
ストーリー性はあまりなく、
延々とドンパチ、ドンパチ…
サバゲーのような戦闘シーンが繰り広げられる
それが、アメリカらしい風景の中に
リアルに落とし込まれ
そこを通るジャーナリスト一行の目を通して見た
景色として描かれている
…以上
ってことに表面をザクッとなぞると
そうなってしまうが
しかし、
戦場という無法地帯は
人間をこれほどまでに鬼へと変えてしまう
ものなのかという恐怖は存分に伝わった
その景色はまさに地獄絵図そのもの…
そしてこの瞬間も
映画のシーンさながらの現実に
あえいでいる国の人々がいるということを
否応なく突きつけてくる
そういう意味では
ストーリーや内戦の説明は重要じゃなく
リアリティのある戦闘シーンのインパクトこそが
何より重要だったのかもしれない
なんとなく満たされない「戦場体験」。
分断が進んでいると言われるアメリカでシビルウォー(内戦)をテーマにしたこの映画は、人々の関心を集めやすい今日的な作品と言える。しかしそんな人々の関心に応えたかと言うと微妙なところである。それは意図的に紛争の原因をほとんど描いていないからなのかもしれない。軍隊同士の戦闘でもなく民間人が普通に殺されている。どこで衝突が起こるのか分からない、誰が敵か味方かもよく分からない不可解な戦場である。内戦というのはそういうものかもしれないが、映画から内戦の現実性を感じられないのは少し不満かもしれない。現実感のない戦争に、戦場の不条理だけはリアルに描かれている。
この戦場の不条理にジャーナリストはどう向き合うべきかというのがテーマになっている。意欲だけはあるが、危なっかしい新米カメラマンジェシーの体験を通して、観客も戦場のリアルを実感する。ジャーナリスト4人が戦場を旅する、いわゆるロードムービーである。行く先々で思いもよらぬことが次々と起こるのが見どころである。経歴も考え方も違う先輩3人が、戦場ではどうあるべきかみたいなことを三者三様に新米に伝えていっている所が面白い。ジェシーは一つ一つの体験を自分なりに吸収して成長していく。ラストでは彼女がジャーナリストになり切った象徴的なシーンが出てくる。彼女の成長はうれしいことであるが、同時に人間的な感情を排除するという厳しい選択でもあった。
この映画で、アメリカの内戦の可能性を感じる人はほとんどいないと思う。ジャーナリスト目線の戦場体験は新鮮なものがあり、ジャーナリスト4人の人間模様も面白く見ることができたが、なんとなく満たされないものが残る作品でした。
怖い怖い
超大国アメリカが南北戦争以来のシビル・ウォーだなんて突飛な話、さすがA24。
でも、大統領選の両陣営の対立見ていると、あながち突飛ではないかも、と思えてしまうところがアメリカだと思う。
一切説明無くいきなりアメリカが内戦状態というところから始まる。
テキサスとカリフォルニアが中心の反乱軍と政府軍の戦いらしいが、政府軍は圧倒的に劣勢という状況。
「ソウルの春」を連想した。
兵士の話かと思っていたら、戦場カメラマンの話だった。
特ダネをものにしようと、ニューヨークからワシントンD.Cに向かう老若男女4人のロードムービーらしき部分は、遭遇する各地のニンゲンが怖い。どさくさに紛れて大量虐殺実行中の赤サンのアタオカレイシストには、出身を聞かれたらなんと答えるのが正解なのか、州名を言ったところでアジア系の二人は、殺られただろう。
アメリカはひとつの国だが、多様性、といえば聞こえは良いが、時代が変わろうが関係なく頑固頑迷に自分、または自分たちの主義主張や生活習慣を貫き通して他者を理解しようとか歩み寄ろうとかまったく考えない人たちがそこそこの力を持って存在しているのだとよく分かる。
自分たちの正義のみがこの世の正義、反するものは暴力で排除するのも正義、な人々は、かなりの数が脈々と、現在でも生息し続けているのだ。
歴戦のヒーローのはずのリーは、ワシントンD.Cの戦闘にビビってすくんでしまうが、ジェシーは怯まない。
