バットマン ビギンズのレビュー・感想・評価
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佳作だが、ノーラン映画としては消化不良。
◯作品全体
これまでのノーラン監督作品とはスケールも画面の質感も大きく異なり、今まで綴られてきた「ノーラン文脈」とは切り離されたように見えた。その結果として、ノーラン作品の好きだった要素が軒並み薄口になっているように感じた。
例えば主人公像。これまでのノーラン作品の主人公といえばストーカーと不法侵入が趣味だったり、記憶障害により正しさのない復讐にすがっていたり、でっちあげの証拠を使う警察官だったりした。本作の主人公・ブルースはバットマンという仮の姿で世を忍んでいるが、個人的な復讐の感情から解き放たれ、街のためにと立ち上がる姿には、今までのノーラン作品のような「うしろめたさ」が存在しない。バットマン特有の闇夜を使った戦い方によって画面の暗部は存在するが、ブルースが背負った暗部というよりもブルースが立ち向かうべき街の暗部として存在している。ゴッサムシティは雑多な街並みがスケール感をもって映されているが、個人的に見たいのは、等身大のブルースだ。確かに、過去のトラウマやバットマンに至るまでの物語は饒舌に語られているが、ヒーローがヒーローに至るまでの苦悩はノーランが描かなくても似たような演出になるだろう。正義がなくとも己の欲求や願望にすがる主人公を独特な時間軸で描くノーランは、登場人物の陰の部分を描くという意味で唯一無二のように感じた。しかし、この作品においてはその「唯一無二」の要素が見えなくなってしまった。そこに物足りなさを感じた。
バットマンの始まりを描く物語としてはすごく丁寧に描いているし、バットマンとして活躍する姿も躍動感が素晴らしい。しかし、ノーラン監督作品であるという視点からすると、今一つ活かしきれていない作品だ。
○カメラワークとか
・アクションの撮り方に時代を感じる。アクションの組み立ては二の次で、カメラのブレでアクションのスケール感を出す。『ボーン・アイデンティティ』が注目された00年代のアクション特有のカメラワーク。今見ると、正直古臭い。そしてアクションの組み立てを見ることのノイズになっていて、かなりストレス。
○その他
・ちょっと強引にノーランらしさ、ということに目を向けると、多層的な敵役の配置があった。幼少期のブルースの物語だけ見れば両親を殺したチルが最大の敵だが、その後にファルコーニというマフィアがバックにいることを知る。しかしそのファルコーニを凌駕するクレインが現れるが、そのクレインを手先としていたのはデュカードだった。物語の最後の最後まで何をすることが最終目的なのか、誰を倒すことが着地点になるのかというのが定まらないのはノーラン作品の特徴でもある。
・警察官のやりとりがやけにコメディチック。シリアスな空気感のコメディはすごく好きなんだけど、なんかこの作品の警察官たちは露骨な感じがしてちょっとイマイチ。ドラマ作品で急に吉本新喜劇をやりだすみたいな場違い感。
スケアクロウくそイケメン
キリアン・マーフィーに出会ってしまった。
バッドマンは超能力的な力を持っているわけではないということに純粋に驚いた!!だからか思っていたよりもすんなり物語に入り込めたし、あのスーツ自分でこだわっていちいち身につけてるとことか想像すると愛着わく
善と悪は自分の気分次第
「ダークナイト」を視聴してからこちらに。バットマンがどうやって誕生したかを時間をかけて描いていたが・・・。父母が不運にも殺されて、犯罪を憎むようになりって辺りはいいが、チベットの高地で特訓受けて、戦う力身に着けて、最後悪人を殺せと言われて、彼ら一団と戦うところが安直すぎて。あんな爆発生じたら、彼の反逆のため多くの人が死んでいるよね。自分が直接手を下さなければいいの?極端な話、爆弾でも仕掛けておいて、それで殺すのはOKと言われているみたい。そこから、自分は違和感。
バットマンのアイテムを揃えようと、執事や科学者と協力してというパートは、面白い、恰好いいって部分だった。しかし、肝心の悪のボスや殺人鬼と戦うところは、なんかね。基本、チベットの悪をせん滅する同盟がゴッサムシティの市民もろとも殺そうとするのも、あまりにも雑で??それやったら、自分たちこそが悪でしょ。
バットマンが飛翔したり、すごいスピードで宙づりを使ったり、バットマンモービルを駆って、カーチェイスしたりに心躍る人たちが多いのはわかるが、善と悪の設定が中途半端でいい加減すぎるのが気に食わない。
アメリカの犯罪率が他国に比べて凄まじく、賄賂やら汚職が多く、権力者たちが腐っていて、自分たちの利益追求のため国民を食い物にして悪が蔓延っているのを隠すために、まるで市民たちが悪に染まったから市民を殺すって言われているみたい。本当に悪いのは誰?
