「ブレイクライン」逃走中 THE MOVIE ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
ブレイクライン
逃走中の映画化が決まった時は正気ではないなと思って特別期待もしておらず、デスゲーム要素がありますということでほんのちょっぴり期待したのに、JO1とFANTASTICSが主演ですと発表された瞬間にあーこれはファン向けだわーと落胆し、せめてPGとかの指定がつけばギリギリなんとかと思っていたら全年齢対象で肩を落とし、ドンペンが参戦するというところだけ気になって、経緯がありまくりながらも何故か初日の朝イチの回に観にいきました。
うん、やっぱり大問題作でした。
よくもまぁこんなもんを世の中に放てたなと思うくらいにはクオリティ面も低く、一部の役者の演技も拙く、人間ドラマが多く差し込まれる割にはくどいし、設定はガバガバというか、なんでこれでOKが出たのかと疑いたくなるくらいには穴が空きまくっていて、観てる途中は怒りと落胆で情緒不安定だったのですが、ツッコミどころが強烈すぎて話のネタが増えたわという事だけが今作の美点だなと思いました。
まず前提として逃走中である必要は全くありません。
ハンターに追われるスリルなんてものは全く無く、東京23区を駆け回るのに3時間というざっくばらんとした制限時間はまだしも、ミッションが特定の場所に集まってブザーを止めるカードを集めろというミッションなのに、集団行動ばっかしてるせいでミッションが成功しても失敗してもどっちみちハンターに追いかけられるというマヌケプレーに誰もツッコミを入れてなかったのでモヤモヤしました。
途中で出会う女子高生とその弟、弟は方言が笑われたことにより喋れなくなったという事情持ちなんですが、喋れないから持ってる音声ボタンに「うるさい」の単語入れる必要ってありました?
このシーンからシンプル不快だったので、弟が出てくるたびに喋るなでは無く、ボタン押すな動き回るなという感情で埋め尽くされていました。
クロノス社が乗っ取られてからワイルドハンターという新種のハンターがいきなり登場するんですが、お口がヴェノム状態になって逃走者をムシャムシャ食べていくのかな?と思いきや、なんか足元からスーッと消えていくという意味の分からない捕食シーンに面食らいながらもまだ序の口序の口とグッと堪えていました。
ワイルドハンターはなんか体が丈夫でガタイがデカくてヴェノムというくらいしか特徴がなく、ただのコマのような扱われ方だったのは残念でした。
乗っ取られて以降のミッションなんてあってないような存在同然で、21ゲームとかいう逃走中でやる意味が全くない心理戦をやり始めていくのが本当にアホで、仲間同士で結託して他人を嵌めればいいものを、「ここからは同情が仇になっていくんだよ!」とかいって抜けていく理由がサッパリ分からず、それで1人が犠牲になっていくという全力の茶番を見せられて、本当に何を見せられているんだ?という気分になりました。
弟は喋れないのに一目散に21ゲームを抜け出せていたのはきっとうるさいボタンの他に数字が言えるボタンがあったんでしょう(雑)。
遊園地から扉を見つけろなんてミッションも訳が分からず、このターンマジで何やってたんだろうってくらい虚無で、脚本も監督もこのターン寝てて、演者に全部任せっぱなしだったんじゃレベルで内容が無かったです。
廃墟での攻防も何も分からないまま進み、ダウナーお姉さんがワイルドハンターに背後から襲われて消滅といったくだりもいらんなーと思って観ていました。
このシーンでクロちゃんだったり、いえやすくんだったりを雑に消滅させていたので、果たして登場させる必要はあったのか?と甚だ疑問しか浮かびませんでした。
メインの登場人物の死因が何人か目も当てられないレベルでバカなのがもういっそ清々しくて笑えました。
町工場の三代目社長は普通に逃げられる状況だったのに、切れたミサンガを何故か取りにいって、「かあちゃ〜ん!」というジャイアンでもこの状況なら間違いなく逃げるのにミサンガを取ってワイルドハンターに食われるというアホを晒してて頭を抱えました。
株暴落ボーイは脱出のために鍵が必要だっつってんのに、「俺が囮になる!」とかいう頭空っぽ発言をしてまんまと挟まされてからの口に鍵咥えてプッとして主人公に託すとかいう面倒なアクションを加えまくっていたので、いらんわってなりました。
後々の展開で明らかになったのが、シャレオツピンク頭がワイルドハンターに捕まる原因になったブザー音のミッションの時に、動画撮影で弟にメッセージを残していて、それをわざわざUSBメモリに入れておくという手間のかかる作業をしていたがために犠牲になったのかと点と点が繋がってアホーってなりました。
ダンとゴリというチンピラたちも、鍵持ってるやつが狙われるって言ってるのにワイルドハンターにタックルして消滅させられるという、記憶爆速で消してんのか?レベルで頭痛が痛い状態でした。
ラスボスの白髪ハンターも難アリで、まず初登場からグラサンが半分ズレていて、終盤に登場する時にはもうグラサンをしていないので、お前はハンターでもなんでもない、ただのイカれゾンビだろと言いたくなるくらい逃走中のとの字もない要素にはほとほと呆れていました。
やたら弟との対峙で手こずるし、フェンスが越えられないからといって何かアクションを起こせばいいのに、ピョーンピョーンと飛び跳ねているだけで座席からズッコケそうになりました。
メインメンバーが全員消滅してしまい、弟とハンターとの一騎打ちという、JO1とFANTASTICSのファンですら振り落とす構成になっていったのが本気で謎で、せめてファンに媚びっぱなしでいなさいよと思っていたけれど、そんな事はつゆ知らずでボタンを中々押さないガキにもイライラして、それで創造主みたいなのが出てきてから弟が喋れるようになるという、もう一体何がなんなんだ?という状況に困惑しっぱなしでした。
リセットボタンを押したら何故か世界が全部元通り、というかJO1FANTASTICSの面々の日常が良い方向に向かって、仲間とも久々の再会してという無理くりなハッピーエンドにしていたのも癪に触りました。
弟が喋れるようになったとかいう本当にどうでもいいシーンからのハンターらしき人物のにやり顔で幕を閉じるという匂わせエンドもまぁ腹が立ちますよ。
変に役者のズームアップに泣き顔も映すんですが、全くをもって泣けるシーン無いですし、もう長すぎるのでJO1とFANTASTICSの面々を一部しか知らないので感動したーとは全くなりませんでした。
ドンペンが逃走者じゃなかったのも悲しいところですが、しっかりドンキホーテの前でお仕事をしていたので、彼の仕事ファーストな面はたくさん評価したいです。
今作を観るくらいならドンキホーテの情熱価格の商品を映画代分買う方が有意義だと思います。
ファン向けとはいえ、映画館でやるからにはそれ相応のクオリティに仕上げてほしかったです。
せっかくデスゲームに逃走中という面白くなりそうな題材なのに、グッダグダのシナリオで構成した雑な作品を世に放てたのか本当に意味が分かりませんでした。
あと脚本家の方、過去作はBLドラマを担当されていたみたいで、序盤のあの距離の近づき方はそれだったのかーと合点いった直後に、マジでなんでこの方に今作の脚本を頼んだんだ?と制作側にガチの疑問をぶつけたくなりました。
劇場というフィールドから自首しても炎上する事はありません。以上。
鑑賞日 7/19
鑑賞時間 10:20〜12:05
座席 A-5