シビル・ウォー アメリカ最後の日のレビュー・感想・評価
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これこそがアメリカ建国の理念
久しぶりの映画館。
この映画は前から見たいと思ってたので、ちょうど映画が見れる環境になったので観に行くことにした。
最初、この映画はアメリカの色んな場所でドンパチやっている戦争映画だと思ってた。
しかし、形としては「ロードムービー」だった。
主人公のジャーナリストであるリーが、内戦中のアメリカで大統領へのインタビューのためにワシントンD.Cへ車で旅をする。もちろん、気楽な旅行ではなく内戦中のアメリカの横断なので、様々な命に関わるような事件が起こる。その過程で、最初幼いジャーナリストの卵だった、同行者である少女ジェシーが成長していく。
これが縦軸の話。
しかし、背景として重要なのが、アメリカは「銃」を買える=使えるのが当たり前、ということ。これは建国の理念でもある。市民は銃を使って腐敗した政府を倒す革命を起こす権利を有している。だからこそ、銃の携帯が認められている。
その帰結が、この映画のラストシーンなんだろう。
この権利が認められている以上、最後は「大統領の殺害」になる。
憲法を変えて3期も大統領を努めた人間を市民が殺すのは当たり前、という考え方(理念)。
だから、あのラストは必然と言える。
わりとアメリカ映画は「大統領を助ける」ストーリーが多い。最後は主人公に助けられる。ドラマ「24」を引き合いに出すまでも無く、核が落とされる危機とかがあっても、最後は主人公がどうにかしてしまう。しかし、こんなにあっさりとホワイトハウスが陥落し、大統領が殺される映画も珍しい。
アメリカの核とも言える「銃」と、もう1つの核とも言える「言論の自由」を支えるジャーナリストをうまく融合させた、非常に見応えのある素晴らしい映画だった。
さて、現実のアメリカでは、共和党のトランプと、民主党のハリスが大統領戦を戦っている。
この映画を見た日のあと2日ほどで結果が出る。
昔とは異なり、共和党のレッドステイトと民主党のブルーステイトは価値観が重なる=妥協できる箇所が無くなってきている。同じ国の国民として成り立たなくなっているように見える。二極化の果てだ。この状態では、大統領選でどちらが勝っても、この映画のような内戦(第二次南北戦争)が起こる危険性がある。だからこそ、今この映画を上映しているのだろう。
アメリカはどうなるのか。
そして、アメリカのポチ(属国)である日本はどうなるのか。
日本では衆院選が終わり、あの体たらくの自民党をまだこれだけの人が支持しているのか、と絶望的になったが、まぁ、落ちるところまで落ちない or 世代が入れ替わらない限り、変わらないんだろう。
とりあえず今は、大統領選の経過を見守っていこうと思う。
SFとジャーナリズム
A24という製作会社の存在を意識したのは最近のことだが、今まで鑑賞した作品群を眺めてみると、鮮烈な印象を残した作品が多い。「ライトハウス」、「ミナリ」、「パール」、「ラム」、「ボーはおそれている」などがお気に入りであるが、作家性が強く賛否両論分かれるような作品でありながら、興行的にも十分に成功しているところがすごい。
A24が史上最大の製作費を投じた本作は、現代アメリカで内戦が起きたら、という「もしも」を描くSF作品としての側面と、ジャーナリズムを問う側面の2つがベースにある映画である。
この映画は、他国で戦争を繰り返した末、ついには戦争自体を目的として自国で内戦を始めたアメリカを描いているが、なぜそうなったのかは明かされていない。それは、その理由が重要なのではなく、戦争を続けていると身を滅ぼすという愚かさを伝えたいからだ。
ジャーナリストは死にそうな人がいても助けずにシャッターを切り続けなければいけない。どちらかに加担すればその敵側に殺されるし、報道の中立も保てない。しかし、助けなければ非人間的だと揶揄される。最後には結局、ジェシーの人間性は戦場でシャッターを押す興奮によって崩壊してしまったように見える。自分のヒーローであり命の恩人でもあるリーをその場に放置して決定的な写真を撮り続けようとするジェシーは尋常ではない。
リーがジェシーを過激派から救おうとした行動はジャーナリスト的ではないかもしれないが人間的であった。ジェシーがリーの死体に心を動かされずに写真を撮り続けるのはその逆で、ジャーナリズム精神かもしれないが非人間的である。リーは自ら命をかけて最後に人間に戻り、ジェシーはジャーナリズムの狂気にどっぷり浸かってしまったのである。
独立戦争、南北戦争を経て政府を作り直してきたアメリカにとっては、「シビル・ウォー」は極端な空想の物語ではない。不当な政府は武力を使って打倒する。よくも悪くもこれが米国の精神なのだ。そして、祖国に警告を発しているつもりのジャーナリズムは戦争を止めることはできない。メディアが持つ力はそう大きくない。
戦場カメラマンの成長譚
完璧なアメリカ人だ
この映画のレビューで「何が起きたのか説明がない」「戦う理由がわからない」等々の物をよく見ますが、それがイチ市民である人達からみた戦争というものではないでしょうか?