バットマンって、もともと勧善懲悪でない、少しダークなヒーロー像なのに、自らの手では殺さないっていうのがそもそも中途半端。やっぱり自分にはバットマンは合わないみたいだ。
俳優陣が豪華
リーアム・ニーソンもゲイリーオールドマンも良い役。
初めてリーアム・ニーソンがかっこよく見えた。
クリスチャン・ベイルの肉体すごい
バットマンの成り立ちはスパイダーマンによく似てる
最後、ジョーカーのカード出てきた時は感動した。
はじまりの物語
『ジョーカー』や、『ダークナイト』といった映画が評価されているのを観て、かなり前から観たいと思っていた。
そうしたらまずは「ビギンズ」と名のつくこの映画から観なければ!と思い念願のバットマンシリーズに足を踏み入れた。
バットマンについては見た目くらいしか知らなかった
ため、話が入ってくるまでになかなか時間がかかった。
「人はなぜ堕ちるのか?這い上がるためだ」
というセリフが心に残る。
バットマンをサポートする登場人物たちが個性的で良い。
コウモリは恐怖の象徴
Huruで改めて鑑賞。もう公開してから、17年も経つんですね。
先日、新たな『バットマン』が公開され、前シリーズのダーク感は継承しながらも、バットマンが抱く心の闇にフォーカスした、ヒューマンタッチなアクション・ムービーとして復活した。
本作は、その前シリーズで、クリストファー・ノーラン監督が、若きクリスチャン・ベールをバットマンに起用した『ダーク・ナイト』シリーズ3部作の1作目。幼少期に、自分の目の前で両親を殺されたブルース・ウエインが、心の葛藤やトラウマを抱えながら、無鉄砲な正義感を振りかざして、バットマンとなっていく過程と悲哀を、クリスチャン・ベールが体を張って熱演している。
自分が幼少期に観たテレビドラマの『バットマン』は、ロビン少年を連れ立って、颯爽とバットマンカーに乗り、勧善懲悪な内容で悪党退治する正義の見方だった。しかし、本シリーズからは、ゴッサムシティ―に暗躍する悪党だけでなく、バットマン自身の心の闇にもクローズアップし、コウモリが恐怖の象徴であることも明らかにし、よりダークな雰囲気を醸し出している。
こうした印象は、ノーラン監督のカメラアングルや映像の色彩からも、これまでのヒーロー像とは違う、人間臭いバットマンを描きたかったことが覗える。
そうした練られた演出の面白さもあるが、やはり、本作は表題の通り、バットマン誕生までの過程に面白さがある。つまり、ウエイン家の地下の洞窟をバットマンの秘密基地に改良し、強靭なバットマン・スーツや武器を設え、そして戦車の様に何でも薙ぎ倒していくバットマンカーが滝から飛び出していくシーンこそが、子供の頃のヒーローへの憧れやワクワク感を思い出しさせてくれる。
本作の敵となるのが、あの『ラン・オールナイト』や『96時間』のリーアム・ニーソンが演じている。彼のイメージは、警察やマフィアと対峙しながらも、正義を貫いき最後は悪党を倒す印象が強い。しかし本作は悪玉のラスボス。その分、最初からの凄味のある表情や切れのあるアクションは、ニーソンらしい役所とも言える。また、日本が誇るハリウッド俳優の渡辺謙も、ほんの少し登場していたのは嬉しい限り。
最後には、シリーズ2作目の『ダーク・ナイト』へ続く新たな敵として、ジョーカーの存在が明らかになるオマケつき。
ノーラン監督によるエンタテインメント性と芸術性を両立させた稀有の作品
2005年クリストファー・ノーラン監督(彼の第4作)による2005年米英合作映画。脚本がノーラン監督とデヴィッド・S・ゴイヤー。撮影がウオーリー・フィスター、制作がノーラン設立のシンコピー、ワーナー等で、配給がワーナー。制作費が1.5億ドル。
出演がクリスチャン・ベール(ブルース・ウエイン/バットマン)、リーアム・ニーソン、ケイティ・ホームズ(レイチェル)、マイケル・ケイン、キリアン・マーフィー、ゲイリー・オールドマン(ゴードン巡査部長)、モーガン・フリーマン(フォックス・ウエイン産業科学部社員)等。
バットスーツのマントで自由に滑空するバットマン、カッコ良いバットモービルの造形・スピード感など、活劇として抜群な面白さだが、撮影フィスターの腕の良さからか奥行きの有るダークな映像が何とも魅力的で虜にさせられた。バットマン誕生の物語に説得力と正義だけでない複雑性を持たせた脚本も秀逸。ブルース・ウエインの幼馴染役のレイチェルも美しく且つ知的。
ノーラン監督が4作目にして、超大作のエンタテインメント性と芸術性を両立できる稀有な存在であることを、見事に世界に知らしめた。大好きなシリーズのスタート作品。
かっこいい!
