かなさんどーのレビュー・感想・評価
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松田るかの沖縄語、堀内敬子の歌唱がしみじみと良い
主人公・美花役の松田るかのプロフィールを見て、NHK朝ドラ「ちむどんどん」など出演作をいくつか観ていたのに印象がほとんど残っていなかったが、本作での好演でしっかり記憶した。沖縄出身だそうで、当たり前ながら自然なウチナーグチ(沖縄語)での台詞が味わい深い。標準語や別の方言ならきつくなりそうな内容でも、沖縄の言葉だと温かみが加わるような、マイルドになるような。口げんかしていてもユーモラスに聞こえたり。王道のストーリー展開とはいえ、やはり終盤の美花には泣かされた。
母・町子の堀内敬子については、かつて映画やテレビドラマでの演技しか知らないまま朝ドラ「エール」最終回での歌唱に驚嘆したクチで、劇団四季出身と聞いて納得したものだった。娘と洗濯物を干しながらさらっと口ずさむように歌う「かなさんどー」がしみじみと素晴らしく、よいキャスティングだなと感心。
この歌を初めて聴いたが、沖縄民謡歌手・前川守賢(しゅけん)の1983年のデビュー曲だそう。曲自体が美花と母と父・悟(浅野忠信)の家族の物語で重要な役割を担っていることに加え、歌詞の内容が脚本に反映された部分もあってなかなかうまい。歌の標準語訳が字幕で出るシーンもあるが、関洋氏の「たるーの島唄まじめな研究」というサイトで詳しく解説されているので、関心のある方はよかったら検索してみて。
【“わしんなよー、かなさんどー。”今作は、沖縄の小さな島で暮らしていた熟年夫婦の愛と、或る出来事で父と疎遠になっていた娘が、知らなかった二人の深い愛を知り、家族の絆を取り戻す物語なのである。】
ー 沖縄の言葉は、分からない単語も多いが、優しい抑揚が好きであり、”喜納昌吉&チャンプルーズ”の”ハイサイおじさん”も収録された名盤「喜納昌吉とチャンプルーズ」は、夏に英国ロックを聴く合間に、車中で頻繁に流すほど好きである。
そのアルバムの中に”島小ソング”と言う歌があり、その歌は“わしんなよー、わしんなよー、わしんなよー、ヘイヘイ、わしんなよー”と言うフレーズで始まるのである。
”ハイサイおじさん”の歌詞は少しおっかなかったりするのだが、沖縄弁は良く分からないので問題はないのである。ー
■妻・マチコ(堀内敬子)を病で失った父・サトル(浅野忠信)は、年齢を重ねると共に認知症を患っていた。
二人の一粒種の娘の美花(松田るか)は、母が亡くなる間際に助けを求めてかけた電話を取らなかった父親を許せず、7年前に島を後にしたが、父が末期の状態という知らせが入り、仕方なく物調面で、島に戻るのである。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・冒頭、昭和風のワンピースを着てお化粧をした美花が、病院の中を笑顔で歩いてくる。それを見たオバサン達は”財産目当てだねー。”と口にするのである。
上手いオープニングであるし、ラストとの連動も良いシーンである。
・物語は、、マチコが存命時に美花と話す、マチコとサトルの出会いとその後のデートの話と、マチコ亡き後に認知症が進み入院しているサトルの姿を冷たい目で見る美花の姿と入れ子構造で構成されている。
・サトルがバーで会ったマチコに一目ぼれして、会うたびにテッポウ百合の花束を持って来た話や、父から引き継いだ建設会社の社長のサトルが、毎晩飲み歩いても、マチコは愚痴をこぼさずにサトルの好きなてぃびちを煮る姿を見て、美花は”何で、怒らないの!”と言うが、マチコは”お父さんも大変だから。”と、気にしないし、いつも化粧をしている理由を美花が尋ねると、”お父さんの前では、綺麗で居たい。”と言うのである。
ー マチコを演じた堀内敬子さんは、もっと映画に出て、脚光を浴びるべき女優さんだと思っているが、今作での優しい笑顔はとても素敵である。-
・或る日、美花は生前に母が”絶対に見せない”と言っていた日記を見つける。そこには、若き二人がデートする様が記されているのである。
それを読み、初めて美花は、両親の深い愛を知り、自分の姿を見た認知症が進んだ父が”ミチコ・・。”と呟いた事を思い出し、母の若き時の青い水玉のワンピースを着て、父の見舞いに行くのである。
そして、父の部下を使い車椅子に乗った父に対し、且つてのデートの時と同じ経験をさせるのである。
■今作で、一番響くのは、美花が沖縄の衣装を着て、サトルが植えたテッポウ百合が一面に咲き誇る花畑で、沖縄の愛を謳った民謡を歌うシーンである。
その姿を、車いすに座った父は、優しい眼で見ているのである。
サトルを演じた浅野忠信さんは、誰もが認める名優であるが、このシーンでの慈愛に満ちた眼が素晴しいのである。
<今作は、沖縄の小さな島で暮らしていた熟年夫婦の愛と、或る出来事で父と疎遠になっていた娘が二人の愛を知り、家族の絆を取り戻す物語なのである。>
悪くはないんだが
ゆっくりとした沖縄の空気感が良かった。
『かなさんどー』とは『愛しい人よ』という意味なのね。
琉球民謡みたいです。
舞台は沖縄のとある島。
ゆっくりとした沖縄の空気感の中で夫婦の物語が描かれる。
絶縁していた父と娘。
父の最後に、ほとんどの記憶を失った父の前で母を演じる娘。
主演の松田るか、良かったです。
かなさんどーの歌詞が字幕で出てきて、やっと意味を理解した。
夫婦(娘の両親)の思いが歌詞とリンクし、感動が押し寄せてきた。
こういう邦画は大好きです。
時間も短くて、松田るか、浅野忠信、堀内敬子、みんな良かった。
特に今回初めて認識したKジャージさんが良い味を出してた。
沖縄の人みたいでした。
そして、監督はガレッジセールのゴリ(照屋年之)。
皆さんの沖縄愛も感じられたかな。
イラつくことが多い方、必見!