作品中で赤いサングラスの男が「どんな種類のアメリカ人だ?」と聞くシーンで、「わからない」と答えたのに対し、「完璧なアメリカ人だ」と答えているのを見てそう思いました。
結局、戦っている兵士にしろ国民にしろ、本当の理由は分からないし、それでも戦争は起きて、巻き込まれて、映画中盤でスナイパーが言うように、「誰だか分からない」が「敵」が撃ってくるから撃ち返す。世界各国の戦場に参加しているアメリカ兵にしても、戦争をしている理由や、本当の敵についてはしらない。
これはそれを表現している映画なのではないでしょうか。
笑えないブラックユーモア
楽しめる自分に戻りたい。😅
銃声がうるさい
法の無い世界、統制されない暴力に戦慄
インターネットの普及で、様々な情報を精査することが極端に難しくなったこの時代、世界中で民主主義が危機に瀕しているのは誰の目にも明らかだ。
これから私たちは何を最も恐れ、何を忌避すべきなのか。
この問いに対し、ガーランドから強烈なメッセージが届いた。
最近でも大統領選挙であらわになったアメリカ社会の分断を、内戦と言う極端な設定で描いて、サスペンスとしても一級の作品に仕上げているが、この映画で観るものを最も戦慄させるのは、統制を失った暴力の恐ろしさだ。
国家間の戦争であれば、国際法による最低限のルールがある(実際は守られないことが多いが)。しかし、内戦となれば話は別で、文字通り無法な空間となる。
国家は、個人の自由を制約することと引き換えに、ゲバルトを集中管理し、国民の安全を保障するが、そのリバイアサンが一時的にせよ機能不全になったとき、ゲバルトを統制する力はもう何処にもない。
カオスの中で、体験したことのない、或いは想像すらしたことのない、むき出しの暴力が充満する世界を、我々は生きなければならない。
それがどれほど恐ろしいことか、この映画で改めて痛感させられた。
これは失敗と思っていた矢先!
大統領選間近でもし、あの国が内戦になるとしたら、
どんな理由があるのだろうとか思って映画館に足を
運んだ訳ですが、いざ始まると、ロードムービーかっ!
という様な静寂とゆっくりとした物語の進行。
昼過ぎから始まった事もあり、ちょっと睡魔にやられてしまいました。しかし途中から急に目の前に戦争がむき出しに現れ、クライマックスまで激しい銃声やヘリコプターの轟音、無慈悲な死、死、。やはり戦争は一般人には耐えられるものじゃ無いと思わされました。前半はこの為にあったのかと。そういった中生き残ったものだけが起こった事を伝えられる。今戦争が実際に起こったら、どこで起こったとしても、全ての人々にとってこれは結構リアルな話なのかもしれないと思いました。
映像の迫力・テーマの拡散
どこを見せたい映画なのかイマイチ理解できぬまま映画は始まり、映画は終わる。観終わって従軍記者の映画だったのかと今更ながらに気付かされドッと疲れが出る。その疲れの原因はもちろんその作品のクォリティの高さによるものだが、その画面の迫力に対して物語の内容が把握できないまま引っ張り続けられる疲労感もその一因である。とにかくシュールだ。改めて言うが作品の質は高い。
死がリアル
よくできたシーンはある。でも不自然さが気になる
内戦で社会秩序が崩壊して、暴力や殺し合いが横行している国の恐怖をリアルに描いていて、怖さを感じた。特に、予告編で出てくる赤いサングラスの民兵と交渉する場面は緊迫感がある。彼が何を考えているのかがわからないので、助かりそうな道が見えず、追い詰められる気持ちになる。この場面の結末もうまくできていて、この映画のベストシーンだろう。
政府軍と西部連合が戦っていることになっているが、そのどちらとも関係ない人たちが怖いというのは、その通りだろう。映画の後半で西部連合のキャンプに、主人公たちが入ると安心する。軍隊の秩序があり、プレスの主人公たちに危害を加えることはなくなるので。
戦闘の迫力ある画面や兵士が死ぬシーンがたくさん出てくる。映画的にはその方が見ごたえがあるからだろう。しかし、現場を取材する主人公たちプレスが『戦闘の真っただ中にいること』について、さすがにそんなことはないだろうと思った。明らかに戦いの邪魔になっているし、死ぬ確率が高すぎて、「いくらなんでも、それは自殺行為」と感じる。戦闘シーンが出てくるたびに、ストーリーについて行けなくなった。
いちいちフィルムを巻きあげなくてはならないカメラを主人公ジェシーに使わせているのも、「いくらなんでも」と思った。映画のアクセントだとしても、やりすぎと思う。そして、ラストシーンで連写をするような場面があるが、連写は無理じゃないのと、違和感を感じた。
夜、対空砲火の光が遠くに見える中で野宿をする場面、主人公たちが長い会話をしているあいだずっと飛び交っていて「花火じゃないんだから、そんな頻度で見えるはずがない」と思った。
内戦の展開は「設定」であって、気にする必要はないとは思うが、違和感がある。「ワシントンDCを攻めて、大統領の殺害を目指す」という作戦は、攻める方の損害も大きい最低の選択肢(核のボタンを押されたらどうするの?)だと思うし、そもそも「無秩序になってしまったアメリカで、ワシントンDCを取っても、何も得るものはない」と思う。
恐らく今年の個人的ベスト映画 アメリカがいくつかの勢力に分かれて内...
