「ダークナイト ビギンズ。アラは目立つが、三部作の始まりとしては上々の出来。」バットマン ビギンズ たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
ダークナイト ビギンズ。アラは目立つが、三部作の始まりとしては上々の出来。
言わずと知れた有名アメコミ『バットマン』を実写映画化。
バットマンの物語を一から語りなおすリブート企画『ダークナイト』トリロジーの第1作。
子供の頃に両親を殺された大富豪ブルース・ウェインが、どのようにして闇の騎士・バットマンへと変貌を遂げたのかが描かれる…。
監督/脚本は『メメント』『インソムニア』のクリストファー・ノーラン。
主人公ブルース・ウェイン/バットマンを演じるのは『アメリカン・サイコ』『マシニスト』の、後のオスカー俳優クリスチャン・ベール。
テロリスト集団「影の同盟」のボス、ラーズ・アル・グールを演じるのは『スター・ウォーズ エピソード1』『ラブ・アクチュアリー』の、名優リーアム・ニーソン,OBE。
ウェイン家の執事、アルフレッド・ペニーワースを演じるのは『ハンナとその姉妹』『サイダーハウス・ルール』の、レジェンド俳優サー・マイケル・ケイン,CBE。
ウェイン産業応用化学部の責任者、ルーシャス・フォックスを演じるのは『ショーシャンクの空に』『ミリオンダラー・ベイビー』の、レジェンド俳優モーガン・フリーマン。
ゴッサム市警の警官、ジム・ゴードンを演じるのは『レオン』『ハリー・ポッター』シリーズの、オスカー俳優ゲイリー・オールドマン。
ラーズ・アル・グールの影武者を演じるのは『ラスト サムライ』『SAYURI』の渡辺謙。
精神科医、ジョナサン・クレイン/スケアクロウを演じるのは『28日後…』『真珠の耳飾りの少女』のキリアン・マーフィ。
音楽を担当するのは『M:I-2』『ラスト サムライ』の、巨匠ハンス・ジマー。
アメコミ映画でありながら決して子供向けではない、シリアスでダークな作風。
とかくシリアスに作りすぎてしまうのはノーランの悪い癖だと思いますが、本作は元々が荒唐無稽なところのあるコミックが原作なのでちょうど良いバランスになっています。
続編ありきで作られている作品なので説明的になってしまうのは仕方ないことかも知れませんが、やはりちょっと退屈。
そんなことまでセリフで言わんといけんのか、というやりとりが結構あるのはノーラン作品ではもはやお約束。
気になったのは、カメラが寄りすぎていて見にくい場面が多々あった点。特にアクションシーンは何やっているのかよくわからない。
アクション映画なのにアクションがつまらないというのは結構致命的な欠点かも。
また、バットマンのキャラクター設定にもブレがあると思う。
バットマンといえば不殺を貫くヒーローとして有名です(1989年の『バットマン』では割と悪党を殺していたような気もするけど…)。
クライマックスでの「殺しはしない。だが助けもしない。」って、あの状況での見殺しはほとんど殺しているようなものでは?
映画前半の影の同盟から逃れるシーンでは火災を起こし、結果的に渡辺謙が死んじゃうけどあれは良いのだろうか?
ブルースが処刑を拒否したあの囚人は結局助かったのかしら?
ピンチだったグールを助けたみたいな感じになってるけど、そもそもブルースが殺そうとしていたことを忘れてはいけない…!
ダークにするのは良いが、悪党の命すらなんとか守ろうとするヒーロー像だけは守って欲しかった。
あと、クライマックスの毒ガスでおかしくなった人たちはちゃんと解毒出来たのかな?
丁寧過ぎるほどにバットマン誕生譚を描いていたのに、最後の方は尺が足りなくなったのか結構雑に処理されていたような気がします…。
あと、スケアクロウの扱いの悪さが酷い🌀スタンガンで退場はないだろう…。
そもそも「影の同盟」の計画の回りくどさは一体なんなのだろう。
街を苦しめている不況すら本を正せば「影の同盟」の仕業だったらしいが、ゴッサムをぶっ壊すという目的のための手段が不景気にさせるってどうなの?
「不景気作戦に失敗したから今度は毒ガスだ!」という分かりやすさは良いけど、まず水道に幻覚剤を混ぜて、ウェイン産業から盗んだ液体気化装置で水を気化させて毒を撒くって…周りくど過ぎるだろー!
さっさと上空からでも毒撒けよー。
などなど、シナリオのクオリティはお粗末な気がしますが、ゴッサムの街並みはとても良い。
また、ブルースがバットマンになっていく過程はやはりワクワクさせられます。
何よりエンディングでのジョーカー登場の布石はやはりテンション上がる上がる!
バットマンの誕生をリブートして描くという目的は達成されているので、それだけで映画としては合格点。バットマンを愛するがあまり文句ばっかり書いたけど、箸にも棒にも掛からない映画ではないっす。
まぁでも、やっぱりこのシリーズは次回が最強ですわな。ついにヤツが暴れ出すぞ…🃏