自宅PS4にて、amazon prime videoで鑑賞しました。
バットマンがどのように誕生したのかを描く、ダークナイト3部作の第1作目です。
個人的にバットマンの見た目、ビジュアルがめちゃくちゃ好きで、ハマってしまいました。やはり黒基調のヒーローってかっこいいですよね。また、羽を広げて滑空しているように空を飛ぶシーン、超音波で大量のコウモリを呼んで場を混乱させるシーンなど、バットマンっぽさが現れていていいなと思いました。
一つ言わせてもらうとしたら、戦闘シーンが少しわかりづらかったですかね。カメラが暴れすぎているのか、被写体に近すぎるのか分かりませんが、何が起きているのか少々分かりづらかったと思います。
ただ全体的には面白い作品ですし、最後にちらっと出てきたジョーカーなるものも気になるので、続編も見ていきたいと思います。
粋な映画
ちょっと前に出てきたシーンやセリフをたくさん回収してくれてニヤニヤしながら視聴しました。
なんとなく少年漫画のような王道のストーリー展開で安心して見れましたし、アツいシーンが多くて何度も声を出したり泣きそうになったりと、とても楽しかったです!
バットマンの装備を自分の手で整えていくブルースが楽しそうでニコニコしたし、お金も伝手もあるのに自分のできることはちゃんと自分でこなすところが偉いな〜と思いました。
作った武器たちもバットマンの形の手裏剣みたいなやつとかマキビシみたいなやつとか、師匠の教えがめちゃめちゃ染みついていてほっこり。さらにラーズがブルースのことをたとえ敵対関係になっても弟子と認めているところにもほっこり。ぜんぜんほっこりシーンじゃないですが。
ファルコーニに「お前は何も知らない、知らないものは恐ろしい」と言われて自分も実際に犯罪をやってみるなど、良く思っていない相手の言葉も素直に飲み込めるブルースはやっぱり育ちがいいんだなあとか。
ただやっぱり、ラーズの最期には疑問が残ります。直接手を下していないからと言って狙ってやっているし殺人では?
まあラーズは彼なりの正義に従っているから死ぬまで破壊はやめないだろしこれしか方法はないのかもだけど、、、。あんなに殺さないことにこだわっていたのに、パトカーをまくときに死者が出てしまったのをアルフレッドに諫められていたし、ちょっと危ない方向に進んでいないか心配です。
そこをジョーカーが抉ってくるのかな〜〜!とにかく次のダークナイトが本当に楽しみになるような映画でした!
あとレイチェルが毒で朦朧としているとき、字幕では「がんばれ」でしたが台詞は「stay with me.」で、しかもそのあとは「レイチェル!!」って叫んでいて、いつも感情を押さえ込んでいるようなバットマンの奥からブルースが顔を出しているみたいできゅーーーんとしました!