恐らく今年の個人的ベスト映画
アメリカがいくつかの勢力に分かれて内戦を起こしているという設定下でのロードムービーであって、純粋な戦争映画ではない。
邦題に付け加えられた「アメリカ最後の日」が余計で、これのせいで勘違いしてる人がいっぱい出てきちゃったんじゃないかと思います。
単にシビルウォーだけでよかったのに。
戦闘シーンについては、よく挙げられる「トゥモローワールド」と比較しても全然遜色なく、特にワシントンでのシーンは凄まじいものがありました。
(WFと合衆国軍が、旧エヴァの国連軍対エヴァなしNERVぐらいのパワーバランスなので、拮抗した戦闘ではないのがまた良かった)
ことミリタリーものになると、前提がどうだとかこの設定はおかしいとか色々仰る方が多いですが、いわゆるディストピア近未来SFという感じの作品なので、そこまで「正しい」考証、設定にこだわる作品ではないと思います。
特に納得いかないとよく言われる分断の理由ですが、劇中にいくつも説明がありますね。
サミーとジョエルの会話にあった、大統領が3期目であること、FBIを解体したこと、自国民に対して空爆を行ったこと。
特に3期目は憲法改正しないとできないので、これが離反の直接の原因だということは明らかかと。
Dolbyでの鑑賞をおすすめします。
Dolbyで鑑賞しましたが、本当に戦場に入っているような感覚でした。
私は戦争ゲームをたまにしますが、それ以上の映像美でやっぱり映画は凄い!と思ったくらいです。
(戦争ゲームはするけど、実際に戦争に絶対なって欲しくないです!)
ストーリーは、アメリカが分断された後から始まりますので、何故分断されたのかハッキリと描かれておりませんが、トラン◯元のような過激思想が市民の怒りに火をつけてクーデターを引き起こしたと推測します。
ストーリーが進むにつれて、ジャーナリストの熟練者と卵の心の変化がわかります。
戦争は人の心を忘れさせるのかと、とても恐ろしくなります。だから戦争は始めたら駄目なんだと映画を観終わったら強く感じました。
どちらかがボロボロの瀕死になるまで戦う。
どちらかが核を使うまで戦う。
おそらくこの映画ではクーデター成功したが、内戦はすぐには終わらないだろうと感じます。
映画の最後のしたい名前で笑顔の写真は、人間の不気味さ恐ろしさを感じました。
タイトルなし(ネタバレ)
現代アメリカで内戦が起きたらこんな感じだろうな、というのをリアルに描いています。(細かい突っ込みはヤボなのでやめておきます。)
緊張と緩和の落差が大きく、途中からは緩のシーンになると、「ああ、緩がこのくらいだとすると、次は相当すごいのが来そうだなぁ」と身構えるようになりました。
主人公たちが非武装のジャーナリストで、決してスーパーマンでは無いので、いつ殺されるか分からない、という点でも最後までハラハラして見れました。
従来のハリウッドの大作映画では、国難の際にみんなが結束して戦う、というものが多かったと思います。でも、「実際、あの国ってそんなに一枚岩かぁ」というのが、日本人からの視点では昔からあって、ちょっとした切っ掛けがあれば崩壊するのではないか、という作品もありました。(例えば、亡くなられた伊藤計画さんの虐殺器官や大石英司先生の合衆国シリーズ。)ハリウッドでそういう映画が作られないのは、その映画が「ちょっとした切っ掛け」になりかねないからではという邪推もしていましたが、トランプ政権を経て、国内の分断が当たり前になった当世で、きちんとその状況に向き合う作品を作った、という事かと思います。
日本で内戦が起こったら、どうなる?