そして、戦場カメラマンにあるまじき、「人助け」をしてしまうリー、それは、一流の戦場カメラマンの資質が劣化していることであり。代わりに、自分を庇って撃たれた先輩の一連の死に様をカメラに収め、値のつく写真をモノにして平然とその場を去っていくジェシー、鮮やかな世代交代劇だが、戦場カメラマンは、人間らしいところがあっては一流になれないということがよく分かった。自分のわがままで周囲に多大な迷惑をかけても、犠牲者を出しても全然平気なジェシーには、その素質が備わっていると思う。
この映画、ヒトの「怖さ」のバラエティを見せつけていると思う。
そして戦争は、それらの坩堝、集大成のようなものなのだ。
ワシントンD.Cの市街戦が大掛かりでど迫力の臨場感、激戦を渦中で見ているようだった。
お金がかかっていて驚き。頑張ったね、A24。
絶望の庇護
Civil War
戦闘の最中に、大義を語る時間はない、内戦なんてそんなものだ。差別意識はあるかもしれない。
報道の価値を見失っている。
人が死ぬ瞬間ばかりを映し、もう誰も草花の可憐さには目を向けなくなっているからだ。
PRESS(報道機関)の文字、それが含まれた写真は不出来だ、だが最後はそれのみが写った写真が混ざる。その後奥地へと向かう。
百戦錬磨のリーが怯えていたところから、吹っ切れたように動き出し、そして最後は経験から後輩を守る。何かを託しているのだろう、でもそれは誰かが、確かに受け取るものだろうか。
未来を見ているのかもしれない
予告で「19の州が離脱。アメリカ戦争」と謳われており、前々からかなり気にはなっていた一作。
なんと言っても、赤サングラスのシーンですよね‥。いつ撃たれてもおかしくない。日常的な涼やかな野原に死体の山。2度と見たいくない、でも平和な国に住んでいる国民として必ず見ておくべき1シーンだと思いました。
どの種類のアメリカ人だ?
アメリカで内戦が勃発し戦場と化したら?
大統領側の政府軍に対して、異を唱えるテキサス州とカリフォルニア州の同盟軍が戦っているアメリカが舞台。
"3選目"の大統領にインタビューをすべく、ワシントンDCを目指すカメラマン、記者たち。
カメラマン目線で話は進むんだけど、プライベート・ライアン以来の「戦場に放り出された」ような臨場感ですよ。
実際の世の中では、What kind of American are you?のセリフが臨場感を持って受け取られる時代は来ないと良いね。
「たぶん皆の期待しているような作品じゃない」という予備知識
表題の情報を得て、なるほどジャーナリスト目線で描かれるというなら
きっとこんな描かれ方なんだろうなと想像したら、その通りの映画だった
アメリカの内戦なんてありえない設定?と思いつつもアメリカの内戦の歴史は
南北戦争で経験済みだしそれが東西戦争っぽく設定されている・・・が
映画の中ではその経緯詳細は一切触れない
戦争映画ではなくジャーナリスト(カメラマン)の成長物語にしたかった感があるが
それすらあまりにも薄っぺらくてたぶん記憶に残らない映画のひとつ
「キリングフィールド」のような衝撃さもないし「グローリー」のようなヒューマン
スペクタクル(こんなジャンル表現あったっけ)さもない
おまけにリアリティにも欠けているので・・・
あれ?いいところ何もないレビューになっちゃった
でも、アメリカ分裂内紛戦争映画は期待していなかったのでその期待を裏切ったための
低い点数と思われるのが嫌だったので映画としてどうだったかという思いからの
この点数ですよ、と一生懸命言い訳している自分
ジャーナリズムの凋落・・・か
本作の最大のテーマは「ジャーナリズムの凋落」にあるように感じました
独立せんばかりに実力をつけたテキサスやカリフォルニア州、保守的な東部、コントロールの効かないNY、無関心を貫く層、アンタッチャブルなレッドネックたち、、、内戦を期に問題噴出
「大統領を見つけたら本心を聞き出してやる」と使命感に燃えたジャーナリスト4人は進むが、、いかにエグい写真を撮るか競ってみたり、肝心な時にビビってみたり、中立なフリーランスのはずなのに結局従軍記者と同じ一方的な視点に堕ちてみたり、、
いざ大統領を前にして初めの意気込みは達成できたのか??