良いです
ホームシアターでの友人との映画鑑賞会で友人が持ってきたので、ビギンズからダークナイト、ダークナイトライジングの3部作を観ました。
いたく気に入って、僕もBlu-rayを買ってしまいました。
ちゃんと3部作全部繋がっていますし、登場人物のやりとりがカッコいいです。
警察官のゴードンの前に初めてバットマンが現れた場面の、ひとりで立ち向かうのは無理だと言うゴードンに向けられた「君がいる」というセリフと、ブルースが執事に「僕を見放さないのか」と尋ねて執事が答えるのを英語音声で「Never」っていうのが最高にしびれました。
主人公のブルースの幼少期、両親を強盗に殺されて警察に保護されたときに彼の肩に上着を掛けて「大丈夫だ」と言ってくれた良い警察官がゴードンだったのですね。
影の同盟で忍者の修行をしてゴッサムシティーに戻ったブルースはゴードンの写真の入った資料を見ていたから、一緒に街を救ってくれる良い警察官を探していたのでしょう。
ゴードンはゴードンで、同僚が悪事に手を染めているのを知りながら、その同僚に「密告はしない。この汚職まみれの街で誰に密告すればいいんだ」っていうのですから、正しいことをしたいのにできない、声を上げてもどこにも届かない状況に苦悩しながら、きっと半分諦めながら、それでもやっぱり犯罪のない街を望んで、良い警官をしていたのでしょう。
ゴードンの元に装甲服に目出し帽の怪しいコスプレ男が現れて、珍しい良い警官だと言ってくれる。
検事や裁判官などの公権力まで巻き込んでいる巨大な悪と戦おうとしているその男が、1人じゃない、君がいる、一緒に戦ってくれるだろ?って言ったら、しびれますよ。
頭のイカれたコスプレ男かも知れない、でも、マトモな人は一つの街の社会そのものを相手に戦ったりなんかできない。
ひょっとしたらと期待してしまいます。
だって救いがなくて悶々としているところへ、うっすらと光が差したかも知れないのだもの。
その上、ダークナイトライジングの最後で街を救うために爆弾を海上まで運ぶ場面で、命と引き換えに街を救うヒーロー、バットマンにゴードンが正体を尋ねて、誰でもバットマンになれる、傷ついた少年の肩に上着を掛けて「大丈夫だ」と言ってやるだけで良いのだってバットマンが答える。
ブルースは色々な装備を整えるだけの財産があって、忍者の修行で身に付けた悪に対抗しうる強い力もあるけれど、ブルースのバットマンはシンボルに過ぎず、街を良くしようとする一人一人の正義感や優しさが犯罪のない街を作る大きな力になって、両親を失って傷ついた少年ブルースにとって、優しい警察官がバットマンだったのでしょう。
だから、ゴードンに向けられた「君がいる」には大きな信頼があったのだと思います。
友達と3部作を全部見た後、1人で見た2回目の「君がいる」はゾクゾクするくらいカッコよかった。
それに、執事の「Never」。
同じやりとりをビギンズの劇中で2回やっていて、1回目はブルースの両親を殺した路上強盗犯の裁判の公聴会へ行く前、父が遺したウェイン家の屋敷を、粉々に無くなってしまえばいいと言うブルースに、執事はウェイン家が6代にわたって住んできた屋敷だと言って止める。
お前には関係ないじゃないかと言うブルースに、旦那様から大切な坊ちゃんを託されたのだから関係はあると答える。
その後の場面で「僕を見放さないのか?」と尋ねるブルースに、執事が「Never」と答える。
2回目は、ブルースの誕生日のパーティーに悪役の影の同盟のメンバーが姿を現してパーティーの客に失礼なことを言って追い返した後。
影の同盟に家を燃やされて、1回目のときに粉々になくなればいいと言っていた屋敷がホントに焼け落ちて無くなってしまって、執事とブルースが地下の秘密の施設へ逃れたリフトの中で。
人はなぜ落ちるのか、それは這い上がるためだと、ブルースの父の言葉を執事が言う。
家名に傷をつけ、屋敷を灰に変え、どん底まで落ちたブルースが「『まだ』僕を見放さないのか?」と尋ねて、それでもやっぱり執事の言葉は変わらない「Never」。
旦那様が遺したのは屋敷だけじゃなくて、この旦那様の大切な坊ちゃんをも遺された。
この子がどんなに落ちても、きっと這い上がるから、決して見放さないで助けるのだという執事の「Never」はしびれます。
3部まで全編通して、登場人物のやりとりがカッコよくていいです。
これは繰り返して観るのがいいと思います。