完全主観の映像。観客は冒頭から「内戦中のアメリカ」に放り込まれます。同じ主観の映像と言えば、サム・メンデス監督の「1917」が浮かびましたが、本作は現代のアメリカを舞台にしている分、没入感が一つ上でした。"実際に起こりうるかもしれない""もしここに居合わせたらどんな行動を取る?"観客に投げかけられているような心境になります。
カメラワークと臨場感ある音響で、終始緊張感のある映画体験ができます。死体の表現も現実に近い。見たことないけど😅
最終盤、ホワイトハウスでリーが撃たれ、亡くなる時のジェシーの反応→序盤で「憧れだった」と言うにも関わらず、亡くなったリーに対して悲しむ様子は(見たところ)ありません。思えば、ホワイトハウスに進軍する市街地戦の時からジェシーの顔つきが変わっていました。序盤のビクビクしながらついていく姿から変わって一心不乱にカメラを構える姿に、戦争が人を変える狂気を感じました(もちろん使命感に目覚めたという解釈も可能だと思います)。
言論の自由をアクションで語る傑出したエンタメ作品
戦場カメラマンの視点からアメリカの分断と内戦を描いた物語。
キッカケさえあれば人間は簡単にモラルを失う。首都までの1300kmの道のり。進めば進むほど狂気の地獄が広がっていく。
まるでアメリカに舞台を移した現代版の地獄の黙示録を見ているかのようだった。
ただ地獄の黙示録と決定的に違うのは主人公が兵士ではなく記者だという事。そして旅の目的が将軍の暗殺ではなく、独裁大統領のインタビューだという事。
どんな過酷な目に遭っても、その目的を見失わない限り言論の自由が死ぬことはない。
ラストシーンで記者のジョエルが大統領から引き出した一言がそれを象徴していた。
兵士たちが大統領を撃とうとする寸前、ジョエルが大統領に今の思いを尋ねる。
それに対し、大統領は震えながら「私を殺させるな」と答えた。
大統領の人間の小ささと、そんな男のために戦争が起きてしまった悲しさが、その一言のインタビューがなければ誰にも伝わらずに終わってしまう。
記者たちの行動そのものが作品のテーマを体現しているように感じた。
脚本良し。演出良し。脇役良し。しかし残念ながら主演のキルステン・ダンストだけ演技下手。この人は昔も今も演技下手。
記者仲間のサミーが死んだシーン。写真を削除したのはその死を受け入れるのが辛かったからか、それともその死を仕事にしたくなかったからか、あの芝居では分からん。
権威主義と分断と暴力が蔓延する社会。それでも報道し続けることを諦めてはいけないというメッセージ。伝え続けなければ言論の自由が死に、民主主義が終わる。
つまり、この映画のテーマは一言で言うと言論の自由。それをエンタメとしてアクションで表現してる。ほんと傑作だと思う。
意外だった
アメリカが分断されて内線起こるって、
日本人からしたらとんでもない話で、
引いては世界中が混沌となる危険性もある。
そんな話を如実に描くのかと思いきや、
戦争というか、
暴力の連鎖を淡々と描いている。
A24の作品は
「ミッドサマー」くらいしか観てないが、
アレに演出が似てて、
極端に静かなシーンとか、
過激に音が鳴るシーンとか、
メリハリがとても効いている。
基本的にロードムービーだが、
道中の虐殺処理班❓とのやり取りとか、
クリスマスの飾りがボロボロになってる場所とか、
煽るBGMとか無く淡々としてて、
逆に恐怖マシマシ😱
一見平和そうな街に立ち寄るが、
他人事の様にしている店員に、
観てるこちらは違和感感じるが、
何だ、自分も同じじゃないか、
我に帰るとハッとする。
大詰めのDCでの攻防は、
所謂、ザ戦争映画。苦手な場面😩
大統領逃亡劇の後、
記者が先にホワイトハウス入って行くの
おかしいでしょ❓
「邪魔をするな❗️」ホンソレ☝️
そして、
ジェシーを生かす為のリーの盾、
魂の継承と見て取れる😭
正直、ホワイトハウス前の攻防から、
リーが全然撮れず、
ジェシーは覚醒したかの様に撮りまくり、
その逆転が自分には不快で、
建物内からリーから見たジェシーの目線が増え、
あの盾に繋がったのか。
その場面でもリーを撮るジェシー。
(フィルムカメラであの3連写は無理)
正に覚醒の時。
結局はクーデター成功となるが、
スッキリはしない。
ただ冒頭の大統領演説を、
かの人として見てる人は、
少し達成感は味わえるかも。
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