一枚の写真がベトナム戦争を終結に向かわせたようなジャーナリズムの強さはどこへ、、
ガッツを失ってしまった事を嘆いているように感じずにはいられませんでした
ANARCHY in the USA
『フルメタルジャケット』ではThe Trashmen「Surfin' Bird」がとんでもないシーンで使われていてショックを受けたけど、本作も同様かそれ以上な演出効果。映像スペクタクルはもちろん音楽演出と音響効果がまた凄まじかった。
敢えて残虐な場面を狙ったタイミングなDE LA SOUL「say no go」には、極限状態の戦時下では飲み食い寝ると同様に撃ち撃たれ酷い目に遭う遭わせるは茶飯事だという冷徹描写を感じた。因みにこの1989年にリリースされた曲でデラソウル彼等がサンプリングしてるのはHALL&OATS「I can't go for that」(そんなの無理、俺には出来ない)で、場面と曲タイトルと元ネタタイトル含め受け取るものが重なり感心したというか衝撃だった。冒頭のデモがヒートアップしてくる場面空気にネチネチとシンクロしたSilver Apples「Lovefingers」のアンダーグラウンドな浮遊感も現実とのコントラストが乖離し過ぎて恐ろしく聴こえ、4人がボーダーラインを越えるシーンでのSUICIDE「Rocket USA」も同じ残忍さ。アランヴェガの陰湿なVoと無機質なマシンビートが気持ち良い位にこれから起きる恐怖を煽っている。客に容赦しない攻撃的な演出。
環境音も凄まじい。M16の乾いた発砲音や地鳴りの様な重火器にヘリの爆音など全て衝撃波喰らいそうな程の臨場感。西部軍駐屯地から出撃するシーンはひたすらヘリの爆音を何機も何機も重ね、これから更に酷くなる逃げ場の無い閉塞感を爆音で象徴。目の前の惨劇で状況を受け入れられないパニックでのミュート描写には心と理性の飽和状態をイメージさせられた。初めて体験すれば誰でも処理不能だろうな。
太陽光に輝く大自然やファンタジックな美しい映像が激烈な場面の合間に挟まれるけど、この強烈な場面構図コントラストも互いを引き立てていて、戦時下の感覚が麻痺するであろう状態に誘導されていく様だった。もうトリップ感覚ですよ。
戦場ジャーナリストとして急激な成長を遂げるジェシーと豊富な経験値が故の嗅覚で本丸に突き進むリーのアクションには強いキャラクターが現れていて分かりやすく、それがDCの激烈な戦闘シーンで描かれるクライマックスには人間の明確な物語がある。逆に各勢力の主義主張も明らかではない設定の本作は、政治イデオロギーや経緯全て客に丸投げしている。現実として実際に分断を経験しているアメリカが産んだ優れたかつアナーキーな仮想現実作品。
なんだこりゃ
そもそもなぜアメリカ国内が内紛状態になったのか、頭が悪い俺用に説明して欲しかった。これまたそもそもなんだが、従軍記者ってヘルメットも無しでノコノコと軍隊に付いて行くばかりか、兵士よりも前に出て写真を撮るもんなんですか?俺が兵士だったら記者を蹴り飛ばしますけどもね。外交官みたいな免責特権があるんでしたっけ。見習いのような人間はまだしも、歩行困難な肥満体のオッサンも付いてくると来たもんだ。アジア人記者が中国人と告白した瞬間に忖度なしに即射殺されたのには笑いました🤣
主人公たちはどういう種類の記者なのか
背景を敢えてぼかして語られるアメリカの内戦。
劇中の大統領は3期務めていることから大統領時代のトランプの発言をベースにしているようにも見えますし、武装蜂起を許す脇の甘さや喧嘩慣れしていない政府軍の動きからすると、今の民主党政権のようにも見えます。
