「人は何故落ちる?」バットマン ビギンズ しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
人は何故落ちる?
ダークナイト・トリロジー第1部。
"金曜ロードショー" で鑑賞。
原作コミックは未読。
若きブルース・ウェインは、如何にしてバットマンとなったのか。その経緯が丁寧且つ重厚に描かれ、これまでのヒーロー映画には無かった濃密ドラマに引き込まれました。
トラウマと向き合いながら、目の当たりにする正義と悪の境界が曖昧になる瞬間。恐怖と向き合うため、ゴッサムに蔓延る悪の芽を根絶やしにするため、ブルースは修羅の道へ。
徹底したリアリズム。ヒーローの内面に鋭く切り込む骨太ドラマ。重量級のアクション。本作の魅力はこれらに尽きると思います。クリストファー・ノーラン監督節が炸裂でした。
コスチュームに身を包んではいるものの、スーパーパワーを持っているわけではないバットマン。よって決して無敵では無いと云う部分に惹かれますし、己の肉体を限界まで高めた末の強靭かつ素早い格闘術が美しい限りでした。
バットモービルのデザインも秀逸でした。めちゃくちゃカッコいい…。自動車ベースでは無く、戦車のような厳つさがありながら、機能美と云うかスマートで洗練された造形が素晴らしいなと思いました。惚れ惚れとしました。
極力CGを使用せず、実物大のセットや特撮、生身のアクションでつくり上げられた圧巻のスペクタクルシーンに、目も心も奪われました。モノレールのシーンなんて街中に実際にあるものを壊しているようにしか見えない!
本作を観て、クリストファー・ノーラン監督のファンになりました。フィルムでの撮影を好み、職人魂とも云えるこだわりに満ちた画づくりを試みる手法が大好きです!
「人は何故落ちる?」「這い上がるためだ」
トリロジーの根底にあるテーマを端的に表したセリフ。この三部作通して、バットマン/ブルース・ウェインは落ちては這い上がり、落ちては這い上がりを繰り返しているなぁ、と…
全ての伏線が本作に詰まっていました。
[以降の鑑賞記録]
2008/08/08:金曜プレステージ
2013/07/08:DVD(字幕)
2020/11/27:Blu-ray(吹替)
2022/11/06:Ultra HD Blu-ray(字幕)
※リライト(2020/11/27)
※修正(2024/04/08)