日々イラつくことが多い方、この映画に自分を1時間半を預けてみてください。心安らぐ1作です。主人公も、自分が見えている状況だけでイラついている人。見えていなかった、あえて見ようとしなかったことに気づいて、、、というストーリー。
浅野忠信の飄々とした演技と、堀内敬子の単に優しいだけでなく実は芯のあるという演技がいいですね。主人公の松田るかも、状況を知るにつれて感情が揺り動くところがよく表れていました。
上映後に松田るかと照屋監督の舞台挨拶があり、後から照屋監督の家族の要素が脚本にちりばめられていたことに監督自身が気づいたそう。家族といえども、気づいていないことがあるでしょうし、そのことが実は大きな意味があったということがあると、知ってから後悔することもあるでしょう。家族とのコミュニケーションの大切さを伝える作品だと思います。
ド直球のいいはなし
良く言えば軽くて嫌味がない爽やかな映画
松田るか、良かった 優しい感じのいい映画なんだけど、 なんとなーく...
松田るか、良かった
優しい感じのいい映画なんだけど、
なんとなーく、
あと一声って思っちゃうのはなんでだろう?
ゴリは監督も良いけど、役者としても出て来て欲しい
関係ないけど洗骨の方が良かったかな
でもこれも悪くはないです
島に帰ってくる訳あり娘
前作『洗骨』が大変素晴らしかった照屋年之監督。新作と聞いて必ず観たいと思っていましたが、諸々の事情で公開3週目にようやく劇場鑑賞です。サービスデイの本日、TOHOシネマズ日比谷SCREEN13(旧みゆき座)は3週目にしてはまぁまぁな客入りです。
さて今回は感想から言うと、期待に裏切らず「笑えて、泣ける」ハートウォーミングな作品に仕上がっています。前作『洗骨』では(失礼ながら)思いがけない感動に観ながら涙腺崩壊してしまいましたが、今作は時系列を行ったり来たりさせながら過去と現在を交互に見せることで、じんわりと心情に訴えかける作品性に巧さを感じさせます。
そして前作に続き今作も「島に帰ってくる訳あり娘」と「島時間」で生きる島人(しまんちゅ)のやり取りが常に面白くて最高。美花(みいか)を演じる松田るかさんは沖縄出身と言うこともあって、完璧なイントネーションにセンスあふれるツッコミの間が天才的。母・町子(堀内敬子)の死をきっかけに父・悟(浅野忠信)と仲違いして島を離れた美花。そんな美花を説得し続けるキーマン・小橋川(Kジャージ)との二人のやり取りは、漫才さながらの可笑しさで飽きることなくずっと観ていられます。そして、知らなかった父と母の過去を遡りながら、余命僅かな父を母の元へ送る「儀式」をする美花と小橋川たち。ラストに準備されたクライマックスシーンは、今回もやっぱり涙なくしては観られない感動の仕掛けで優しさに溢れています。
映画のタイトルでもある主題歌・前川守賢さん作の「かなさんどー」や、ポンコツさも愛らしい真っ赤なセリカ、それだけで特集を組んでもらいたい旨そげなローカルフードの数々、そして美しいテッポウユリの花畑等々の印象に残るツールも満載。また何と言っても伊江島の美しい自然がたっぷりな映像を見ているだけでも癒されます。勿論、観れば必ず自分の親を思い出してしまう作品。中高年の皆さん、来場の際はハンカチを忘れずに。照屋監督、今作も大変に良かったです。
愛しい人よ
両親を想う娘の気持ち
愛しい人とは
とびきりの思い出ひとつ持って。
オープニングは何処かで見たような🤔
優しさに溢れたお話でした
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