劇場公開日 2025年3月28日

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エミリア・ペレスのレビュー・感想・評価

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4.0人生は一度きり

2025年2月27日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

どの人も生き辛さも欲もある。
でももしそれを来世に期待ではなく、今生で自分が求める生き方を最大限に叶えられるとしたら?
そしてその夢が叶った後の人生を其々がどう生きるのか、という壮大な話。

彼の渇望が成就した事で変化した世界は、彼を取り囲む女性達の運命も変えていく。
彼女達の本当の自分への道が果たして幸せで終わるのか。
面白かった!!

夢が叶うという正に夢のようなお話だけど、生きている限りそこがゴールではない。
登場人物全員、ある意味夢を叶えていくけど、どれも一筋縄では行かない雲行き。

彼から彼女になった主人公に至っては、その後今までの軌跡とは真逆の人生を歩むことに。
自分らしい生き方を、最大限に求めると必ず幸せになるかはわからない。人間の欲には天井も底もない。
人生は一度きり、ご利用は計画的に。
でも計画通りに進んでも、生きてる限りは色んなものの更新が続く事を忘れずに。
学ぶわー。

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icco

3.5分類不能の痛快エンターテイメント。

2024年10月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

メキシコの敏腕弁護士リタ(ゾーイ・サルダナ)は難事件をさばいて名声を獲得するが、その才能を利用しようと考えた麻薬カルテルに狙われてしまう。そして拉致され連れてゆかれたアジトで、組織の大物ボスと対面する。ごつい巨体に刺青だらけの身体、あらゆる悪事に手を染めてきた冷たい目。いったい何を要求されるのかと怯えるリタに、ボスは「性転換手術を受けて女として第二の人生を送りたい」と予想の斜め上をゆくことを言い出す。

そして組織の莫大な資金にささえられてリタは世界中をとびまわり、テルアビブでボスが望む手術を受けられるよう手配する。手術は成功し、ボスは「エミリア・ペレス」として生まれ変わり、妻(セレナ・ゴメス)と子供二人を棄てて新たな土地で行き始める。しかし数年たつと子供への思いが断ちきれず、かれらの「伯母」として共同生活を送りたいとまたリタに持ちかける…。

この予測不能の物語が、あざやかな踊りと耳に残るメキシカン・メロディー全開で進行する痛快活劇です。「法廷犯罪スリラーLGBTQコメディ風味のスペイン語ミュージカル」と、まあ気持ちよいくらい全部盛り。

カンヌでの批評はあんまり良くなかったようだけど、カメラも編集も美術も照明も、すべてがきわめて周到に設計されているし、音楽もよくできている。ミュージカル映画の難所である「日常の世界から歌・踊りの世界への移行」も上手に処理されている。ミュージカル映画に、それ以上何を望むのか?

そしてエンディングの余韻は、ロシアの長大な小説のように悲劇性と祝祭感をないまぜにした見事なもの。そう、これは存分に人を楽しませながら寂しさも消えていない、古典的な童話なのです。

ゾーイ・サルダナにこんな才能があったなんてねえ。彼女はアカデミー女優賞候補にあがるんじゃないかな?

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milou