現実のアメリカが現在進行形で突き進んでいる地獄にタバスコをひと瓶ぶっかけて過激にしたような設定は、見事でした。
ただ、ストーリーの面で言うと、背景をぼかした副作用で少しピンボケになってしまったように感じました。
最初の大統領の場面以外は、主人公4人の視点から逸れることはないので、足取りをずっと追うことになります。彼らの目的は、大統領が死ぬ前にインタビューをすること。バーでそう話している姿を見たとき、ジョエルとリーからただならぬジャーナリスト魂を感じたわけなんですが。
蓋を開けてみると、彼らは内戦全体を俯瞰しているジャーナリストというより、西部勢力側の記録係のような位置づけでした。
なので、私は最初から最後まで4人の誰がどう死んでも構わないと思って観ていました。彼らがカメラで切り取っているのは、西部勢力が戦う姿。彼らの写真が教科書に載れば、西部勢力が英雄として描かれます。
その後、仮にフロリダ連合と仲間割れして、フロリダ連合が西部勢力を追い出せば、彼らについていたカメラマンが写真を『上書き』します。
それはジャーナリストか? 単なる軍属のカメラマンでは?
そういう違和感もあり、リーがサミーの遺体の写真を消す場面では、この人は報道する側としての矜持を完全に捨てたなとがっかりしましたし、ジョエルがサミーの死を嘆く場面でも、情緒やば…ぐらいの感想しか出てきませんでした。
なんとなく、それまでの彼らの『楽しそうな』ノリに、振り落とされた感があります。
ただ、それを打ち消すぐらいに戦闘が派手なので、銃や爆発が大好きな私としては、いい塩梅に楽しませてもらいました。
小道具まで凝っており、例えば民兵が持っているAR15は民間仕様の16インチ銃身が多く、西部勢力のような兵士はちゃんと素に近い10.3インチ銃身のCQB-Rを持っていたり、芸が細かいです。
あと、民間人が普通に生活している中での戦争だからだと思いますが、地雷が出てきません。
そんな中、最も記憶に残ったのは、赤メガネの軍団がリーたちを拉致した後、乗っていたランクルを隠さずに道端へ放ったままにしている場面でした。仲間を敢えて呼び寄せて、1人でも多く殺すことしか考えていないような、独特な思考回路。
赤メガネ自身がどういうアメリカ人なのか分からないままなのも、怖いです。
今は愛想笑いで日常生活を送っていても、みんな一枚めくればあんな感じで、必ず『どっちかの側』にいるのではないかと、良くもない想像をさせてくれます。
ジャーナリストは要らないという裏テーマ?
ジャーナリズムとは。討幕側にしか取材付いていないっていう。
しかも、めっちゃ邪魔。今どきフィルムのカメラマン。
最近やたら重宝されてるケイリー・スピニーの良さがこれっぽっちも分からんし。
ことの発端も描いてなくて、どちらの側にも野蛮人。
中立地帯の牧歌的な風景を維持するためにも屋上に警備が。
「話し合いで解決を〜」な、お花畑な言論人はここにはいなかった。
ATMOS上映のせいか、音が不快で。それも狙いなのかな。
結局何を訴えたかったのか?
この映画は、内戦を表現しつつも今のアメリカを表現している。なので、アメリカの今を知らないと楽しめない映画である。
結局何を訴えたかったのかいまだにわからない。
ネタを取る戦争ジャーナリスト劣性の大統領から言葉を取る。それだけを目指してホワイトハウスまで乗り込む。
ある意味鬼畜かな。
だってそうでしょ。人の生死で、金儲ける感覚、おかしくなるよね。行く先々で、そういった感覚のおかしくなる状況に陥る駆け出しのカメラマン。ジェシーの変わっていく姿。それと反対に百戦錬磨のリーがだんだんと恐怖を感じる。この変わり様何なんだろう?