素晴らしいです。
ダークナイト ビギンズ。アラは目立つが、三部作の始まりとしては上々の出来。
言わずと知れた有名アメコミ『バットマン』を実写映画化。
バットマンの物語を一から語りなおすリブート企画『ダークナイト』トリロジーの第1作。
子供の頃に両親を殺された大富豪ブルース・ウェインが、どのようにして闇の騎士・バットマンへと変貌を遂げたのかが描かれる…。
監督/脚本は『メメント』『インソムニア』のクリストファー・ノーラン。
主人公ブルース・ウェイン/バットマンを演じるのは『アメリカン・サイコ』『マシニスト』の、後のオスカー俳優クリスチャン・ベール。
テロリスト集団「影の同盟」のボス、ラーズ・アル・グールを演じるのは『スター・ウォーズ エピソード1』『ラブ・アクチュアリー』の、名優リーアム・ニーソン,OBE。
ウェイン家の執事、アルフレッド・ペニーワースを演じるのは『ハンナとその姉妹』『サイダーハウス・ルール』の、レジェンド俳優サー・マイケル・ケイン,CBE。
ウェイン産業応用化学部の責任者、ルーシャス・フォックスを演じるのは『ショーシャンクの空に』『ミリオンダラー・ベイビー』の、レジェンド俳優モーガン・フリーマン。
ゴッサム市警の警官、ジム・ゴードンを演じるのは『レオン』『ハリー・ポッター』シリーズの、オスカー俳優ゲイリー・オールドマン。
ラーズ・アル・グールの影武者を演じるのは『ラスト サムライ』『SAYURI』の渡辺謙。
精神科医、ジョナサン・クレイン/スケアクロウを演じるのは『28日後…』『真珠の耳飾りの少女』のキリアン・マーフィ。
音楽を担当するのは『M:I-2』『ラスト サムライ』の、巨匠ハンス・ジマー。
アメコミ映画でありながら決して子供向けではない、シリアスでダークな作風。
とかくシリアスに作りすぎてしまうのはノーランの悪い癖だと思いますが、本作は元々が荒唐無稽なところのあるコミックが原作なのでちょうど良いバランスになっています。
続編ありきで作られている作品なので説明的になってしまうのは仕方ないことかも知れませんが、やはりちょっと退屈。
そんなことまでセリフで言わんといけんのか、というやりとりが結構あるのはノーラン作品ではもはやお約束。
気になったのは、カメラが寄りすぎていて見にくい場面が多々あった点。特にアクションシーンは何やっているのかよくわからない。
アクション映画なのにアクションがつまらないというのは結構致命的な欠点かも。
また、バットマンのキャラクター設定にもブレがあると思う。
バットマンといえば不殺を貫くヒーローとして有名です(1989年の『バットマン』では割と悪党を殺していたような気もするけど…)。
クライマックスでの「殺しはしない。だが助けもしない。」って、あの状況での見殺しはほとんど殺しているようなものでは?
映画前半の影の同盟から逃れるシーンでは火災を起こし、結果的に渡辺謙が死んじゃうけどあれは良いのだろうか?
ブルースが処刑を拒否したあの囚人は結局助かったのかしら?
ピンチだったグールを助けたみたいな感じになってるけど、そもそもブルースが殺そうとしていたことを忘れてはいけない…!
ダークにするのは良いが、悪党の命すらなんとか守ろうとするヒーロー像だけは守って欲しかった。
あと、クライマックスの毒ガスでおかしくなった人たちはちゃんと解毒出来たのかな?
丁寧過ぎるほどにバットマン誕生譚を描いていたのに、最後の方は尺が足りなくなったのか結構雑に処理されていたような気がします…。
あと、スケアクロウの扱いの悪さが酷い🌀スタンガンで退場はないだろう…。
そもそも「影の同盟」の計画の回りくどさは一体なんなのだろう。
街を苦しめている不況すら本を正せば「影の同盟」の仕業だったらしいが、ゴッサムをぶっ壊すという目的のための手段が不景気にさせるってどうなの?
「不景気作戦に失敗したから今度は毒ガスだ!」という分かりやすさは良いけど、まず水道に幻覚剤を混ぜて、ウェイン産業から盗んだ液体気化装置で水を気化させて毒を撒くって…周りくど過ぎるだろー!
さっさと上空からでも毒撒けよー。
などなど、シナリオのクオリティはお粗末な気がしますが、ゴッサムの街並みはとても良い。
また、ブルースがバットマンになっていく過程はやはりワクワクさせられます。
何よりエンディングでのジョーカー登場の布石はやはりテンション上がる上がる!
