「世にも奇妙な三つの物語」憐れみの3章 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
世にも奇妙な三つの物語
予告をあまり目にしなかったので内容は知りませんでしたが、劇場に掲示された大きなポスターに漂う得体の知れない雰囲気に誘われて、公開2日目に鑑賞してきました。
ストーリーは、上司に絶対服従だった男が失った信頼を取り戻すために奮闘する物語、海難事故から生還した妻に別人の疑惑を抱いた夫が精神的に崩壊していく物語、カルト教団の主宰から指示を受けた教徒が特殊な力を持つ女性を捜索する物語を、オムニバス形式で描くというもの。
まさかこんな感じの作品だとは知らず、三つのチャプターから構成されているのかと思いきや、独立した三つの物語で成り立っています。どの物語も怪しく展開し、さながら「世にも奇妙な物語」のようで、どんな結末を迎えるのかと興味をそそります。また、同じ俳優が、物語ごとに全く異なる三つの役を演じることにもおもしろさを感じます。しかし、この構成とキャスティングがどのような効果を狙ったものなのかは、はかりかねます。
三つの物語の共通点として真っ先に浮かぶのは、不穏なピアノの響きが掻き立てる不安な心情。どの物語の主人公も、常に不安定な心情を抱えています。それは、何かにすがることでしか自分を保てず、その何かを失うことへの不安や恐怖、そこに生じる衝動や暴挙、それでも失ったときの絶望や後悔や悲哀といった感じでしょうか。
他の何をもってしても代わりにはならず、心に空いた穴を埋めることができず、いかなる手段を用いても失ったものをもう一度取り戻そうとする姿には、ある種の狂気を感じます。その心情は、理解できるようなできないような、共感できるようなできないような、複雑な思いが残ります。
それにしても、エマ・ストーンは最近こんな役が増えてなんだか残念な気がすると思ったら、「哀れなるものたち」と同じヨルゴス・ランティモス監督作品だったのですね。それでウィレム・デフォーもこんな感じでの出演となったわけかと納得してしまいました。とはいえ、人間の本質的な部分に迫ろうという意図は感じますが、本作における性的な描写が本当に必要だったのかはいささか疑問です。
キャストは、エマ・ストーン、ジェシー・プレモンス、ウィレム・デフォー、マーガレット・クアリー、ホン・チャウ、ジョー・アルウィン、ママドゥ・アティエ、ハンター・シェイファーら。
おじゃるさん、私も性的描写に関しては?がつきます。なんの意図でいれているのかよくわかりません…エマストーンはララランドの時のようなキラキラした女性が似合うと思うのですが、イメージを変えたいのかな?なんて思ってます。