「戦争の狂気と報道の使命という名の狂気」シビル・ウォー アメリカ最後の日 Nexusさんの映画レビュー(感想・評価)
戦争の狂気と報道の使命という名の狂気
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戦争そのものより記者たちの行動を追うことで却って映画に緊張感が出ているし、戦争の狂気・不条理を描いて訴えるものもある。
しかし内戦に至った背景はほとんど語られず(政府軍と独裁的な大統領に反旗を翻した独立州軍の戦いであって、民衆の姿はどこにもない)、終盤は大統領を狙っての殺人ハンティングの様相。中盤までに描いた兵士や個人レベルと、国家や反乱軍の正義の名のもとにある「狂気」を同じには括っては見ることはできなかった。
また、リーのラストも予想を裏切って欲しかったところ。
終盤、恩師の死を引きずってか戦場で足が前に出なくなったかのように描かれていたが、もともと臆病なたちであって、駆け出し写真家のジェシーが無鉄砲なだけなのかもしれない。
記者のジョエルやジェシーには生命の危機に瀕して「興奮」だの、「生きている実感」的なセリフがあったが、映画の中ではジャーナリストも報道の使命という名のある意味での「狂気」に突き動かされている。
自分を庇って死んだリーを放っておいてシャッターを切るジェシーも十分に「狂気」的であるが、恩師の死も、気にかけていたジェシーのことも頭から吹き飛ばし、最後の最後にリーが「狂気」を爆発させる様も見てみたかった。
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