最初に戻るが、果たしてこの映画は何を歌いたかったのか
内戦はしていないが、アメリカは分断が起きている。それを訴えたかったのかはたまたジャーナリストの葛藤描きたかったのかよくわからない。単純な戦争映画ではない。
アメリカの今を内戦と言う形で描いた大統領選の最中に。
そこに意味があるのかな?
いずれにしても、通常の戦争映画とは違う。
一味違う映画でした。面白いか面白くないかと言うとわからない。ほんとにこの映画はザアメリカ人しか理解できないだろう。
?で不快な作品
銃社会のアメリカで政府が崩壊し秩序や正義が守られなくなると、どうなるのか?
その景色をまざまざと見せつけられる作品です。
銃と物資をもつ個人の価値観が正義であり、法となり、そのルールがアメリカ自体を覆っているなかで、この凄惨な状況を世界に伝えることこそがジャーナリズムの使命ではないか。
そのために主人公であるジャーナリストたちは大統領のインタビューを撮るためにNYからワシントンDCへ向かうのだ。
と、勝手に思ってました。
でも、物語の最後にジャーナリストが大統領に聞いたのはたった一言。
しかも、投げかける言葉はそれ?
公平を伝える役目のジャーナリズムもこの世界のアメリカではすでに機能していない、というもう一つの絶望を見せつけられました。
観終わってすぐは「?」で不快な作品なんですが、自分なりにその不快感を見つめていると絶望が色濃く現れました。
A24らしい造り、その凄まじい臨場感は劇場で見るべき
久しぶりにミニシアターではない劇場での映画鑑賞、それはこの映画がA24の製作の作品ゆえ。
英国人で小説家のアレックス・ガーランドが、近未来のアメリカを舞台に監督した映画作品。
連邦政府から19の州が離脱したアメリカにおいて、激しい内戦が勃発、その悲惨さをリアルに描いた作品。
4人のジャーナリスト、戦場カメラマンが、カリフォルニアとテキサスが組んだ西部勢力と政府軍の激しい武力衝突により戦場と化す中、陸路でニューヨークからワシントンD.C.を目指すロードムービー。
銃器や火器の迫力ある音が、凄まじく響きわたるリアルで凄惨な戦場のシーン。それと対比するかのように、のどかなアメリカの田園風景や一見平穏な町が出てくる。メリハリのあるストーリー、細かな部分に至るまでの造りが素晴らしい。
戦争映画でありながら、脚本、音楽や映像の使い方に、インディペンデントのA24らしい巧みさがあり、ハリウッドの大手映画スタジオにおいて、巨額予算を投じて制作されたアクション映画とは異なる、アーティーでエンディングも余白を残す仕上がり。
観る側までが、激しく戦うことで出てしまうアドレナリンのようなものを感じ、そこに引き込まれる映画。
戦争や民族紛争が厳しい現実となっている最近の世界情勢もあり、戦争に対する恐怖、そこにおける人間の狂気を強く感じた。
音響や画像の凄さから、IMAXでなくとも絶対映画館で観るべき映画。
戦場カメラマンの物語
これは戦争映画ではない。
戦場カメラマンの物語だ。
それが、世界のどこでもない、自分の暮らす国で起きた戦争をファインダーで追ってゆく。
年老いたジャーナリスト
一流の戦場カメラマン
そして憧れだけで戦場カメラマンを目指す若い女性。
主義を声高に叫ぶのではなく
起きているありのままの事実をファインダーに捉える
そこに遺体があり
そこに小さな名もなき花が揺れる
ありのままの光景を。
この理不尽な国の、この慈悲のかけらもない現実に。
そうして、戦場カメラマンが誕生する。
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