バットマンの誕生をリブートして描くという目的は達成されているので、それだけで映画としては合格点。バットマンを愛するがあまり文句ばっかり書いたけど、箸にも棒にも掛からない映画ではないっす。
まぁでも、やっぱりこのシリーズは次回が最強ですわな。ついにヤツが暴れ出すぞ…🃏
腐敗した都市を一気に殲滅させる力
トリロジーの第一章。
ブルース・ウェインは、とてつもない悪の力と対峙することになる。ゴッサムシティは、ずっと以前からラズ・アール・グールの一派から滅ぼすための標的として狙われていたのだった。
ヒマラヤの頂上近くの「影の同盟」の親玉。
彼らは神なのか悪魔なのか。
腐敗した大都市に、様々な方法でダメージを与えるらしい。経済的打撃にはじまり、薬物、犯罪の増加など。
彼らは壊滅的な一撃を与え、一気に弱体化させる。
正義の実現というよりは、なにかの実験のようだ。
両親を目の前で殺された少年ブルースは、成長してインドへ渡る。
やがてラズ・アール・グールの弟子となり、傭兵の訓練を受けたあと、彼とその組織に反逆して、ラズの元を去る。
ゴッサムシティに住み、愛する人を守るため、また腐敗をなくすために彼は正義のシンボルとなることを決意する。潤沢な資産を使い、アルフレッドとフォックスの助けを借りて超人的な戦士となる。
一方、ラズ・アール・グールの一派は、それを霧状にして吸うと幻覚が見え、狂ったり死んでしまうという強力な毒を開発製造する。モノレールの下の水道管にその薬品を仕込み、街の中心部のウェインタワーまで送って街全域を一気に破滅させようとする計画をたてていた。
複雑な方法だ。オウムのサリン事件を思わせるテロである。
ゾンビを思わせるシーンがあったり、モノレールの中での決闘、二度の大きな火事の場面など見どころ満載。
人は何故落ちる?
ダークナイト・トリロジー第1部。
"金曜ロードショー" で鑑賞。
原作コミックは未読。
若きブルース・ウェインは、如何にしてバットマンとなったのか。その経緯が丁寧且つ重厚に描かれ、これまでのヒーロー映画には無かった濃密ドラマに引き込まれました。
トラウマと向き合いながら、目の当たりにする正義と悪の境界が曖昧になる瞬間。恐怖と向き合うため、ゴッサムに蔓延る悪の芽を根絶やしにするため、ブルースは修羅の道へ。
徹底したリアリズム。ヒーローの内面に鋭く切り込む骨太ドラマ。重量級のアクション。本作の魅力はこれらに尽きると思います。クリストファー・ノーラン監督節が炸裂でした。
コスチュームに身を包んではいるものの、スーパーパワーを持っているわけではないバットマン。よって決して無敵では無いと云う部分に惹かれますし、己の肉体を限界まで高めた末の強靭かつ素早い格闘術が美しい限りでした。
バットモービルのデザインも秀逸でした。めちゃくちゃカッコいい…。自動車ベースでは無く、戦車のような厳つさがありながら、機能美と云うかスマートで洗練された造形が素晴らしいなと思いました。惚れ惚れとしました。
極力CGを使用せず、実物大のセットや特撮、生身のアクションでつくり上げられた圧巻のスペクタクルシーンに、目も心も奪われました。モノレールのシーンなんて街中に実際にあるものを壊しているようにしか見えない!
本作を観て、クリストファー・ノーラン監督のファンになりました。フィルムでの撮影を好み、職人魂とも云えるこだわりに満ちた画づくりを試みる手法が大好きです!
