「A24らしいライトな社会派映画」シビル・ウォー アメリカ最後の日 あふろざむらいさんの映画レビュー(感想・評価)
A24らしいライトな社会派映画
製作会社はA24。
映像がスタイリッシュなのと、社会派的なテーマを最後までエンターテイメントにまとめるやり方はいかにもA24といった印象。
舞台はアメリカ。大統領が三期目に突入し、FBIを解体。内戦がおこった。
政府軍対西部勢力と、フロリダ同盟。
有名な報道カメラマンのリー・スミスは記者のジョエル、リーの師である記者のサミーとともにワシントンDCを目指していた。誰よりも早く到着して大統領のインタビューをとるためだ。そこにリーに憧れるカメラマンのジェシーが加わる。
ロードムービー風の作風で、行く先々で戦争の異常な光景が展開されている。
キーワードは「分断」で、コロナ以降のトレンドワードだ。現在の世界のありかたをアメリカの内戦という形で描き出しているという点では現代的だが、下敷きになっているのはコッポラの「地獄の黙示録」だろう。ただ、ああいう狂気に近い凄みはなく、A24らしく幅広い人が楽しめる作りになっている。
それにしても、報道カメラマンは戦闘のど真ん中にいても傷ついた兵士を助けたりしない。ただ写真を撮るだけだ。ロバート・キャパの「戦場カメラマンの一番の願いは失業することだ」という言葉を思い出す。
製作費76億円
興行収入160億円
映画ファンにとってはアレックス・ガーランド監督、キルステン・ダンスト主演、しかもケイリー・スピーニーやスティーヴン・マッキンリー・ヘンダーソンといったメンバーは、かなり豪華だろうが、一般的な知名度は高くはないだろう。それでもこの売り上げはなかなかのものだ。
センセーショナルな話題と広告のうまさ。映画を売るアイデアも時代によって変化してきたことを感じさせる作品だった。