「人は何故落ちる?」「這い上がるためだ」
トリロジーの根底にあるテーマを端的に表したセリフ。この三部作通して、バットマン/ブルース・ウェインは落ちては這い上がり、落ちては這い上がりを繰り返しているなぁ、と…
全ての伏線が本作に詰まっていました。
[以降の鑑賞記録]
2008/08/08:金曜プレステージ
2013/07/08:DVD(字幕)
2020/11/27:Blu-ray(吹替)
2022/11/06:Ultra HD Blu-ray(字幕)
※リライト(2020/11/27)
※修正(2024/04/08)
バットマンの成り立ち
ブルース・ウェインがなぜバットマンになったのか。
今までも語られた両親の死から丁寧に説き起こす。
その中で、ゴードンとの出逢い。レイチェルとの関係。影の軍団の暗躍。
いろんな話が重なりあって、バットマンが誕生する。
バットマンといえばクリスチャン・ベール。っていうぐらいの印象。
階段の手摺に佇むバットマン、秀逸。
Why do we fall? 伝説の始まり。ダークナイト三部作の第一章。
89年から97年まで続いてた「バットマン」の映画シリーズをクリストファー・ノーラン監督がリブートする形で2005年に始まった所謂ダークナイト三部作の第一章です。またバットマン?という印象を吹き飛ばす仕上がりでした。
やはり二作目の「ダークナイト」が素晴らしすぎて印象が薄くなってしまう「ビギンズ」ですが、これはこれで良いデキなのです。「何故ブルース・ウェインはバットマンとなるに至ったか?」を丁寧に作品にしています。これまでトリッキーなヴィラン(悪役)の方が注目されていたバットマンのシリーズなのですが、今作は完全にバットマンが主人公ですね。
今作のバットマンはちゃんとコウモリになる理由付けがあるんですよね。「悪人への恐怖を与える為のメタファーとしてコウモリになる」という。少しくどいぐらいに恐怖の描写としてコウモリが出てきます。昔の原作アメコミでは、たまたま窓から入っていたコウモリ見て、指をならして「よっしゃ、コレにしよっ♪」って決めた事とは大違い(笑)
バットマンことブルース・ウェインにクリスチャン・ベールを持ってきている所がまた憎いではないですか。89年のティム・バートン版では性格俳優マイケル・キートンで意外性を出していた所が、ヴァル・キルマー、ジョージ・クルーニーといういかにもバットマンやってそうな俳優を経て、クリスチャン・ベールに至る。意外な配役でしたが見事にハマッてました。
映画版のオリジナルキャラクターのレイチェルを演じたケイティ・ホームズもキュートで良かったです。ブルースの事を案じている事が良く伝わってきました。良く見ると二作目でレイチェルを演じたマギー・ギレンホールに顔のパーツは似てなくもないのですが、圧倒的にケイティ・ホームズがかわいいのは何故でしょう?
ヴィランには演技派からアクション俳優に転向した変わり種のリーアム・ニーソン、今ではすっかりクリストファー・ノーラン組となったマイケル・ケイン、同じくノーラン組のキリアン・マーフィー、そして名優ポジのモーガン・フリーマンに好い人の役しかやらなくなったゲイリー・オールドマンと実は過去作に負けないぐらい出演者が豪華です。後、渡辺謙さんもいましたね。
何はともあれDCのリアル・アメコミ路線はこの作品から始まったと言っても過言ではない今作。続く名作「ダークナイト」を楽しむ為にも逃せない一本です。
履歴
2020/7/23 再観賞
バットマンに至るまで…
バットマンになるきっかけというか過程というか…忍者が出てきた時は少し何とも言えない気持ちになりました(笑)前半より後半の方が楽しんで見ることができました。
ダークナイトを観ていない時点ではこれくらい
ダークナイトが物凄い高評価なので、正直「通過儀礼」として鑑賞。
2005年の作品とは思えないくらい高レベルの映像と、絶妙な場面の切り替えが楽しかったです。
影の同盟とのやりとりが、バトルと言い会話と言い、面白みに欠けていました。
続編に向けた大きな前フリ?
単体での評価はこれくらいです。
ダークナイトにつながる序章
ダークナイトが好きなので、その前作であるバットマンビギンズを観たが、これも面白かった!ダークナイトほどではないけど。このバットマンは正義の味方として描かれている訳でもなく、むしろ警察に追われる身となってしまう場面もあった。警察とのカーチェイスのシーンは身の周りの物を壊しまくってたりとお世辞にも正義の味方とは言えないような行動をとっている。このシーンだけ見ればバットマンはただの"イかれたコスプレ男"だと見られるだろう。バットマンはあくまで自分が正しいと思っている善行を行なっているだけで、反感を持つ者も当然いると思える。この辺の描写はかなりリアルに再現されていて、とても良かった!!そして、のちのダークナイトのジョーカーのセリフ「お前はおれと同類」だと言うセリフにより深みを感じた。緊迫したシーンはのめり込んでしまった…笑 さすがはクリストファーノーラン!!リアルに徹底した彼の作風は好き!!!
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